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一章
38・あの女って誰?
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私は壁に立てかけてあった松明を取ると、地下迷宮を進んだ。
ゲームでは、吸血鬼カーマイル・ロザボスイとの戦いは、完全回復薬の入手のイベントとして、終盤の最初辺りで発生する。
普通に購入できた回復薬や、回復魔法では追いつかなくなり始める頃で、このイベントをクリアしないと、その先の戦闘が難しくなる。
最上階である五階でカーマイルを倒した後、四階の研究室を調べると、完全回復薬の調合法を記した手帳が入手できる。
それを街の錬金術師に渡すと、完全回復薬を作ってくれるようになるのだ。
ちなみにカーマイルは、魔王バルザックの配下ではなく、むしろ敵対している。
ゲームでは、
「バルザック如きにこの私が従うものか! 私こそが世界の支配者に相応しき存在! 不死の王カーマイルなのだ!」
と言って戦闘が始まる。
現実ではどうなるのだろう?
しばらく進むと、階段を発見した。
私は階段を上がって、奥の扉を開ける。
広い部屋だ。
壁に剣や槍が並び、燭台も備え付けられている。
わたしは松明の火を蝋燭に移し、改めて見渡した。
鍛錬場。
城の右側に位置する一階の部屋で、かつては兵士が訓練をしていた場所。
奥に二階へ続く階段がある。
玄関大広間への扉は鍵がかかっていて開かない。
普段から服に仕込んでおいた針金で解錠を試みたけど、ダメだった。
この扉の鍵、簡単には開けられない特別製みたい。
ここからラーズさまたちと合流するのは無理なようだ。
しかたない、二階へ進もう。
そう思った時、階段の扉が開き、茶色のなにかが飛び出してきた。
「ギュイイイ!」
猿?!
一メートル半はある大猿が、牙を剥き出しにして私に威嚇している。
その牙が普通の猿より明らかに大きく、目が禍々しく紅い。
「まさか……」
「フフフ。どうだね? 私の可愛いペットは」
長身痩躯の見た目は若い男が階段をゆっくりと降りてきた。
吸血鬼カーマイル・ロザボスイ。
「どうやって猿を吸血鬼にしたの? 吸血鬼は人間しかならないはずじゃ」
吸血鬼になるのは人間だけ。
とある国が昔、中位吸血鬼を生きたまま捕縛することに成功し、その生態を研究した結果、吸血鬼について様々なことが判った。
その一つに、理由は分からないが、人間以外の生物は吸血鬼にならないことが判明した。
「研究の成果とだけ言っておこう。不死の王になるための実験の成果の一つ。
素体は普通の猿だったが、私の実験によって大鬼や飛竜に匹敵するほどの強さになった。それだけではない。吸血鬼の弱点も克服しつつある。
研究が完成した暁には、私もまた弱点を克服、いや、超克することとなるのだ」
大鬼や飛竜。と言うことは、ノギー村での人狼部隊隊長カルロと同じ、ランクCか。
さすがにこれはまずい。
ランクBのカーマイルと、ランクCの魔物を同時に相手にするのは、私には無理だ。
逃げる方法を考えないと。
カーマイルは調子に乗ったように、私が聞いてもいないのに説明を続ける。
「吸血魔猿の利用法も考えてある。人間を吸血鬼に変えていては私の世界征服に思わぬ支障がでるかもしれん。適性の無い者は自我を持たない獣同然で、出来ることは待つか襲うかくらい。しかし、自我を保ってもらっても困る。自我を持つ吸血鬼は下位のように命令に従わないからな。
しかし、そいつは違う。ある程度、複雑な命令を理解し、それを順守する。しかも下位吸血鬼よりも強い。研究が進めば、吸血魔猿の大量生産も可能となるだろう。世界征服の先兵としては丁度いい。
そうそう、地下にいた吸血鬼はだいたいランクDだ。下位吸血鬼を実験体にしたもので、弱点の効果が薄くなった。しかし、どういうわけか視力を失い、しかも命令にもほとんど従わなくなってしまってな。待つように命令しても、人間を認識すると命令を無視して襲ってしまう。だから落とし穴に落ちた人間を始末させるよう、地下に置いたのだが、どうやら倒したようだな。
しかし、この吸血魔猿は倒せるかな。見物させてもらうとしよう」
敵役らしくムカつく態度で余裕をかましているカーマイル。
大猿一匹に私の相手をさせるつもりらしい。
いいわよ、やってやろうじゃない。
ラーズさまたちがいなくても、こんな猿一匹くらい倒して見せる。
私は硬質銀の短剣を構えた。
「フシュー……フシュー……」
歯の隙間から息を出す音を立てる吸血魔猿は、少しずつ近づいて来る。
落ち着いて、動きをよく見るのよ。
「ギョエッ!」
奇声を上げて飛びかかってくる猿を、私は屈んで回避し、そして体を捻って、その腹に短剣を刺した。
「ギュアアア!」
悲鳴を上げて床を転がる吸血魔猿。
しかし、すぐに立ち上がって、腹に刺さった短剣を引き抜き、後方の床に捨てた。
「フフフ。言っただろう。弱点を克服しつつあると。確かに痛手を負わせることはできた。それは褒めてやる。しかし、その程度で吸血魔猿は滅ぶことはない」
余裕を見せつけるように、解説しているカーマイル。
なら、これはどう?
「氷風投槍!」
中級魔法、大気切断と水氷投槍の合成魔法。
アドラ王国に来るまでに練習して成功したものの一つ。
みんなには聞こえなかった謎の声を聞いて、まるでレベルアップしたかのような現象を体験してから、私は新たな合成魔法の練習に励んだのだ。
「ギイッ!」
カマイタチを纏った氷の槍を、吸血魔猿は回避しようとしたけど、完全には避けきれず、右腕に命中。
「ギアッ! ギアッ! ギアッ!」
ズタズタになった右腕を抑えて悲鳴を上げ、飛び跳ねる吸血魔猿。
よし。
これで、かなりダメージを負わせた。
いける。
こんな猿さっさと倒してやる。
「それは合成魔法か!?」
カーマイルが驚愕の声を上げる。
「では貴様はあの女が言っていた聖女なのか!?」
どういうこと?
白剣歯虎に続いて、カーマイルまで私の事を聖女と言いだした。
それに あの女って誰?
「おのれ! 完全回復薬の調合法が狙いか!」
カーマイルは身を翻すと、階段を駆け上がって扉の向こうに姿を消した。
追いかけようか迷ったけど、吸血魔猿を倒すのが先と、私は判断した。
吸血魔猿は牙を剥き出しにして私に飛びかかってくる。
私は氷風投槍で迎撃しようとした。
だけど、吸血魔猿は跳躍して、今度はそれを完全に回避し、天井に張り付く。
「ギュイイイ!」
今度は私が魔法を行使するより早く、横へ跳ぶ吸血魔猿。
さらに床に着地すると同時に跳躍して、私の頭上を飛び越え、そのさい私の頭を足蹴りにした。
体重が乗っていなかったからダメージにはならなかったけど、なんかムカつく。
吸血魔猿はそのまま走って壁を踏み台にし、天井すれすれまで跳ぶ。
宙に浮いている今がチャンス。
「氷風投槍!」
しかし吸血魔猿は天井を蹴って、また回避した。
古代都市ガラモの魔猿もそうだったけど、猿ってどうしてこうすばしっこいのよ。
最初の攻撃が一応命中したのは、まぐれだったっていうの?
落ちつけ、私。
他の方法で行こう。
練習したのは合成魔法だけじゃない。
ラーズさまができたんだから、私にもできるはずと、練習したのだ。
それに、原理は合成魔法と同じ。
「大気切断・連撃!」
八つのカマイタチを発生させる。
私が同時行使できる魔法では最大の魔法。
欠点は、一つ一つ使うよりも魔力の消費が激しくなること。
ラーズさまのように膨大な魔力を持っているのなら問題はないのだろうけど、単純な魔力量は平凡な私には少し厳しい。
でも、これは避けられないでしょう!
吸血魔猿は迫り来るカマイタチを横に走って回避しようとしたが、最後の二つが後ろ足に命中した。
「ウギャ!」
後ろ両足が切断された吸血魔猿は、唯一無事な左手で這って私から離れようとしている。
「ウギー……ウギー……」
とどめだ!
私は床に転がっている硬質銀の短剣を急いで拾うと、吸血魔猿の脳天に突き刺した。
「ギア!」
いくら弱点の銀の効果が薄いと言っても、頭に刺されて平気でいられる!?
