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転生王子は庭園で2※
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ティアラ嬢の唇は、柔らかい。そして甘い。唇に舌を差し入れてみるとティアラ嬢は驚いたように身を震わせたけれど、おずおずと自らも舌を伸ばしてきた。その小さな舌に自らの舌を擦り合わせると、驚くほどに気持ちいい。俺は散々舌を嬲った後に、口蓋や白い歯にも舌を這わせた。
「ふ、ぁ、あ」
深い口づけを与えていると、ティアラ嬢から愛らしい小さな喘ぎが漏れる。それに昂ぶらされた下腹部が、はちきれんばかりになって痛い。
俺は体感で二十分ばかり彼女の唇を貪った。そしてようやく唇を離すと、ティアラ嬢は俺の胸に倒れ込んでくる。その体を抱きしめ、さらさらとした黒髪をできるだけの優しさで撫でてあげた。
……その間も俺の股間は大変なことになっているのだが。こんなところで押し倒すわけにもいかない。そもそも童貞にそんな根性はない。
誰が来るかも、わからないし。
『今日は私以外の護衛はおりません。その私も数時間程度、どこかでうっかり昼寝をするかもしれませんね。今日は天気がとてもいいので』
その時、俺の脳裏にブリッツの言葉が蘇った。あいつ、これを見越して……!
いや、ダメだ。そもそもティアラ嬢の気持ちがわからない。『嫌いにならないで』と言われたが『好き』と言われたわけではないのだ。
……キスをしたのも、早まったな。
「しおん、おうじ」
とろりとした瞳を俺に向けながら、ティアラ嬢が幼い口で俺の名を呼ぶ。ああもう、可愛い。
「ダメだよ、ティアラ嬢。そんな風に呼ばれると我慢ができなくなるから」
「がまん……」
ティアラ嬢は自分の体に触れている物に気づいたようで、俺の下腹部に目を向ける。そして顔を真っ赤にした。
「シオン、王子。これは」
「うん、収まるまで我慢するから。気にしないで」
俺はティアラ嬢の体をさらに深く抱き込んで、深呼吸をした。収まれ、早く収まれ。
「……その、ティアは構いません。抱いて、ください」
「ティアラ嬢!?」
「シオン王子、抱いて。ティアを婚約者のままでいさせてください」
それは、公爵家の娘としての義務だろうか。そんな苦い気持ちが胸に広がる。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、ティアラ嬢は俺の表情を見て悲しそうな顔をした。
「お嫌いな女のことなど……抱けませんよね」
ティアラ嬢は、おかしなことを言う。俺は眉を顰めながらティアラ嬢を見つめた。
「ティアラ嬢こそ、俺のことを嫌っているだろう?」
「え……?」
今度はティアラ嬢が呆気に取られた顔で俺を見つめる。そしてぷるぷると何度も首を横に振った。
「は、はじめてお会いした日から。お慕いしておりました」
「……えーっと。そんな嘘、つかなくても」
「う、嘘じゃありません!」
「だけど、叩かれたり、怒られたりばかりだったし……」
「うううう、それは」
じわりとティアラ嬢の瞳に涙が浮かぶ。そして彼女は俺の胸にぐりぐりと額を押し当てた。
「王子のことが愛おしすぎて、恥ずかしかったんです。だからあんな無礼な態度に」
――ティアたんはツンじゃなくて、ツンデレだった。
なんということだ。こんな国宝級のツンデレが存在したなんて。
俺はティアたんの体を抱き上げた。軽い、羽根のように軽い。体が近い、いい匂いがする。股間が、とても痛い。
「王子!?」
「……東屋へ。そこなら万が一誰か来ても、見られないから」
耳元で囁いて、そのまま甘噛みをするとティアたんの口から甘い喘ぎが漏れた。
「あの、あの。シオン王子は、その。私のことは……」
ぎゅっと俺の服を握って、恐る恐るティアラ嬢が訊ねてくる。
「……一目惚れした。天使かと思ったよ」
俺は中二病時代の前世のようなセリフを、素のテンションで囁いた。恥ずかしい。
だけどティアたんの顔が嬉しそうに綻んだので、そんなことはどうでもいいのだ。
「ふ、ぁ、あ」
深い口づけを与えていると、ティアラ嬢から愛らしい小さな喘ぎが漏れる。それに昂ぶらされた下腹部が、はちきれんばかりになって痛い。
俺は体感で二十分ばかり彼女の唇を貪った。そしてようやく唇を離すと、ティアラ嬢は俺の胸に倒れ込んでくる。その体を抱きしめ、さらさらとした黒髪をできるだけの優しさで撫でてあげた。
……その間も俺の股間は大変なことになっているのだが。こんなところで押し倒すわけにもいかない。そもそも童貞にそんな根性はない。
誰が来るかも、わからないし。
『今日は私以外の護衛はおりません。その私も数時間程度、どこかでうっかり昼寝をするかもしれませんね。今日は天気がとてもいいので』
その時、俺の脳裏にブリッツの言葉が蘇った。あいつ、これを見越して……!
