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一章
78・倒してしまった
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「ぬう、何者だ?」
「この声、誰なの?」
「おい、誰だ?」
戦闘中だと言うのに、突然 セルジオさまとキャシーさん、スファルさまが周囲を見渡し始めた。
「どうしました!? 戦いに集中してください!」
「どうしたって、この声が聞こえないのか?」
スファルさまがそんなことを言い出す。
声?
「もしや、これは……」
「前にクレアちゃんが聞いた……」
そして三人の体が光り輝いた。
これって古代都市ガラモで私に起きた現象と同じ!
「なんだよ、これ? 自分の中から強い力を感じるぞ」
スファルさまは感嘆している。
そしてセルジオさまとキャシーさんも、
「これは間違いない。あの時のクレア嬢と同じ現象だ」
「いける。これならいけるわ」
「ハニー!」
「ダーリン!」
「「風石散弾!!」」
二人は上級魔法、暴風と飛礫散弾《ショット》と合成し放った。
その威力は一段階上がって、達人級になる。
広範囲に放たれたそれを避ける事はできず、火炎巨人とフェニックスに命中。
纏う炎が明らかに弱まった。
「とどめだ!」
スファルさまが両手を頭上に掲げ魔力を凝縮し、火の上位精霊に向けて一気に放つ。
「氷結処刑!」
達人級の水の攻撃魔法、氷結処刑。
それは炎さえ氷にし、火炎巨人を氷の彫像へ変えた。
やった。
火の上位精霊、火炎巨人を倒した。
みんなに何が起きたのか、説明されなくてもわかる。
古代都市ガラモで私に起きたことが、みんなにも起こったんだ。
フェニックスが純粋に疑問に思っているかのように言葉にする。
「彼らはなにを考えているのでしょうか? 聖女でも勇者でもない この者たちに力を与えて、いったいなにをさせようというのか?」
「よくわかんねえけど、とにかく次はおまえだ!」
スファルさまはフェニックスに向けて水氷散弾を放つ。
広範囲に放たれるそれを避けきれずに受けたフェニックスに、さらに私は氷風投槍を放つ。
左翼を貫通した。
「これは、よくありませんね」
フェニックスの左翼の傷が再生しない。
イフリートを召喚したことで、力を使いすぎて弱まってるんだ。
もっと攻撃するんだ。
「水氷暴風!」
私は水氷散弾と暴風の合成魔法を放つ。
二つの上級魔法の合成は達人級の威力を発揮し、攻撃範囲にフェニックスが入った。
「重力!」
ラーズさまが達人級の魔法を行使。
増加した重力によって、地面に降りざるを得なくなったフェニックスに、セルジオさまとキャシーさんが、
「「風石散弾!!」」
暴風と無数の飛礫を受けたフェニックスは、その炎が消えかかっている。
「もう諦めて降参してください! 貴女が死ぬことはありません!」
私は降伏勧告を出す。
フェニックスは自然と生命の調和を司る存在だ。
それが死んだとなれば、その先の世界はどうなるのか。
「まだです。私は負けるわけにはいかない。私に魔物達の種の存続がかかっている」
強い意志を表すかのように、フェニックスの炎が再び燃え盛った。
「火炎円柱・三十四」
私たちの足元が赤銅色に輝く。
火柱が立つ前に、全力で移動して回避。
私たちが直前までいた場所に、大きな火柱が立ち昇る。
一瞬でも回避が遅れていたら、炎に巻き込まれていた。
でも、火柱はそれで終わらない。
続けて私たちの立つ場所から発生する。
「「いいかげんにしろ!!」」
叫ぶスファルさまが二人いた。
分身体だ。
二人のスファルさまが頭上に両手を掲げて、魔力を集中する。
「「おおおおお!!」」
そして極限まで凝縮された瞬間、それを放つ。
「「氷結処刑!!」」
フェニックスは氷の彫像と化した。
フェニックスを倒した。
倒してしまった。
「……どうしよう?」
自然と生命の調和を司る存在を倒してしまった。
自然と生命の調和が乱れた時、フェニックスはその混乱を収めてきた。
だけど、そのフェニックスはいなくなってしまった。
これによって、これからの世界にいったいどんな影響が出るのか。
ラーズさまが私の肩を叩いて、
「仕方がない。仕方がなかった。魔王の野望を止めなければ多くの人が死ぬ。魔王の世界制覇を止めるには剣が必要で、剣を手に入れるにはフェニックスを倒すしかなかった」
確かにそうだけれど、それでもフェニックスを倒さずにすむ方法は無かっただろうか?
氷の塊と化したフェニックスが、微かに動き始めた。
そして氷が徐々に、しかし確実に、崩れていく。
「まさか!? まだ生きてるのか!?」
ラーズさまが臨戦態勢を取る。
氷が完全に崩れた時、そこには炎が燃えていた。
それが少しずつ小さくなり、火となり、そして緋色の小鳥の姿と変化した。
「どうやら、私の負けですね」
緋色の小鳥が残念そうに呟く。
「あ、再生したのですね」
私はすぐに理解する。
フェニックスは不死鳥。
死と再生を繰り返して天地創造の時から悠久の時を生きている。
「その通りです。私は死んでも、すぐに再生します。しかし、力を取り戻すには長い年月が必要。
貴方達と魔王との戦いまでに、私が力を取り戻すことはできないでしょう。これは完全に私の負けです」
でも、よかった。
フェニックスが滅んだわけではなくて。
「さあ、剣を持っていきなさい。勝者の権利です」
私たちは祭壇の蓋を開けると、そこには一本の細剣があった。
剣身に炎のように波打つ紋様が描かれた細剣。
「それが業炎の剣ピュリファイアです」
フェニックスが言う。
ラーズさまはそれを手にする。
「武器魔法付与」
業炎の剣ピュリファイアに膨大な魔力が注ぎ込まれ、闇色の輝きを放ちはじめる。
しかし剣に亀裂が走った。
「やはり、ダメだったか」
今回はそれほど残念そうではなさそうだった。
今まで同列の剣でもダメだったので、予想は付いていたのだろう。
「ふむ。勇者ではないとはいえ、それほどの力を持っているとは。彼らが目をかけるのは当然なのかもしれませんね」
時折フェニックスが言う彼らとは、やはりあの存在たちの事だろうか?
「彼らというのは、神々の事なのですか?」
「そうです。神々は貴女たちを見ているのですよ。貴女たちの行く末を。そして時に力を与えさえする。
しかし、その目的までは私には分かりません。あるいは、目的はすでに貴女たちが決めているからなのかもしれません。神託という形で強制したものではなく、貴女たち自身が自らの意思で決めた選択」
私たち自身が自らの意思で決めた選択。
「さて、その剣を持っていく代わりに、私から一つ頼みがあります」
「なんでしょう?」
「考えておいてください。これから先の魔物の存亡について。
人間は冒険者組合を組織し、全ての魔物を滅ぼそうとしている。それは、人間と敵対している魔物だけではなく、人間に害を及ぼさない魔物も、そして人間に関わってすらいない魔物も含めて、全てを。遠くない将来、それは現実となる。
それが どのような結果を産むと思いますか? 魔物の未来だけではなく、人間の未来、そしてあらゆる全ての生命の未来。
貴女たちは魔王に勝利するかもしれません。しかし、それまでにこの事を考え、答えを出してください。魔物という種の存続について。魔物と人間の在り方について。
そしてもし、人間が魔物を滅ぼそうとし続けるならば、私は力を取り戻した時、再び人間の敵となります」
「この声、誰なの?」
「おい、誰だ?」
戦闘中だと言うのに、突然 セルジオさまとキャシーさん、スファルさまが周囲を見渡し始めた。
「どうしました!? 戦いに集中してください!」
「どうしたって、この声が聞こえないのか?」
スファルさまがそんなことを言い出す。
声?
「もしや、これは……」
「前にクレアちゃんが聞いた……」
そして三人の体が光り輝いた。
これって古代都市ガラモで私に起きた現象と同じ!
「なんだよ、これ? 自分の中から強い力を感じるぞ」
スファルさまは感嘆している。
そしてセルジオさまとキャシーさんも、
「これは間違いない。あの時のクレア嬢と同じ現象だ」
「いける。これならいけるわ」
「ハニー!」
「ダーリン!」
「「風石散弾!!」」
二人は上級魔法、暴風と飛礫散弾《ショット》と合成し放った。
その威力は一段階上がって、達人級になる。
広範囲に放たれたそれを避ける事はできず、火炎巨人とフェニックスに命中。
纏う炎が明らかに弱まった。
「とどめだ!」
スファルさまが両手を頭上に掲げ魔力を凝縮し、火の上位精霊に向けて一気に放つ。
「氷結処刑!」
達人級の水の攻撃魔法、氷結処刑。
それは炎さえ氷にし、火炎巨人を氷の彫像へ変えた。
やった。
火の上位精霊、火炎巨人を倒した。
みんなに何が起きたのか、説明されなくてもわかる。
古代都市ガラモで私に起きたことが、みんなにも起こったんだ。
フェニックスが純粋に疑問に思っているかのように言葉にする。
「彼らはなにを考えているのでしょうか? 聖女でも勇者でもない この者たちに力を与えて、いったいなにをさせようというのか?」
「よくわかんねえけど、とにかく次はおまえだ!」
スファルさまはフェニックスに向けて水氷散弾を放つ。
広範囲に放たれるそれを避けきれずに受けたフェニックスに、さらに私は氷風投槍を放つ。
左翼を貫通した。
「これは、よくありませんね」
フェニックスの左翼の傷が再生しない。
イフリートを召喚したことで、力を使いすぎて弱まってるんだ。
もっと攻撃するんだ。
「水氷暴風!」
