50 / 67
50・心霊探偵
しおりを挟む さっきからそれも気になっていた。あの子、とは空想上の友だちというやつだろうか。
「その『あの子』ってお前の友だちか? それとも動物でも飼ってるのか? いないとは思うけど彼女とかか?」
最後のはさすがに失礼か。でもこいつ絶対にもてない。気にする様子もなく、少しだけ眉毛を寄せて自称作成者が呟いた。
「友だち……動物……彼女……」
どれもしっくりこないといった表情だ。だろうな。
「いいよ、無理に答えなくて」
「――こども、かな」
「こども?」
若そうに見えたので意外だったが、それなら別の意味でも気の毒だ。父親がこんな風ではその子も苦労するだろう。遊び相手くらいならなってやってもいい。
「その子は何て名前なんだ」
「ナイト、鏡の悪魔なんだ」
おっと、そっち系の妄想に苦しめられているのか。こういう時は下手に否定するのも、興味本位で根掘り葉掘り聞くのも間違いだろう。話題を変えよう。
「俺は何でここにいるんだろう? お前、何か見てたか」
俺より長く入院しているなら、搬送されきた時の様子も知っているかもしれない。
「事故に合う前の日に蜘蛛を助けただろう。あれが最後の課題だったんだよ」
「全っ然覚えてない」
感情の見えなかった作成者の目が、わずかに悲し気に揺れた。
「悪い、本当に記憶にないんだ。それに課題ってなんのことだ」
「シロキは何も教えてくれなかったの? あの子はそういうところが抜けているからな。ともていい子なんだけれど」
また登場人物が増えてしまった。
「シロキ? それもまさかお前の子どもか?」
作成者の口元がこれもほんの微かに笑う。
「わたしにはたくさん子どもがいるんだけど、彼が最初の子なんだよ。特別な子だ」
――はあ、なるほど。わかってきたぞ。こいつ妙な宗教にはまっているのではないか。
「そうか、でもそのシロキくんのことも覚えていないんだよ」
「あの子をくん呼びするのはお前が初めてだ。さすがだね。略して呼ぶのもわたしとナイトくらいだというのに」
早く医者か専門家が来てくれないだろか。素人の手に負える類のやつじゃない。この部屋、窓も扉もないようだが……。
「その『あの子』ってお前の友だちか? それとも動物でも飼ってるのか? いないとは思うけど彼女とかか?」
最後のはさすがに失礼か。でもこいつ絶対にもてない。気にする様子もなく、少しだけ眉毛を寄せて自称作成者が呟いた。
「友だち……動物……彼女……」
どれもしっくりこないといった表情だ。だろうな。
「いいよ、無理に答えなくて」
「――こども、かな」
「こども?」
若そうに見えたので意外だったが、それなら別の意味でも気の毒だ。父親がこんな風ではその子も苦労するだろう。遊び相手くらいならなってやってもいい。
「その子は何て名前なんだ」
「ナイト、鏡の悪魔なんだ」
おっと、そっち系の妄想に苦しめられているのか。こういう時は下手に否定するのも、興味本位で根掘り葉掘り聞くのも間違いだろう。話題を変えよう。
「俺は何でここにいるんだろう? お前、何か見てたか」
俺より長く入院しているなら、搬送されきた時の様子も知っているかもしれない。
「事故に合う前の日に蜘蛛を助けただろう。あれが最後の課題だったんだよ」
「全っ然覚えてない」
感情の見えなかった作成者の目が、わずかに悲し気に揺れた。
「悪い、本当に記憶にないんだ。それに課題ってなんのことだ」
「シロキは何も教えてくれなかったの? あの子はそういうところが抜けているからな。ともていい子なんだけれど」
また登場人物が増えてしまった。
「シロキ? それもまさかお前の子どもか?」
作成者の口元がこれもほんの微かに笑う。
「わたしにはたくさん子どもがいるんだけど、彼が最初の子なんだよ。特別な子だ」
――はあ、なるほど。わかってきたぞ。こいつ妙な宗教にはまっているのではないか。
「そうか、でもそのシロキくんのことも覚えていないんだよ」
「あの子をくん呼びするのはお前が初めてだ。さすがだね。略して呼ぶのもわたしとナイトくらいだというのに」
早く医者か専門家が来てくれないだろか。素人の手に負える類のやつじゃない。この部屋、窓も扉もないようだが……。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎌倉最後の日
もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる