80 / 94
三章・いきなりですが冒険編
聖女の愛
しおりを挟む
わたしたちは大魔宮殿を進んで行くと、ふと気になる物を発見した。
通路の脇にある小さな扉。
その上には 「大魔王 秘密のお部屋・絶対立ち入り禁止」 と書かれたプレート。
中隊長さんは首を傾げる。
「なんだ これは?」
兄貴も怪訝に、
「あからさまに怪しいでござるが」
わたしは、
「入っちゃいましょう」
とドアノブに手をかけた。
入るなと言われれば 入りたくなるのが人間の性。
鍵も開いておらず、すんなり入れる。
中は、酷い有様だった。
ゴミ袋とジャンクフードの山。
「な、なんだぃ? ヒドい部屋だヨ」
王子もドン引き。
わたしは適当に物色するが、食べ物のは全て体に悪いスナック菓子やケーキの類いばかり。
飲み物も砂糖とカロリーたっぷりの炭酸飲料とか。
わたしは大魔王に関する仮説に確信する。
「やっぱり大魔王の正体は……」
なんて私たちがやっていた頃、魔王と五鬼の戦いは終わっていた。
魔王たちは無傷。
しかしチェスの炉歩徒は全て大破。
「ふっ、こんなものだろう」
余裕の魔王に、五鬼たちが集まる。
魔鬼が魔王に、
「お怪我は?」
「かすり傷一つも無いわ。これならば、今からでも聖女と大魔王の戦いに参戦できるかもしれんな」
獣鬼が嬉しそうに、
「なら、もう一暴れできるわけか」
他の鬼も嬉しそう。
その時だった。
周囲に巨大な魔方陣が出現。
中心にいた魔王たちを包み込む。
「なんだ!?」
そして魔方陣内部で物凄まじい力の奔流が発生した。
「「「「「うぉおおおおお!!!!!」」」」」
五鬼たちが力を集約し、力の奔流を押し返す。
魔王はいらだたしげに、
「おのれ! トラップか! 炉歩徒がやけに弱いと思っていたが、これが狙いだったか!」
魔鬼が、
「魔王さま! 我々が押し返している間に脱出してくださいませ!」
「しかし おまえたちはどうなる!?」
「兄弟のために死ねるなら本望!」
「ならん! 命を無駄に捨てることなど許さぬ!」
「しかし それでは貴方が!」
「……これを使うぞ」
魔王は懐からある物を取り出した。
核爆弾である。
「これで力の奔流と吹き飛ばす。大魔王との戦いで切り札として使うつもりだったが、やむを得まい」
「ですが、上手くいくでしょうか?」
「分からぬ。だが、やるしかない」
大魔王は核爆弾に力を注ぎ込み始めた。
「いいか、核爆発で力の奔流を吹き飛ばす。魔方陣の効果で核爆発の威力は大幅に抑えられ、聖女たちに被害は出ない。しかし、我々が助かるか否かはタイミング次第。覚悟は良いな」
「「「「「応!!!!!」」」」」
そして核爆発が起きた。
力の奔流を押し返し、一瞬静寂が訪れる。
「今だ!!」
五鬼たちが一斉に散った。
そして次の瞬間、再び力の奔流が発生した。
獣鬼が喜ぶ。
「やったぞ。脱出に成功した」
しかし戦鬼が、
「待て! 魔王さまが!」
魔王は、
「うぉおおおおお!!」
まだ魔方陣の中だった。
「しくじった! 核爆発を起こすために力を使ったため、タイミングを逃してしまった」
「「「「「魔王さま!!!!!」」」」」
「俺はもうダメだ! おまえたちは聖女のところへ行け! 聖女と共に大魔王を打ち倒すのだ!」
しかし五鬼たちは諦めなかった。
一斉に魔方陣に攻撃を開始した。
獣鬼が叫ぶ。
「諦めるな! 魔王さま!」
魔鬼が、
「そうです! 聖女に救われた命を捨ててはなりません!」
「お、おまえたち……」
そうだ。
聖女に救われた この命、安易に諦めてはならぬ。
「うぉおおおおお!!!」
その時だった、魔王の真の力が覚醒した。
聖女の力によって覚醒した力が、さらなる覚醒を起こした。
すなわち聖女の力を二重に使った状態。
力の奔流と共に、魔方陣が消し飛んだ。
そして凪の如き静寂。
「「「「「魔王さま!?」」」」」
集まる五鬼に魔王は語る。
「聖女の愛が二度も俺を救ってくれた」
悪友はわたしに聞く。
「ホントーの所はどうなの?」
「いや、そんなつもりは一ミリもなかったんだけど」
「誤解させちゃって、これからどうすんのよ?」
通路の脇にある小さな扉。
その上には 「大魔王 秘密のお部屋・絶対立ち入り禁止」 と書かれたプレート。
中隊長さんは首を傾げる。
「なんだ これは?」
兄貴も怪訝に、
「あからさまに怪しいでござるが」
わたしは、
「入っちゃいましょう」
とドアノブに手をかけた。
入るなと言われれば 入りたくなるのが人間の性。
鍵も開いておらず、すんなり入れる。
中は、酷い有様だった。
ゴミ袋とジャンクフードの山。
「な、なんだぃ? ヒドい部屋だヨ」
王子もドン引き。
わたしは適当に物色するが、食べ物のは全て体に悪いスナック菓子やケーキの類いばかり。
飲み物も砂糖とカロリーたっぷりの炭酸飲料とか。
わたしは大魔王に関する仮説に確信する。
「やっぱり大魔王の正体は……」
なんて私たちがやっていた頃、魔王と五鬼の戦いは終わっていた。
魔王たちは無傷。
しかしチェスの炉歩徒は全て大破。
「ふっ、こんなものだろう」
余裕の魔王に、五鬼たちが集まる。
魔鬼が魔王に、
「お怪我は?」
「かすり傷一つも無いわ。これならば、今からでも聖女と大魔王の戦いに参戦できるかもしれんな」
獣鬼が嬉しそうに、
「なら、もう一暴れできるわけか」
他の鬼も嬉しそう。
その時だった。
周囲に巨大な魔方陣が出現。
中心にいた魔王たちを包み込む。
「なんだ!?」
そして魔方陣内部で物凄まじい力の奔流が発生した。
「「「「「うぉおおおおお!!!!!」」」」」
五鬼たちが力を集約し、力の奔流を押し返す。
魔王はいらだたしげに、
「おのれ! トラップか! 炉歩徒がやけに弱いと思っていたが、これが狙いだったか!」
魔鬼が、
「魔王さま! 我々が押し返している間に脱出してくださいませ!」
「しかし おまえたちはどうなる!?」
「兄弟のために死ねるなら本望!」
「ならん! 命を無駄に捨てることなど許さぬ!」
「しかし それでは貴方が!」
「……これを使うぞ」
魔王は懐からある物を取り出した。
核爆弾である。
「これで力の奔流と吹き飛ばす。大魔王との戦いで切り札として使うつもりだったが、やむを得まい」
「ですが、上手くいくでしょうか?」
「分からぬ。だが、やるしかない」
大魔王は核爆弾に力を注ぎ込み始めた。
「いいか、核爆発で力の奔流を吹き飛ばす。魔方陣の効果で核爆発の威力は大幅に抑えられ、聖女たちに被害は出ない。しかし、我々が助かるか否かはタイミング次第。覚悟は良いな」
「「「「「応!!!!!」」」」」
そして核爆発が起きた。
力の奔流を押し返し、一瞬静寂が訪れる。
「今だ!!」
五鬼たちが一斉に散った。
そして次の瞬間、再び力の奔流が発生した。
獣鬼が喜ぶ。
「やったぞ。脱出に成功した」
しかし戦鬼が、
「待て! 魔王さまが!」
魔王は、
「うぉおおおおお!!」
まだ魔方陣の中だった。
「しくじった! 核爆発を起こすために力を使ったため、タイミングを逃してしまった」
「「「「「魔王さま!!!!!」」」」」
「俺はもうダメだ! おまえたちは聖女のところへ行け! 聖女と共に大魔王を打ち倒すのだ!」
しかし五鬼たちは諦めなかった。
一斉に魔方陣に攻撃を開始した。
獣鬼が叫ぶ。
「諦めるな! 魔王さま!」
魔鬼が、
「そうです! 聖女に救われた命を捨ててはなりません!」
「お、おまえたち……」
そうだ。
聖女に救われた この命、安易に諦めてはならぬ。
「うぉおおおおお!!!」
その時だった、魔王の真の力が覚醒した。
聖女の力によって覚醒した力が、さらなる覚醒を起こした。
すなわち聖女の力を二重に使った状態。
力の奔流と共に、魔方陣が消し飛んだ。
そして凪の如き静寂。
「「「「「魔王さま!?」」」」」
集まる五鬼に魔王は語る。
「聖女の愛が二度も俺を救ってくれた」
悪友はわたしに聞く。
「ホントーの所はどうなの?」
「いや、そんなつもりは一ミリもなかったんだけど」
「誤解させちゃって、これからどうすんのよ?」
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です

(完)なにも死ぬことないでしょう?
青空一夏
恋愛
ジュリエットはイリスィオス・ケビン公爵に一目惚れされて子爵家から嫁いできた美しい娘。イリスィオスは初めこそ優しかったものの、二人の愛人を離れに住まわせるようになった。
悩むジュリエットは悲しみのあまり湖に身を投げて死のうとしたが死にきれず昏睡状態になる。前世を昏睡状態で思い出したジュリエットは自分が日本という国で生きていたことを思い出す。還暦手前まで生きた記憶が不意に蘇ったのだ。
若い頃はいろいろな趣味を持ち、男性からもモテた彼女の名は真理。結婚もし子供も産み、いろいろな経験もしてきた真理は知っている。
『亭主、元気で留守がいい』ということを。
だったらこの状況って超ラッキーだわ♪ イケてるおばさん真理(外見は20代前半のジュリエット)がくりひろげるはちゃめちゃコメディー。
ゆるふわ設定ご都合主義。気分転換にどうぞ。初めはシリアス?ですが、途中からコメディーになります。中世ヨーロッパ風ですが和のテイストも混じり合う異世界。
昭和の懐かしい世界が広がります。懐かしい言葉あり。解説付き。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

罠に嵌められたのは一体誰?
チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。
誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。
そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。
しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでのこと。
……やっぱり、ダメだったんだ。
周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間でもあった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表する。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放。そして、国外へと運ばれている途中に魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※毎週土曜日の18時+気ままに投稿中
※プロットなしで書いているので辻褄合わせの為に後から修正することがあります。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる