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47・密室殺人事件
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とある小さな町で、五件の連続殺人が起きた。
被害者は全て自室にて殺害されていた。
五件の殺人事件に共通点は無く、それが連続殺人だとわかったのは、壁の血文字によるものだった。
殺人現場の壁に、被害者の血液で、大きな丸にZのような字が書かれていたのだった。
そのシンボルマークによって、同一犯であると警察は断定した。
そして もう一つ、事件の重大な共通点がある。
それは、密室であると言うこと。
五件の殺人事件の全ては、完全な密室だったのだ。
しかし、私は知っている。
実際の殺人事件において、密室事件を起こす者など誰もいない。
現実の殺人は、殺して死体を隠蔽するというのがパターンであり、密室殺人など推理小説などにしか存在しないのだ。
警察は、ミステリーマニアの犯行だと騒いでいる、というより、喜んでいる。
しかし、能力者の存在を知っている者からすると、違う可能性を考えてしまう。
だから私はブラインド レディに連絡を取った。
ホテルのスィートルームにて、私はメイドから紅茶をいただくと、ブラインド レディに資料を渡し、説明する。
「最近の被害者は、スーパーでパートをしている、いたって普通の二十代後半の女性。
遺体が発見されたのは 自室で、死後 十日経過しているとのことだ。
被害者の両親が被害者から連絡が無いので、警察に通報。警官が訪れると、腐臭がドア越しからも漂ってきたので、アパートの大家に連絡し、鍵を開けた。
室内には、腐敗が進んだバラバラ死体と、そして壁に丸にZの血文字。
このシンボルマークによって、一連の連続殺人だと判明。
扉に鍵はかかっていたし、チェーンも付いていた。窓にも鍵はかかっている。防犯装置も作動し、警察もチェックしたが、きちんと作動していた。全て破壊された形跡はなし。
完全な密室。
金銭などが取られた様子はなく、指紋もDNAもない。証拠は一切ないと言うことになる。
どうだろう、能力者の可能性は?」
ブラインド レディは即答する。
「極めて高い。調査する必要があるわね。さっそく、事件の部屋を回って調査しましょう」
そして我々は、ホテルを出ようとすると、不意にブラインド レディが立ち止まった。
「? どうした?」
「いえ、気になる声が……」
ブラインド レディは一人で、その声がすると思われる方向へ。
そして フロントで、受付係と会話している、一人の若い男の肩を叩く。
男は振り向いた。
「あれ? お姉さん、すごい偶然だね」
私は初対面になるのだが、それはわたしが 以前、リンゴ園で危機に陥っていたさい、ブラインド レディに話しかけてきた軽い男。
イガラシだった。
「お姉さんもこのホテルの泊まってるの?」
「ええ、そうよ」
「おれも このホテルに泊まってるんだ。まあ、すぐに出るけどね。賃貸アパートが決まったから。
しばらく この街に滞在するつもりなんだ。この街の観光スポットを回ったり、色々とね。
いやー、それにしても奇遇だよなー。まさか、また会うなんて。お姉さんとは運命の糸で結ばれてたりして。
そんなわけないかー。
おっと、もう行かないと。
じゃあね、お姉さん。名残惜しいけど、また縁があったらどこかで会おうよ」
そしてイガラシは足早に去って行った。
私はブラインド レディに訊く。
「今の男が、以前 話をしていたイガラシか」
「その通り。でも、ハッキリ言って、なにか怪しい」
「私も同感だ。能力者の疑いがある事件を調査している最中に、以前 能力者の事件で関わった人物。
前の時も偶然なのだろうか?」
「お願いがあるのだけど。実は今、イガラシの肩を叩くときに、服に小型GPSを付けたの。スマホのアプリでも簡単に位置が特定できるから、調査して貰えないかしら」
「わかった。あの男に関しては引き受けよう。きみは、連続密室事件の調査を」
「気をつけて」
そして我々は、別れて調査することとなった。
ブラインド レディは事件の起きたアパートに到着した。
大家のおばさんが対応する。
「あんたがセキュリティ会社のオーナーだって?」
「そうよ」
「まあ、こんだけの事件だ。社長 自ら出るのもわかるよ。
なにせ、セキュリティがまったく作動しなかったんだから」
「セキュリティだけではなく、鍵も正常だったと聞いたわ」
「そうよ。玄関も窓も、全部 鍵はかかってた。セキュリティも正常に作動していた。
完全な密室ってやつね。テレビとかで よく見るけど、まさか 現実に起きるなんてねぇ」
「遺体発見時、あなたも一緒に居たと聞いたわ」
「ええ、警察が開けてくれと言ってきたんで、鍵を開けたんだけど。玄関の外からも、変な匂いがしてきたわ。
それで、鍵を開けて中に入ったら、酷い有り様よ。死んでいたって言うか、散らばっていたの。
この部屋の住人の遺体が、床一面にバラバラになってね」
「壁に奇妙なシンボルマークが描かれているそうね」
「ええ、大きな丸の中にZに似た文字ね。
警察の捜査が終わった後、清掃業者に依頼して、この部屋を掃除して、その時にそのマークも消したけど。
でも、今後十年は、借り手は付かないだろうねぇ。こんな事件があってこの町じゃ有名になっちまったから。
まったく、殺人犯のせいで収入が減ったよ」
「マークの書かれた壁はどこに?」
「ああ、こっちだよ」
大家のおばさんは、ブラインド レディを誘導してあげた。
ブラインド レディは壁まで来ると、それに触れて匂いを嗅ぐ。
「……この匂い」
微かにイガラシの匂いが残っていた。
被害者は全て自室にて殺害されていた。
五件の殺人事件に共通点は無く、それが連続殺人だとわかったのは、壁の血文字によるものだった。
殺人現場の壁に、被害者の血液で、大きな丸にZのような字が書かれていたのだった。
そのシンボルマークによって、同一犯であると警察は断定した。
そして もう一つ、事件の重大な共通点がある。
それは、密室であると言うこと。
五件の殺人事件の全ては、完全な密室だったのだ。
しかし、私は知っている。
実際の殺人事件において、密室事件を起こす者など誰もいない。
現実の殺人は、殺して死体を隠蔽するというのがパターンであり、密室殺人など推理小説などにしか存在しないのだ。
警察は、ミステリーマニアの犯行だと騒いでいる、というより、喜んでいる。
しかし、能力者の存在を知っている者からすると、違う可能性を考えてしまう。
だから私はブラインド レディに連絡を取った。
ホテルのスィートルームにて、私はメイドから紅茶をいただくと、ブラインド レディに資料を渡し、説明する。
「最近の被害者は、スーパーでパートをしている、いたって普通の二十代後半の女性。
遺体が発見されたのは 自室で、死後 十日経過しているとのことだ。
被害者の両親が被害者から連絡が無いので、警察に通報。警官が訪れると、腐臭がドア越しからも漂ってきたので、アパートの大家に連絡し、鍵を開けた。
室内には、腐敗が進んだバラバラ死体と、そして壁に丸にZの血文字。
このシンボルマークによって、一連の連続殺人だと判明。
扉に鍵はかかっていたし、チェーンも付いていた。窓にも鍵はかかっている。防犯装置も作動し、警察もチェックしたが、きちんと作動していた。全て破壊された形跡はなし。
完全な密室。
金銭などが取られた様子はなく、指紋もDNAもない。証拠は一切ないと言うことになる。
どうだろう、能力者の可能性は?」
ブラインド レディは即答する。
「極めて高い。調査する必要があるわね。さっそく、事件の部屋を回って調査しましょう」
そして我々は、ホテルを出ようとすると、不意にブラインド レディが立ち止まった。
「? どうした?」
「いえ、気になる声が……」
ブラインド レディは一人で、その声がすると思われる方向へ。
そして フロントで、受付係と会話している、一人の若い男の肩を叩く。
男は振り向いた。
「あれ? お姉さん、すごい偶然だね」
私は初対面になるのだが、それはわたしが 以前、リンゴ園で危機に陥っていたさい、ブラインド レディに話しかけてきた軽い男。
イガラシだった。
「お姉さんもこのホテルの泊まってるの?」
「ええ、そうよ」
「おれも このホテルに泊まってるんだ。まあ、すぐに出るけどね。賃貸アパートが決まったから。
しばらく この街に滞在するつもりなんだ。この街の観光スポットを回ったり、色々とね。
いやー、それにしても奇遇だよなー。まさか、また会うなんて。お姉さんとは運命の糸で結ばれてたりして。
そんなわけないかー。
おっと、もう行かないと。
じゃあね、お姉さん。名残惜しいけど、また縁があったらどこかで会おうよ」
そしてイガラシは足早に去って行った。
私はブラインド レディに訊く。
「今の男が、以前 話をしていたイガラシか」
「その通り。でも、ハッキリ言って、なにか怪しい」
「私も同感だ。能力者の疑いがある事件を調査している最中に、以前 能力者の事件で関わった人物。
前の時も偶然なのだろうか?」
「お願いがあるのだけど。実は今、イガラシの肩を叩くときに、服に小型GPSを付けたの。スマホのアプリでも簡単に位置が特定できるから、調査して貰えないかしら」
「わかった。あの男に関しては引き受けよう。きみは、連続密室事件の調査を」
「気をつけて」
そして我々は、別れて調査することとなった。
ブラインド レディは事件の起きたアパートに到着した。
大家のおばさんが対応する。
「あんたがセキュリティ会社のオーナーだって?」
「そうよ」
「まあ、こんだけの事件だ。社長 自ら出るのもわかるよ。
なにせ、セキュリティがまったく作動しなかったんだから」
「セキュリティだけではなく、鍵も正常だったと聞いたわ」
「そうよ。玄関も窓も、全部 鍵はかかってた。セキュリティも正常に作動していた。
完全な密室ってやつね。テレビとかで よく見るけど、まさか 現実に起きるなんてねぇ」
「遺体発見時、あなたも一緒に居たと聞いたわ」
「ええ、警察が開けてくれと言ってきたんで、鍵を開けたんだけど。玄関の外からも、変な匂いがしてきたわ。
それで、鍵を開けて中に入ったら、酷い有り様よ。死んでいたって言うか、散らばっていたの。
この部屋の住人の遺体が、床一面にバラバラになってね」
「壁に奇妙なシンボルマークが描かれているそうね」
「ええ、大きな丸の中にZに似た文字ね。
警察の捜査が終わった後、清掃業者に依頼して、この部屋を掃除して、その時にそのマークも消したけど。
でも、今後十年は、借り手は付かないだろうねぇ。こんな事件があってこの町じゃ有名になっちまったから。
まったく、殺人犯のせいで収入が減ったよ」
「マークの書かれた壁はどこに?」
「ああ、こっちだよ」
大家のおばさんは、ブラインド レディを誘導してあげた。
ブラインド レディは壁まで来ると、それに触れて匂いを嗅ぐ。
「……この匂い」
微かにイガラシの匂いが残っていた。
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