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三章・いきなりですが冒険編
さも当然のように
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わたしたちは北極大陸にて、大魔封陣のセッティグを完了した。
賢姫さまが無線で合図をする。
「開始してください」
五つの魔方陣に配置した、それぞれの破邪の戦士が力を解放する。
それは大魔宮殿を中心として、巨大な魔方陣を形成。
魔方陣内部の魔が払われ、大魔宮殿の結界が消失した。
兵士たちが一斉に快哉の声を上げる。
「「「やったぞ!!!」」」
みんなはいったん集まる。
「さあ、みなさん。大魔宮殿にもう一度乗り込みましょう。今度こそ、大魔王を倒せます」
みんなは力強く頷いた。
「あのー、ちょっと 良いですか」
オッサンが手を上げた。
「実は 聖女さまに、お伝えしなければならないことがありますです」
わたしは考えていたセリフを先に言った。
「ごめんなさい。貴方の気持ちは全身全霊 拒否させていただきます」
オッサンは心底 怪訝に首を傾げた。
「なんの話ですか?」
「私のことが好きだって言う話でしょう。実は裏庭で大魔道士さまと話しているのを偶然聞いてしまって。残念でも何でもありませんが、貴方の気持ちには全力で応えません」
「僕が聖女さまのこと好きだなんて、そんなわけないじゃないですか」
さも当然のように言うオッサン。
「え? 違うんですか?」
「聖女さまって何気に腹黒くて、ちょっと怖いというか。それに けっこう暴力的ですし、性格悪いですし、僕も嫌です」
「なんかボロクソに言ってくれてますけど、じゃあ何の話なんです?」
あの話で恋バナではないとしたら なに?
オッサンは申し訳なさそうに、
「すいませんです。僕、ここで旅から外れさせていただきますです」
わたしは理解できなかった。
「え? なに言ってるんですか? 今から決戦ですよ」
「わかってますです。これで本当に最後の戦いです。そして大魔王を倒せば英雄になれるんです。英雄になれば世界中の女の人が僕の童貞を欲しがりますです。童貞卒業した後も、何人もの女の人をとっかえひっかえできますです。
でも、でも……」
オッサンはボロボロと泣き出した。
「怖くて足が動いてくれないんです。ずっと怖かったのを我慢していましたです。だから根性を出してるのに、気合いを入れてるのに、とうとう足が進んでくれなくなっちゃったんです。
情けないですよね。あともう少しなのに。童貞卒業まであと少しなのに。でもダメなんです。
こんな僕は一生 童貞です。でも しかたないです。こんな臆病者なんですから。
みなさん、頑張ってくださいです」
わたしはオッサンの手を握った。
「貴方が臆病なのは知っています。
でも、貴方はいつも勇気を出して、わたしたちと一緒に戦ってくれた。
あなたは、勇気ある臆病者です。
でも、もう十分です。
いままで ありがとうございました」
「……聖女さま……」
こうしてオッサンは、最後の戦いを目前として、パーティーから離脱した。
でも、オッサンを責める人は誰もいなかった。
わたしはみんなに伝える。
「さあ、今まで勇気を振り絞って戦ってくれた臆病者のためにも、必ず勝利しましょう」
こうしてオッサンの勇気を受けて、私たちは大魔宮殿へ乗り込んだ。
悪友は心底疑いの目で聞いてきた。
「で、ホントはどう思ってたの?」
「一生 童貞で当然だろうなって思ってた。やばかったわー。あの オッサン、盛り上がってるところに水を差すこと言い出すんだもの。ごまかしてなかったら士気がだだ下がりだったわ」
「そんなことだろうと思ったわ」
賢姫さまが無線で合図をする。
「開始してください」
五つの魔方陣に配置した、それぞれの破邪の戦士が力を解放する。
それは大魔宮殿を中心として、巨大な魔方陣を形成。
魔方陣内部の魔が払われ、大魔宮殿の結界が消失した。
兵士たちが一斉に快哉の声を上げる。
「「「やったぞ!!!」」」
みんなはいったん集まる。
「さあ、みなさん。大魔宮殿にもう一度乗り込みましょう。今度こそ、大魔王を倒せます」
みんなは力強く頷いた。
「あのー、ちょっと 良いですか」
オッサンが手を上げた。
「実は 聖女さまに、お伝えしなければならないことがありますです」
わたしは考えていたセリフを先に言った。
「ごめんなさい。貴方の気持ちは全身全霊 拒否させていただきます」
オッサンは心底 怪訝に首を傾げた。
「なんの話ですか?」
「私のことが好きだって言う話でしょう。実は裏庭で大魔道士さまと話しているのを偶然聞いてしまって。残念でも何でもありませんが、貴方の気持ちには全力で応えません」
「僕が聖女さまのこと好きだなんて、そんなわけないじゃないですか」
さも当然のように言うオッサン。
「え? 違うんですか?」
「聖女さまって何気に腹黒くて、ちょっと怖いというか。それに けっこう暴力的ですし、性格悪いですし、僕も嫌です」
「なんかボロクソに言ってくれてますけど、じゃあ何の話なんです?」
あの話で恋バナではないとしたら なに?
オッサンは申し訳なさそうに、
「すいませんです。僕、ここで旅から外れさせていただきますです」
わたしは理解できなかった。
「え? なに言ってるんですか? 今から決戦ですよ」
「わかってますです。これで本当に最後の戦いです。そして大魔王を倒せば英雄になれるんです。英雄になれば世界中の女の人が僕の童貞を欲しがりますです。童貞卒業した後も、何人もの女の人をとっかえひっかえできますです。
でも、でも……」
オッサンはボロボロと泣き出した。
「怖くて足が動いてくれないんです。ずっと怖かったのを我慢していましたです。だから根性を出してるのに、気合いを入れてるのに、とうとう足が進んでくれなくなっちゃったんです。
情けないですよね。あともう少しなのに。童貞卒業まであと少しなのに。でもダメなんです。
こんな僕は一生 童貞です。でも しかたないです。こんな臆病者なんですから。
みなさん、頑張ってくださいです」
わたしはオッサンの手を握った。
「貴方が臆病なのは知っています。
でも、貴方はいつも勇気を出して、わたしたちと一緒に戦ってくれた。
あなたは、勇気ある臆病者です。
でも、もう十分です。
いままで ありがとうございました」
「……聖女さま……」
こうしてオッサンは、最後の戦いを目前として、パーティーから離脱した。
でも、オッサンを責める人は誰もいなかった。
わたしはみんなに伝える。
「さあ、今まで勇気を振り絞って戦ってくれた臆病者のためにも、必ず勝利しましょう」
こうしてオッサンの勇気を受けて、私たちは大魔宮殿へ乗り込んだ。
悪友は心底疑いの目で聞いてきた。
「で、ホントはどう思ってたの?」
「一生 童貞で当然だろうなって思ってた。やばかったわー。あの オッサン、盛り上がってるところに水を差すこと言い出すんだもの。ごまかしてなかったら士気がだだ下がりだったわ」
「そんなことだろうと思ったわ」
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