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幽霊トンネル

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 ある夏の日、私は友人二人と肝試しで幽霊トンネルへ行くことになりました。幽霊トンネルはその名の通り幽霊が出ることで有名で、入り口には「幽霊注意」という標識が立てられているほどでした。

 夜中の2時、私たちは車に乗り幽霊トンネルを目指しました。幽霊トンネルには車で山道を一時間ほど走れば到着します。市街地を抜け人気はどんどんなくなって行きました。山道に入ってからは誰ともすれ違わず、ヘッドライトの光が私たちの違和感を浮き彫りにしているようでした。それまでは怪談話で盛り上がっていましたが、山道に入ってからは自然とみんな静かになっていました。そうこうしているうちに噂の幽霊トンネルに到着しました。

 トンネルは現在使われていない道にあるため、車では通れません。今通ってきた道のすぐ脇の通行止になっている道にトンネルはあります。私達はトンネルに入るため、車を降りました。また、幽霊が出たときすぐに逃げれるように、自動車の向きを逆して止めました。やれることはやっておこう。これが私達三人の合言葉だったのです。

「よし、行くぞ。」

 先頭のたかしが言いました。

「ああ。」

「行こうか。」

 はやとと私が返事をしました。実は、私は嫌な予感がしていました。しかし、ここまできた手前何もせず引き返すことはできません。この時の私の中にはコンコルド効果が働いていたのです。三人で並び、トンネルに入って行くことにしました。

 トンネルの中は真っ暗です。なにしろ現在使われていませんから。たかしの持つ懐中電灯だけが頼りでした。水の滴る音、鈴虫の鳴く音が辺りを包んでいました。私達は息を潜め、三人でトンネルを前に進んでいきました。すると、どこからともなく、

 ヒュードロドロー、ヒュードロドロー

 という音が聞こえ始めました。

 ヒュードロドロー、ヒュードロドロー

 それと同時に、たかしの懐中電灯が何かを捉えました。どうやら、足のようです。恐る恐る懐中電灯をあげ確認してみると、長い髪の女がこっちを睨みつけていました。額には血が流れています。これは、幽霊だ。幽霊が出たので逃げましょう。

 すたこらさっさ、すたこらさっさ

 私達は必死に逃げました。それはもう必死に逃げました。後ろを向くと、幽霊は追いかてきていました。まるで水平エレベータに乗っているように滑らかに追いかけてきたのでした。

 なんとか、トンネルを抜け自動車に着きました。

「お、おい、早くエンジンをかけろよ。」

「分かってる。分かってるって!」

 ブロロロー、ブロロロー

 しかし、中々自動車は動いてくれません。 

「おい、なんなんだよ。早くしてくれよ。」

 後ろを向くと、幽霊がすぐそこまで迫っていました。

 ブロロロー、ブロロロー

 エンジンはなかなかつきません。

 どんっ!!

 後ろで音がしました。背筋がゾクッ!!恐る恐る振り返ると、幽霊の顔が後ろのガラスに張り付いています。

 ギャアーーーッ!!

 私達が悲鳴をあげると、自動車は動き出しました。それはもう生きた心地がしませんでした。きっと幽霊は私達をどこか知らないところへ連れてってしまうんだ。助けてくれ、助けてくれ。そんなことを考えながら私達三人は車内でアワワワワーと、嘆いていました。

 アワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワーアワワワワー

 自動車はどんどん山を下り、自動車整備場に止まりました。

 エンジンは定期的に整備するドローッ

 そういうと幽霊は、山に帰って行きましたとさ。

 完


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