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本編
執事は好機を得る(マクシミリアン視点)
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お嬢様が魔法学園に入学する年齢になり……。
私はお嬢様の身の回りの世話をする為に数人のメイドと共に学園へお供する事となった。
お嬢様の美しさは少女から女性への過程を歩んでいる最中で、可憐さに加え妖艶さが増し正に咲き誇らんとしていたのだが……性格の苛烈さも増すばかりだった。
そんなお嬢様であるものの、容貌だけでも価値がある、シュラット侯爵家と近付けるのであればあの性格を差し引いても余りある、とお嬢様に近付く男は多かった。
……全て私が排除したが。
多少非合法な手も使ったが仕方がない。
お嬢様の婚約者である王子も、お嬢様の性格は嫌いであれど容貌は好まれているらしく歩み寄りの機会を伺っていたが……。
お嬢様に関するある事ない事……ではなくある事のみ全てを吹き込んだらあっさりそんな気持ちは霧散したようだった。
私はある事しか吹き込んでいないので、完全にお嬢様の日頃の行いのせいだ。
学園で……私は一人の少女と出会った。
シュミナ・パピヨン男爵令嬢……ピンク色の髪の美しい容貌の少女に。
お嬢様の入学の日に彼女が転んだのを助け起こしたのが縁だった。
彼女は助け起こした私を見て頬を染めた……まるで三文芝居の恋の始まりのような場面で陳腐だと笑いたくなったのを覚えている。
シュミナはお嬢様の私に対する行いを見て……私を憐れんできた。
『マクシミリアンさんが、あんな扱いを受ける必要なんて無いのに』
『ビアンカ様は酷すぎます』
『私、ビアンカ様にマクシミリアンさんを解放するように言ってきます』
『マクシミリアンさん、可哀想』
知ったふうな口を利くな。
私のお嬢様に対する気持ちを捻じ曲げて勝手に解釈するな。
それに……お嬢様を愛している私が哀れなのは、私自身が分かっている事だ。
この常に付きまとう偽善的な少女に対する鬱憤は日々溜まる一方だった。
シュミナは天使のような言葉を吐きながら蝶のように花から花へと色々な男の傷を癒やそうと奮闘しているようだ。
要はただの、売女じゃないか。
……お綺麗な顔と上辺だけの綺麗な言葉に他の男はどんどん籠絡されていった。
……実に滑稽だな、と思う。
シュミナはその男達がいるのにも関わらず何故か私に執着した。
そしてお嬢様は……シュミナと私が近付くと、烈火のごとく怒った。
『貴方はわたくしの犬でしょう!?他の女に尻尾を振るなんて許さないわ!』
『あの牝犬とまた一緒にいたの!?』
『犬のくせに言う事をきけないの!あの女に近付くなと何度言えば…』
そんな言葉を吐きながら激怒し私の背中を鞭で打ち、更にその傷をヒールで抉る。
そして痛みに呻く私を見ては満足げに声を立てて笑う。
しかしお嬢様の憎しみが増すと分かっていて……私はシュミナに寄り添った。
お嬢様私はもう貴方の物ではないのです……とでも言うようにシュミナに愛の篭った視線を向け、お嬢様に見つかるような場所で口付けを交わし、お嬢様には見せない笑顔をシュミナに見せる。
それを目にする度にお嬢様が私に強い感情を向ける様を、存分に楽しんだ。
彼女が私に……『物』に対するものだとしてもこんなに強い執着を見せるのは初めてで嬉しい誤算だった。
今日も……シュミナを抱きしめる私をお嬢様が憎しみの篭った視線で見つめているのを感じ、私は愉悦に震えた。
誰かに唆されでもしたら……お嬢様は簡単に大きな間違いを犯してしまうだろう。
お嬢様の怒りをもっと掻き立て、私に執着させ、シュラット侯爵でも庇いきれない罪をお嬢様に犯して頂こう。
その時が……お嬢様が私の手に落ちてくる時だ。
