デニペディア~DENNY's pedia~

DENNY喜多川

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「チリンの鈴」として育ち、「アイアン・ジャイアント」になり損ね、「恩讐の彼方に」たどり着いた

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『チリンの鈴』は『それいけ!アンパンマン』のやなせたかし先生が、アンパンマンで一発当てる前に発表した絵本で、一九七八年にサンリオで映画化された。
DENNYは小学二年生の時に、リアルタイムで劇場で鑑賞したのだが、号泣してしまい、同行の親兄弟からひどく心配されたのを覚えている。
内容はだいたいこんな感じだ。
「牧場で幸せに暮らしていた子羊のチリンだが、ある時狼のウォーが牧場を襲撃、チリンの母はチリンをかばって命を落とす。復讐に燃えたチリンは山へ行き、ウォーに挑むも一蹴され『牧場へ帰れ。お前が丸々と太ったら食ってやる』と宣告される。しかしチリンはあきらめず『僕を弟子にしてくれ! 僕はお前のように強くなって、いつかお前を倒す!』と宣言、チリンの長い修行が始まる。修行の日々の中で肉体は変容し、チリンは羊とも狼ともつかない、異形の存在に成り果てた。そしてチリンの心も変容し、チリンはウォーを師として父として慕うようになり、ウォーと共に各地の牧場を襲撃するようになった。ある日、チリンの生まれ故郷の牧場を二人は襲撃するが、かつて自分の母親がそうしたように、子羊をかばう母羊を見てしまう。動揺したチリンは、衝動のままにウォーを殺してしまう。しかしすでに罪を犯し、異形と成り果てたチリンが牧場に受け入れられるはずもなく、チリンは山に一人消えて行く……」
ちょっと前まで、「チリン可哀想!」て泣いてたつもりだったのだが、実際のところ幼いDENNYは
「モンスターにならないとサヴァイヴできなかった自分」
をチリンと重ねて泣いていたのではなかろうか。
この件に関しては、現在カウンセリングを受けて深掘り中なのでご心配なく。
さて、立派なモンスターとして成長したDENNYに、次の映画との出会いがあった。

『アイアン・ジャイアント』はだいたいこんな話。
「アメリカの片田舎にすむ少年ホーガースは、ある日宇宙から落ちてきた巨大ロボット(アイアン・ジャイアント)と出会う。二人は友情を結ぶが、やがてジャイアントの存在が知られ、ジャイアントを脅威と見做した軍はジャイアントを攻撃する。軍隊を一蹴したジャイアントに対してアメリカは核攻撃を決定。それを知ったジャイアントは『僕、モンスター、ならない。スーパーマン、なる』と言い残し、ICBMと共に大気圏外に消える。悲しむホーガースだが、手元に残されたネジが光りだし、ジャイアントが再生を始めたことを知るのだった……」
「モンスターでなく生きられる道」を見つけた! と二十年くらい頑張ったDENNYだったが、結局挫折した。
しばらく希死念慮の海を漂っていたDENNYだったが、色々(まあさすがにプライバシーなので勘弁してください)あって一念発起、自分と人間関係に本格的に取り組み始めた。そんな中で出会ったのがこの作品。

『恩讐の彼方に』菊池寛 
はざっくりこんな話(一時間もあれば読める短編なので、できれば読んでください)。
「江戸時代、中間として武家に仕えていた市九郎は、主の妾と姦通してしまい、手討ちにされそうになるが、返り討ちにして妾と逐電する。二人は街道沿いに茶屋を開くが、実は泊まり客を殺して金品を奪う畜生に成り果てていた。しかし市九郎は次第に、あまりにも残酷な彼女に嫌悪感を覚えるようになり、自分の罪業にも恐れを抱くようになり、出奔して出家、厳しい修行を経て了海と名乗るようになった。『衆生済度』の大願を掲げて諸国を放浪する了海は、『鎖渡し』と呼ばれる難所で、遭難した死者の回向を頼まれる。『鎖渡し』が年に十人も亡くなる難所であることを知った了海は、そこに隧道(トンネル)を掘ることを決意する。はじめは歓迎した村人だったが、工事が遅々として進まないのを見ると離れていった。しかし了海はあきらめず掘り続け、やがて村人たちは本格的に了海に協力、工事は完成へと近づいた。そんな時、市九郎(了海)を父の仇として探し続けていた、主の子・実之助が、ついに了海を探し当てる。『当然の報い』としておとなしく討たれようとする了海だったが、村人たちが『隧道が完成するまで待ってはくれないか』と実之助を止める。あきらめきれない実之助は深夜、一人作業を続ける了海に忍び寄るが、一心不乱に掘り続ける了海の姿を見て己をあさましく感じ、討つことができなかった。翌朝から実之助は『一日でも早く工事が終われば、それだけ早く仇が討てる』とか言って(デレた!)工事を手伝いはじめる。そしてある夜、了海と実之助が並んで掘っている時についに隧道は開通、二人は喜び合うが、我に返った了海は『朝になって邪魔が入る前に自分を討て』とその身を投げ出す。しかし実之助は了海の手を取り、二人は感激の涙にむせび合った」
もうね、「俺じゃん!」としか言いようがなかった。
なのでDENNYは今、鑿と槌で隧道を掘りながら、主の息子(具体的に誰が来るのかは知らないがかつてモンスターとして傷つけた誰か)が仇討ちに来るのを待っています。その時までに止めてくれる村人が集まっていなかったら、DENNYはおとなしく討たれて終わりだ!
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