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二章・色々な日々
頑張ってねー
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「シクシク、シクシク。ヒドイじゃない。寒くて冷たい牢屋に一ヶ月間も」
悪友は泣いて同情を惹こうとしているが、わたしにそんな嘘泣きは通用しない。
「あんた少しは反省しなさい」
悪友は牢屋の中で一ヶ月間すごしていたが、わたしの口添えで釈放された。
中隊長さんには、わたしの護衛専門の部隊を設立し、その諜報班に悪友を入れたいと言っておいた。
受付とはいえ、冒険者ギルドのメンバーの一人だから、色々役に立つだろうと。
中隊長さんは悪友が裏切ることを心配していたが、もしそうなったら今度は刑務所に入れる。
一生 刑務所の中で過ごすか、わたしの役に立つか、二つに一つだ。
悪友は承諾するしかなかった。
「じゃあ、早速仕事よ」
実は わたしは中隊長さんにデートに誘われた。
中隊長さんは普通の男女のデートを私にさせてあげたいからとのことだが、問題は中隊長さんがどこまで進めるつもりなのかという事だ。
いくらなんでも最後までイクつもりじゃないとは思うけれど、キスぐらいは狙っているかもしれない。
汚された身という大嘘がばれないためには、いきなりそんなことを許してはいけない。
全力で回避しないと。
「デートを断ればいいじゃない」
「それはそれで不自然でしょ。私は立ち直ろうとしているってことになってるのに、デートを断り続けるなんて、それこそおかしいわよ」
「で、私に中隊長さんのデートプランを調べてこいと」
「その通りよ。どこでなにをするのか事前に分かっていれば、対策も立てられるでしょ」
「まあ、調べるのは簡単だけど、でも それじゃ問題の解決にならないわよ」
「どうしてよ?」
「中隊長さん、あんたと結婚にこぎつけるつもりなんでしょ。一回ダメだったからって、それで諦めるわけないじゃない。今回がダメだったら次を狙ってくるに決まってる。デートは一回で終わりじゃないのよ」
「いや、それはそうだけど」
「だから対処療法的な戦法はだめよ。根本的に戦略を変えないと」
「変えるって、どうするのよ?」
「ヒロインを誘いなさい」
「は? デートに他の女を誘うの?」
「そうよ。いわゆる、デートはするけど友達止まり作戦。
つまり、デートに友達を連れて行けば、二人の仲が進展することは絶対にあり得ないのよ。
すぐ隣に他の友達がいれば良い雰囲気になることはないわけ」
「なるほど」
「ヒロインだけじゃなくて、護衛も連れ行くのも良いわね。人数が多ければ多いほど効果的よ」
「わかった! その作戦で行ってみる!」
「頑張ってねー」
悪役令嬢に転生した彼女は、私の口先の作戦にあっさり納得した。
チョロイ。
これで中隊長さんのデートプランを調べるなんて面倒なことはしなくて済む。
中隊長さんが本気でこの女との結婚を狙っているなら、ヒロインがいる程度でひるんだりしないだろうけど、それで大嘘だった事がばれても、まあ私の知ったこっちゃないしー。
アハハハー。
デート当日。
「と、いうわけで、彼女たちも一緒でよろしいでしょうか?」
わたしは二人きりだと不安だと言って、護衛の他にヒロインちゃんを連れてきた。
「もちろん良いとも」
中隊長さんとヒロインちゃんはお互い笑顔で挨拶する。
「君とこうして合うのは初めてだね」
「初めまして。今日はよろしくお願いします」
そしてヒロインちゃんは中隊長さんの耳元で何かささやいた。
なんだろう?
中隊長さんはヒロインちゃんに笑顔で、
「よろしく頼むよ」
おや?
初対面なのにもう仲良くなっているような感じが……
中隊長さんは わたしに笑顔で、
「では、行こうか」
ま、いいか。
今はデートのことだ。
「はい! がんばるぞー!」
一線は死守してみせる!