「ウギギギギギ!」
痙攣する吸血魔猿。
その動きが静かになり、やがて完全に沈黙し、そして短剣を突き刺した脳天の部分から灰になり始めた。
やった。
大鬼に匹敵するとカーマイルが豪語していた吸血魔猿を、ラーズさまたちの助けもなく、私が一人で倒した。
この調子よ、クレア。
この調子でカーマイルも倒してやる。
そして完全回復薬の調合法を手に入れて、それから白状させるのよ。
なぜ私を聖女と呼んだのか。
あの女とはいったい何者なのか。
私は階段を上がった。
ゲームでは、吸血鬼カーマイル・ロザボスイとの戦いは、完全回復薬の入手のイベントとして、終盤の最初辺りで発生する。
普通に購入できた回復薬や、回復魔法では追いつかなくなり始める頃で、このイベントをクリアしないと、その先の戦闘が難しくなる。
最上階である五階でカーマイルを倒した後、四階の研究室を調べると、完全回復薬の調合法を記した手帳が入手できる。
それを街の錬金術師に渡すと、完全回復薬を作ってくれるようになるのだ。
ちなみにカーマイルは、魔王バルザックの配下ではなく、むしろ敵対している。
ゲームでは、
「バルザック如きにこの私が従うものか! 私こそが世界の支配者に相応しき存在! 不死の王カーマイルなのだ!」
と言って戦闘が始まる。
現実ではどうなるのだろう?
しばらく進むと、階段を発見した。
私は階段を上がって、奥の扉を開ける。
広い部屋だ。
壁に剣や槍が並び、燭台も備え付けられている。
わたしは松明の火を蝋燭に移し、改めて見渡した。
鍛錬場。
城の右側に位置する一階の部屋で、かつては兵士が訓練をしていた場所。
奥に二階へ続く階段がある。
玄関大広間への扉は鍵がかかっていて開かない。
普段から服に仕込んでおいた針金で解錠を試みたけど、ダメだった。
この扉の鍵、簡単には開けられない特別製みたい。
ここからラーズさまたちと合流するのは無理なようだ。
しかたない、二階へ進もう。
そう思った時、階段の扉が開き、茶色のなにかが飛び出してきた。
「ギュイイイ!」
猿?!
一メートル半はある大猿が、牙を剥き出しにして私に威嚇している。
その牙が普通の猿より明らかに大きく、目が禍々しく紅い。
「まさか……」
「フフフ。どうだね? 私の可愛いペットは」
長身痩躯の見た目は若い男が階段をゆっくりと降りてきた。
吸血鬼カーマイル・ロザボスイ。
「どうやって猿を吸血鬼にしたの? 吸血鬼は人間しかならないはずじゃ」
吸血鬼になるのは人間だけ。
とある国が昔、中位吸血鬼を生きたまま捕縛することに成功し、その生態を研究した結果、吸血鬼について様々なことが判った。
その一つに、理由は分からないが、人間以外の生物は吸血鬼にならないことが判明した。
「研究の成果とだけ言っておこう。不死の王になるための実験の成果の一つ。
素体は普通の猿だったが、私の実験によって大鬼や飛竜に匹敵するほどの強さになった。それだけではない。吸血鬼の弱点も克服しつつある。
研究が完成した暁には、私もまた弱点を克服、いや、超克することとなるのだ」
大鬼や飛竜。と言うことは、ノギー村での人狼部隊隊長カルロと同じ、ランクCか。
さすがにこれはまずい。
ランクBのカーマイルと、ランクCの魔物を同時に相手にするのは、私には無理だ。
逃げる方法を考えないと。
カーマイルは調子に乗ったように、私が聞いてもいないのに説明を続ける。
「吸血魔猿の利用法も考えてある。人間を吸血鬼に変えていては私の世界征服に思わぬ支障がでるかもしれん。適性の無い者は自我を持たない獣同然で、出来ることは待つか襲うかくらい。しかし、自我を保ってもらっても困る。自我を持つ吸血鬼は下位のように命令に従わないからな。
しかし、そいつは違う。ある程度、複雑な命令を理解し、それを順守する。しかも下位吸血鬼よりも強い。研究が進めば、吸血魔猿の大量生産も可能となるだろう。世界征服の先兵としては丁度いい。
そうそう、地下にいた吸血鬼はだいたいランクDだ。下位吸血鬼を実験体にしたもので、弱点の効果が薄くなった。しかし、どういうわけか視力を失い、しかも命令にもほとんど従わなくなってしまってな。待つように命令しても、人間を認識すると命令を無視して襲ってしまう。だから落とし穴に落ちた人間を始末させるよう、地下に置いたのだが、どうやら倒したようだな。
しかし、この吸血魔猿は倒せるかな。見物させてもらうとしよう」
敵役らしくムカつく態度で余裕をかましているカーマイル。
大猿一匹に私の相手をさせるつもりらしい。
いいわよ、やってやろうじゃない。
ラーズさまたちがいなくても、こんな猿一匹くらい倒して見せる。
私は硬質銀の短剣を構えた。
「フシュー……フシュー……」
歯の隙間から息を出す音を立てる吸血魔猿は、少しずつ近づいて来る。
落ち着いて、動きをよく見るのよ。
「ギョエッ!」
奇声を上げて飛びかかってくる猿を、私は屈んで回避し、そして体を捻って、その腹に短剣を刺した。
「ギュアアア!」
悲鳴を上げて床を転がる吸血魔猿。
しかし、すぐに立ち上がって、腹に刺さった短剣を引き抜き、後方の床に捨てた。
「フフフ。言っただろう。弱点を克服しつつあると。確かに痛手を負わせることはできた。それは褒めてやる。しかし、その程度で吸血魔猿は滅ぶことはない」
余裕を見せつけるように、解説しているカーマイル。
なら、これはどう?
