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令嬢13歳・彼の告白、わたくしの心
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ふわふわと、現実感が湧かない。
マクシミリアンが、わたくしの事を、好き?
どうしよう、どうすれば。わたくし、どうすればいいの?
「あのっ、あのね。マクシミリアン!」
「なんです?お嬢様」
言いたい事を言って落ち着いたのか、マクシミリアンは落ち着いた様子でパウンドケーキにフォークを入れて口に運んだ
わたくしは逆に落ち着かず、フォークでフルーツタルトの果物を無意味に突っつき回してしまう。
「あのねっ。急で……わたくし……」
「急かさないと、言いましたよね?ゆっくり考えて下さればいいんです。その代わり……お嬢様に好いて頂けるよう、これまで以上に頑張りますね」
妖しく、マクシミリアンが微笑む。
ああ……顔に血が昇りすぎてどうにかなりそう。
フィリップ王子に口説かれるのも勿論恥ずかしいのだけど、それ以上に恥ずかしい気がする。
……結局わたくしは彼の事を意識してしまっているのだろう。
「……あの……わたくしの……自分自身の気持ちを測る為に。こうやって時々デートをして頂いても、いいかしら」
うん、気持ちの整理をしたい。
彼は小さい頃から一緒に居る、とても大事な存在。そして前世の推し。男性としても好みなのよね、とても。
だけどこの気持ちが恋愛感情なのかと問われると、突然過ぎて良く分からない。
だから……こういう2人の時間を重ねて、ちゃんと判断をしたい。
……これはまたとないチャンスだと分かっていても気持ちが追いついていないと即答出来ないものなのね。
前世で彼氏の2人や3人出来ていれば即答出来たのかしら……。
こんなに親しいマクシミリアンでもそうなのだ。
他の男性に『好きです、一緒に駆け落ちしましょう』と言われても、わたくし即答出来なかったんだろうなぁ。
気持ちの部分が、色々おざなりになっていた事を反省してしまう。
……と言うか、経験が無さ過ぎて。想像が追い付いていなかった。
『好きです!』って言われたら『わたくしも!』って自動的にそんな気持ちになるものかと思ってたわ…。
「ふふ…それは現状、拒否はなさらない、という事ですね?」
「そ……そうね。提案を真剣に考える……くらいには貴方の事……好きみたい」
自分で言った言葉に照れてしまい、そそくさとタルトを口に運んだ。
ああ……心が落ち着かないせいかフルーツタルトの味が分からない……。
折角のノエル様のお勧めなのに……また食べに来よう。
「頑張る、と申し上げましたが。どこまでお許し頂けますか?」
なんてマクシミリアンが言うから、紅茶を噴き出しそうになった。
どこまでって……何をする気なのマクシミリアン!!
「おでこにキスは、平気ですか?」
「うう……それくらい……なら」
「唇は?」
「そ……それはダメ!!!」
何故か恥ずかしい確認作業をされてしまう。
……今まで通りハグされても、わたくし平気なのかしら?
しかし自分は非モテだと思っていたのに……いきなりマクシミリアンにモテるなんて。
……フィリップ王子にも、モテているといえばモテているわね。
悪役令嬢が攻略対象にばかり好かれるのって、どういう事なのかしら…。
ここでわたくしははたと気付く。
「ねぇマクシミリアン。シュミナ嬢の事は、どう思っているの?」
わたくしがそう訊くとマクシミリアンは苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「お嬢様の、敵、ですね。そろそろ手を打ちたいところですが…。何故突然あの女の名前を?」
「いや、あの……あの子顔は可愛いから。マクシミリアン、ああいう子が好みだったり、しないのかなーって…」
「論外です。そもそもお嬢様しか、好みじゃありませんが……」
きっぱりと、そう断言された。
――ヒロインの事は、お嫌いみたいね。
その事実に……なんだかとても、ホッとした。
寮に帰ると、ジョアンナが何故か赤飯を炊いて待っていた。
この世界にも赤飯ってあるんだなぁ……それともストラタス商会のお取り寄せかしら。
「お嬢様!マックスと何かあったんじゃないですか!!さぁさぁ!お話下さいませ!」
満面の笑みでそう言われて、思わず真っ赤になってしまう。
ジョアンナ、その勘の良さはなんなの?!
それとも勘じゃなくてストラタス商会の密偵でもいるの?
「ジョアンナ。色々あったのですよ、色々とね。お嬢様が恥ずかしがるので貴女には話せませんけど」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、マクシミリアンが言う。
マ……マクシミリアン!その言い方は何か紛らわしいわ!!
ジョアンナが炊いてくれた赤飯は、とても美味しくて思わず3杯おかわりをした。
……せっかくケーキを1個で済ませたのに……意味が無かったわね。
マクシミリアンが、わたくしの事を、好き?
どうしよう、どうすれば。わたくし、どうすればいいの?
「あのっ、あのね。マクシミリアン!」
「なんです?お嬢様」
言いたい事を言って落ち着いたのか、マクシミリアンは落ち着いた様子でパウンドケーキにフォークを入れて口に運んだ
わたくしは逆に落ち着かず、フォークでフルーツタルトの果物を無意味に突っつき回してしまう。
「あのねっ。急で……わたくし……」
「急かさないと、言いましたよね?ゆっくり考えて下さればいいんです。その代わり……お嬢様に好いて頂けるよう、これまで以上に頑張りますね」
妖しく、マクシミリアンが微笑む。
ああ……顔に血が昇りすぎてどうにかなりそう。
フィリップ王子に口説かれるのも勿論恥ずかしいのだけど、それ以上に恥ずかしい気がする。
……結局わたくしは彼の事を意識してしまっているのだろう。
「……あの……わたくしの……自分自身の気持ちを測る為に。こうやって時々デートをして頂いても、いいかしら」
うん、気持ちの整理をしたい。
彼は小さい頃から一緒に居る、とても大事な存在。そして前世の推し。男性としても好みなのよね、とても。
だけどこの気持ちが恋愛感情なのかと問われると、突然過ぎて良く分からない。
だから……こういう2人の時間を重ねて、ちゃんと判断をしたい。
……これはまたとないチャンスだと分かっていても気持ちが追いついていないと即答出来ないものなのね。
前世で彼氏の2人や3人出来ていれば即答出来たのかしら……。
こんなに親しいマクシミリアンでもそうなのだ。
他の男性に『好きです、一緒に駆け落ちしましょう』と言われても、わたくし即答出来なかったんだろうなぁ。
気持ちの部分が、色々おざなりになっていた事を反省してしまう。
……と言うか、経験が無さ過ぎて。想像が追い付いていなかった。
『好きです!』って言われたら『わたくしも!』って自動的にそんな気持ちになるものかと思ってたわ…。
「ふふ…それは現状、拒否はなさらない、という事ですね?」
「そ……そうね。提案を真剣に考える……くらいには貴方の事……好きみたい」
自分で言った言葉に照れてしまい、そそくさとタルトを口に運んだ。
ああ……心が落ち着かないせいかフルーツタルトの味が分からない……。
折角のノエル様のお勧めなのに……また食べに来よう。
「頑張る、と申し上げましたが。どこまでお許し頂けますか?」
なんてマクシミリアンが言うから、紅茶を噴き出しそうになった。
どこまでって……何をする気なのマクシミリアン!!
「おでこにキスは、平気ですか?」
「うう……それくらい……なら」
「唇は?」
「そ……それはダメ!!!」
何故か恥ずかしい確認作業をされてしまう。
……今まで通りハグされても、わたくし平気なのかしら?
しかし自分は非モテだと思っていたのに……いきなりマクシミリアンにモテるなんて。
……フィリップ王子にも、モテているといえばモテているわね。
悪役令嬢が攻略対象にばかり好かれるのって、どういう事なのかしら…。
ここでわたくしははたと気付く。
「ねぇマクシミリアン。シュミナ嬢の事は、どう思っているの?」
わたくしがそう訊くとマクシミリアンは苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「お嬢様の、敵、ですね。そろそろ手を打ちたいところですが…。何故突然あの女の名前を?」
「いや、あの……あの子顔は可愛いから。マクシミリアン、ああいう子が好みだったり、しないのかなーって…」
「論外です。そもそもお嬢様しか、好みじゃありませんが……」
きっぱりと、そう断言された。
――ヒロインの事は、お嫌いみたいね。
その事実に……なんだかとても、ホッとした。
寮に帰ると、ジョアンナが何故か赤飯を炊いて待っていた。
この世界にも赤飯ってあるんだなぁ……それともストラタス商会のお取り寄せかしら。
「お嬢様!マックスと何かあったんじゃないですか!!さぁさぁ!お話下さいませ!」
満面の笑みでそう言われて、思わず真っ赤になってしまう。
ジョアンナ、その勘の良さはなんなの?!
それとも勘じゃなくてストラタス商会の密偵でもいるの?
「ジョアンナ。色々あったのですよ、色々とね。お嬢様が恥ずかしがるので貴女には話せませんけど」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、マクシミリアンが言う。
マ……マクシミリアン!その言い方は何か紛らわしいわ!!
ジョアンナが炊いてくれた赤飯は、とても美味しくて思わず3杯おかわりをした。
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