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地下鉄、怒る
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この世にはたくさんのルールがある。それはそれはたくさん、数え切れない程ある。正方形は内角が全て直角で、辺の長さが等しいから正方形であり、医師免許を持っていなければ医者として働くことは出来ず、地下を走っている鉄道は地下鉄である、などなど。しかし、これに異議を唱える地下鉄がいたのである。
パアァアアァァァァァア!!!
パアァアアァァァァアアァァァア!!
パアァアアァァァァァアアァァァアア!!
今日も一日元気に働いた地下鉄たち。夜、倉庫での出来事。
「おい、ちょっと話があるんだけどよ。」
地下鉄太郎が、地下鉄男(ちかてつお)に話しかけた。
「なんだね。地下鉄太郎くん。」
「あのよ、なんで俺らは地下鉄なんだ。地下っていうけどよ。それはさ、上にいるやつら、所謂地上からみたときのことであってよ、俺らからしたらここが地上じゃねえか。まず地ってなんだ。地って。なんであいつら視点で俺らが名前をつけられなきゃいけねぇんだ。あいつらのルールを勝手に押し付けられてるだけだぜ。むかつくぜ、むかつくぜ。」
「ふーむふむふむ。君の主張は、最もでアール。地上にいるやつらに今度相談してみようじゃないか。」
次の日。
地下鉄男は地上に便箋を送りました。
「鉄道様。なぜ私達は地下鉄なのでしょうか?私達からしたら私達のいるところが地上です。地下鉄ではなく普通に鉄道と名乗らせてくださりませんか?」
それを見た地上の鉄道たち。
「おい、なんか地下のやつらが言ってやがるぜ。なんで地下鉄って名乗らなきゃいけないのかだってよ。普通に鉄道と名乗りたいらしいぜ。まあ別にあいつらが鉄道と名乗った所で困らねえしな。いいだろう。」
ということになりました。
「いいですヨ。」
鉄道たちは返事を送りました。
地下鉄太郎は喜びました。
「やったぜ。やったぜ。普通の鉄道だぜ!」
しばらくいつも通りの平和な日々が続きました。しかしある日、ある噂が地下鉄太郎の耳に入ります。それは、元々普通の鉄道だった鉄道たちが、天鉄、と名乗っているという噂でした。元々地下だった場所が地上なら私達がいるのは天だ、という理屈でしょう。地下鉄太郎は怒りました。
「くそ!!むかつくぜ!!なんか、むかつくぜ!!神は天上に住んでるんだろ。あいつら天鉄とか名乗りやがって!!自分の方が神に近いって言いたいんだろうよ!!俺らのことを見下してやがんのか。むかつくぜ!!くそが!!くそがよ!!」
地下鉄太郎はとても怒っていたので直接上に向かって怒鳴りました。短気ですね。言い掛かりに近いものを感じます。
「おい!!てめえら!!天鉄とか名乗りやがってよ!!調子乗ってんじゃねぇぞ!!自分達の方が神に近いっていいたいんだろ!!馬鹿にしてんのかよ!!おい!!いい加減にしろよ!!」
ガンガンガン、ガンガンガンガン
地上に地下鉄太郎の怒鳴り声が響きます。天鉄たちはめんどくさいな、と思い、無視しました。
ガンガンガンガン、ガンガンガンガン
怒鳴り声は響き続けます。しかしその時、
「待つのじゃ~~~~~。」
すごい声が響き渡りました。地球の奥の方から。ずっと下の方からです。神の、声。形容しがたい声でしたが、神の声だと誰もが一瞬で理解するような声でした。
「私、神は地球のずっとずっと下の方に住んでいる。神が天上に住んでいるというのは嘘じゃ。地下鉄太郎よ。静まるのじゃ~。」
どうやら神は天でなく、地下深くに住んでおり、地下鉄太郎の怒りを鎮めるために語りかけているようでした。しかしその時、
「待つのじゃ~。」
またすごい声がしました。さっきとは違いますが同じくらいすごい声です。今度はとっても高いところから聞こえました。
「私こそ真の神じゃ。私は天上に住んでいる。その神は嘘の神じゃ。」
「違う!!私こそ真の神じゃ。貴様は何者じゃ。」
地下からの声が反撃します。
「何言っとるんじゃ!!ふざけるな!!」
「貴様こそ!!!」
ズゴドギャバババババーーーーン!!
