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148・まりもっこり
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「というわけで、本日 球竜 宮さんはお休みと言うことになりました」
教団で上永先生が二日酔いでクリオネみたいな顔色で教室に言う。
「なんでも、昨日の帰りに段差で足を踏みはずして捻挫しちゃったみたいで、全治二週間だそう。
踏み外したのが人生でなくて良かったんだけど、けっこう大変みたい。みんなもケガとかには気をつけてね。この季節は路面が凍ったりして滑りやすいし。
……ああっ、っていうがわたしも休みたい。ワインが……昨日の赤ワインがすぐ喉元まで……っうぷ」
最後の戯れ言は誰も訊いちゃいなかったが、前半の宮の欠席報告には、クラス全体がざわめいた。
「球竜さん、どうしたんだろう」
「球竜ちゃんがケガなんて、珍しいよな?」
「全治 二週間だなんて、大丈夫なのか?」
みんな宮のことを心配している。
そして二日酔いのナチュラルセクハラ教師、しくしく泣いている。
「ううぅ……誰も先生のことは心配してくれないのね。これもわたしが悪いんじゃなくてボルドーとカルベネソーヴィニョンとボジョレーが悪いのに……。
いいわよ いいわよ。こうなったら、職員室の談話室に置いてある、まりもっこり人形阿寒湖特産品にでも慰めて貰うから……しくしく……」
いじけながらホームルームを終えると、蘇生一日目の新米ゾンビのようにふらふらと教室を出て行った。
上永先生が二日酔いでぐだぐだなのは 珍しいことでも何でもないし、昨日 玲とボウリングが出来るくらいのワイン瓶を開けていた酔っ払いに、ヘタな同情など無用である。
「球竜さん、大丈夫でしょうか?」
俺の所にきたセルニアが、心配そうな声で目を向けてくる。
「球竜さんがケガなんて、今までありませんでしたわ」
同じように集まってきた、眞鳥さんと、三バカトリオも、
「本当に、あの運動神経のカタマリみたいな球竜さんが段差で足を踏みはずしたなんて」
と眞鳥さんが言うと、イガラシが、
「世も末だ。なにかよっぽど真剣に考えごとしていたとかか?
はっ! もしや俺に恋煩い!?」
高畑くんがツッコミを入れる。
「それはありえないでござるよ」
そして海翔が、
「でも心配だね。大丈夫かな、球竜さん」
そう話しながら顔を合わせる。
というか、全治二週間だなんてそこまで大変なことになっているとは、俺もにも初耳だった。
昨日の公園で、宮は確かに段差で足を踏みはずして転んだんだが、その後は特に変わった様子はなかった。
すぐに何事もなかったかのように立ち上がり、
「あいたたた、やっちゃった。あははは……」
と苦笑いをしていた。
痛がるだとか足を引きずるだとか、そう言う素振りはまったく見せずにそのまま帰って行ったため、それ以上はあまり印象に残らなかった。
だから、てっきり大したことがないと思い込んでしまった。
それが全治二週間で欠席とは。
あの時は俺に逆に気を使って隠していたのか、それとも後になって酷くなってきたのか。
昨日の自分の鈍さ加減に呆れるばかりだ。
眞鳥さんが、
「というわけで、誰がお見舞いに行きますか、決めましょう」
いつの間にか、みんなでお見舞いに行く話がまとまりつつあった。
「大勢で行くと逆に迷惑になるので。ここは委員長としてわたしと、他に誰にしましょう」
高畑くんが手を上げて、
「男は遠慮しておくでござる。女子の部屋に男が大勢来たら、よからぬ噂の元でござるよ」
三バカトリオは辞退。
「でも、一人くらいは来て欲しいですね。じゃあ、あなたにお願いします」
と、俺を指名してきた。
「まあ、妥当だな」
と五十嵐も同意。
というわけで、俺も決定。
そして俺は、
「じゃあ、セルニアも来て貰っていいか」
「もちろんですわ」
セルニアが承諾すると、眞鳥さんのメガネがキラリと輝いた。
「そうですね。確かに抜け駆けさせるわけにはいきません。ここは平等にチャンスを与えないと、見届け人として」
と、よくわからない納得の仕方をしていた。
こうして放課後、俺とセルニア、眞鳥さんで、球竜宮のお見舞いに行くことが決定した。
なお、職員室にて、この時、騒動が起きていたことを後になって知る。
談話室にて、まりもっこり人形の前で、上永先生が真っ赤な血だまりのような液体の中で倒れているのを、様子を見に来た教師が発見した。
まるで殺人事件の如き惨状。
発見された時、周辺状況から、殺人事件、まりもっこり人形の呪い、とか大騒ぎになったんだけど、すぐに駆け付けた保険医によると、上永先生は赤ワインをリバースしてその場で倒れていただけだと判明。
騒ぎは一瞬で収束した。
人騒がせな上永先生は、保健室に搬送され、点滴を受けた後、職員室に呼び出され、学生のように学園主任にきついお叱りを受けたとかなんとか。
あの人、なにやってんだ。
「えーと、先生から教わった住所では、この辺りなんですけれど」
眞鳥さんが、スマホをチェックしながら、周囲を見渡す。
「うーん、このあたり、似たようなアパートばかりで、見分けが付きませんね」
セルニアが、
「あちらではありませんか。マップアプリに表示されているコンビニがあれですから、こうなっているのでは」
「ああ、なるほど。では道順は合っていますね」
放課後。
俺達は朝に話したとおり、見舞い品を持って宮の部屋へ向かっていた。
メンバーは、俺と眞鳥さん、そしてセルニアの三人。
三バカトリオを除く、温泉旅行のメンバー。
クラスでは他にもお見舞いに行きたがっていた奴はいたが、それは眞鳥さんが止めた。
あまり大人数で行くと帰って迷惑になるからという理由で。
だから俺達が代表というような形になる。
そして宮のアパートは、街の中心部から少し離れた、閑静な感じの住宅街にあった。
「あ、ありました。ここですここです」
眞鳥さんが指差していたのは、三階建てのアパート。
そこの角部屋、301号室で、宮は単身赴任中の父親と一緒に二人暮らしをしているらしい。
俺達は階段で三階へと上がっていく。
共用廊下を列になって歩いていき、球竜と書かれた表札の前へ。
呼び鈴をピンポーンと鳴らすと、少しして中から反応があった。
「はーい、どちらさまですか?」
インターホーンから返ってきたのは、宮の声だった。
「あ、球竜さん。私たちです。眞鳥です。あと吉祥院さんたちも」
「わかった。ちょっと待ってて、ドア開けるから」
そしてドアの鍵が開き、
「あー、みんなどうしたの? もしかして上永先生に、なにか届け物でも頼まれたの?」
「いや、そうじゃなくて、お見舞いですよ、お見舞い。球竜さんがケガするなんて珍しいですし」
そしてセルニアが、
「お怪我の具合はどうでしょうか?」
宮は少し目をパチパチさせて、
「そうなんだ……みんな、ありがとうね」
ちょっとだけ感極まったように、目の下をこすりながら、あははと笑った。
照れたような喜んでいるような笑顔だった。
「せっかく来て貰ったのに、こんなところで立ち話なんだよね。とりあえず上がってよ。ちょっと散らかってるけど」
「それじゃあ、上がらせて貰うね」
「失礼します」
「おじゃまします」
それぞれ挨拶の言葉を口にして、球竜宅の玄関をくぐったのだった。
教団で上永先生が二日酔いでクリオネみたいな顔色で教室に言う。
「なんでも、昨日の帰りに段差で足を踏みはずして捻挫しちゃったみたいで、全治二週間だそう。
踏み外したのが人生でなくて良かったんだけど、けっこう大変みたい。みんなもケガとかには気をつけてね。この季節は路面が凍ったりして滑りやすいし。
……ああっ、っていうがわたしも休みたい。ワインが……昨日の赤ワインがすぐ喉元まで……っうぷ」
最後の戯れ言は誰も訊いちゃいなかったが、前半の宮の欠席報告には、クラス全体がざわめいた。
「球竜さん、どうしたんだろう」
「球竜ちゃんがケガなんて、珍しいよな?」
「全治 二週間だなんて、大丈夫なのか?」
みんな宮のことを心配している。
そして二日酔いのナチュラルセクハラ教師、しくしく泣いている。
「ううぅ……誰も先生のことは心配してくれないのね。これもわたしが悪いんじゃなくてボルドーとカルベネソーヴィニョンとボジョレーが悪いのに……。
いいわよ いいわよ。こうなったら、職員室の談話室に置いてある、まりもっこり人形阿寒湖特産品にでも慰めて貰うから……しくしく……」
いじけながらホームルームを終えると、蘇生一日目の新米ゾンビのようにふらふらと教室を出て行った。
上永先生が二日酔いでぐだぐだなのは 珍しいことでも何でもないし、昨日 玲とボウリングが出来るくらいのワイン瓶を開けていた酔っ払いに、ヘタな同情など無用である。
「球竜さん、大丈夫でしょうか?」
俺の所にきたセルニアが、心配そうな声で目を向けてくる。
「球竜さんがケガなんて、今までありませんでしたわ」
同じように集まってきた、眞鳥さんと、三バカトリオも、
「本当に、あの運動神経のカタマリみたいな球竜さんが段差で足を踏みはずしたなんて」
と眞鳥さんが言うと、イガラシが、
「世も末だ。なにかよっぽど真剣に考えごとしていたとかか?
はっ! もしや俺に恋煩い!?」
高畑くんがツッコミを入れる。
「それはありえないでござるよ」
そして海翔が、
「でも心配だね。大丈夫かな、球竜さん」
そう話しながら顔を合わせる。
というか、全治二週間だなんてそこまで大変なことになっているとは、俺もにも初耳だった。
昨日の公園で、宮は確かに段差で足を踏みはずして転んだんだが、その後は特に変わった様子はなかった。
すぐに何事もなかったかのように立ち上がり、
「あいたたた、やっちゃった。あははは……」
と苦笑いをしていた。
痛がるだとか足を引きずるだとか、そう言う素振りはまったく見せずにそのまま帰って行ったため、それ以上はあまり印象に残らなかった。
だから、てっきり大したことがないと思い込んでしまった。
それが全治二週間で欠席とは。
あの時は俺に逆に気を使って隠していたのか、それとも後になって酷くなってきたのか。
昨日の自分の鈍さ加減に呆れるばかりだ。
眞鳥さんが、
「というわけで、誰がお見舞いに行きますか、決めましょう」
いつの間にか、みんなでお見舞いに行く話がまとまりつつあった。
「大勢で行くと逆に迷惑になるので。ここは委員長としてわたしと、他に誰にしましょう」
高畑くんが手を上げて、
「男は遠慮しておくでござる。女子の部屋に男が大勢来たら、よからぬ噂の元でござるよ」
三バカトリオは辞退。
「でも、一人くらいは来て欲しいですね。じゃあ、あなたにお願いします」
と、俺を指名してきた。
「まあ、妥当だな」
と五十嵐も同意。
というわけで、俺も決定。
そして俺は、
「じゃあ、セルニアも来て貰っていいか」
「もちろんですわ」
セルニアが承諾すると、眞鳥さんのメガネがキラリと輝いた。
「そうですね。確かに抜け駆けさせるわけにはいきません。ここは平等にチャンスを与えないと、見届け人として」
と、よくわからない納得の仕方をしていた。
こうして放課後、俺とセルニア、眞鳥さんで、球竜宮のお見舞いに行くことが決定した。
なお、職員室にて、この時、騒動が起きていたことを後になって知る。
談話室にて、まりもっこり人形の前で、上永先生が真っ赤な血だまりのような液体の中で倒れているのを、様子を見に来た教師が発見した。
まるで殺人事件の如き惨状。
発見された時、周辺状況から、殺人事件、まりもっこり人形の呪い、とか大騒ぎになったんだけど、すぐに駆け付けた保険医によると、上永先生は赤ワインをリバースしてその場で倒れていただけだと判明。
騒ぎは一瞬で収束した。
人騒がせな上永先生は、保健室に搬送され、点滴を受けた後、職員室に呼び出され、学生のように学園主任にきついお叱りを受けたとかなんとか。
あの人、なにやってんだ。
「えーと、先生から教わった住所では、この辺りなんですけれど」
眞鳥さんが、スマホをチェックしながら、周囲を見渡す。
「うーん、このあたり、似たようなアパートばかりで、見分けが付きませんね」
セルニアが、
「あちらではありませんか。マップアプリに表示されているコンビニがあれですから、こうなっているのでは」
「ああ、なるほど。では道順は合っていますね」
放課後。
俺達は朝に話したとおり、見舞い品を持って宮の部屋へ向かっていた。
メンバーは、俺と眞鳥さん、そしてセルニアの三人。
三バカトリオを除く、温泉旅行のメンバー。
クラスでは他にもお見舞いに行きたがっていた奴はいたが、それは眞鳥さんが止めた。
あまり大人数で行くと帰って迷惑になるからという理由で。
だから俺達が代表というような形になる。
そして宮のアパートは、街の中心部から少し離れた、閑静な感じの住宅街にあった。
「あ、ありました。ここですここです」
眞鳥さんが指差していたのは、三階建てのアパート。
そこの角部屋、301号室で、宮は単身赴任中の父親と一緒に二人暮らしをしているらしい。
俺達は階段で三階へと上がっていく。
共用廊下を列になって歩いていき、球竜と書かれた表札の前へ。
呼び鈴をピンポーンと鳴らすと、少しして中から反応があった。
「はーい、どちらさまですか?」
インターホーンから返ってきたのは、宮の声だった。
「あ、球竜さん。私たちです。眞鳥です。あと吉祥院さんたちも」
「わかった。ちょっと待ってて、ドア開けるから」
そしてドアの鍵が開き、
「あー、みんなどうしたの? もしかして上永先生に、なにか届け物でも頼まれたの?」
「いや、そうじゃなくて、お見舞いですよ、お見舞い。球竜さんがケガするなんて珍しいですし」
そしてセルニアが、
「お怪我の具合はどうでしょうか?」
宮は少し目をパチパチさせて、
「そうなんだ……みんな、ありがとうね」
ちょっとだけ感極まったように、目の下をこすりながら、あははと笑った。
照れたような喜んでいるような笑顔だった。
「せっかく来て貰ったのに、こんなところで立ち話なんだよね。とりあえず上がってよ。ちょっと散らかってるけど」
「それじゃあ、上がらせて貰うね」
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