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125・ミカン
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翌朝。
俺達はチュンチュンと雀の鳴き声で目を覚ました。
「おはよう、セルニア」
「おはようございます」
外に出ると、眩しい朝日が辺りを照らし、真っ白な雪景色を輝かせていた。
俺は不自然なまでに爽やかな笑顔でセルニアに言う。
「気持ちの良い冬晴れだな」
セルニアも不自然なまでに爽やかな笑顔で答えた。
「ええ、本当に気持ちが良いですわ」
「本当に素晴らしい雪景色だ」
「まったくもって、雪の芸術ですわね」
「神は本当に偉大だ。このような芸術品を作り出すとは」
「きっと創造主とは芸術家ですのね」
俺達はハッキリ言うと現実逃避をしていた。
しかし いつまでも逃げているわけにはいかない。
覚悟を決めなくては。
「じゃあ、目の前の旅館に帰ろうか」
「そうですわね。朝の雪景色を堪能しては居られません」
「みんも心配しているだろうしな」
そうなのだ。
俺達が緊急避難用の山小屋だと思っていた物は、旅館の裏庭にある倉庫だった。
そして目の前には、旅館の裏手の入り口があった。
つまり、俺達はとっくに自力での下山を果たしていたにもかかわらず、旅館を目の前にして遭難していたのだった。
「いやぁー、ホント、みんなになんて説明しようかなぁー」
「あのぉー、それは あなたに お任せしてもよろしいでしょうか」
「うん、セルニアが逃げたくなる気持ちは分かるけど、さすがに俺一人じゃ無理だと思う」
「そうですわよね。いくらあなたでも無理ですわよね」
「ハハハ……」
「ホホホ……」
そして旅館に入ると、湖瑠璃ちゃんがいつも通りの微笑みで。
「ああ、やっと帰ってきましたね。お帰りなさいませ」
海翔もまったくいつも通りで、
「あ、二人とも戻ってきたの。だったら急いで着替えて荷物をまとめて。もうすぐチェックアウトだから」
そして猪鹿蝶 晶さんが、
「おかえりなさいやせ。こちらに温かいお茶がありやす。目覚めの一杯にどうぞ」
伊藤 春樹さんが、
「残念ながら、朝食には間に合いやせんでした。帰りの新幹線の中でということになりやす」
みんな軽い日常会話をしていた。
「……えっと?」
「あのー」
俺はセルニアと言葉を失う。
仮にも一晩 帰らなかったんだし、山に向かうときは みんな あんなに心配していた。
もっと安否を気遣うとか、ともすれば 叱責とか来るんじゃないかと思っていたんだが。
困惑する俺達に、湖瑠璃ちゃんが、
「それで、二人っきりの夜はどうでしたか? 雪山で道に迷って山小屋に入ってから、ずいぶん盛り上がっていたみたいですが、その後のことは、聞かないでおきました。
ふふふ。お兄さまは お姉さまを本当に大切にしてくださっていて何よりです」
「えぇっ?!」
「ふえぇ?!」
湖瑠璃ちゃんは、両手を頬に当て、身もだえしながら、
「あれだけ盛り上がったのですから、やはりその後キスくらいはしましたよね。それともそれ以上のこととか。いやーん、素敵ですー」
「いや、なんで知ってるの?」
晶さんが答える。
「アタシらがお伝えしやした」
「え?」
「お二人の動向は、途中から把握しておりやした。道に迷っておられたことも、吹雪の中で身を寄せ合いながら、歩いておられたことも、自力で下山され、裏庭にある物置小屋を、緊急避難小屋と誤認されたことも、大まかながら お伝えしやした次第で」
「ちょっと待ってください。それって、どういうことですか?」
「若の防寒具には、万が一のことを考えて、保険としてGPSを付けてありやした。
定時連絡に戻ってこられなかったので、それを手がかりに探しに行ったところ、麗華お嬢さまと一緒に、斜面下の道におられるところを発見しやした。
そのまま 少し離れた位置で 見守らせていただいたという次第でやす」
伊藤 春樹さんが続けて、
「なにか危険な事態になったら、いつでも助ける準備はできていやしたが、しかし姉上の玲さまがおっしゃられたとおり、これは若にとって成長の大きなチャンス。
ここは若を信じて お任せしてみやした」
考えてみれば そうだよね。
この二人がなんの準備もなく、アマチュアを夜の雪山に連れて行くはずがないよね。
GPSがあれば、猛吹雪の雪山でも、俺達の位置を補足できる。
晶さんが、
「しかし、安心してくださいやせ。物置小屋に入ってからは、しばらく様子見にとどめ、その後のことは一切関知しておりやせんので」
「そ、そうですか」
春樹さんが、
「ただ、一つだけ。
若が お嬢さまを どれほど大切に思ってくださっているか。
吉祥院家執事メイド一同を代表し、感謝いたしやす」
あの、激しいまでにクサいセリフを完全に聞かれている。
俺は羞恥心で顔が真っ赤になった。
隣では、セルニアも顔が真っ赤だった。
こうして、俺達は旅館を後にした。
新幹線で駅弁を購入すると、遅めの朝食を食べる。
旅館の朝ご飯は食べられなかったが、駅弁も美味しい。
そして、新幹線の規則的な揺れが、マッサージのように疲れた体を癒やしていた。
海翔が名残惜しそうに言う。
「あー、これで温泉旅行も終わりかー。長いようで短かったねー」
五十嵐が、
「まだ全然 遊びたりねぇ。結局 温泉美人はナンパできなかったし」
高畑くんも、
「温泉に来たチビッ娘と仲良くするということも、叶わなかったでござる」
セルニアも三バカトリオと同意見のようだ。
「もうすぐ旅行も終わってしまいますね」
「そうだな」
「なんだか少し 寂しい気がしますわ」
「俺も同感」
気付けば瞬く間に全日程を消化していた旅行。
長いようであっという間の四日間だった。
伊藤 春樹さんと山越えをし、セルニアとアニメ原画展へ行き、温泉ではビーチへ行き、そして セルニアと二人っきりで山小屋で一晩過ごした、怒濤の四日間。
今回の旅行は一生忘れないだろう。
セルニアとの距離がまた近づいた気がする。
「わたくし、今回の旅行をけして忘れませんわ」
セルニアが俺が考えていたことと同じ事を言った。
「何もかもが新鮮で、わくわくすることが一杯で、とても楽しかった四日間。わたくしにとって絶対に記憶から消えることのない素敵な体験。
そして貴女と特別な思い出を共有することができた、四日間でもありますわ。
わたくし絶対に忘れません。忘れようがありません」
「セルニア……」
「本当に素晴らしい旅行でしたわ」
セルニアは穏やかに微笑んだ。
「俺もだ。俺も、セルニアと一緒にこの旅行をすごせて良かった。他の誰でもない、セルニアと一緒の旅行。
だから ありがとう。セルニアが側に居た旅行で、本当に楽しかった」
俺達は互いの顔を見る。
穏やかに新幹線が揺れる中、なにかを示し合わせたというわけでもなく。
「……」
周りからは見えないように、シートの影で、俺達は軽く手を握り合ったのだった。
こうして、三泊四日の真冬の温泉旅行は、様々なアクシデントやハプニングに見舞われた物の、最終的には平穏無事に終わりを告げた。
そう思っていたのだが、俺の知らないところで、なにか動きが見られた。
俺達の後ろの席にて、球竜 宮が眞鳥 凪さんに告げた。
「凪。あたし、決めた」
「なにをですかぁ?」
ミカンの皮を剥きながら、どこか間延びした返事をする眞鳥さんに、宮は決意の言葉を伝える。
「自分の気持ちに正直になる。成功するか なんて 分からない。どこまで できるかも わからない。でも、頑張れるだけ頑張ってみることにした」
「……」
眞鳥さんは、剥きかけのミカンをポロッと落とした。
「え? あの? それって つまり……」
「うん」
宮は強く頷いた。
「あわわわわわ……そ、そうですか。いつの間に そんなことになっていたのか、全くもって サッパリ気付きませんでしたが、そうことになっていたんですか。
となると、つまり、三人で、三人が、三人ということに。
えーと、と なると、わたしにできることは……」
狼狽していた眞鳥さんは、しばらくすると、決意の表情を見せた。
「分かりました。私は三人の行く末を見届けます。どちらか一方を応援することはできませんが、この勝負の立会人となります」
「ありがとうね、凪」
そんな会話が繰り広げられていた。
そして駅で解散した後、セルニアたちが吉祥院邸に戻ろうとしたところ、呼び止める声があった。
「吉祥院・セルニア・麗華さんですね。私のこと覚えてらっしゃるでしょうか?」
「あ、大晦日の日の方」
「はい、そうです。あの時はどうも。
それで、このたびは突然失礼しますが、本日は貴女に大事なお話があって参りました。少しだけお時間よろしいでしょうか? お手間は取らせませんので」
「はあ……」
続く……
俺達はチュンチュンと雀の鳴き声で目を覚ました。
「おはよう、セルニア」
「おはようございます」
外に出ると、眩しい朝日が辺りを照らし、真っ白な雪景色を輝かせていた。
俺は不自然なまでに爽やかな笑顔でセルニアに言う。
「気持ちの良い冬晴れだな」
セルニアも不自然なまでに爽やかな笑顔で答えた。
「ええ、本当に気持ちが良いですわ」
「本当に素晴らしい雪景色だ」
「まったくもって、雪の芸術ですわね」
「神は本当に偉大だ。このような芸術品を作り出すとは」
「きっと創造主とは芸術家ですのね」
俺達はハッキリ言うと現実逃避をしていた。
しかし いつまでも逃げているわけにはいかない。
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「そうですわね。朝の雪景色を堪能しては居られません」
「みんも心配しているだろうしな」
そうなのだ。
俺達が緊急避難用の山小屋だと思っていた物は、旅館の裏庭にある倉庫だった。
そして目の前には、旅館の裏手の入り口があった。
つまり、俺達はとっくに自力での下山を果たしていたにもかかわらず、旅館を目の前にして遭難していたのだった。
「いやぁー、ホント、みんなになんて説明しようかなぁー」
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「うん、セルニアが逃げたくなる気持ちは分かるけど、さすがに俺一人じゃ無理だと思う」
「そうですわよね。いくらあなたでも無理ですわよね」
「ハハハ……」
「ホホホ……」
そして旅館に入ると、湖瑠璃ちゃんがいつも通りの微笑みで。
「ああ、やっと帰ってきましたね。お帰りなさいませ」
海翔もまったくいつも通りで、
「あ、二人とも戻ってきたの。だったら急いで着替えて荷物をまとめて。もうすぐチェックアウトだから」
そして猪鹿蝶 晶さんが、
「おかえりなさいやせ。こちらに温かいお茶がありやす。目覚めの一杯にどうぞ」
伊藤 春樹さんが、
「残念ながら、朝食には間に合いやせんでした。帰りの新幹線の中でということになりやす」
みんな軽い日常会話をしていた。
「……えっと?」
「あのー」
俺はセルニアと言葉を失う。
仮にも一晩 帰らなかったんだし、山に向かうときは みんな あんなに心配していた。
もっと安否を気遣うとか、ともすれば 叱責とか来るんじゃないかと思っていたんだが。
困惑する俺達に、湖瑠璃ちゃんが、
「それで、二人っきりの夜はどうでしたか? 雪山で道に迷って山小屋に入ってから、ずいぶん盛り上がっていたみたいですが、その後のことは、聞かないでおきました。
ふふふ。お兄さまは お姉さまを本当に大切にしてくださっていて何よりです」
「えぇっ?!」
「ふえぇ?!」
湖瑠璃ちゃんは、両手を頬に当て、身もだえしながら、
「あれだけ盛り上がったのですから、やはりその後キスくらいはしましたよね。それともそれ以上のこととか。いやーん、素敵ですー」
「いや、なんで知ってるの?」
晶さんが答える。
「アタシらがお伝えしやした」
「え?」
「お二人の動向は、途中から把握しておりやした。道に迷っておられたことも、吹雪の中で身を寄せ合いながら、歩いておられたことも、自力で下山され、裏庭にある物置小屋を、緊急避難小屋と誤認されたことも、大まかながら お伝えしやした次第で」
「ちょっと待ってください。それって、どういうことですか?」
「若の防寒具には、万が一のことを考えて、保険としてGPSを付けてありやした。
定時連絡に戻ってこられなかったので、それを手がかりに探しに行ったところ、麗華お嬢さまと一緒に、斜面下の道におられるところを発見しやした。
そのまま 少し離れた位置で 見守らせていただいたという次第でやす」
伊藤 春樹さんが続けて、
「なにか危険な事態になったら、いつでも助ける準備はできていやしたが、しかし姉上の玲さまがおっしゃられたとおり、これは若にとって成長の大きなチャンス。
ここは若を信じて お任せしてみやした」
考えてみれば そうだよね。
この二人がなんの準備もなく、アマチュアを夜の雪山に連れて行くはずがないよね。
GPSがあれば、猛吹雪の雪山でも、俺達の位置を補足できる。
晶さんが、
「しかし、安心してくださいやせ。物置小屋に入ってからは、しばらく様子見にとどめ、その後のことは一切関知しておりやせんので」
「そ、そうですか」
春樹さんが、
「ただ、一つだけ。
若が お嬢さまを どれほど大切に思ってくださっているか。
吉祥院家執事メイド一同を代表し、感謝いたしやす」
あの、激しいまでにクサいセリフを完全に聞かれている。
俺は羞恥心で顔が真っ赤になった。
隣では、セルニアも顔が真っ赤だった。
こうして、俺達は旅館を後にした。
新幹線で駅弁を購入すると、遅めの朝食を食べる。
旅館の朝ご飯は食べられなかったが、駅弁も美味しい。
そして、新幹線の規則的な揺れが、マッサージのように疲れた体を癒やしていた。
海翔が名残惜しそうに言う。
「あー、これで温泉旅行も終わりかー。長いようで短かったねー」
五十嵐が、
「まだ全然 遊びたりねぇ。結局 温泉美人はナンパできなかったし」
高畑くんも、
「温泉に来たチビッ娘と仲良くするということも、叶わなかったでござる」
セルニアも三バカトリオと同意見のようだ。
「もうすぐ旅行も終わってしまいますね」
「そうだな」
「なんだか少し 寂しい気がしますわ」
「俺も同感」
気付けば瞬く間に全日程を消化していた旅行。
長いようであっという間の四日間だった。
伊藤 春樹さんと山越えをし、セルニアとアニメ原画展へ行き、温泉ではビーチへ行き、そして セルニアと二人っきりで山小屋で一晩過ごした、怒濤の四日間。
今回の旅行は一生忘れないだろう。
セルニアとの距離がまた近づいた気がする。
「わたくし、今回の旅行をけして忘れませんわ」
セルニアが俺が考えていたことと同じ事を言った。
「何もかもが新鮮で、わくわくすることが一杯で、とても楽しかった四日間。わたくしにとって絶対に記憶から消えることのない素敵な体験。
そして貴女と特別な思い出を共有することができた、四日間でもありますわ。
わたくし絶対に忘れません。忘れようがありません」
「セルニア……」
「本当に素晴らしい旅行でしたわ」
セルニアは穏やかに微笑んだ。
「俺もだ。俺も、セルニアと一緒にこの旅行をすごせて良かった。他の誰でもない、セルニアと一緒の旅行。
だから ありがとう。セルニアが側に居た旅行で、本当に楽しかった」
俺達は互いの顔を見る。
穏やかに新幹線が揺れる中、なにかを示し合わせたというわけでもなく。
「……」
周りからは見えないように、シートの影で、俺達は軽く手を握り合ったのだった。
こうして、三泊四日の真冬の温泉旅行は、様々なアクシデントやハプニングに見舞われた物の、最終的には平穏無事に終わりを告げた。
そう思っていたのだが、俺の知らないところで、なにか動きが見られた。
俺達の後ろの席にて、球竜 宮が眞鳥 凪さんに告げた。
「凪。あたし、決めた」
「なにをですかぁ?」
ミカンの皮を剥きながら、どこか間延びした返事をする眞鳥さんに、宮は決意の言葉を伝える。
「自分の気持ちに正直になる。成功するか なんて 分からない。どこまで できるかも わからない。でも、頑張れるだけ頑張ってみることにした」
「……」
眞鳥さんは、剥きかけのミカンをポロッと落とした。
「え? あの? それって つまり……」
「うん」
宮は強く頷いた。
「あわわわわわ……そ、そうですか。いつの間に そんなことになっていたのか、全くもって サッパリ気付きませんでしたが、そうことになっていたんですか。
となると、つまり、三人で、三人が、三人ということに。
えーと、と なると、わたしにできることは……」
狼狽していた眞鳥さんは、しばらくすると、決意の表情を見せた。
「分かりました。私は三人の行く末を見届けます。どちらか一方を応援することはできませんが、この勝負の立会人となります」
「ありがとうね、凪」
そんな会話が繰り広げられていた。
そして駅で解散した後、セルニアたちが吉祥院邸に戻ろうとしたところ、呼び止める声があった。
「吉祥院・セルニア・麗華さんですね。私のこと覚えてらっしゃるでしょうか?」
「あ、大晦日の日の方」
「はい、そうです。あの時はどうも。
それで、このたびは突然失礼しますが、本日は貴女に大事なお話があって参りました。少しだけお時間よろしいでしょうか? お手間は取らせませんので」
「はあ……」
続く……
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