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15.卑劣な企み(胸糞悪い描写あり、閲覧注意)
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※男性から女性への暴力描写があります。苦手な方はブラウザバックを推奨します。
マリナは相変わらずアル、そして昼休みや放課後はエヴァンジェリンとヴィクターを含めた四人で過ごしていた。ドロシア達からの若干の嫌がらせはあるが、比較的穏やかで楽しい学園生活を送っている。
しかしそんなある日、学園で事件が起こった。
先日、ジュエル王国王太子エドワードが学園に持ってきていた王家の家宝が盗まれたというのだ。
「王家の家宝? どうしてそんなものを学園に持って来ているのかしら?」
登校したばかりのマリナは首を傾げている。
「さあ? 俺にもさっぱり分からないな」
マリナと一緒に登校していたアルも首を傾げている。
「そうだ、俺、先生に呼ばれているんだった」
アルはハッと思い出したような表情だ。
「アル、忘れてたの?」
マリナはクスッと笑う。
「ああ。課題とか色々やっていたから、頭から抜けていた」
やや恥ずかしそうに頭を掻くアル。
こうしてマリナはアルと一旦別れ、一人教室に向かった。
教室ではやはり王家の家宝盗難の件で持ち切りだった。
(王家の家宝ね……。どういうものか分からないけれど、そんなに大切なものをどうして学園に持ち込んだのかしら?)
マリナは呑気にそんなことを考えながら本を読んでいた。
その時、教室内の騒がしさがより一層大きくなる。
マリナは何事かと思い顔を上げると、何とマリナ達のクラスの教室に王太子エドワード・ジュエル、その婚約者イーリス、そして次期宰相候補の公爵令息ショーン・ダイヤモンド、騎士団長候補の侯爵令息アンソニー・サファイア、魔導士として将来有望な伯爵令息ライアン・ルビーが入って来たのだ。
ジュエル王国の未来を担う主要人物である。
(うわ、攻略対象達……。久々に見たわ)
マリナは入寮日の件もあり、若干顔をしかめた。
「皆、昨日我がジュエル王国王家の家宝が盗まれた件は知っているであろう」
王太子エドワードが前に出てそう切り出す。
「そこで、まずは学園内を探すという結論に至った。まず最初にこのクラスから捜索を行う」
(まず最初にこのクラス……? 普通は近く……王太子がいるクラスからじゃなくて……?)
マリナは不思議に思い首を傾げた。
そうしているうちに、王太子達がマリナの席へやって来た。
(……え?)
突然王太子達五人に囲まれたマリナは怪訝そうな表情だ。
「まずはお前の席からだ」
エドワードが威圧的にそう言うと、マリナはアンソニーにより無理矢理立たされた。
(え……? 一体何なの……?)
困惑するしかできないマリナ。
ショーンとライアンがマリナの机を探るる。
「……王太子殿下、見つかりました」
ショーンがマリナの机の中から見たこともないブローチを出してきた。
美しいアメジストのブローチである。
「王家の家宝であるブローチがこの席から見つかった……。と言うことは、彼女が盗んだということですわね」
イーリスがやや厳しい口調で言う。
「マリナ・ルベライト! お前が犯人か!」
エドワードから鋭い目で睨まれるマリナ。
ショーン、アンソニー、ライアン達からだけでなく、クラスメイト達からも軽蔑と憎悪が込められた視線を浴びるマリナ。
(何あれ? あんなもの私は知らないわ)
マリナは頭が真っ白になる。
「待ってください! 私は何もしていません。そのブローチは今初めて見ましたし、王家の家宝だということも今初めて知りました!」
必死に無実であることを訴えたマリナ。
「黙れ!」
しかしエドワードに一掃されてしまう。
「王太子殿下達を誑かそうとしても上手くいかないから、腹いせに王家の家宝を盗むだなんて」
「心根が腐っていますわね」
「教師を誑かして不正して成績改竄してもらってたみたいだしな」
クラスメイトから心ない罵詈雑言の嵐を受けるマリナ。
「じゃあ俺がそいつの根性を叩き直しましょう」
クラスメイトの一人が立ち上がると、彼はいきなりマリナの腹部を殴った
マリナはくぐもった声で床に倒れる。
それを皮切りに、クラスメイト達は集団でマリナに暴行する。しかもドレスで隠れている部分を殴るなど、傷が見えないようにして被害を訴えにくくしているのでタチが悪い。
(嫌だ……! 痛い……! 私は何もしていないのに……!)
