悪役令嬢は腐女子である

神泉灯

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98・トリガーハッピー

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 大会の開催場所は普通のホール。
 スクリーンに大会のお知らせが映し出されている。
 そして大会の司会は、
「あ、藤守さんだ」
 俳優の藤守 竜一だった。
 そういえば、ゲームが好きだとかって、クリスマスの時に話してたけど、ゲーム大会の司会とかもやってるんだ。
 藤守さんはマイクを手に皆に挨拶する。。
「どうも、今 大会の司会を務めさせていただきます、藤守 竜一です。では いよいよ大会を開始したいと思います。みなさん、精一杯楽しんでいってください」
 会場から歓声と拍手が上がる。
「では、今 大会のルールを発表します。ソフトについては発表済みですが、しかしルールは あえて公表しませんでした。
 テーマは乱戦です。
 今 大会の試合は全て複数のチームでの戦いとなります。
 では、第一試合のゲームは、ガンズ&バトル」


 俺は このテーマに関してある程度予想はしていた。
 なぜなら、今 大会のゲームは全て、複数プレイが可能な物だったからだ。
 一対一の対戦ではない。
 複数のチームが同時に戦うことが可能だと言うことだ。
 そして今 発表されたゲームは、リアル系FPS。
 平たく言うと、戦争を題材としたゲーム。


 藤守さんが説明を続ける。
「ガンズ&バトルでは五つのチームが同時に戦っていただきます。つまり一回戦目はふるい落としです。
 ルールはポイント制。
 フィールド内にランダムに出現するフラグを破壊すれば百点。
 プレイヤーキルで十点。
 しかし、自分が死亡すれば、マイナス五点です。
 復活は無制限。しかし、復活ポイントはランダム。
 チーム同士での対話はヘッドセットで可能です。うまく連携しプレーしてください。
 では、対戦のくじ引きを行いますので、呼ばれたチームは番号のディスプレイへ移動してください」


 セルニアは興奮気味に俺に言う。
「いよいよ ですわね」
「ああ、腕が鳴る」
 宮も興奮している。
「この日のために一杯練習したもんね」
 海翔が言った。
「あ、僕たちのチーム呼ばれたよ」
「よし、行こう」
 俺達は案内されたディスプレイの前に座ると、ヘッドセットを装着した。
「あー、テスト テスト。聞こえる?」
 セルニアが返事をした。
「聞こえますわ」
 次に宮。
「聞こえるよ」
 そして海翔。
「バッチリ オッケー」
 よし、いよいよ一回戦目だ。


 俺達は戦場に降り立った。


 建物が乱立する戦場。
 俺は銃を構えた。
 初期装備として選んだ武器は、サイレンサー付きオートマチック。
 蛇の暗号名で、数々のミッションを成功させてきた、俺のスタイルは、常に隠密。
 海翔から通信が入る。
「マップだと、僕はかなり離れてるね」
 宮から通信。
「わたしと吉祥院さんはかなり近い。これなら作戦通りにいけると思う」
 俺は答える。
「俺は遠いな。俺も作戦どおり、隠密作戦でポイント稼いでいく」
 セルニアが応答した。
「分かりましたわ。では 作戦通り、わたくしは球竜さんとタッグを組んで行動します」


 俺達は戦闘を開始した。
 マップには味方とフラグは表示されるが、敵は表示されない。
 しかしフラグの所へ行けば、自然と敵と遭遇する。
 あとは眼で直接確認するだけ。
 いた。
 俺はこっそり忍び寄り、銃を向けると、ヘッドショットした。
 ワンショット・ワンキル。
 チームの点数に十点加算される。
 出だしは好調。
 続いて、俺が何もしていないのに、十点加算された。
「一人やったよ」
 海翔だ。
 海翔はスナイパーライフルでの狙撃を得意としている。
 身を潜ませて、目に付いた敵は片っ端から打ち抜いていく。
 俺も負けていられない。
 一人、二人、三人。
 俺の存在に気付くことなく、立て続けに仕留めた。
 さらに、突然 百点が入った。
「やりましたわ。フラグ破壊成功ですわ」
 セルニアと宮が、フラグの破壊に成功したのだ。
 実に好調。
 宮が高笑いする。
「アハハハハハ、次々行くよ」
 二人は初期装備にアサルトライフルを選択している。
 ゲームはあまり得意でない二人に、俺が考えた作戦は、アタッカーだ。
 二人がタッグを組んで、積極的に攻勢にでる。
 敵は自分が発見されるのも構わずに撃ちまくり、フラグを発見すれば、敵に見つかるのもお構いなしに破壊しまくる。
 デスになる可能性は高いが、しかし それ以上にポイントを稼ぐことになる。
 俺はマップを確認すると、セルニアと宮が近くまで来ていた。
 俺は合流しようと思い、接近すると、建物の端に隠れてセルニアを狙う影。
 俺はそいつにヘッドショット。
 セルニアはそこで敵兵の存在に気付いたのだった。
「感謝いたしますわ」
「どういたしまして」
 そこに、敵兵の一人が撃ち抜かれた。
 俺はその存在に気付かなかった。
 海翔から通信。
「油断大敵だよ。敵を倒した後、周囲を確認しないと」
 そして宮から、
「近くにフラグがあるよ。みんなで行こう」
「了解」
 セルニアと宮が先へ進み、敵を発見 次第 ガンガン撃っていく。
 俺は回り込むような形で、二人に奇襲を仕掛けようとする敵兵を仕留めていき、そして海翔が遠距離から援護する。
 二つ目のフラグにセルニアと宮が到着すると、
「おーっほっほっほ」
「アハハハハハ」
 トリガーハッピーになってフラグに撃ちまくり破壊。
 百点追加となった。


 この調子で俺達は次々とフラグを破壊していき、一度もデスすることなく、ダントツで一回戦を突破したのだった。
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