悪役令嬢は南国で自給自足したい

夕日(夕日凪)

文字の大きさ
上 下
203 / 222

令嬢13歳・令嬢たちの後夜祭・後

しおりを挟む
めちゃくちゃ不貞腐れているが、こればかりはしょうがない。
お互いがホストをやっている以上割り切るしかないのだ。

多分ここで俺が辞めてもアイ君が辞めない限り別の問題が出てくるだろうし、2人揃って辞めるなんてもってのほかだ。
しっかり夜の世界に染まってしまった俺達が、急に昼の世界に戻るのは現実的に厳しい。
わかりやすいところで、普通に金銭感覚終わってると思う。

それに今辞めるのは普通に勿体無い。特にアイ君。
ホストは適当に始める人も多いが、本気でやっている人も多いのだ。
俺たちは後者で、どんどんと記録を更新し、目標に向かって突き進んでいるアイ君が辞めるのは本当に勿体無い。俺もまだ目標達成してないし。今やめたくはない。



「………チューするの?」

めちゃくちゃ不機嫌な声で聞いてくるけれど、アイ君だって本当はわかってる。
納得してません!って感じが声だけじゃなく顔からも滲み出てるけど。

「するかもね。」

「………。」

いや、めちゃくちゃ嫌そうな顔するじゃん。
眉間にすんげえ皺寄るじゃん。
なんか本当にわかってるのか心配になってきた。

………可哀想だからちょっとだけ飴をやるか。

「はぁ…じゃあさきにアイ君がしてよ。
明日会う子よりも先に。」

「!」

ぱああぁぁぁぁ…!
という効果音が聞こえてきそうなほど嬉しそうな顔をしている。

すんごい笑顔。単純か。

「さきさんから言われるの破壊力すごい。じゃあ先に失礼します。」

「ん。いいよ。…んっ…ぅん…はっ…」

アイ君の顔が近づいてきて、そのまま深いキスをされる。
いつもより少し荒っぽいのが意識してるみたいで可愛い。
こういう嫉妬深いところも嫌いじゃないどころか、むしろ好きだ。
俺のこと本当に好きって感じするから。

「ん。明日終わった後も来て下さい。消毒するから。」

頭をぽんぽんとしてくれる。
いつもよりどこか男らしくてキュンとしてしまった。
すごい単細胞だけど…。

アイ君は年下だけど、頭をぽんぽんとされるのは許してしまう。というかむしろ好きだったりする。

「ん、いっぱい消毒してね。」

納得はしてくれたけど、多分相当我慢してくれてるんだよね。
だからたまには甘やかしてあげないとね。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「まあ!今からもギャンギャンに抱きますけどね!泊まりだし。」

「うるせえよ。キスで終わっとけよ。ムード台無しかよ。」

「無理。明日俺のことしか考えられないようにする。抱き潰す。」

「やめろ。ホストが腰痛めてたらやばいだろ。」

「ちぇ。ケチ。」
しおりを挟む
感想 204

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

勝手にしなさいよ

恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~

白金ひよこ
恋愛
 熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!  しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!  物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

処理中です...