抵抗しようにも体を押さえつけられて体が動かないマリナ。与えられる痛みにひたすら顔を歪めることしかできない。
「まあ待て。成績改竄で活躍できなかったりした君達の怒りは最もだ。今回の窃盗の件も含めて私が何とかしよう」
その声で、マリナへの暴行はピタリと止む。
しかし、マリナにとっていい予感は全くしなかった。
「王太子エドワード・ジュエルの名の下に、マリナ・ルベライトに罰を与える!」
高らかに宣言したエドワード。
そんな中、イーリスはしゃがみ込み、地面に倒れるマリナを見る。
「ここで貴女が罪を認めたら、少しは罰が軽くなるわ。もう辛いでしょう。もし罪を認めるのならば、私から罰を軽くしてもらえるようエドワード様に頼むから」
優しい声のイーリスである。
「まあ! イーリス様、何とお優しいのかしら!」
「こんな女にまで情けをかけるなんて……イーリス様は天使のようだ!」
「流石は未来の王妃殿下ね!」
クラスメイト達は皆口々にイーリスを褒め称える。
そしてイーリスはコソッとマリナに耳打ちする。
「私を差し置いてヒロインに転生するから悪いのよ。負けたヒロインは地面に這いつくばるのがお似合いよ。エドワード様に貴女を排除するよう頼んでおいて正解だったわ。攻略対象達から蔑まれる気分はどう?」
エドワードやクラスメイト達に見えないように勝ち誇った笑みを浮かべるイーリス。
(この人もやっぱり転生者……。どうしてこんな酷いことができるの!?)
マリナはキッとイーリスを睨む。
するとイーリスは恐れるような演技をし、エドワードにしなだれかかる。
「エドワード様、睨まれてしまいましたわ。怖いです」
カナリアイエローの目は涙で潤み、庇護欲そそる上目遣いだ。
「何……!?」
エドワードは倒れているマリナを睨みつけたかと思いきや、胸ぐらを掴む。
「お前、俺の大切な婚約者のイーリスを睨んだな! 彼女を怖がらせたことも罰として加えよう!」
エドワードは思いっ切りマリナの顔を殴ったのである。
殴られて床に体を打ちつけたマリナ。ポタポタと鼻血が出る。
「王太子殿下、提案があるのですが」
そこへ、ドロシアが出てきた。
「何だ?」
怪訝そうに首を傾げるエドワード。
「殿下は炎の魔力をお持ちです。でしたらマリナ・ルベライトへの罰は彼女の顔を焼くのはいかがでしょう?」
(何ですって……!?)
恐る恐るドロシアを見るマリナ。
ドロシアはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。
「なるほど。だがこの女は光の魔力を持つ。自分への傷も治癒可能だ」
「殿下、でしたらこの女に魔封じの腕輪をつけましょう。こんなこともあろうかと、罪人用の魔封じの腕輪を用意しております。一度つけたら特殊な魔法を使わない限り決して外れません。おまけにこの国でこの腕輪を外せるのは俺一人だけです」
ニヤリと笑い、魔封じの腕輪を出すのは魔導士ライアンである。
「妙案だな。アンソニー、その女を押さえていろ」
エドワードに命令され、マリナを動けないよう拘束するのは騎士団長候補アンソニー。
あっという間に魔封じの腕輪をはめられてしまうマリナ。
抵抗しようとしても、アンソニーに体を押さえつけられて動かない。
「さあ、罰の時間だ」
エドワードは冷たく言い放ち、自身の炎の魔力を発動させる。
エドワードの手から激しく燃える炎が放たれる。
もう逃げられないマリナはせめてもの抵抗で顔を背け、目をギュッとつむった。
しかし、いつになっても熱さや痛みが襲ってこない。
不思議に思い、ゆっくりと目を開けるマリナ。
すると驚きの光景が広がっていた。
「アル!」
何とアルがマリナとエドワードの間に割って入り、腕を火傷していた。
「間に合ってよかった」
火傷に耐えつつも、ホッとした表情のアルだった。
マリナは相変わらずアル、そして昼休みや放課後はエヴァンジェリンとヴィクターを含めた四人で過ごしていた。ドロシア達からの若干の嫌がらせはあるが、比較的穏やかで楽しい学園生活を送っている。
しかしそんなある日、学園で事件が起こった。
先日、ジュエル王国王太子エドワードが学園に持ってきていた王家の家宝が盗まれたというのだ。
「王家の家宝? どうしてそんなものを学園に持って来ているのかしら?」
登校したばかりのマリナは首を傾げている。
「さあ? 俺にもさっぱり分からないな」
マリナと一緒に登校していたアルも首を傾げている。
「そうだ、俺、先生に呼ばれているんだった」
アルはハッと思い出したような表情だ。
「アル、忘れてたの?」
マリナはクスッと笑う。
「ああ。課題とか色々やっていたから、頭から抜けていた」
やや恥ずかしそうに頭を掻くアル。
こうしてマリナはアルと一旦別れ、一人教室に向かった。
教室ではやはり王家の家宝盗難の件で持ち切りだった。
(王家の家宝ね……。どういうものか分からないけれど、そんなに大切なものをどうして学園に持ち込んだのかしら?)
マリナは呑気にそんなことを考えながら本を読んでいた。
その時、教室内の騒がしさがより一層大きくなる。
マリナは何事かと思い顔を上げると、何とマリナ達のクラスの教室に王太子エドワード・ジュエル、その婚約者イーリス、そして次期宰相候補の公爵令息ショーン・ダイヤモンド、騎士団長候補の侯爵令息アンソニー・サファイア、魔導士として将来有望な伯爵令息ライアン・ルビーが入って来たのだ。
ジュエル王国の未来を担う主要人物である。
(うわ、攻略対象達……。久々に見たわ)
マリナは入寮日の件もあり、若干顔をしかめた。
「皆、昨日我がジュエル王国王家の家宝が盗まれた件は知っているであろう」
王太子エドワードが前に出てそう切り出す。
「そこで、まずは学園内を探すという結論に至った。まず最初にこのクラスから捜索を行う」
(まず最初にこのクラス……? 普通は近く……王太子がいるクラスからじゃなくて……?)
マリナは不思議に思い首を傾げた。
そうしているうちに、王太子達がマリナの席へやって来た。
(……え?)
突然王太子達五人に囲まれたマリナは怪訝そうな表情だ。
「まずはお前の席からだ」
エドワードが威圧的にそう言うと、マリナはアンソニーにより無理矢理立たされた。
(え……? 一体何なの……?)
困惑するしかできないマリナ。
ショーンとライアンがマリナの机を探るる。
「……王太子殿下、見つかりました」
ショーンがマリナの机の中から見たこともないブローチを出してきた。
美しいアメジストのブローチである。
「王家の家宝であるブローチがこの席から見つかった……。と言うことは、彼女が盗んだということですわね」
イーリスがやや厳しい口調で言う。
「マリナ・ルベライト! お前が犯人か!」
エドワードから鋭い目で睨まれるマリナ。
ショーン、アンソニー、ライアン達からだけでなく、クラスメイト達からも軽蔑と憎悪が込められた視線を浴びるマリナ。
(何あれ? あんなもの私は知らないわ)
マリナは頭が真っ白になる。
「待ってください! 私は何もしていません。そのブローチは今初めて見ましたし、王家の家宝だということも今初めて知りました!」
必死に無実であることを訴えたマリナ。
「黙れ!」
しかしエドワードに一掃されてしまう。
「王太子殿下達を誑かそうとしても上手くいかないから、腹いせに王家の家宝を盗むだなんて」
「心根が腐っていますわね」
「教師を誑かして不正して成績改竄してもらってたみたいだしな」
クラスメイトから心ない罵詈雑言の嵐を受けるマリナ。
「じゃあ俺がそいつの根性を叩き直しましょう」
クラスメイトの一人が立ち上がると、彼はいきなりマリナの腹部を殴った
マリナはくぐもった声で床に倒れる。
それを皮切りに、クラスメイト達は集団でマリナに暴行する。しかもドレスで隠れている部分を殴るなど、傷が見えないようにして被害を訴えにくくしているのでタチが悪い。
(嫌だ……! 痛い……! 私は何もしていないのに……!)
抵抗しようにも体を押さえつけられて体が動かないマリナ。与えられる痛みにひたすら顔を歪めることしかできない。
「まあ待て。成績改竄で活躍できなかったりした君達の怒りは最もだ。今回の窃盗の件も含めて私が何とかしよう」
その声で、マリナへの暴行はピタリと止む。
しかし、マリナにとっていい予感は全くしなかった。
「王太子エドワード・ジュエルの名の下に、マリナ・ルベライトに罰を与える!」
高らかに宣言したエドワード。
そんな中、イーリスはしゃがみ込み、地面に倒れるマリナを見る。
「ここで貴女が罪を認めたら、少しは罰が軽くなるわ。もう辛いでしょう。もし罪を認めるのならば、私から罰を軽くしてもらえるようエドワード様に頼むから」
優しい声のイーリスである。
「まあ! イーリス様、何とお優しいのかしら!」
「こんな女にまで情けをかけるなんて……イーリス様は天使のようだ!」
「流石は未来の王妃殿下ね!」
クラスメイト達は皆口々にイーリスを褒め称える。
そしてイーリスはコソッとマリナに耳打ちする。
「私を差し置いてヒロインに転生するから悪いのよ。負けたヒロインは地面に這いつくばるのがお似合いよ。エドワード様に貴女を排除するよう頼んでおいて正解だったわ。攻略対象達から蔑まれる気分はどう?」
エドワードやクラスメイト達に見えないように勝ち誇った笑みを浮かべるイーリス。
(この人もやっぱり転生者……。どうしてこんな酷いことができるの!?)
マリナはキッとイーリスを睨む。
するとイーリスは恐れるような演技をし、エドワードにしなだれかかる。
「エドワード様、睨まれてしまいましたわ。怖いです」
カナリアイエローの目は涙で潤み、庇護欲そそる上目遣いだ。
「何……!?」
エドワードは倒れているマリナを睨みつけたかと思いきや、胸ぐらを掴む。
「お前、俺の大切な婚約者のイーリスを睨んだな! 彼女を怖がらせたことも罰として加えよう!」
エドワードは思いっ切りマリナの顔を殴ったのである。
殴られて床に体を打ちつけたマリナ。ポタポタと鼻血が出る。
「王太子殿下、提案があるのですが」
そこへ、ドロシアが出てきた。
「何だ?」
怪訝そうに首を傾げるエドワード。
「殿下は炎の魔力をお持ちです。でしたらマリナ・ルベライトへの罰は彼女の顔を焼くのはいかがでしょう?」
(何ですって……!?)
恐る恐るドロシアを見るマリナ。
ドロシアはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。
「なるほど。だがこの女は光の魔力を持つ。自分への傷も治癒可能だ」
「殿下、でしたらこの女に魔封じの腕輪をつけましょう。こんなこともあろうかと、罪人用の魔封じの腕輪を用意しております。一度つけたら特殊な魔法を使わない限り決して外れません。おまけにこの国でこの腕輪を外せるのは俺一人だけです」
ニヤリと笑い、魔封じの腕輪を出すのは魔導士ライアンである。
「妙案だな。アンソニー、その女を押さえていろ」
エドワードに命令され、マリナを動けないよう拘束するのは騎士団長候補アンソニー。
あっという間に魔封じの腕輪をはめられてしまうマリナ。
抵抗しようとしても、アンソニーに体を押さえつけられて動かない。
「さあ、罰の時間だ」
エドワードは冷たく言い放ち、自身の炎の魔力を発動させる。
エドワードの手から激しく燃える炎が放たれる。
もう逃げられないマリナはせめてもの抵抗で顔を背け、目をギュッとつむった。
しかし、いつになっても熱さや痛みが襲ってこない。
不思議に思い、ゆっくりと目を開けるマリナ。
すると驚きの光景が広がっていた。
「アル!」
何とアルがマリナとエドワードの間に割って入り、腕を火傷していた。
「間に合ってよかった」
火傷に耐えつつも、ホッとした表情のアルだった。
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