さて、ここでデートのメンバーを紹介しよう。
悪役令嬢こと わたし。
中隊長さん。
正統派ヒロインちゃん。
そして護衛の三十二歳のゴリラクリソツの屈強な双子の女性が二人。
失礼だと思ってはいるが、わたしは心の中でツインメスゴリラと呼んでいる。
容赦なく心の中でそう呼んでいる。
なぜなら彼女たちは既婚者だからだ。
なぜか金持ちのイケメンと結婚し、それぞれ子供を二人も儲けた。
人生 勝ち組だ。
だから「おーおー幸せだねーコンチクショー」と僻みも入れて心の中でツインメスゴリラと呼ぶことにした。
わたしが子供の頃から護衛をしてくれていて、結婚して子供も産んだのだから引退しても良いのだが、
「「お嬢様は私たちがお守りいたします」」
と言って、今でも護衛の任を続けてくれている。
忠義を尽くしてくれているツインメスゴリラだ。
感激だ。
だから、ツインメスゴリラと口で呼ぶことだけはしない。
心の中にとどめている。
ともかく、ヒロインちゃんの他にもこんな屈強な女性が二人もいたら、わたしと中隊長さんが良い雰囲気になることはあり得ないだろう。
デートの場所は遊園地。
中隊長さん、考えたわね。
遊園地は限定された空間。
だから長時間歩く街中とは違い、疲労度は少なくすむだろう。
だが、そんなにたくさん移動するわけではないのに、アトラクションがたくさんあるから飽きることがない。
レストランエリアもあるから、弁当を持参する必要もなく、またこの遊園地のレストランは結構美味しい。
しかも 今日は平日。
中隊長さんはデートのために有休を使って平日を選んだ。
これなら長蛇の列ができることはなくスムーズに遊べる。
さらに付け加えるなら、もしアクシデントが発生して離ればなれになることがあっても、街中なら見つけることは不可能に近いが、遊園地なら園内放送で呼びかけてもらえば、すぐに再合流することができる。
計算し尽くしている。
でも、思惑通りにはいかないわよ。
一線は死守してみせる。
さあ中隊長さん、勝負よ!
悪友は泣いて同情を惹こうとしているが、わたしにそんな嘘泣きは通用しない。
「あんた少しは反省しなさい」
悪友は牢屋の中で一ヶ月間すごしていたが、わたしの口添えで釈放された。
中隊長さんには、わたしの護衛専門の部隊を設立し、その諜報班に悪友を入れたいと言っておいた。
受付とはいえ、冒険者ギルドのメンバーの一人だから、色々役に立つだろうと。
中隊長さんは悪友が裏切ることを心配していたが、もしそうなったら今度は刑務所に入れる。
一生 刑務所の中で過ごすか、わたしの役に立つか、二つに一つだ。
悪友は承諾するしかなかった。
「じゃあ、早速仕事よ」
実は わたしは中隊長さんにデートに誘われた。
中隊長さんは普通の男女のデートを私にさせてあげたいからとのことだが、問題は中隊長さんがどこまで進めるつもりなのかという事だ。
いくらなんでも最後までイクつもりじゃないとは思うけれど、キスぐらいは狙っているかもしれない。
汚された身という大嘘がばれないためには、いきなりそんなことを許してはいけない。
全力で回避しないと。
「デートを断ればいいじゃない」
「それはそれで不自然でしょ。私は立ち直ろうとしているってことになってるのに、デートを断り続けるなんて、それこそおかしいわよ」
「で、私に中隊長さんのデートプランを調べてこいと」
「その通りよ。どこでなにをするのか事前に分かっていれば、対策も立てられるでしょ」
「まあ、調べるのは簡単だけど、でも それじゃ問題の解決にならないわよ」
「どうしてよ?」
「中隊長さん、あんたと結婚にこぎつけるつもりなんでしょ。一回ダメだったからって、それで諦めるわけないじゃない。今回がダメだったら次を狙ってくるに決まってる。デートは一回で終わりじゃないのよ」
「いや、それはそうだけど」
「だから対処療法的な戦法はだめよ。根本的に戦略を変えないと」
「変えるって、どうするのよ?」
「ヒロインを誘いなさい」
「は? デートに他の女を誘うの?」
「そうよ。いわゆる、デートはするけど友達止まり作戦。
つまり、デートに友達を連れて行けば、二人の仲が進展することは絶対にあり得ないのよ。
すぐ隣に他の友達がいれば良い雰囲気になることはないわけ」
「なるほど」
「ヒロインだけじゃなくて、護衛も連れ行くのも良いわね。人数が多ければ多いほど効果的よ」
「わかった! その作戦で行ってみる!」
「頑張ってねー」
悪役令嬢に転生した彼女は、私の口先の作戦にあっさり納得した。
チョロイ。
これで中隊長さんのデートプランを調べるなんて面倒なことはしなくて済む。
中隊長さんが本気でこの女との結婚を狙っているなら、ヒロインがいる程度でひるんだりしないだろうけど、それで大嘘だった事がばれても、まあ私の知ったこっちゃないしー。
アハハハー。
デート当日。
「と、いうわけで、彼女たちも一緒でよろしいでしょうか?」
わたしは二人きりだと不安だと言って、護衛の他にヒロインちゃんを連れてきた。
「もちろん良いとも」
中隊長さんとヒロインちゃんはお互い笑顔で挨拶する。
「君とこうして合うのは初めてだね」
「初めまして。今日はよろしくお願いします」
そしてヒロインちゃんは中隊長さんの耳元で何かささやいた。
なんだろう?
中隊長さんはヒロインちゃんに笑顔で、
「よろしく頼むよ」
おや?
初対面なのにもう仲良くなっているような感じが……
中隊長さんは わたしに笑顔で、
「では、行こうか」
ま、いいか。
今はデートのことだ。
「はい! がんばるぞー!」
一線は死守してみせる!
さて、ここでデートのメンバーを紹介しよう。
悪役令嬢こと わたし。
中隊長さん。
正統派ヒロインちゃん。
そして護衛の三十二歳のゴリラクリソツの屈強な双子の女性が二人。
失礼だと思ってはいるが、わたしは心の中でツインメスゴリラと呼んでいる。
容赦なく心の中でそう呼んでいる。
なぜなら彼女たちは既婚者だからだ。
なぜか金持ちのイケメンと結婚し、それぞれ子供を二人も儲けた。
人生 勝ち組だ。
だから「おーおー幸せだねーコンチクショー」と僻みも入れて心の中でツインメスゴリラと呼ぶことにした。
わたしが子供の頃から護衛をしてくれていて、結婚して子供も産んだのだから引退しても良いのだが、
「「お嬢様は私たちがお守りいたします」」
と言って、今でも護衛の任を続けてくれている。
忠義を尽くしてくれているツインメスゴリラだ。
感激だ。
だから、ツインメスゴリラと口で呼ぶことだけはしない。
心の中にとどめている。
ともかく、ヒロインちゃんの他にもこんな屈強な女性が二人もいたら、わたしと中隊長さんが良い雰囲気になることはあり得ないだろう。
デートの場所は遊園地。
中隊長さん、考えたわね。
遊園地は限定された空間。
だから長時間歩く街中とは違い、疲労度は少なくすむだろう。
だが、そんなにたくさん移動するわけではないのに、アトラクションがたくさんあるから飽きることがない。
レストランエリアもあるから、弁当を持参する必要もなく、またこの遊園地のレストランは結構美味しい。
しかも 今日は平日。
中隊長さんはデートのために有休を使って平日を選んだ。
これなら長蛇の列ができることはなくスムーズに遊べる。
さらに付け加えるなら、もしアクシデントが発生して離ればなれになることがあっても、街中なら見つけることは不可能に近いが、遊園地なら園内放送で呼びかけてもらえば、すぐに再合流することができる。
計算し尽くしている。
でも、思惑通りにはいかないわよ。
一線は死守してみせる。
さあ中隊長さん、勝負よ!
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