私は水氷散弾と暴風の合成魔法を放つ。
二つの上級魔法の合成は達人級の威力を発揮し、攻撃範囲にフェニックスが入った。
「重力!」
ラーズさまが達人級の魔法を行使。
増加した重力によって、地面に降りざるを得なくなったフェニックスに、セルジオさまとキャシーさんが、
「「風石散弾!!」」
暴風と無数の飛礫を受けたフェニックスは、その炎が消えかかっている。
「もう諦めて降参してください! 貴女が死ぬことはありません!」
私は降伏勧告を出す。
フェニックスは自然と生命の調和を司る存在だ。
それが死んだとなれば、その先の世界はどうなるのか。
「まだです。私は負けるわけにはいかない。私に魔物達の種の存続がかかっている」
強い意志を表すかのように、フェニックスの炎が再び燃え盛った。
「火炎円柱・三十四」
私たちの足元が赤銅色に輝く。
火柱が立つ前に、全力で移動して回避。
私たちが直前までいた場所に、大きな火柱が立ち昇る。
一瞬でも回避が遅れていたら、炎に巻き込まれていた。
でも、火柱はそれで終わらない。
続けて私たちの立つ場所から発生する。
「「いいかげんにしろ!!」」
叫ぶスファルさまが二人いた。
分身体だ。
二人のスファルさまが頭上に両手を掲げて、魔力を集中する。
「「おおおおお!!」」
そして極限まで凝縮された瞬間、それを放つ。
「「氷結処刑!!」」
フェニックスは氷の彫像と化した。
フェニックスを倒した。
倒してしまった。
「……どうしよう?」
自然と生命の調和を司る存在を倒してしまった。
自然と生命の調和が乱れた時、フェニックスはその混乱を収めてきた。
だけど、そのフェニックスはいなくなってしまった。
これによって、これからの世界にいったいどんな影響が出るのか。
ラーズさまが私の肩を叩いて、
「仕方がない。仕方がなかった。魔王の野望を止めなければ多くの人が死ぬ。魔王の世界制覇を止めるには剣が必要で、剣を手に入れるにはフェニックスを倒すしかなかった」
確かにそうだけれど、それでもフェニックスを倒さずにすむ方法は無かっただろうか?
氷の塊と化したフェニックスが、微かに動き始めた。
そして氷が徐々に、しかし確実に、崩れていく。
「まさか!? まだ生きてるのか!?」
ラーズさまが臨戦態勢を取る。
氷が完全に崩れた時、そこには炎が燃えていた。
それが少しずつ小さくなり、火となり、そして緋色の小鳥の姿と変化した。
「どうやら、私の負けですね」
緋色の小鳥が残念そうに呟く。
「あ、再生したのですね」
私はすぐに理解する。
フェニックスは不死鳥。
死と再生を繰り返して天地創造の時から悠久の時を生きている。
「その通りです。私は死んでも、すぐに再生します。しかし、力を取り戻すには長い年月が必要。
貴方達と魔王との戦いまでに、私が力を取り戻すことはできないでしょう。これは完全に私の負けです」
でも、よかった。
フェニックスが滅んだわけではなくて。
「さあ、剣を持っていきなさい。勝者の権利です」
私たちは祭壇の蓋を開けると、そこには一本の細剣があった。
剣身に炎のように波打つ紋様が描かれた細剣。
「それが業炎の剣ピュリファイアです」
フェニックスが言う。
ラーズさまはそれを手にする。
「武器魔法付与」
業炎の剣ピュリファイアに膨大な魔力が注ぎ込まれ、闇色の輝きを放ちはじめる。
しかし剣に亀裂が走った。
「やはり、ダメだったか」
今回はそれほど残念そうではなさそうだった。
今まで同列の剣でもダメだったので、予想は付いていたのだろう。
「ふむ。勇者ではないとはいえ、それほどの力を持っているとは。彼らが目をかけるのは当然なのかもしれませんね」
時折フェニックスが言う彼らとは、やはりあの存在たちの事だろうか?
「彼らというのは、神々の事なのですか?」
「そうです。神々は貴女たちを見ているのですよ。貴女たちの行く末を。そして時に力を与えさえする。
しかし、その目的までは私には分かりません。あるいは、目的はすでに貴女たちが決めているからなのかもしれません。神託という形で強制したものではなく、貴女たち自身が自らの意思で決めた選択」
私たち自身が自らの意思で決めた選択。
「さて、その剣を持っていく代わりに、私から一つ頼みがあります」
「なんでしょう?」
「考えておいてください。これから先の魔物の存亡について。
人間は冒険者組合を組織し、全ての魔物を滅ぼそうとしている。それは、人間と敵対している魔物だけではなく、人間に害を及ぼさない魔物も、そして人間に関わってすらいない魔物も含めて、全てを。遠くない将来、それは現実となる。
それが どのような結果を産むと思いますか? 魔物の未来だけではなく、人間の未来、そしてあらゆる全ての生命の未来。
貴女たちは魔王に勝利するかもしれません。しかし、それまでにこの事を考え、答えを出してください。魔物という種の存続について。魔物と人間の在り方について。
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