いや、ダメだ。そもそもティアラ嬢の気持ちがわからない。『嫌いにならないで』と言われたが『好き』と言われたわけではないのだ。
……キスをしたのも、早まったな。
「しおん、おうじ」
とろりとした瞳を俺に向けながら、ティアラ嬢が幼い口で俺の名を呼ぶ。ああもう、可愛い。
「ダメだよ、ティアラ嬢。そんな風に呼ばれると我慢ができなくなるから」
「がまん……」
ティアラ嬢は自分の体に触れている物に気づいたようで、俺の下腹部に目を向ける。そして顔を真っ赤にした。
「シオン、王子。これは」
「うん、収まるまで我慢するから。気にしないで」
俺はティアラ嬢の体をさらに深く抱き込んで、深呼吸をした。収まれ、早く収まれ。
「……その、ティアは構いません。抱いて、ください」
「ティアラ嬢!?」
「シオン王子、抱いて。ティアを婚約者のままでいさせてください」
それは、公爵家の娘としての義務だろうか。そんな苦い気持ちが胸に広がる。
そんな気持ちが顔に出ていたのか、ティアラ嬢は俺の表情を見て悲しそうな顔をした。
「お嫌いな女のことなど……抱けませんよね」
ティアラ嬢は、おかしなことを言う。俺は眉を顰めながらティアラ嬢を見つめた。
「ティアラ嬢こそ、俺のことを嫌っているだろう?」
「え……?」
今度はティアラ嬢が呆気に取られた顔で俺を見つめる。そしてぷるぷると何度も首を横に振った。
「は、はじめてお会いした日から。お慕いしておりました」
「……えーっと。そんな嘘、つかなくても」
「う、嘘じゃありません!」
「だけど、叩かれたり、怒られたりばかりだったし……」
「うううう、それは」
じわりとティアラ嬢の瞳に涙が浮かぶ。そして彼女は俺の胸にぐりぐりと額を押し当てた。
「王子のことが愛おしすぎて、恥ずかしかったんです。だからあんな無礼な態度に」
――ティアたんはツンじゃなくて、ツンデレだった。
なんということだ。こんな国宝級のツンデレが存在したなんて。
俺はティアたんの体を抱き上げた。軽い、羽根のように軽い。体が近い、いい匂いがする。股間が、とても痛い。
「王子!?」
「……東屋へ。そこなら万が一誰か来ても、見られないから」
耳元で囁いて、そのまま甘噛みをするとティアたんの口から甘い喘ぎが漏れた。
「あの、あの。シオン王子は、その。私のことは……」
ぎゅっと俺の服を握って、恐る恐るティアラ嬢が訊ねてくる。
「……一目惚れした。天使かと思ったよ」
俺は中二病時代の前世のようなセリフを、素のテンションで囁いた。恥ずかしい。
だけどティアたんの顔が嬉しそうに綻んだので、そんなことはどうでもいいのだ。
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