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花屋のうさぎとその友人6
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悩み相談をひとしきり終え、解決策は見えなかったものの僕は少しスッキリした気持ちになった。人に悩みを話すのは、やっぱり大事だ。
ロランの言う通り、一度リオネル様とお話をしてみようかな。
もしかすると『それなら騎士宿舎に通うことになっても仕方ないか』と思える理由を聞けるかもしれない。
それがないのであれば……僕はどうするのだろう。
自分の気持ちが、正直良くわからない。
アルファだらけの宿舎は心底怖いし、もうあんな目にも遭いたくない。
リオネル様の前で恥ずかしい粗相をたくさんしてしまって、合わせる顔がないとも思う。
だけどリオネル様の『……来ないだなんて、言わないでくれ』というあの縋るような声音に、後ろ髪を引かれている自分もいるのだ。
「ま、あんまり悩まない方がいいよ。なるようにしかなんないんだからさぁ」
ロランが励ますように軽い調子で言ってくれる。そんなロランに、僕は笑って頷いた。
「そうだよね。今日は話を聞いてくれてありがとう、ロラン」
僕がお礼を言うとロランは「よしてよ、なんの解決もしてないんだから」と照れ笑いをする。本当に、助かったんだけどな。
喫茶店を出て、それぞれの帰途へと就く。手を振ってロランと別れ、店に着くと……
「え……?」
銀色の尻尾を忙しなく揺らしながら、なんだか落ち着かない様子でうろうろしているリオネル様が店の前に居た。
「リオネル様?」
「……レイラ」
呆然としながら声をかけると、静かな黄緑色の瞳がこちらに向けられる。一体、リオネル様はどんな御用があって来たのだろう。
「リオネル様、どうされたのですか?」
「レイラ……話しがあってな」
話? なにはともあれ、リオネル様に立ち話をさせるわけにはいかない。
……周囲からの視線も痛いし。
リオネル様には憧れの視線、僕には憎しみの視線がぶつかるように刺さっている。こんな中では話はできない。
「リオネル様。お茶を出しますので、ひとまず中にどうぞ」
「あ、ああ。では世話になろう」
リオネル様はなぜか緊張した様子でそう返すと、僕の後ろをついて花屋に入った。
店舗部分にはいつもいらしているけれど、住居部分にお通しするのははじめてだな。そんなことを思うと、少し緊張してしまう。ニルス様をお通しした時にはこんなに緊張しなかったのにな。
キラキラとしたリオネル様という存在が、このこぢんまりとした部屋に居ることの違和感が拭えない。
お店にでも誘った方が良かったのではないかと、今さらながらに少し後悔してしまう。でも、そうすると人目がなぁ……
「こ、紅茶と、ハーブティーどっちがいいですか?」
「レイラのオススメがいい」
長椅子を勧めて訊ねると、リオネル様は頬を少し緩めてそう言った。
「そうですね。ハーブティーは手作りで、ちょっと自信作……」
「それがいい」
食い気味に答えられてしまった。自信作と言っても、ふだんから一流の品を口にしているリオネル様のお口に合う自信はないんだけどなぁ。
「ミントをブレンドしているので少しすっとしますけど、大丈夫ですか?」
「ああ、平気だ。楽しみにしている」
そう言われ、なんだか嬉しそうな笑みを浮かべられる。
リオネル様、その笑顔はプレッシャーですよ……
ロランの言う通り、一度リオネル様とお話をしてみようかな。
もしかすると『それなら騎士宿舎に通うことになっても仕方ないか』と思える理由を聞けるかもしれない。
それがないのであれば……僕はどうするのだろう。
自分の気持ちが、正直良くわからない。
アルファだらけの宿舎は心底怖いし、もうあんな目にも遭いたくない。
リオネル様の前で恥ずかしい粗相をたくさんしてしまって、合わせる顔がないとも思う。
だけどリオネル様の『……来ないだなんて、言わないでくれ』というあの縋るような声音に、後ろ髪を引かれている自分もいるのだ。
「ま、あんまり悩まない方がいいよ。なるようにしかなんないんだからさぁ」
ロランが励ますように軽い調子で言ってくれる。そんなロランに、僕は笑って頷いた。
「そうだよね。今日は話を聞いてくれてありがとう、ロラン」
僕がお礼を言うとロランは「よしてよ、なんの解決もしてないんだから」と照れ笑いをする。本当に、助かったんだけどな。
喫茶店を出て、それぞれの帰途へと就く。手を振ってロランと別れ、店に着くと……
「え……?」
銀色の尻尾を忙しなく揺らしながら、なんだか落ち着かない様子でうろうろしているリオネル様が店の前に居た。
「リオネル様?」
「……レイラ」
呆然としながら声をかけると、静かな黄緑色の瞳がこちらに向けられる。一体、リオネル様はどんな御用があって来たのだろう。
「リオネル様、どうされたのですか?」
「レイラ……話しがあってな」
話? なにはともあれ、リオネル様に立ち話をさせるわけにはいかない。
……周囲からの視線も痛いし。
リオネル様には憧れの視線、僕には憎しみの視線がぶつかるように刺さっている。こんな中では話はできない。
「リオネル様。お茶を出しますので、ひとまず中にどうぞ」
「あ、ああ。では世話になろう」
リオネル様はなぜか緊張した様子でそう返すと、僕の後ろをついて花屋に入った。
店舗部分にはいつもいらしているけれど、住居部分にお通しするのははじめてだな。そんなことを思うと、少し緊張してしまう。ニルス様をお通しした時にはこんなに緊張しなかったのにな。
キラキラとしたリオネル様という存在が、このこぢんまりとした部屋に居ることの違和感が拭えない。
お店にでも誘った方が良かったのではないかと、今さらながらに少し後悔してしまう。でも、そうすると人目がなぁ……
「こ、紅茶と、ハーブティーどっちがいいですか?」
「レイラのオススメがいい」
長椅子を勧めて訊ねると、リオネル様は頬を少し緩めてそう言った。
「そうですね。ハーブティーは手作りで、ちょっと自信作……」
「それがいい」
食い気味に答えられてしまった。自信作と言っても、ふだんから一流の品を口にしているリオネル様のお口に合う自信はないんだけどなぁ。
「ミントをブレンドしているので少しすっとしますけど、大丈夫ですか?」
「ああ、平気だ。楽しみにしている」
そう言われ、なんだか嬉しそうな笑みを浮かべられる。
リオネル様、その笑顔はプレッシャーですよ……
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