72 / 222
閑話6・ミルカは好感度を察知する(ミルカ視点)
しおりを挟む
私ミルカ。パラディスコ王国の王女をしてるの。
私は昔から何故か勘が鋭くて、それは恋愛関係の事だとより一層正確に働いた。
『フットマンのユーリはメイドのアリサの事が好きなのね。だけどアリサは……。もうちょっと頑張りましょうね、ユーリ!』なんて。
人を見ていると頭にそんな考えが自然と浮かび上がってくる。
それは知り合いに限定され、常時ではなくたま~にふっと思い浮かぶ感じだ。
常時でしかも無差別だったりしたら多分私は狂ってるか、引きこもりになってたわね。
そしてその思い浮かぶ考えは……何故か全て的中する。
まぁ、ただのちょっと鋭いだけの勘だ。
……なんて今は軽く思えるけど。
酷く悩んでいた時期も当然あって、今考えると気鬱の病に罹りかけていたのだと思う。
でもハウンドがいつも一緒に居て、眉間に寄った私の皺を能天気に笑いながら指でほぐしてくれたから。
『ミルカ、元気出せよ』なんて優しい声音で言いながら頭を撫でてくれたから。
彼が居たから私は『ちょっと鋭いだけの勘だ』なんて今平気な顔を今していられるのだ。
ハウンドの気持ちは、何故か一度も頭に浮かび上がってこない。
……彼は私の事、多分好きだと思うんだけど。自惚れだったら恥ずかしい。
本当のところ、どうなのかしら?彼の気持ちはいつ浮かび上がるんだろう。
兄のメイカ、あいつはほんとにダメな男。
メイカを見てると『ルイーズ嬢とジュディ嬢とマリアベル嬢と付き合ってるのね。でも貴方の気持ちはそこにないわ。最低ね!』なんて考えが頭によく浮かぶ。
……メイカの分だけ情報を全て遮断したいわ、ほんとに。
でも最近は思い浮かぶ言葉が『ビアンカ嬢の事が気になっているみたい。だけどビアンカ嬢に、その気はないわね。ビアンカ嬢はパリピはお嫌みたい』に変わったから、ざまーみろって思ってる。
……パリピって何かしら??知らない言葉が混じる事なんて今までなくて困惑したけれど……。
まぁ、そんなに重要な事じゃないだろう。
しかしメイカが……最近ちょっかいをかけられている、シュミナとかいう女に惹かれていない事には内心ほっとした。
釘を刺す必要は……今のところ無さそうね。
シュミナ・パピヨン、あれはやばい。
何がやばいって……侯爵令嬢に絡んだり素行がやばいのは勿論なのだけれど。
『皆は私の事を好きになるの!!フィリップ王子、ノエル様、マクシミリアン、メイカ王子、――――!皆私を早く好きになって!』
彼女を見ていても、それしか思い浮かばないの。
皆は私の事を好きになるの……ってなんなのよ、それ。
自信過剰にもほどがあるわ。
しかも相手からは一切……欠片も気持ちが向いていないのにどうしてそう思い込めるのかしら……。
顔は折角可愛いのに……頭の作りが彼女は残念なようね。
実は私は、この力の原因を知りたくてルミナティ魔法学園への留学を決めた。
だけど教師に相談をしてみたら、恐らく魔法関係ではないと言われたのだ。
『この世には時折人の知らない何かを知る人物が生まれるんだ。どこで何が起きるとか、誰がいつ死ぬ、とか……そんな事が何故か理由も分からず知覚出来る。それは預言者等と言われ尊ばれる存在になる。王女の力はその力の一種なんじゃないかな』
彼は首を傾げながらそんな事を言った。
……なんてはた迷惑な話なの……。
一方的に何者かに受信させられるこっちはたまったもんじゃないわ。
まぁ、どうしようもないのなら受け入れるしかないと……私はそう覚悟を決めた。
ところで、私の友人のビアンカ嬢はとてもモテる。
彼女と出会ってすぐ……色々な考えが頭に浮かんだので本当に驚いた。
『フィリップ王子はビアンカ嬢と恋愛関係になりたいのね。でもビアンカ嬢は彼をいい友人と思っているわ。関係性を変える為に彼は頑張っているみたい』
『ノエルは自分の気持ちに気付いていないのね。彼女の事を守る、その思いが恋心よりも強いようね。ビアンカ嬢は彼を友人だと思っているわ』
マックスに関しての情報は、濃度が濃すぎて一旦脳が情報を遮断してしまう程だった。
遮断するなんて初めてなんだけど……なんなのあの執着は、本当に怖いわ。
彼女は他にも教師やら、クラスメイトの男子やら、うわぁご令嬢まで……このカフェテリアに居る私の知人という範囲だけでも……とにかく色々な人から想いを寄せられているようだった。
……これだけモテると大変なんだろうなぁって同情的な視線を思わずビアンカ嬢に向けてしまったけれど。
彼女は驚く程に、自分に向けられる好意に無頓着というか……気付いていなかった。全く。
というか周囲から嫌われていると本気で思っているようだった……なんて鈍い子なの。可愛いわ。
ビアンカ嬢は、自分に向けられている好意と、そして……自分の気持ちにとても鈍い。
私は彼女に出会った瞬間そう結論付けた。
私は昔から何故か勘が鋭くて、それは恋愛関係の事だとより一層正確に働いた。
『フットマンのユーリはメイドのアリサの事が好きなのね。だけどアリサは……。もうちょっと頑張りましょうね、ユーリ!』なんて。
人を見ていると頭にそんな考えが自然と浮かび上がってくる。
それは知り合いに限定され、常時ではなくたま~にふっと思い浮かぶ感じだ。
常時でしかも無差別だったりしたら多分私は狂ってるか、引きこもりになってたわね。
そしてその思い浮かぶ考えは……何故か全て的中する。
まぁ、ただのちょっと鋭いだけの勘だ。
……なんて今は軽く思えるけど。
酷く悩んでいた時期も当然あって、今考えると気鬱の病に罹りかけていたのだと思う。
でもハウンドがいつも一緒に居て、眉間に寄った私の皺を能天気に笑いながら指でほぐしてくれたから。
『ミルカ、元気出せよ』なんて優しい声音で言いながら頭を撫でてくれたから。
彼が居たから私は『ちょっと鋭いだけの勘だ』なんて今平気な顔を今していられるのだ。
ハウンドの気持ちは、何故か一度も頭に浮かび上がってこない。
……彼は私の事、多分好きだと思うんだけど。自惚れだったら恥ずかしい。
本当のところ、どうなのかしら?彼の気持ちはいつ浮かび上がるんだろう。
兄のメイカ、あいつはほんとにダメな男。
メイカを見てると『ルイーズ嬢とジュディ嬢とマリアベル嬢と付き合ってるのね。でも貴方の気持ちはそこにないわ。最低ね!』なんて考えが頭によく浮かぶ。
……メイカの分だけ情報を全て遮断したいわ、ほんとに。
でも最近は思い浮かぶ言葉が『ビアンカ嬢の事が気になっているみたい。だけどビアンカ嬢に、その気はないわね。ビアンカ嬢はパリピはお嫌みたい』に変わったから、ざまーみろって思ってる。
……パリピって何かしら??知らない言葉が混じる事なんて今までなくて困惑したけれど……。
まぁ、そんなに重要な事じゃないだろう。
しかしメイカが……最近ちょっかいをかけられている、シュミナとかいう女に惹かれていない事には内心ほっとした。
釘を刺す必要は……今のところ無さそうね。
シュミナ・パピヨン、あれはやばい。
何がやばいって……侯爵令嬢に絡んだり素行がやばいのは勿論なのだけれど。
『皆は私の事を好きになるの!!フィリップ王子、ノエル様、マクシミリアン、メイカ王子、――――!皆私を早く好きになって!』
彼女を見ていても、それしか思い浮かばないの。
皆は私の事を好きになるの……ってなんなのよ、それ。
自信過剰にもほどがあるわ。
しかも相手からは一切……欠片も気持ちが向いていないのにどうしてそう思い込めるのかしら……。
顔は折角可愛いのに……頭の作りが彼女は残念なようね。
実は私は、この力の原因を知りたくてルミナティ魔法学園への留学を決めた。
だけど教師に相談をしてみたら、恐らく魔法関係ではないと言われたのだ。
『この世には時折人の知らない何かを知る人物が生まれるんだ。どこで何が起きるとか、誰がいつ死ぬ、とか……そんな事が何故か理由も分からず知覚出来る。それは預言者等と言われ尊ばれる存在になる。王女の力はその力の一種なんじゃないかな』
彼は首を傾げながらそんな事を言った。
……なんてはた迷惑な話なの……。
一方的に何者かに受信させられるこっちはたまったもんじゃないわ。
まぁ、どうしようもないのなら受け入れるしかないと……私はそう覚悟を決めた。
ところで、私の友人のビアンカ嬢はとてもモテる。
彼女と出会ってすぐ……色々な考えが頭に浮かんだので本当に驚いた。
『フィリップ王子はビアンカ嬢と恋愛関係になりたいのね。でもビアンカ嬢は彼をいい友人と思っているわ。関係性を変える為に彼は頑張っているみたい』
『ノエルは自分の気持ちに気付いていないのね。彼女の事を守る、その思いが恋心よりも強いようね。ビアンカ嬢は彼を友人だと思っているわ』
マックスに関しての情報は、濃度が濃すぎて一旦脳が情報を遮断してしまう程だった。
遮断するなんて初めてなんだけど……なんなのあの執着は、本当に怖いわ。
彼女は他にも教師やら、クラスメイトの男子やら、うわぁご令嬢まで……このカフェテリアに居る私の知人という範囲だけでも……とにかく色々な人から想いを寄せられているようだった。
……これだけモテると大変なんだろうなぁって同情的な視線を思わずビアンカ嬢に向けてしまったけれど。
彼女は驚く程に、自分に向けられる好意に無頓着というか……気付いていなかった。全く。
というか周囲から嫌われていると本気で思っているようだった……なんて鈍い子なの。可愛いわ。
ビアンカ嬢は、自分に向けられている好意と、そして……自分の気持ちにとても鈍い。
私は彼女に出会った瞬間そう結論付けた。
1
お気に入りに追加
7,030
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。
あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!?
ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど
ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。
※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
執着系逆ハー乙女ゲームに転生したみたいだけど強ヒロインなら問題ない、よね?
陽海
恋愛
乙女ゲームのヒロインに転生したと気が付いたローズ・アメリア。
この乙女ゲームは攻略対象たちの執着がすごい逆ハーレムものの乙女ゲームだったはず。だけど肝心の執着の度合いが分からない。
執着逆ハーから身を守るために剣術や魔法を学ぶことにしたローズだったが、乙女ゲーム開始前からどんどん攻略対象たちに会ってしまう。最初こそ普通だけど少しずつ執着の兆しが見え始め......
剣術や魔法も最強、筋トレもする、そんな強ヒロインなら逆ハーにはならないと思っているローズは自分の行動がシナリオを変えてますます執着の度合いを釣り上げていることに気がつかない。
本編完結。マルチエンディング、おまけ話更新中です。
小説家になろう様でも掲載中です。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる