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もののけ執事とお座敷少女6
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スマホのアラームで目を覚まし、小さく唸りながら体を起こす。隣で寝ていた座敷ちゃんは先に目を覚ましたようで、その姿は部屋にはない。
顔を洗ってからちょっと期待しながら台所に行くと、期待通りにテーブルの上には朝食が置いてある。今日の朝食はコンソメスープとパングラタンで、『温めて食べてください』という夜音さんのメモが添えられていた。……本当に、ありがたいなあ。
「いただきます」
レンジて温めてから口にすると、今日の朝食もとても美味しい。
パングラタンはパンで器を作った可愛い見た目のもので、中にはぎっしりとブロッコリーなどの野菜と鶏肉、そしてチーズが入っている。……この量は、二食分を兼ねているのかもしれないな。私が仕事に集中しすぎてお昼を食べない可能性を考慮してるんだろう。
パングラタンはとても美味しいくて、だけど焼きたてだったらもっと美味しいんだろうなぁとも思う。
それを夜音さんに言うと、『規則正しい生活をして、早起きをしたら焼きたてを食べられますよ』と言われるんだろうな。
「さて……」
お腹がいっぱいになった私は、今日の予定に思いを馳せた。
今日は、引っ越し業者が荷物を持ってくる日だ。
正直なところ。ここにある祖母の家財道具だけでもじゅうぶん生活できるなぁと思っていたりもして、どうしたものかと私は悩んでいる。被ってしまう私の家具や家電の類は業者に頼んで、有料で引き取ってもらおうかな。元彼との思い出の品だったりするし、厄払いも兼ねて捨ててしまうのもありだよね。うん、そうしよう。
さて。引っ越し業者が来るまでは、ひたすらお仕事だ。
ノートパソコンを開いて立ち上げ、まずはメールのチェックをする。すると……
「ん?」
十数件の新規依頼が、メールボックスに舞い込んでいた。
これも座敷ちゃんパワーなんだろうけれど、さすがに依頼の数が多すぎる!
条件を整理してから、お断り候補を絞り込まないとな……これをぜんぶ受けていたら、スケジュールが破綻してしまう。
あ、昨日提出の案件の受領メールもきてる。無事に完納となったようで良かった。
案件の内容を吟味しつつ返信作業をしているうちに、業者が来る時間になった。なんとも慌ただしいものだ。
衣類や私自身のお金で購入した家具など、必要なものは屋内へと運んでもらい、元彼と共有だった家具家電の類はひとまず倉庫に。
その作業は案外短い時間で終わって、引っ越し業者はあっという間に帰って行った。
「芽衣様。嫌な気配をするものを、持ち込みましたね」
声がして、右隣に気配が増える。夜音さんだとすぐにわかったけれど、急に出てこられるのは心臓に悪い。
「や、夜音さん! 急に出てこないでくださいよ」
「それは無理ですね。私はもののけですし」
彼は澄まし顔で言うと、倉庫にじっと目を向けた。
そういえばさっき、『嫌な気配』って言ったよね……
「中に入っているものは、なんですか?」
「元彼と共有で使っていた家財の類ですね。後で不用品回収の業者に、引き取ってもらおうと思ってます」
「そうですね、それがいいと思います。……矮小な獣に騙されたバカの匂いがプンプンとする」
……矮小な獣に騙された、バカ?
夜音さんの言葉の意味はわからなかったけれど、私はひとます手元のスマホで廃品回収の業者に電話をした。
顔を洗ってからちょっと期待しながら台所に行くと、期待通りにテーブルの上には朝食が置いてある。今日の朝食はコンソメスープとパングラタンで、『温めて食べてください』という夜音さんのメモが添えられていた。……本当に、ありがたいなあ。
「いただきます」
レンジて温めてから口にすると、今日の朝食もとても美味しい。
パングラタンはパンで器を作った可愛い見た目のもので、中にはぎっしりとブロッコリーなどの野菜と鶏肉、そしてチーズが入っている。……この量は、二食分を兼ねているのかもしれないな。私が仕事に集中しすぎてお昼を食べない可能性を考慮してるんだろう。
パングラタンはとても美味しいくて、だけど焼きたてだったらもっと美味しいんだろうなぁとも思う。
それを夜音さんに言うと、『規則正しい生活をして、早起きをしたら焼きたてを食べられますよ』と言われるんだろうな。
「さて……」
お腹がいっぱいになった私は、今日の予定に思いを馳せた。
今日は、引っ越し業者が荷物を持ってくる日だ。
正直なところ。ここにある祖母の家財道具だけでもじゅうぶん生活できるなぁと思っていたりもして、どうしたものかと私は悩んでいる。被ってしまう私の家具や家電の類は業者に頼んで、有料で引き取ってもらおうかな。元彼との思い出の品だったりするし、厄払いも兼ねて捨ててしまうのもありだよね。うん、そうしよう。
さて。引っ越し業者が来るまでは、ひたすらお仕事だ。
ノートパソコンを開いて立ち上げ、まずはメールのチェックをする。すると……
「ん?」
十数件の新規依頼が、メールボックスに舞い込んでいた。
これも座敷ちゃんパワーなんだろうけれど、さすがに依頼の数が多すぎる!
条件を整理してから、お断り候補を絞り込まないとな……これをぜんぶ受けていたら、スケジュールが破綻してしまう。
あ、昨日提出の案件の受領メールもきてる。無事に完納となったようで良かった。
案件の内容を吟味しつつ返信作業をしているうちに、業者が来る時間になった。なんとも慌ただしいものだ。
衣類や私自身のお金で購入した家具など、必要なものは屋内へと運んでもらい、元彼と共有だった家具家電の類はひとまず倉庫に。
その作業は案外短い時間で終わって、引っ越し業者はあっという間に帰って行った。
「芽衣様。嫌な気配をするものを、持ち込みましたね」
声がして、右隣に気配が増える。夜音さんだとすぐにわかったけれど、急に出てこられるのは心臓に悪い。
「や、夜音さん! 急に出てこないでくださいよ」
「それは無理ですね。私はもののけですし」
彼は澄まし顔で言うと、倉庫にじっと目を向けた。
そういえばさっき、『嫌な気配』って言ったよね……
「中に入っているものは、なんですか?」
「元彼と共有で使っていた家財の類ですね。後で不用品回収の業者に、引き取ってもらおうと思ってます」
「そうですね、それがいいと思います。……矮小な獣に騙されたバカの匂いがプンプンとする」
……矮小な獣に騙された、バカ?
夜音さんの言葉の意味はわからなかったけれど、私はひとます手元のスマホで廃品回収の業者に電話をした。
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