悪役令嬢は腐女子である

神泉灯

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102・これからだ!

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 俺は頃合いを見計らって、残り二つの国のうち、一つに戦争を仕掛けた。
 これで もし俺の読みが外れ、周辺国は別のチームだったら、大失敗だ。
 だが 俺が宣戦布告をすると同時に、二つの同盟国が同盟破棄し、俺の国に戦争を仕掛けた。
 続けて残り二つの国も宣戦布告を出してくる。
 今 ゲームにおける初の戦争勃発。
 そして俺の作戦は成功した。


「勝った!」
 鳳上 氷美は勝利を確信した声を上げたが、しかし同時に、後方から戦争を仕掛けられた。
「えー!?」
 プロチームとセルニアチームの連合国軍が、鳳上 氷美チームを一斉攻撃したのだ。。
 そう、周辺国 四つが同時に戦争を仕掛けたと言うことは、ヘッドセットで連絡を取り合っている証拠。
 つまり、同じチームだと宣伝したも同然。
 そして トップチームである鳳上 氷美チームを倒さなければ、優勝は出来ない。
 そうなれば、プロチームも鳳上氷美チームを標的にするのは当然のことだった。


 藤守さんも事態を把握。
「どうやら、西側の国は、一つを除いて みんな同じチームだったようですね。そして二つのチームが、一斉にトップを蹴落としにかかったようです。
 世界大戦勃発といったところでしょうか」
 
 
 鳳上 氷美チームは軍事力の差で東側から押されていく。
「踏ん張りなさい。最西の国を落とすことさえ出来れば、優勝は確実なんだから」
「ああぁー、もう無理ー」
 笹丘 修一郎の国が陥落した。
「ちょっとー!? 速すぎるでしょー!!」
「あー、私の国もダメですね」
 続けて、眞鳥 凪の国が陥落。
 織田 一彦が補足する。
「僕は持ちこたえられるけど、トータルで見れば完全に最下位に落ちちゃったから、もう優勝は無理だね」
「もー!!」
 鳳上 氷美は頭を抱えたのだった。


 俺の国は、周辺国からの侵略に持ちこたえた。
 これで 領土は俺達のチームがトップだ。
 後はリアルでのタイムリミット。
 ゲームの時間が終了すれば、俺達の優勝だ。
 だが、セルニアたちと同盟を結んでいたチームの軍が、その勢いで俺の国へ侵攻してきた。
「しまった。俺達がトップになったから、標的を変更してきたぞ」
 どの国が どのチームなのかも判明してしまっている。
 セルニアたちが同盟を破棄し、もう一つのチームに宣戦布告した。
「わたくしたちが東から攻めますわ」
 海翔も戦争を開始する。
「諦めないで。僕たちが戦力を分散させるから」
 宮も宣戦布告を出した。
「君が持ちこたえれば、私たちの優勝だよ」
 三人が真ん中のチームに一斉攻撃し、戦力をそぎ落としにかかった。
 おかげで侵攻の威力は少しダウンしたが、しかし 俺の国は四つの国を同時に相手にして疲弊していた。
 持ちこたえることが出来るか?


 藤守さんが解説する。
「物凄い接戦です。この戦いが決まれば、同時に優勝が決まります。最西の国が陥落すれば、その時点で勝敗が付くと言っても過言ではありません。
 さあ、目が離せません。東から三つの国が攻める攻める。
 真ん中は東の防衛をしつつ、四カ国同時に西を攻める。
 最西の国、持ちこたえています。しかし戦力がどんどん削られていく。これはどうなるのか?
 行けるか!? 残るか!? 勝つか!? 負けるか!?
 あーっと! 今! 最西の国の最大軍が壊滅した! 残りは残党! これでは もう持ちこたえられない!
 しかし諦めない! 持久戦でタイムリミットを狙っている! だが 時間はまだある! これはどうなるか!? どんどん削られていく!
 頑張れ!! 司会に あるまじき事ですが、つい応援してしまいました! ギャラリーも応援している! しかし もう軍は残り少ない! 今! 最後の軍に一斉攻撃! 落ちた! 陥落した! 最西の国! 戦争に敗北しました!
 これでは もう覆せない! そしてタイムリミットが迫っています! あと10秒もありません!
 9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!!
 試合終了です! 試合終了しました!
 優勝決定!」


 大会は終わった。
 俺達は二位だった。
 しかし、悔いはなかった。
 俺達はブースから出ると大きく深呼吸した。
「惜しかった」
 俺が呟くと、セルニアは、
「負けは負けですわ」
 しかし 爽やかな笑顔だった。
 宮も やりきった感の表情。
「そうだね。負けたね」
 海翔が満面の笑みで言った。
「でも楽しかったよ」
「そうだな、楽しかった」


 そして最下位のチームのブースから、氷美たちが出てきた。
「チクショー! こんな変態に負けるなんてー!」
 最下位のチーム、氷美だったのか。
 ってことは、優勝は、優勝候補と言われていたプロゲーマーチーム。
 まあ、順当な結果と言えば結果なのか。


 表彰が贈られる。
 優勝チームに拍手が送られた。
 藤守さんが締めに入る。
「では皆さん。これで大会は終了とさせていただきます。今日はありがとうございました」


 一つの戦いが終わった。
 だが、PSプレイしようぜ五の販売は、まだ 始まったばかりだ。
 製造企業が部品の調達に成功し、通常販売がスタートされ、入手も簡単になったと聞く。
 世界中のゲーマーたちが未知なる冒険へと出発するのだ。
 そうとも……


 俺達の冒険は これからだ!


 完。
 いままでの ご愛読 ありがとうございました。
 次回作をご期待ください。





 などと、俺が心の中で 打ち切りマンガみたいな事を考えていたら、宮が提案してきた。
「ねえ、明日の大晦日なんだけど、クラスのみんな誘って、神社に行かない」
「クラスのみんなを誘って 神社に?」
「そう。クラスのみんなで年越し&初詣をするの。どうかな?」
 セルニアが賛同する。
「素晴らしい提案ですわ。わたくし 振り袖でお参りしますわ」
「わたしも振り袖で行く」
「じゃあ、俺も行こう」
 そして海翔がスマホを取り出した。
「じゃあ、僕がみんなに一斉送信しておくね」


 こうして明日は、みんなで年越し&初詣イベントとなった。
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