私は腕の中でうっとりとした視線を投げてくる少女をまるで本当に愛しているかのように抱き寄せた。
私はお嬢様の身の回りの世話をする為に数人のメイドと共に学園へお供する事となった。
お嬢様の美しさは少女から女性への過程を歩んでいる最中で、可憐さに加え妖艶さが増し正に咲き誇らんとしていたのだが……性格の苛烈さも増すばかりだった。
そんなお嬢様であるものの、容貌だけでも価値がある、シュラット侯爵家と近付けるのであればあの性格を差し引いても余りある、とお嬢様に近付く男は多かった。
……全て私が排除したが。
多少非合法な手も使ったが仕方がない。
お嬢様の婚約者である王子も、お嬢様の性格は嫌いであれど容貌は好まれているらしく歩み寄りの機会を伺っていたが……。
お嬢様に関するある事ない事……ではなくある事のみ全てを吹き込んだらあっさりそんな気持ちは霧散したようだった。
私はある事しか吹き込んでいないので、完全にお嬢様の日頃の行いのせいだ。
学園で……私は一人の少女と出会った。
シュミナ・パピヨン男爵令嬢……ピンク色の髪の美しい容貌の少女に。
お嬢様の入学の日に彼女が転んだのを助け起こしたのが縁だった。
彼女は助け起こした私を見て頬を染めた……まるで三文芝居の恋の始まりのような場面で陳腐だと笑いたくなったのを覚えている。
シュミナはお嬢様の私に対する行いを見て……私を憐れんできた。
『マクシミリアンさんが、あんな扱いを受ける必要なんて無いのに』
『ビアンカ様は酷すぎます』
『私、ビアンカ様にマクシミリアンさんを解放するように言ってきます』
『マクシミリアンさん、可哀想』
知ったふうな口を利くな。
私のお嬢様に対する気持ちを捻じ曲げて勝手に解釈するな。
それに……お嬢様を愛している私が哀れなのは、私自身が分かっている事だ。
この常に付きまとう偽善的な少女に対する鬱憤は日々溜まる一方だった。
シュミナは天使のような言葉を吐きながら蝶のように花から花へと色々な男の傷を癒やそうと奮闘しているようだ。
要はただの、売女じゃないか。
……お綺麗な顔と上辺だけの綺麗な言葉に他の男はどんどん籠絡されていった。
……実に滑稽だな、と思う。
シュミナはその男達がいるのにも関わらず何故か私に執着した。
そしてお嬢様は……シュミナと私が近付くと、烈火のごとく怒った。
『貴方はわたくしの犬でしょう!?他の女に尻尾を振るなんて許さないわ!』
『あの牝犬とまた一緒にいたの!?』
『犬のくせに言う事をきけないの!あの女に近付くなと何度言えば…』
そんな言葉を吐きながら激怒し私の背中を鞭で打ち、更にその傷をヒールで抉る。
そして痛みに呻く私を見ては満足げに声を立てて笑う。
しかしお嬢様の憎しみが増すと分かっていて……私はシュミナに寄り添った。
お嬢様私はもう貴方の物ではないのです……とでも言うようにシュミナに愛の篭った視線を向け、お嬢様に見つかるような場所で口付けを交わし、お嬢様には見せない笑顔をシュミナに見せる。
それを目にする度にお嬢様が私に強い感情を向ける様を、存分に楽しんだ。
彼女が私に……『物』に対するものだとしてもこんなに強い執着を見せるのは初めてで嬉しい誤算だった。
今日も……シュミナを抱きしめる私をお嬢様が憎しみの篭った視線で見つめているのを感じ、私は愉悦に震えた。
誰かに唆されでもしたら……お嬢様は簡単に大きな間違いを犯してしまうだろう。
お嬢様の怒りをもっと掻き立て、私に執着させ、シュラット侯爵でも庇いきれない罪をお嬢様に犯して頂こう。
その時が……お嬢様が私の手に落ちてくる時だ。
私は腕の中でうっとりとした視線を投げてくる少女をまるで本当に愛しているかのように抱き寄せた。
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