悪役令嬢は腐女子である

神泉灯

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22・拒否する理由

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 そして俺は校舎裏に連れて行かれた。
 俺を壁際に追い詰めて、五人衆が囲い込む。
 ボク、泣きそう。
 柔道部主将が代表として発言。
「単刀直入に言おう。これ以上 吉祥院様にまとわりつくのを 金輪際 止めて貰おうか。
 吉祥院様はお優しいお方だから、おまえみたいな奴にも平等に接してくださる。
 しかし、心の中では迷惑に思われているに違いない。
 だから、これ以上 迷惑にならないうちに、吉祥院様に関わるのを止めるんだ」
 俺は一応 質問してみる、
「もし 断ったら、ボクはどうなるんでしょうか?」
「無論、我々が力尽くで不可能な状態にする」
 と、五人衆は鍛え上げた肉体をアピールした。
 俺はチビリそうだったけど、さらに続けて、
「で、でも、ボク もう関わっちゃいましたし、今さら止めるのも不自然かなーって。だいたい 主将たちが出てきたって事は、他のみんなも ボクになにか直接行使を執るつもりなんでしょう。だから、止めても 意味ないかなー、なんて」
「その心配はない。もし 吉祥院様に関わるのを止めると誓えば、我々が君を守る」
「ホ、ホント?」
「そうだ。我々は しばらくの間、君の護衛をし、その間に他の生徒に話を付ける。これでも我々は部の主将だ。他の生徒にも顔は利く。
 君は吉祥院様と関わる以前の学校生活に戻るだけだ」
「本当か? 本当にセルニアと、いや、吉祥院さんと関わるのを止めれば、助けてくれるのか?」
「そうだ。君は この場で誓うだけで良い。松陽高校の女神、吉祥院・セルニア・麗華様に二度と近づかない。そう 誓うだけで、我々が君を責任を持って守護る」
「……ほ……本当に、吉祥院さまに近づくのを止めれば、ボクを助けてくれるのか……吉祥院さまに近づかないと約束するだけで……」
「ああ、約束する。これはギブ・アンド・テイクというやつだ。我々の女神を汚すのを止める。それを言葉するだけでいい。
 ただ 一言、止めると」
「……な……なるほど。それは、拒否する理由がないな」
「そうだ。さあ、言うんだ。止める、と」


「だが 断る」


「「「「「なにぃぃーー!!!!!」」」」」


「この俺が最も好きな事の一つは、自分で強いと思ってるやつに NO と断ってやる事だ」
 俺は そのまま続けて五人衆に啖呵を取る。
「なにが助けるだ。なにが守護るだ。なにが約束だ。
 セルニアの魅力に あんたたちの力でかなうと思っているのか。
 俺は例え 全校生徒を敵に回しても、世界中の全ての人間を敵に回したとしても、セルニアと一緒にいることを選ぶ!」
 俺は戦いの構えをとった。
「かかってこい! 全員 まとめて相手になってやる!」


 主将たちは一歩後退った。
「ぬううぅ……この気迫。ただの間抜けだと思っていたが、思いのほかデカイ器だったか」
 しかし、次には全員 臨戦態勢を取った。
「その 覚悟や良し。我々も全力で戦わせて貰おう」
 あれ?
「あの、ここは 流れて的に、セルニアと仲良くするのを認めるとか、そんな感じになるんじゃ?」
 柔道部主将は首を傾げ、
「なにを言っている? おまえは 今、全員 まとめて相手になってやると言ったではないか。
 というわけで、遠慮なく我々全員で貴様をフルボッコにしてやろう」
「ちょーっ!」
 なんか ハッタリが逆効果!
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