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公爵騎士様と一夜を過ごしてしまいました?10※
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「痛むか? ニカナ」
「ちょっとだけ痛いですけど。大丈夫、です」
優しい声音で訊ねられ、私は微笑みながらそう返す。
安堵した様子のスヴァンテ様は私の頬をするりと優しく撫でてから、ゆっくりと腰を動かしはじめた。
内側を大きなものが往復する時に生じる、痛みと違和感。最初はそれに戸惑うばかりだったけれど少しずつ痛みは薄れ、代わりにじわりと甘い熱が湧く。その熱につられるようにして、膣壁は甘く濡れそぼった。
「んんっ。あっ」
逞しい熱の存在を感じながら、私は声を漏らす。すると、私を見つめる彼の顔が嬉しそうに綻んだ。
「……可愛い声だ。うん、ニカナはなにもかも可愛い」
今夜は何度、スヴァンテ様に『可愛い』と言われたのかな。この方はどうして、ここまで私のことを好いてくださるのだろう。
……私は、なにも持っていないのに。
そんな考えが、ふと過ぎってしまう。
私は容姿は凡庸だし、きちんとした教育を受けていないので教養も常識もまったくない。
民衆が期待する『聖女様』のような清廉さもないし、皆が微笑ましいと思うような無邪気な人柄でもない。その上、平民なのだ。
聖女としての力の行使はできるけれど、それは『私』自身を構成する要素ではない。だってこの『力』は、あくまで大神様のものだもの。
『どうして』が心に降り積もり不安になって手を伸ばせば、その手をぎゅっと握られる。そして優しく、指同士を絡められた。
「ニカナ、どうした? そんな顔をして」
私の不安は、すぐにスヴァンテ様に気づかれてしまった。
スヴァンテ様の手をにぎにぎと握りながら、私はしばしの間逡巡する。そして……恐る恐る口を開いた。
「スヴァンテ様。……どうして、私なのでしょう?」
「どうして、それを訊く?」
「少しだけ……不安になってしまって。私には、なにもないので」
「……そうか。側にいてこれほど愛おしくなる存在は、はじめてなんだ。それでは、ダメだろうか?」
スヴァンテ様は情熱的な言葉を口にしながら、内側にある存在を意識させるように熱を最奥へと押しつける。
少し苦しくて、だけど心地よくて。唇からはほうと吐息が零れた。
「君がなにを持っていようと、なにも持っていなくても。君のことが愛おしくて、仕方がないと思うんだ」
「あ、ああっ!」
囁きとともに抽送を繰り返され、私は背を反らした。
彼の言葉はまっすぐで、それが本心であることがはっきりと窺い知れる。
それが『嬉しい』と感じた瞬間に、瞳からは涙が零れ落ちた。その涙は、スヴァンテ様の舌によって優しく拭い取られる。
「私も。スヴァンテさまが……好きです。だいすき、です」
祈るような気持ちで精一杯の好意を口にすれば、噛みつくように唇を塞がれる。
スヴァンテ様が腰を動かすと体が揺らされ、その優しい律動に身を任せているうちに灯った熱が大きくなり、甘い波となって体中に伝播していった。
「あっ……やぁっ! スヴァンテさま、スヴァンテさま」
彼の名前を呼びながら、繋がれた手に力を込める。するとスヴァンテ様は優しく、手を握り返してくれた。
深いところでスヴァンテ様の存在を感じることに夢中になり、自然に腰を揺らしてしまう。そんな私を愛おしそうに見つめてから、スヴァンテ様は私と自身を追い立てるように抽送を速めた。
「んっ! や、ん! ああっ!」
お腹の奥を突き上げられながら、私は快楽の高みに達した。
頭の中が真っ白になり、数瞬意識が飛んでしまう。
「──ッ!」
スヴァンテ様もぎゅうと私を抱きしめながら、体を小さく震わせる。
そして……私の内側になにかを注ぎ込んでいるようだった。注ぎ込まれたものは私の太ももを伝って、とろりと零れて敷布に垂れる。
──これは、一体なんなのだろう。
息を切らせながら、私はそんなことを考える。注がれたものの正体を訊ねようと、スヴァンテ様の方を見ると……。
彼の瞳には、また欲の熱が灯っていた。それを目にして、私はこくりと喉を鳴らす。
「ニカナ、まだできるか?」
微笑みながら訊ねるスヴァンテ様の優しげな風情とは対照的に、内側に埋まったままのものが凶悪な硬さを取り戻していくのがわかる。
私は少しの間考えてから……自身の内側から湧き起こる欲に負け、こくりと頷いてしまった。
「ちょっとだけ痛いですけど。大丈夫、です」
優しい声音で訊ねられ、私は微笑みながらそう返す。
安堵した様子のスヴァンテ様は私の頬をするりと優しく撫でてから、ゆっくりと腰を動かしはじめた。
内側を大きなものが往復する時に生じる、痛みと違和感。最初はそれに戸惑うばかりだったけれど少しずつ痛みは薄れ、代わりにじわりと甘い熱が湧く。その熱につられるようにして、膣壁は甘く濡れそぼった。
「んんっ。あっ」
逞しい熱の存在を感じながら、私は声を漏らす。すると、私を見つめる彼の顔が嬉しそうに綻んだ。
「……可愛い声だ。うん、ニカナはなにもかも可愛い」
今夜は何度、スヴァンテ様に『可愛い』と言われたのかな。この方はどうして、ここまで私のことを好いてくださるのだろう。
……私は、なにも持っていないのに。
そんな考えが、ふと過ぎってしまう。
私は容姿は凡庸だし、きちんとした教育を受けていないので教養も常識もまったくない。
民衆が期待する『聖女様』のような清廉さもないし、皆が微笑ましいと思うような無邪気な人柄でもない。その上、平民なのだ。
聖女としての力の行使はできるけれど、それは『私』自身を構成する要素ではない。だってこの『力』は、あくまで大神様のものだもの。
『どうして』が心に降り積もり不安になって手を伸ばせば、その手をぎゅっと握られる。そして優しく、指同士を絡められた。
「ニカナ、どうした? そんな顔をして」
私の不安は、すぐにスヴァンテ様に気づかれてしまった。
スヴァンテ様の手をにぎにぎと握りながら、私はしばしの間逡巡する。そして……恐る恐る口を開いた。
「スヴァンテ様。……どうして、私なのでしょう?」
「どうして、それを訊く?」
「少しだけ……不安になってしまって。私には、なにもないので」
「……そうか。側にいてこれほど愛おしくなる存在は、はじめてなんだ。それでは、ダメだろうか?」
スヴァンテ様は情熱的な言葉を口にしながら、内側にある存在を意識させるように熱を最奥へと押しつける。
少し苦しくて、だけど心地よくて。唇からはほうと吐息が零れた。
「君がなにを持っていようと、なにも持っていなくても。君のことが愛おしくて、仕方がないと思うんだ」
「あ、ああっ!」
囁きとともに抽送を繰り返され、私は背を反らした。
彼の言葉はまっすぐで、それが本心であることがはっきりと窺い知れる。
それが『嬉しい』と感じた瞬間に、瞳からは涙が零れ落ちた。その涙は、スヴァンテ様の舌によって優しく拭い取られる。
「私も。スヴァンテさまが……好きです。だいすき、です」
祈るような気持ちで精一杯の好意を口にすれば、噛みつくように唇を塞がれる。
スヴァンテ様が腰を動かすと体が揺らされ、その優しい律動に身を任せているうちに灯った熱が大きくなり、甘い波となって体中に伝播していった。
「あっ……やぁっ! スヴァンテさま、スヴァンテさま」
彼の名前を呼びながら、繋がれた手に力を込める。するとスヴァンテ様は優しく、手を握り返してくれた。
深いところでスヴァンテ様の存在を感じることに夢中になり、自然に腰を揺らしてしまう。そんな私を愛おしそうに見つめてから、スヴァンテ様は私と自身を追い立てるように抽送を速めた。
「んっ! や、ん! ああっ!」
お腹の奥を突き上げられながら、私は快楽の高みに達した。
頭の中が真っ白になり、数瞬意識が飛んでしまう。
「──ッ!」
スヴァンテ様もぎゅうと私を抱きしめながら、体を小さく震わせる。
そして……私の内側になにかを注ぎ込んでいるようだった。注ぎ込まれたものは私の太ももを伝って、とろりと零れて敷布に垂れる。
──これは、一体なんなのだろう。
息を切らせながら、私はそんなことを考える。注がれたものの正体を訊ねようと、スヴァンテ様の方を見ると……。
彼の瞳には、また欲の熱が灯っていた。それを目にして、私はこくりと喉を鳴らす。
「ニカナ、まだできるか?」
微笑みながら訊ねるスヴァンテ様の優しげな風情とは対照的に、内側に埋まったままのものが凶悪な硬さを取り戻していくのがわかる。
私は少しの間考えてから……自身の内側から湧き起こる欲に負け、こくりと頷いてしまった。
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