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150・鍋焼きうどん
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「ご、ごめんね、なんか迷惑かけちゃって」
布団で半分ほど顔を隠しながら、宮が申し訳なさそうに言う。
「まさか、あんなとこ見られちゃうなんて思わなかったから。お、重かったでしょ? 抱っことかさせちゃって」
「いいから いいから、そんなこと気にすんな」
あの後、とりあえず勢いで宮を抱き上げ、本人の許可を取って宮の部屋へ運び、ベッドへ寝かせたのだった。
「そんなことより、大丈夫なのか。
調子、だいぶ悪そうに見えるぞ。もしかして、お見舞いの時からずっと痛んでいたのか?」
「あ、や、それは……」
宮は口ごもったが、すぐに観念したように、
「うん、少しだけ。ほんとはまだ動かすとちょっと痛い、かな」
微妙に気まずそうな声で呟いたのだった。
宮のことだから、おそらく俺達に心配かけさせないようにと黙っていたんだろう。
そういう周りに迷惑をかけないようにするのは宮らしいんだけど……
「あ、でも、もう大丈夫なんだよ。確かに痛いことは痛いんだけど、身動きできない程じゃないし、それにこれでも朝に比べれば、だいぶ良くなった感じなの。
だからそんなに心配しなくても……」
「いや、まったくもって大丈夫そうには見えない」
「あれは、その……」
その時、グー……、と宮のお腹から音が鳴った。
「あ……」
宮の顔がみるみる真っ赤になる。
「もしかして、何も食べてないのか?」
訊いてみると、宮はさらに顔を赤くして、
「う、うん。朝はあんまり食欲なくて、お昼はずっと寝てたから……」
小声でそう言う。
ふむ、だったら、俺がやることは決まっている。
「鍋焼きうどんとかなら食べられるか」
「え?」
「うどん、別に嫌いじゃないよな。良ければパパッと造るからそれでも食わないか」
さっきほうじ茶のおかわりを入れたときに、台所にうどんのパックがあるのを偶然 見かけている。
なので、そう提案してみたところ、宮はブンブンと顔の前で両手を振って、
「そ、そんなの悪いって! 平気だよ。ご飯くらい自分でなんとか……」
「その足じゃ、色々大変だろ。実際今だって痛むんだし」
「それは、そうなんだけど……」
宮はしばらく悩んでいたようだったが、やがて布団から顔を半分隠しながら遠慮がちに、
「だったら、お願いしてもいいかな。やっぱりお腹空いちゃって」
「ああ、任せてくれ」
俺は胸を叩いてうなずき返す。
料理は冷蔵庫の中に一通り揃っていたため、すぐに鍋焼きうどんは出来た。
普通の素うどんに椎茸とか野菜を混ぜただけの簡単なカツオだし風味のうどん。
「出来たぞ、宮」
完成した鍋に一度 蓋をして、取り皿とレンゲ、付け合わせのきんぴらゴボウとともにトレイに乗せて、宮の前まで運んでいく。
「うわぁ、おいしそー! これ、きみが作ってくれたんだよね」
「ああ、あり合わせなんで少し適当な部分もあるけど……」
「えー、全然そんなふうに見えないよ。うちの冷蔵庫の中身からここまで出来るんだー。すごーい。きみって料理が美味いんだねー」
「そんな大げさなもんじゃないって」
ただのうどんだしな。
作り方さえ知っていれば誰にでも出来る代物だ。
それより、せっかくだから温かいうちに食べてくれ。ほら」
食べやすい量にまとめて取り分けて宮に差し出す。
「うん、ありがとう」
宮は手に取ると、うどんを二 三本ほどちゅるるとすすった。
「すっごくおいしい」
「お、ホント?」
「うん、カツオブシの旨みにシイタケのほのかな出汁とかマッチして、とっても良い味だよ」
満面の笑みでそう言ってくれる。
その表情は社交辞令とかでなく、本当においしそうに食べてくれていて、そんなふうに喜んで貰えば、作った甲斐があったという物だ。
「なら、遠慮せずにどんどん食べてくれ。まだたくさんあるからな」
「うんっ、遠慮せずにもらうね」
うどんを食べ終わり。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
「でもまさか、きみにうどんを食べさせて貰うなんて思わなかったなー。
って言うか、家族以外のご飯を食べるのって、外食くらいだから、初めてかも。
小さい頃はお父さんとかがやってくれることはあったけど」
「俺は普段から玲に作ってやってるからな」
「なんか、いいね、こう言うのって。
ご飯と時に一人じゃなくて、誰かが一緒に居るのって。あたし、いつも一人だから」
「そうなのか?」
一人って、家族と一緒に食べたりしないんだろうか?
というか、宮は常に誰かとわいわい楽しく笑いながら過ごしているイメージが合った。
「うん。お父さんは大体仕事で帰ってくるのが遅いから、夕ご飯は一人で済ませることがほとんどかな。休日とかもあんまり時間が合わないし。
だからこっちに来てからは、こうやって誰かとご飯を食べるのは久し振りなんだけど。やっぱり一人で食べるより、ずっとおいしいね。へへへ……」
本当に嬉しそうに笑う。
「宮……」
「あ、なんかちょっと湿っぽくなっちゃったかな。
でも、ホントありがとね。ご飯お腹いっぱい食べて、だいぶ元気が出た感じだよ」
「気に入ってくれてなによりだ」
そこまで満足して貰えれば、冥利に尽きるってもんんだ。
「んじゃ、ささっと片付けてしまうか。スポンジとか、流し台にある奴を適当に使っても大丈夫か?」
「あ、いいよ。その辺に置いておいてくれれば。それくらい、あとであたしが加太づけるから」
宮が手をブンブンと振りながら言うが、
「いや、こんなのすぐだから、やっとくって」
「え、ほんといいって。ご飯作って貰って、さらに後片付けまでしてもらうなんて、そんなの過保護だよ。至れり尽くせりすぎだよ」
「でもな……」
捻挫した右足じゃ、流し台に立つのも難儀だろう。
それに俺自身、普段の常習的な家事ルーティンのせいで、目の前に未洗浄の食器があると、どうにも我慢ならんと言うかなんというか……
玲のせいで主夫の道が染みついてしまった。
宮は、
「とにかく、あたしが片付けるから、きみはゆっくりしててくれればいいって」
「いやぁ、やっぱり俺がやった方が」
そう言って同時に鍋に手を伸ばそうとして、
「お」
「あ」
鍋の取っ手の上で、ぴたっと手が重なる感じで、触れ合った。
手の先から伝わるのはほんのり温かくて柔らかい感触。
それはダイレクトな接触。
「うわ、ごめん」
熱湯に手を突っ込んだチンパンジーの如く、俺は慌てて宮から手を離す。
「今のは、何というか、たまたまであって、けしてわざとじゃ……」
焦りつつも説明しようと試みるものの、考えてみれば、今までのパターンからいって、このフレンドリーな宮は、そこまで気にとめていないと思った。
こういったことにはあっさりしているし、いつもの軽いノリで、
「あはは、何そんなに慌ててるの? あたし別に気にしてないって」
みたいな反応が返ってくる。
と、思ったんだけど……
「あ、え、えっと……」
俺の言葉に宮はなぜか動揺したようにふるふると首を振って、
「う、うん、わかってるよ。たまたま、なんだよね。たまたまぶつかっただけで。べ、別に気にしてないからさ」
微妙に顔を赤くしながらそう言った。
いつものような、あっけらかんとしたノリはなかった。
「そ、そうか……」
いつもと違うフレンドリー宮の雰囲気に戸惑いつつも、俺はそう答える。
「……」
「……」
「「…………」」
そしてそのままなぜか沈黙。
二人して空になった鍋を挟んだ状態で黙り込んでしまう。
な、なんだ? この空気は?
今までにない雰囲気で、どこか据わりの悪い感じ。
強いて言えばあの温泉での気まずさに近い感じというか。
しかし現状は温泉で二人きりとかではなく、状況だけ見れば部屋の中で少し手が接触しただけなんだけど、なぜか俺達二人はマングースとお見合いしているウサギみたいになっている。
「……」
「……」
そのままどれくらい経っただろう。
「あ、あのさ」
「ん、な、なんだ?」
「片付けなんだけどさ、やっぱり、きみに任せてもいいかな」
「え?」
「その、このお鍋の……」
気付けば耳まで赤くなっていた椎名が鍋の取っ手に目を落としながら、モジモジといった。
「あ、おう! どんとこい。任せとけ」
「うん、ごめんね。迷惑かけて」
「いや、じゃあ、洗ってくるから」
そう言って俺は鍋を掴むと、その場の妙な空気を振り払うかのように、早足で部屋を出て台所へ向かったのだった。
布団で半分ほど顔を隠しながら、宮が申し訳なさそうに言う。
「まさか、あんなとこ見られちゃうなんて思わなかったから。お、重かったでしょ? 抱っことかさせちゃって」
「いいから いいから、そんなこと気にすんな」
あの後、とりあえず勢いで宮を抱き上げ、本人の許可を取って宮の部屋へ運び、ベッドへ寝かせたのだった。
「そんなことより、大丈夫なのか。
調子、だいぶ悪そうに見えるぞ。もしかして、お見舞いの時からずっと痛んでいたのか?」
「あ、や、それは……」
宮は口ごもったが、すぐに観念したように、
「うん、少しだけ。ほんとはまだ動かすとちょっと痛い、かな」
微妙に気まずそうな声で呟いたのだった。
宮のことだから、おそらく俺達に心配かけさせないようにと黙っていたんだろう。
そういう周りに迷惑をかけないようにするのは宮らしいんだけど……
「あ、でも、もう大丈夫なんだよ。確かに痛いことは痛いんだけど、身動きできない程じゃないし、それにこれでも朝に比べれば、だいぶ良くなった感じなの。
だからそんなに心配しなくても……」
「いや、まったくもって大丈夫そうには見えない」
「あれは、その……」
その時、グー……、と宮のお腹から音が鳴った。
「あ……」
宮の顔がみるみる真っ赤になる。
「もしかして、何も食べてないのか?」
訊いてみると、宮はさらに顔を赤くして、
「う、うん。朝はあんまり食欲なくて、お昼はずっと寝てたから……」
小声でそう言う。
ふむ、だったら、俺がやることは決まっている。
「鍋焼きうどんとかなら食べられるか」
「え?」
「うどん、別に嫌いじゃないよな。良ければパパッと造るからそれでも食わないか」
さっきほうじ茶のおかわりを入れたときに、台所にうどんのパックがあるのを偶然 見かけている。
なので、そう提案してみたところ、宮はブンブンと顔の前で両手を振って、
「そ、そんなの悪いって! 平気だよ。ご飯くらい自分でなんとか……」
「その足じゃ、色々大変だろ。実際今だって痛むんだし」
「それは、そうなんだけど……」
宮はしばらく悩んでいたようだったが、やがて布団から顔を半分隠しながら遠慮がちに、
「だったら、お願いしてもいいかな。やっぱりお腹空いちゃって」
「ああ、任せてくれ」
俺は胸を叩いてうなずき返す。
料理は冷蔵庫の中に一通り揃っていたため、すぐに鍋焼きうどんは出来た。
普通の素うどんに椎茸とか野菜を混ぜただけの簡単なカツオだし風味のうどん。
「出来たぞ、宮」
完成した鍋に一度 蓋をして、取り皿とレンゲ、付け合わせのきんぴらゴボウとともにトレイに乗せて、宮の前まで運んでいく。
「うわぁ、おいしそー! これ、きみが作ってくれたんだよね」
「ああ、あり合わせなんで少し適当な部分もあるけど……」
「えー、全然そんなふうに見えないよ。うちの冷蔵庫の中身からここまで出来るんだー。すごーい。きみって料理が美味いんだねー」
「そんな大げさなもんじゃないって」
ただのうどんだしな。
作り方さえ知っていれば誰にでも出来る代物だ。
それより、せっかくだから温かいうちに食べてくれ。ほら」
食べやすい量にまとめて取り分けて宮に差し出す。
「うん、ありがとう」
宮は手に取ると、うどんを二 三本ほどちゅるるとすすった。
「すっごくおいしい」
「お、ホント?」
「うん、カツオブシの旨みにシイタケのほのかな出汁とかマッチして、とっても良い味だよ」
満面の笑みでそう言ってくれる。
その表情は社交辞令とかでなく、本当においしそうに食べてくれていて、そんなふうに喜んで貰えば、作った甲斐があったという物だ。
「なら、遠慮せずにどんどん食べてくれ。まだたくさんあるからな」
「うんっ、遠慮せずにもらうね」
うどんを食べ終わり。
「ごちそうさまでした」
「おそまつさまでした」
「でもまさか、きみにうどんを食べさせて貰うなんて思わなかったなー。
って言うか、家族以外のご飯を食べるのって、外食くらいだから、初めてかも。
小さい頃はお父さんとかがやってくれることはあったけど」
「俺は普段から玲に作ってやってるからな」
「なんか、いいね、こう言うのって。
ご飯と時に一人じゃなくて、誰かが一緒に居るのって。あたし、いつも一人だから」
「そうなのか?」
一人って、家族と一緒に食べたりしないんだろうか?
というか、宮は常に誰かとわいわい楽しく笑いながら過ごしているイメージが合った。
「うん。お父さんは大体仕事で帰ってくるのが遅いから、夕ご飯は一人で済ませることがほとんどかな。休日とかもあんまり時間が合わないし。
だからこっちに来てからは、こうやって誰かとご飯を食べるのは久し振りなんだけど。やっぱり一人で食べるより、ずっとおいしいね。へへへ……」
本当に嬉しそうに笑う。
「宮……」
「あ、なんかちょっと湿っぽくなっちゃったかな。
でも、ホントありがとね。ご飯お腹いっぱい食べて、だいぶ元気が出た感じだよ」
「気に入ってくれてなによりだ」
そこまで満足して貰えれば、冥利に尽きるってもんんだ。
「んじゃ、ささっと片付けてしまうか。スポンジとか、流し台にある奴を適当に使っても大丈夫か?」
「あ、いいよ。その辺に置いておいてくれれば。それくらい、あとであたしが加太づけるから」
宮が手をブンブンと振りながら言うが、
「いや、こんなのすぐだから、やっとくって」
「え、ほんといいって。ご飯作って貰って、さらに後片付けまでしてもらうなんて、そんなの過保護だよ。至れり尽くせりすぎだよ」
「でもな……」
捻挫した右足じゃ、流し台に立つのも難儀だろう。
それに俺自身、普段の常習的な家事ルーティンのせいで、目の前に未洗浄の食器があると、どうにも我慢ならんと言うかなんというか……
玲のせいで主夫の道が染みついてしまった。
宮は、
「とにかく、あたしが片付けるから、きみはゆっくりしててくれればいいって」
「いやぁ、やっぱり俺がやった方が」
そう言って同時に鍋に手を伸ばそうとして、
「お」
「あ」
鍋の取っ手の上で、ぴたっと手が重なる感じで、触れ合った。
手の先から伝わるのはほんのり温かくて柔らかい感触。
それはダイレクトな接触。
「うわ、ごめん」
熱湯に手を突っ込んだチンパンジーの如く、俺は慌てて宮から手を離す。
「今のは、何というか、たまたまであって、けしてわざとじゃ……」
焦りつつも説明しようと試みるものの、考えてみれば、今までのパターンからいって、このフレンドリーな宮は、そこまで気にとめていないと思った。
こういったことにはあっさりしているし、いつもの軽いノリで、
「あはは、何そんなに慌ててるの? あたし別に気にしてないって」
みたいな反応が返ってくる。
と、思ったんだけど……
「あ、え、えっと……」
俺の言葉に宮はなぜか動揺したようにふるふると首を振って、
「う、うん、わかってるよ。たまたま、なんだよね。たまたまぶつかっただけで。べ、別に気にしてないからさ」
微妙に顔を赤くしながらそう言った。
いつものような、あっけらかんとしたノリはなかった。
「そ、そうか……」
いつもと違うフレンドリー宮の雰囲気に戸惑いつつも、俺はそう答える。
「……」
「……」
「「…………」」
そしてそのままなぜか沈黙。
二人して空になった鍋を挟んだ状態で黙り込んでしまう。
な、なんだ? この空気は?
今までにない雰囲気で、どこか据わりの悪い感じ。
強いて言えばあの温泉での気まずさに近い感じというか。
しかし現状は温泉で二人きりとかではなく、状況だけ見れば部屋の中で少し手が接触しただけなんだけど、なぜか俺達二人はマングースとお見合いしているウサギみたいになっている。
「……」
「……」
そのままどれくらい経っただろう。
「あ、あのさ」
「ん、な、なんだ?」
「片付けなんだけどさ、やっぱり、きみに任せてもいいかな」
「え?」
「その、このお鍋の……」
気付けば耳まで赤くなっていた椎名が鍋の取っ手に目を落としながら、モジモジといった。
「あ、おう! どんとこい。任せとけ」
「うん、ごめんね。迷惑かけて」
「いや、じゃあ、洗ってくるから」
そう言って俺は鍋を掴むと、その場の妙な空気を振り払うかのように、早足で部屋を出て台所へ向かったのだった。
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