「氷風投槍!」
中級魔法、大気切断と水氷投槍の合成魔法。
アドラ王国に来るまでに練習して成功したものの一つ。
みんなには聞こえなかった謎の声を聞いて、まるでレベルアップしたかのような現象を体験してから、私は新たな合成魔法の練習に励んだのだ。
「ギイッ!」
カマイタチを纏った氷の槍を、吸血魔猿は回避しようとしたけど、完全には避けきれず、右腕に命中。
「ギアッ! ギアッ! ギアッ!」
ズタズタになった右腕を抑えて悲鳴を上げ、飛び跳ねる吸血魔猿。
よし。
これで、かなりダメージを負わせた。
いける。
こんな猿さっさと倒してやる。
「それは合成魔法か!?」
カーマイルが驚愕の声を上げる。
「では貴様はあの女が言っていた聖女なのか!?」
どういうこと?
白剣歯虎に続いて、カーマイルまで私の事を聖女と言いだした。
それに あの女って誰?
「おのれ! 完全回復薬の調合法が狙いか!」
カーマイルは身を翻すと、階段を駆け上がって扉の向こうに姿を消した。
追いかけようか迷ったけど、吸血魔猿を倒すのが先と、私は判断した。
吸血魔猿は牙を剥き出しにして私に飛びかかってくる。
私は氷風投槍で迎撃しようとした。
だけど、吸血魔猿は跳躍して、今度はそれを完全に回避し、天井に張り付く。
「ギュイイイ!」
今度は私が魔法を行使するより早く、横へ跳ぶ吸血魔猿。
さらに床に着地すると同時に跳躍して、私の頭上を飛び越え、そのさい私の頭を足蹴りにした。
体重が乗っていなかったからダメージにはならなかったけど、なんかムカつく。
吸血魔猿はそのまま走って壁を踏み台にし、天井すれすれまで跳ぶ。
宙に浮いている今がチャンス。
「氷風投槍!」
しかし吸血魔猿は天井を蹴って、また回避した。
古代都市ガラモの魔猿もそうだったけど、猿ってどうしてこうすばしっこいのよ。
最初の攻撃が一応命中したのは、まぐれだったっていうの?
落ちつけ、私。
他の方法で行こう。
練習したのは合成魔法だけじゃない。
ラーズさまができたんだから、私にもできるはずと、練習したのだ。
それに、原理は合成魔法と同じ。
「大気切断・連撃!」
八つのカマイタチを発生させる。
私が同時行使できる魔法では最大の魔法。
欠点は、一つ一つ使うよりも魔力の消費が激しくなること。
ラーズさまのように膨大な魔力を持っているのなら問題はないのだろうけど、単純な魔力量は平凡な私には少し厳しい。
でも、これは避けられないでしょう!
吸血魔猿は迫り来るカマイタチを横に走って回避しようとしたが、最後の二つが後ろ足に命中した。
「ウギャ!」
後ろ両足が切断された吸血魔猿は、唯一無事な左手で這って私から離れようとしている。
「ウギー……ウギー……」
とどめだ!
私は床に転がっている硬質銀の短剣を急いで拾うと、吸血魔猿の脳天に突き刺した。
「ギア!」
いくら弱点の銀の効果が薄いと言っても、頭に刺されて平気でいられる!?
「ウギギギギギ!」
痙攣する吸血魔猿。
その動きが静かになり、やがて完全に沈黙し、そして短剣を突き刺した脳天の部分から灰になり始めた。
やった。
大鬼に匹敵するとカーマイルが豪語していた吸血魔猿を、ラーズさまたちの助けもなく、私が一人で倒した。
この調子よ、クレア。
この調子でカーマイルも倒してやる。
そして完全回復薬の調合法を手に入れて、それから白状させるのよ。
なぜ私を聖女と呼んだのか。
あの女とはいったい何者なのか。
私は階段を上がった。
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