9 / 59
花屋のうさぎの困惑2※
しおりを挟む
「リオネル、さま。ダメです……」
「このままでは、辛いだろう?」
リオネル様は優しく、熱を包んだ手を上下させた。僕は他人に、そんなところを触れられたことがない。そこに初めて触れたのが、リオネル様だなんて。
「は……やぁっ……」
僕は首を振りながらリオネル様の膝から下りようとする。だけど腰に回された片手は力強くて、リオネル様の膝に縫い止められたままになってしまう。
亀頭をゆるゆると指先で撫でられ、綺麗な指先に先走りが絡む。羞恥に駆られて何度も首を横に振ると、腰に回っていたリオネル様の片手がそっと頭に触れて、安心させるように頭を何度も撫でられた。
「触れられるのは、嫌か?」
そう訊ねてくるリオネル様の口調が、どこか切羽詰まっているように聞こえるのは、気のせいだろうか。『恐れ多い』という感情は、胸の内でぐるぐるしている。だけど嫌かと訊かれると恐怖感も嫌悪感も……不思議とない。
「嫌じゃ、ないです……」
絞り出すように言う僕をリオネル様は横抱きに抱え直し、頬に口づけをした。今までこんなことをされたことがなかったので、僕はびっくりして、リオネル様の綺麗なお顔を凝視してしまう。すると美しい黄緑色の瞳と視線が交わった。
リオネル様の尻尾が激しく揺れているのが目に映る。狼が尻尾を振る時って、どんな場合だっけ……
「嫌でないのなら、よかった」
白い頬を淡い赤に染めて微笑まれ、今度は優しく唇を重ねられる。重なった唇からは電流が走ったような痺れが感じられ、僕の思考を奪ってしまう。リオネル様は何度も、何度も。唇を重ねながら、熱杭を擦り上げた。
「は……っ……」
気持ちよすぎて、バカになってしまいそうだ。リオネル様の服をぎゅっと握りながら、与えられる快楽を僕は享受した。射精感が狂おしいくらいにせり上がる。だけどこのまま出してしまうと、リオネル様のお手を確実に汚してしまう。
「リオネル、さま。放して、出ちゃいますから……っ」
「遠慮なく出せばいい」
なけなしの理性を振り絞って言葉を発したけれど、リオネル様は手を放してくれない。それどころか、僕の耳を食みながら追い立てるように手の動きを早めた。
「やっ、ぁあああっ!」
僕は甲高い声を上げながら、リオネル様の手の中に白濁を吐き出した。リオネル様は精を吐き出した僕のペニスを指先で何度もくすぐる。その淡い刺激に身を震わせる僕の頬に、彼は口づけをした。
ちらりと見ると、予想の通りリオネル様のお手は白濁でべっとりと汚れている。それを見て、僕は真っ青になった。
――勝手に発情をして、リオネル様に処理をさせ、挙句の果てにはお手を汚してしまった。いくらお優しいリオネル様でも、さすがにお怒りになるのではないだろうか。
「ご、ごめんなさ……。ご、ご、ご無礼を……」
僕はハンカチをポケットから取り出して、ゴシゴシとリオネル様の大きな手を拭いた。体はブルブルと震え、歯の根が合わない。赤の瞳には涙がせり上がり、溢れてぽろぽろと頬を転がり落ちた。
「怯えなくていい。すまないな。レイラが愛らしいから、触れすぎてしまった」
リオネル様は囁くと、そっと唇を合わせてきた。先ほどもされたけれど……僕はどうして、リオネル様に口づけをされているのだろう。それに愛らしいなんて言われてしまった。
こんなの『好かれている』と勘違いしそうになる。だけどそれだけは、あり得ない。僕は平凡なオメガなのだから。お優しいリオネル様が『処理』をしてくださったからって、勘違いしてはダメだ。
「……感じているレイラは、とても素敵だった」
囁かれ、美しい唇を啄むように数度重ねられ、蕩けるような笑みを浮かべられ。……その笑顔を見ていると、心臓がぎゅっと痛いくらいに締めつけられた。
「このままでは、辛いだろう?」
リオネル様は優しく、熱を包んだ手を上下させた。僕は他人に、そんなところを触れられたことがない。そこに初めて触れたのが、リオネル様だなんて。
「は……やぁっ……」
僕は首を振りながらリオネル様の膝から下りようとする。だけど腰に回された片手は力強くて、リオネル様の膝に縫い止められたままになってしまう。
亀頭をゆるゆると指先で撫でられ、綺麗な指先に先走りが絡む。羞恥に駆られて何度も首を横に振ると、腰に回っていたリオネル様の片手がそっと頭に触れて、安心させるように頭を何度も撫でられた。
「触れられるのは、嫌か?」
そう訊ねてくるリオネル様の口調が、どこか切羽詰まっているように聞こえるのは、気のせいだろうか。『恐れ多い』という感情は、胸の内でぐるぐるしている。だけど嫌かと訊かれると恐怖感も嫌悪感も……不思議とない。
「嫌じゃ、ないです……」
絞り出すように言う僕をリオネル様は横抱きに抱え直し、頬に口づけをした。今までこんなことをされたことがなかったので、僕はびっくりして、リオネル様の綺麗なお顔を凝視してしまう。すると美しい黄緑色の瞳と視線が交わった。
リオネル様の尻尾が激しく揺れているのが目に映る。狼が尻尾を振る時って、どんな場合だっけ……
「嫌でないのなら、よかった」
白い頬を淡い赤に染めて微笑まれ、今度は優しく唇を重ねられる。重なった唇からは電流が走ったような痺れが感じられ、僕の思考を奪ってしまう。リオネル様は何度も、何度も。唇を重ねながら、熱杭を擦り上げた。
「は……っ……」
気持ちよすぎて、バカになってしまいそうだ。リオネル様の服をぎゅっと握りながら、与えられる快楽を僕は享受した。射精感が狂おしいくらいにせり上がる。だけどこのまま出してしまうと、リオネル様のお手を確実に汚してしまう。
「リオネル、さま。放して、出ちゃいますから……っ」
「遠慮なく出せばいい」
なけなしの理性を振り絞って言葉を発したけれど、リオネル様は手を放してくれない。それどころか、僕の耳を食みながら追い立てるように手の動きを早めた。
「やっ、ぁあああっ!」
僕は甲高い声を上げながら、リオネル様の手の中に白濁を吐き出した。リオネル様は精を吐き出した僕のペニスを指先で何度もくすぐる。その淡い刺激に身を震わせる僕の頬に、彼は口づけをした。
ちらりと見ると、予想の通りリオネル様のお手は白濁でべっとりと汚れている。それを見て、僕は真っ青になった。
――勝手に発情をして、リオネル様に処理をさせ、挙句の果てにはお手を汚してしまった。いくらお優しいリオネル様でも、さすがにお怒りになるのではないだろうか。
「ご、ごめんなさ……。ご、ご、ご無礼を……」
僕はハンカチをポケットから取り出して、ゴシゴシとリオネル様の大きな手を拭いた。体はブルブルと震え、歯の根が合わない。赤の瞳には涙がせり上がり、溢れてぽろぽろと頬を転がり落ちた。
「怯えなくていい。すまないな。レイラが愛らしいから、触れすぎてしまった」
リオネル様は囁くと、そっと唇を合わせてきた。先ほどもされたけれど……僕はどうして、リオネル様に口づけをされているのだろう。それに愛らしいなんて言われてしまった。
こんなの『好かれている』と勘違いしそうになる。だけどそれだけは、あり得ない。僕は平凡なオメガなのだから。お優しいリオネル様が『処理』をしてくださったからって、勘違いしてはダメだ。
「……感じているレイラは、とても素敵だった」
囁かれ、美しい唇を啄むように数度重ねられ、蕩けるような笑みを浮かべられ。……その笑顔を見ていると、心臓がぎゅっと痛いくらいに締めつけられた。
33
お気に入りに追加
3,843
あなたにおすすめの小説

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。


つまりそれは運命
える
BL
別サイトで公開した作品です。
以下登場人物
レオル
狼獣人 α
体長(獣型) 210cm
〃 (人型) 197cm
鼻の効く警察官。番は匿ってドロドロに溺愛するタイプ。めっちゃ酒豪
セラ
人間 Ω
身長176cm
カフェ店員。気が強く喧嘩っ早い。番限定で鼻が良くなり、番の匂いが着いているものを身につけるのが趣味。(帽子やシャツ等)

子を成せ
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
ミーシェは兄から告げられた言葉に思わず耳を疑った。
「リストにある全員と子を成すか、二年以内にリーファスの子を産むか選べ」
リストに並ぶ番号は全部で十八もあり、その下には追加される可能性がある名前が続いている。これは孕み腹として生きろという命令を下されたに等しかった。もう一つの話だって、譲歩しているわけではない。

ミルクの出ない牛獣人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「はぁ……」
リュートスは胸に手をおきながら溜息を吐く。服装を変えてなんとか隠してきたものの、五年も片思いを続けていれば膨らみも隠せぬほどになってきた。
最近では同僚に「牛獣人ってベータでもこんなに胸でかいのか?」と聞かれてしまうほど。周りに比較対象がいないのをいいことに「ああ大変なんだ」と流したが、年中胸が張っている牛獣人などほとんどいないだろう。そもそもリュートスのように成体になってもベータでいる者自体が稀だ。
通常、牛獣人は群れで生活するため、単独で王都に出てくることはほぼない。あっても買い出し程度で棲み着くことはない。そんな種族である牛獣人のリュートスが王都にいる理由はベータであることと関係していた。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
元ベータ後天性オメガ
桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。
ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。
主人公(受)
17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。
ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。
藤宮春樹(ふじみやはるき)
友人兼ライバル(攻)
金髪イケメン身長182cm
ベータを偽っているアルファ
名前決まりました(1月26日)
決まるまではナナシくん‥。
大上礼央(おおかみれお)
名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥
⭐︎コメント受付中
前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。
宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる