【R18】腹筋を割れ、話はそれからだ

夕日(夕日凪)

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処女は腹筋がお好き2※

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「ちょっとだけ、なら」
「じゃあ、はい」

 翼は私の側に来ると、シャツを脱ぎ捨てる。すると薄い鎧のような筋肉に纏われた上半身が、その姿を現した。
 生唾を飲みながら手を伸ばし腹筋に触れると、肌は柔らかさと弾力が同居した、今まで妄想していた通りの感触を返してくる。これが、本物の筋肉の手触り……!

「想像通りの手触りだ……。そして人の肌って、温かいんだね」
「……るなの手は、冷たい」
「冷え性だからね」

 そんな会話をしながらぺたぺたと何度も腹筋に触れてから、ささやかな盛り上がりを見せる胸筋に目をやる。だけど約束したのは腹筋だけだしな……と後ろ髪を引かれながら手を引こうとした時。大きな手で、そっと手を握られた。そして胸筋へと手を導かれる。

「いいよ、触って」

 胸に触れさせながら、翼は甘えるような声音でそう囁いた。お前は小悪魔系女子か。

「俺、腹斜筋にも自信があるんだ」
「腹斜筋!」

 ちらりと腰のあたりに目をやると、たしかに腹斜筋もいい盛り上がりを見せている。

「るなになら、いくらでも触られていいから」

 耳元に唇を近づけられて、甘く甘く囁かれる。握られた手は、いつの間にか優しく指を絡められていた。

 ……この距離感は、なにかおかしいんじゃないだろうか。

 そんな警鐘が頭の中でガンガンとなる。
 だけど私は……眼の前に晒された肉体美の誘惑に逆らうことができなかった。
 翼の顔が近づいてきたので反射的に目を瞑ると、唇に柔らかな感触が落ちてくる。驚いて目を開けると、まだ間近に翼の綺麗な顔があったのでまた驚いて思わずのけ反った。

「翼。今……」
「キスしたよ。はじめて?」
「はじめてだよ! なにしてくれてんの!」

 私のはじめてのキスはドゥ◯イン・ジョ◯ソンのような素敵な人に捧げるって決めていたのに。このヤリチンな友人に、軽々に奪われてしまうなんて……

「そっか、はじめてか。……嬉しいな」

 頬を引っ叩こうと振り上げた手は、ふにゃりと嬉しそうに笑う翼を見て力なく落ちてしまった。
 その笑顔が……うっかり翼は私のことが好きなんじゃないかと思ってしまいそうになる、幸せそうなものだったから。だけどこれは今まで付き合ってきたすべての女の子に向けられ、勘違いをさせてきた笑顔なのだ。

「あのね。私はじめてだから、困る」
「うん。大事にもらうから」

 そういう問題じゃない! と叫ぼうとした唇は柔らかな唇でまた塞がれた。舌で唇を舐められ、びくりと体を震わせると安心させるように頭を撫でられる。頭を撫でていない方の手はいつの間にか服の中に入っていて、色気のないファストファッションのお店で買ったブラジャーをそっとたくし上げられた。

「つば……むぅっ!」

 抗議しようと唇を開くと、そこから生暖かいものが侵入してきた。翼の、舌だ。あまりのことに思考と体が停止する。そして停止している間に、口内は柔らかな舌で満遍なく蹂躙された。

「ふ、ぅうう」

 息が苦しい。このままだと酸欠になってしまいそうだ。空気を吸おうと大きく口を開くと、捕食するようにむしゃぶりつかれてしまう。舌同士を擦り合わせられ、強く舌を吸い上げられ、口蓋や歯列を何度も何度も舐め取られた。そうされているうちに意識がどんどん蕩けていく。

「んっ、やぁっ」

 突然のキスとは別の刺激に、思わず声が漏れた。刺激の元に視線を向けると、優しく胸を揉みしだかれている。手は双丘を揉み込むだけではなく、頂を時折指の腹で擦り上げて刺激を送り込む。刺激されるたびにじわじわと体の芯が熱くなり、背筋をぞくりと震わせた。

「やっ、つばさぁ」
「るな、好き。もっと可愛い声を聞かせて」

 簡単に投げられた『好き』という言葉。翼にとってそれは挨拶程度の意味しかないのだろう。だけど私にとっては、人生で初めて投げられた『好き』なのだ。
 ……嘘だとわかっているのに、少しだけ嬉しくなってしまう自分の単純さに呆れ返る。

「好きだよ、るな」

 ――嘘つき。
 そう言おうとした唇は、翼の唇でまた塞がれた。慣れない長い口づけを何度も贈られ、ぐたりと床に崩れ落ちそうになった体は逞しい腕に支えられた。

「はじめてだし、いっぱい慣らそうね」

 床に寝かされ、するりと器用に部屋着の下が脱がされる。すると、色気のない女性用のボクサーパンツが姿を現した。言い訳をさせてもらうと、ちゃんと可愛いパンツも持っている。こんな突発的な出来事なんて、私は欠片も想定していなかったのだ。
 恥ずかしさで泣きそうになっていると、なだめるように頬に数度口づけされた。

「どんなパンツでも、るなは可愛い」

 ――慰めに、なっていない。
 それにお世辞だろうけど『可愛い』と言い過ぎだ。
 整った顔で『可愛い』を連呼されて、本気になったらどうしてくれるんだ。

「……ばか」

 真っ赤になって涙目で睨むと、翼はなにかを堪えるような表情になった。

「そんな煽るような顔しないで。ゆっくりしてあげたいのに、我慢できなくなる。可愛い、本当に」

 ……また可愛いって言った。
 恥ずかしくて顔を両手で覆うと、顔を覆った手に優しく口づけをされる。そしてパンツの上から、クリトリスがある場所をカリカリと引っかかれた。

「ふっ。やぁんっ」

 じわり、と自慰よりも甘い快楽が体に走る。私が声を出すと、翼はそれが嬉しいのか何度も同じ場所を引っかいた。

「パンツに染みができてる」
「そんな恥ずかしい報告っ……いら、にゃっ。ああぁああんっ!」

 こすこすと今度は強く指でクリを押される。その強い刺激に恥ずかしい声がどんどん上がって、羞恥心から翼から逃げようと身を捩った。だけど太ももをしっかりと掴まれて、逃してもらえない。
 翼は秘部に顔を近づけると、すんすんと匂いを嗅ぐ。そんな恥ずかしいことをしないで欲しいと頭を押しても、ちっとも動じてくれなくて。相手の力が強いと自分の体は意のままにされてしまうのだと、当たり前のことにようやく気づいた。

「はず、かし」
「雌の匂いがする。蕩けそうにいい匂い」
「ば、ばかぁ……ああっ!」

 下着の上からクリを思いきり吸われて、私は体を跳ねさせた。じゅわりと奥の方から蜜が溢れたのを感じる。パンツはもう、内側がドロドロになっているのだろう。翼は何度も尖りを吸い上げ、花弁を舌で嬲る。布地の上からでもこんなに気持ちいいのだ。直接刺激を与えられたら、私はおかしくなってしまうかもしれない。

「これ、もう穿けないね」

 穿けなくした本人がいけしゃあしゃあと言ってのけ、ついでにパンツを脱がされた。
 パンツという防波堤がなくなったので、蜜壺から零れる蜜が太ももにどろりと伝う。こんなに濡れたことはオナニーでは一度もなくて、その感触に私は困惑した。

「処女なのに濡れやすくて、可愛い」
「可愛いとか、言いすぎ」
「俺、嘘は言わないもん」

 嘘つき。さっきから『好き』や『可愛い』という嘘をたくさんついているくせに。
 恨みがましい気持ちになって翼のお腹を軽く蹴ったけれど、それは頑強な腹筋の感触に跳ね返された。……くそぅ。筋肉を、こんなに憎いと思うなんて。

「嫌い」

 力ではどうにもできないので、言葉の刃をぶつけてみる。それは存外に効いたようで、翼は少し顔を歪めた。

「こんな形で、奪おうとしてごめん。……だけど俺を、好きになって」

 切実な声音での囁きに、心がざわざわとかき乱される。
 そのざわめきは、翼が花弁に口づけたことによって、快楽に飲まれてしまった。
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