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破滅は回避したけれどある意味バッドエンドを迎えた転生悪役令嬢
後編
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ロザリンド達は十六歳になり、学園に入学した。
ロザリンドはヒロインを警戒したが、ヒロインはロザリンド達を気にした様子はない。ヒロインは転生者ではないようだ。おまけに攻略対象達とは無関係の婚約者がいるらしい。
(……ゲームのシナリオが変わっているわ。それなら、もしかして私は破滅して死なずに済むのかしら?)
ロザリンドは安心しつつも、少しだけ警戒はしていた。
ロザリンドは味方になってくれたアランの役に立てるよう、前世の知識を活用して様々なことを提案した。
例えば衛生面である。この世界は前世のロザリンドが暮らしていた日本よりも衛生観念が遥かに低い。よってロザリンドがアランや国王に提案して手洗いうがい、入浴を広めただけで病気になる者が年間で大きく減少した。それにより医者にかかる者は減ったが、本当に医者を必要としている者がきちんと診察を受けられるようになり年間死者数も激減した。
また、前世のロザリンドは親族に下水道処理知識を持つ者や、技術者がいた。ロザリンドは前世彼らから聞いた知識を使い、エレマン王国を発展させた。
更には国民皆保険なども提案し、ロザリンドは大活躍していた。
「ロザリンド、君は本当に素晴らしいことを思い付く。そんな君が俺の婚約者だなんて鼻が高い。だが、無理だけはしないでくれ。辛いことがあれば、俺が守るから」
学園のサロンにて、アランはそんなロザリンドに優しい眼差しを向ける。
ロザリンドとアランはソファに隣同士になり座っていた。
「ありがとうございます」
ロザリンドは安心したように表情を和らげた。
(多分破滅して処刑される道はもうなくなったはずよね)
ロザリンドはアランに体重を預け、アランはそんな彼女を優しく抱きしめた。
܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭*
衛生面の向上や改革面で評価されるロザリンドだが、彼女には大きな問題点があった。
それは同性との交流である。
ロザリンドは同世代の令嬢達とのコミュニケーションが得意ではなく、学園では孤立気味だった。アランや攻略対象、その他男性陣のお陰で完全に孤立することは防げているが、ロザリンドには同性の友人がいなかった。
おまけにロザリンドは破滅を回避することばかり気にしていた為、同世代の令嬢達とのコミュニケーションが疎かになっていたのだ。
ある日、ロザリンドが学園の廊下を歩いていると、令嬢達の話し声が聞こえた。
「皆様、ロザリンド様のことをどう思っておりますの?」
「ロザリンド様……衛生面の向上に関しては評価出来ますが……」
一人の令嬢が問いに対してそう口ごもる。
「ええ。改革面は素晴らしいと思いますわ。でも、ロザリンド様は男性としかお話しなさらないですわね」
「ロザリンド様は男性から守られてばかり。そのような方が未来の王妃だなんて。この前も、ロザリンド様は令嬢同士のトラブルに巻き込まれた時、王太子殿下に泣きついて対処してもらっておりましたのよ」
「公爵令嬢でましてや未来の王妃となるのに、社交界において自分の身を自分で守れないだなんて」
令嬢達の言葉には棘があった。
(そんな……)
ロザリンドはショックを受ける。
(どうして女の人は私のことを悪く言うの? 前世でもそうだったわ……)
ロザリンドは前世を思い出す。
ロザリンドは前世、容姿に恵まれていた。そのせいで学校の男子からは言い寄られ、女子からは嫉妬されて嫌がらせを受けて孤立していた。
だからロザリンドは同性に苦手意識を持っていたのだ。
前世の小学校時代はまだそうではなかったが、中学生になってからは同性からの嫉妬や異性から言い寄られる頻度が増えた。
高校でも同じだった。
大学でも、男子学生に囲まれて女子学生からは少し敬遠されてしまう。
だから前世のロザリンドは異性といる時間が長かった。異性なら自分に優しくしてくれるからである。
今世でもロザリンドは同性を避けて異性とばかり過ごしていたのだ。もちろん、間違いが起こらないよう側に侍女や護衛にいてもらい、異性と二人きりにならないようには注意していた。
ロザリンドは気付けば涙を流していた。
「ロザリンド? どうかしたのか?」
そこへ、アランや攻略対象達がやって来る。
「アラン殿下……実は……」
ロザリンドは令嬢達の話をアランに話した。
「未来の王妃になるロザリンドを悪く言うとは……!」
アランは早速行動に移し、ロザリンドを悪く言った令嬢達を注意する。
「君達、ロザリンドは未来の王妃だ。そんな彼女を悪く言うのなら、それなりの覚悟は出来ているということだな?」
アランが冷たい声で令嬢達を注意すると、彼女達は黙り込む。
その場は一旦収まるが、令嬢達はロザリンドに冷たい視線を向けるのであった。
ロザリンドの学園生活はそんな日々が続き、アラン達と過ごす時間以外は地獄だった。
その後、ロザリンド達は卒業し、アランと結婚して王太子妃となった。
改革面では評価されて、ロザリンドは平民達からの人気は高かった。
また、言語の違う他国の女性とはそこそこコミュニケーションが取れたようで、外交面も評価された。
しかし、国内の令嬢達とのコミュニケーションが上手く取れず、ロザリンドは貴族令嬢達から総スカンを喰らうのであった。
王妃もロザリンドの社交の下手さには辟易としているそうだ。
破滅は回避したが、アランに守られてばかりのロザリンドは気心許せる同性の友人が一人もおらず、別の意味でバッドエンドを迎えていた。
ロザリンドはヒロインを警戒したが、ヒロインはロザリンド達を気にした様子はない。ヒロインは転生者ではないようだ。おまけに攻略対象達とは無関係の婚約者がいるらしい。
(……ゲームのシナリオが変わっているわ。それなら、もしかして私は破滅して死なずに済むのかしら?)
ロザリンドは安心しつつも、少しだけ警戒はしていた。
ロザリンドは味方になってくれたアランの役に立てるよう、前世の知識を活用して様々なことを提案した。
例えば衛生面である。この世界は前世のロザリンドが暮らしていた日本よりも衛生観念が遥かに低い。よってロザリンドがアランや国王に提案して手洗いうがい、入浴を広めただけで病気になる者が年間で大きく減少した。それにより医者にかかる者は減ったが、本当に医者を必要としている者がきちんと診察を受けられるようになり年間死者数も激減した。
また、前世のロザリンドは親族に下水道処理知識を持つ者や、技術者がいた。ロザリンドは前世彼らから聞いた知識を使い、エレマン王国を発展させた。
更には国民皆保険なども提案し、ロザリンドは大活躍していた。
「ロザリンド、君は本当に素晴らしいことを思い付く。そんな君が俺の婚約者だなんて鼻が高い。だが、無理だけはしないでくれ。辛いことがあれば、俺が守るから」
学園のサロンにて、アランはそんなロザリンドに優しい眼差しを向ける。
ロザリンドとアランはソファに隣同士になり座っていた。
「ありがとうございます」
ロザリンドは安心したように表情を和らげた。
(多分破滅して処刑される道はもうなくなったはずよね)
ロザリンドはアランに体重を預け、アランはそんな彼女を優しく抱きしめた。
܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭* ܀ꕤ୭*
衛生面の向上や改革面で評価されるロザリンドだが、彼女には大きな問題点があった。
それは同性との交流である。
ロザリンドは同世代の令嬢達とのコミュニケーションが得意ではなく、学園では孤立気味だった。アランや攻略対象、その他男性陣のお陰で完全に孤立することは防げているが、ロザリンドには同性の友人がいなかった。
おまけにロザリンドは破滅を回避することばかり気にしていた為、同世代の令嬢達とのコミュニケーションが疎かになっていたのだ。
ある日、ロザリンドが学園の廊下を歩いていると、令嬢達の話し声が聞こえた。
「皆様、ロザリンド様のことをどう思っておりますの?」
「ロザリンド様……衛生面の向上に関しては評価出来ますが……」
一人の令嬢が問いに対してそう口ごもる。
「ええ。改革面は素晴らしいと思いますわ。でも、ロザリンド様は男性としかお話しなさらないですわね」
「ロザリンド様は男性から守られてばかり。そのような方が未来の王妃だなんて。この前も、ロザリンド様は令嬢同士のトラブルに巻き込まれた時、王太子殿下に泣きついて対処してもらっておりましたのよ」
「公爵令嬢でましてや未来の王妃となるのに、社交界において自分の身を自分で守れないだなんて」
令嬢達の言葉には棘があった。
(そんな……)
ロザリンドはショックを受ける。
(どうして女の人は私のことを悪く言うの? 前世でもそうだったわ……)
ロザリンドは前世を思い出す。
ロザリンドは前世、容姿に恵まれていた。そのせいで学校の男子からは言い寄られ、女子からは嫉妬されて嫌がらせを受けて孤立していた。
だからロザリンドは同性に苦手意識を持っていたのだ。
前世の小学校時代はまだそうではなかったが、中学生になってからは同性からの嫉妬や異性から言い寄られる頻度が増えた。
高校でも同じだった。
大学でも、男子学生に囲まれて女子学生からは少し敬遠されてしまう。
だから前世のロザリンドは異性といる時間が長かった。異性なら自分に優しくしてくれるからである。
今世でもロザリンドは同性を避けて異性とばかり過ごしていたのだ。もちろん、間違いが起こらないよう側に侍女や護衛にいてもらい、異性と二人きりにならないようには注意していた。
ロザリンドは気付けば涙を流していた。
「ロザリンド? どうかしたのか?」
そこへ、アランや攻略対象達がやって来る。
「アラン殿下……実は……」
ロザリンドは令嬢達の話をアランに話した。
「未来の王妃になるロザリンドを悪く言うとは……!」
アランは早速行動に移し、ロザリンドを悪く言った令嬢達を注意する。
「君達、ロザリンドは未来の王妃だ。そんな彼女を悪く言うのなら、それなりの覚悟は出来ているということだな?」
アランが冷たい声で令嬢達を注意すると、彼女達は黙り込む。
その場は一旦収まるが、令嬢達はロザリンドに冷たい視線を向けるのであった。
ロザリンドの学園生活はそんな日々が続き、アラン達と過ごす時間以外は地獄だった。
その後、ロザリンド達は卒業し、アランと結婚して王太子妃となった。
改革面では評価されて、ロザリンドは平民達からの人気は高かった。
また、言語の違う他国の女性とはそこそこコミュニケーションが取れたようで、外交面も評価された。
しかし、国内の令嬢達とのコミュニケーションが上手く取れず、ロザリンドは貴族令嬢達から総スカンを喰らうのであった。
王妃もロザリンドの社交の下手さには辟易としているそうだ。
破滅は回避したが、アランに守られてばかりのロザリンドは気心許せる同性の友人が一人もおらず、別の意味でバッドエンドを迎えていた。
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