大きな二つの力がぶつかり合い、どっちが上でどっちが下かもわからない世界になってしまいましたとさ。
ルールを決めるのは強いものだが、同じくらい強いものがいると、こんな感じになってしまうのだ。まあ、もうちょっと上手くやれる気はするけどネ。
完
パアァアアァァァァァア!!!
パアァアアァァァァアアァァァア!!
パアァアアァァァァァアアァァァアア!!
今日も一日元気に働いた地下鉄たち。夜、倉庫での出来事。
「おい、ちょっと話があるんだけどよ。」
地下鉄太郎が、地下鉄男(ちかてつお)に話しかけた。
「なんだね。地下鉄太郎くん。」
「あのよ、なんで俺らは地下鉄なんだ。地下っていうけどよ。それはさ、上にいるやつら、所謂地上からみたときのことであってよ、俺らからしたらここが地上じゃねえか。まず地ってなんだ。地って。なんであいつら視点で俺らが名前をつけられなきゃいけねぇんだ。あいつらのルールを勝手に押し付けられてるだけだぜ。むかつくぜ、むかつくぜ。」
「ふーむふむふむ。君の主張は、最もでアール。地上にいるやつらに今度相談してみようじゃないか。」
次の日。
地下鉄男は地上に便箋を送りました。
「鉄道様。なぜ私達は地下鉄なのでしょうか?私達からしたら私達のいるところが地上です。地下鉄ではなく普通に鉄道と名乗らせてくださりませんか?」
それを見た地上の鉄道たち。
「おい、なんか地下のやつらが言ってやがるぜ。なんで地下鉄って名乗らなきゃいけないのかだってよ。普通に鉄道と名乗りたいらしいぜ。まあ別にあいつらが鉄道と名乗った所で困らねえしな。いいだろう。」
ということになりました。
「いいですヨ。」
鉄道たちは返事を送りました。
地下鉄太郎は喜びました。
「やったぜ。やったぜ。普通の鉄道だぜ!」
しばらくいつも通りの平和な日々が続きました。しかしある日、ある噂が地下鉄太郎の耳に入ります。それは、元々普通の鉄道だった鉄道たちが、天鉄、と名乗っているという噂でした。元々地下だった場所が地上なら私達がいるのは天だ、という理屈でしょう。地下鉄太郎は怒りました。
「くそ!!むかつくぜ!!なんか、むかつくぜ!!神は天上に住んでるんだろ。あいつら天鉄とか名乗りやがって!!自分の方が神に近いって言いたいんだろうよ!!俺らのことを見下してやがんのか。むかつくぜ!!くそが!!くそがよ!!」
地下鉄太郎はとても怒っていたので直接上に向かって怒鳴りました。短気ですね。言い掛かりに近いものを感じます。
「おい!!てめえら!!天鉄とか名乗りやがってよ!!調子乗ってんじゃねぇぞ!!自分達の方が神に近いっていいたいんだろ!!馬鹿にしてんのかよ!!おい!!いい加減にしろよ!!」
ガンガンガン、ガンガンガンガン
地上に地下鉄太郎の怒鳴り声が響きます。天鉄たちはめんどくさいな、と思い、無視しました。
ガンガンガンガン、ガンガンガンガン
怒鳴り声は響き続けます。しかしその時、
「待つのじゃ~~~~~。」
すごい声が響き渡りました。地球の奥の方から。ずっと下の方からです。神の、声。形容しがたい声でしたが、神の声だと誰もが一瞬で理解するような声でした。
「私、神は地球のずっとずっと下の方に住んでいる。神が天上に住んでいるというのは嘘じゃ。地下鉄太郎よ。静まるのじゃ~。」
どうやら神は天でなく、地下深くに住んでおり、地下鉄太郎の怒りを鎮めるために語りかけているようでした。しかしその時、
「待つのじゃ~。」
またすごい声がしました。さっきとは違いますが同じくらいすごい声です。今度はとっても高いところから聞こえました。
「私こそ真の神じゃ。私は天上に住んでいる。その神は嘘の神じゃ。」
「違う!!私こそ真の神じゃ。貴様は何者じゃ。」
地下からの声が反撃します。
「何言っとるんじゃ!!ふざけるな!!」
「貴様こそ!!!」
ズゴドギャバババババーーーーン!!
大きな二つの力がぶつかり合い、どっちが上でどっちが下かもわからない世界になってしまいましたとさ。
ルールを決めるのは強いものだが、同じくらい強いものがいると、こんな感じになってしまうのだ。まあ、もうちょっと上手くやれる気はするけどネ。
完
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