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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百九十六話
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魔法学校でもそうだったが日本とは違い、昼休憩は三時間程ある。
かなりゆっくりに思えるが、これくらいが個人的にはちょうど良い気もする。
食事中ミスティさんは目を合わせてくれなかったが、チラチラと視線だけは感じた。
「さて、お腹も落ち着いてきたし、そろそろ訓練場戻ろうかな。ルーネ!」
いつも通り丸まって眠っているルーネに声を掛ける。
ルーネは頭を上げてチラリとこちらを見るが、またすぐに丸まり眠る体勢に入る。
「ほら、ルーネ!起きて起きて!早く行こ!」
アルージェが倒れたバイクを起こすようにルーネの体を起こすと渋々立ち上がる。
「グゥ・・・」
今日は早く起きたから眠たいんだと念を飛ばしてくるが、お構いなくルーネに跨る。
何を言っても無駄だと理解したのかトボトボと訓練場に向かう。
訓練場には私兵団員達が集まっていたが、まだ訓練は始まっていないのか楽しげに雑談をしていた。
アインも昼から参加するようで雑談の輪の中にはアインの姿もあった。
午後も相手をしてくれるジェスを探す。
ジェスは木陰で寝転び木の枝みたいなものを咥えて寝そべっていた。
アルージェはアイテムボックスから無極流転槍を取り出し、ジェスに声を掛ける。
「ジェスさん!午後もよろしくお願いします!」
「おっ、アルージェももう来たのか。早いねぇ」
「この槍を検証中なんで、ワクワクしちゃって!休憩前にも話しましたけど、午後はジェスさんにこの槍を使ってもらいたいんです」
無極流転槍をジェスに渡す。
「午前中も使ってたねぇ、これ。アルージェのことだからなんか秘密があるんでしょ?教えてよ」
ジェスは起き上がり、アルージェから無極流転槍を受け取る。
「もうちょっと内緒で!実際に使ってみて、どんな効果か考えてみてくださいよ!」
ちゃんと学習しているのか外から見ただけではわからないが、問題ないはずだ。
こういう時の為に使用者登録しなくても、槍を使ってもらえば学習するようにしている。
「かぁ!教えてくれても良いのに、ツレないねぇ」
ジェスは軽く槍の素振りをする。
「んー、振ってみた感じ特に変わったところは無いなぁ。重心とかも抜群で振りやすいってのは有るけど」
ジェスは首を傾げながら、素振りをする。
「まぁ、とりあえず組み手しましょ!ジェスさんの槍貸してくれません?あぁ・・・。嫌なら自分の使いますけど」
「ん?あぁいいよ。背中に持ってたら邪魔になるし」
背負っている槍をアルージェに渡す。
「へぇ、ジェスさん結構しっかり重たい奴使ってるんですね。重心は後ろ目か」
アルージェは素振りをして、槍の仕様を確かめる。
「よし!いつでもいけます!」
アルージェが槍を構える。
「はぁ、本当は訓練とかサボりたいんだけどねぇ」
ジェスも無極流転槍を構えて、アルージェに向かって駆け始める。
そこそこの時間打ち合いをしたが、途中から明らかにジェスの動きが変わった。
ジェスもそのことに気付いているようだ。
「ちょっと待て。ちょっと待て」
ジェスが動きを止める。
「なんだこの槍。なんか俺が俺じゃねぇみたいだ。使えば使うほど手に馴染んできて、体も思うように動くし。気味がわりぃな」
「どうですか?僕が考えた最強の槍の実力は?」
アルージェはニヤニヤと笑う。
「どうですかも何も、絶好調すぎるぜ。攻撃が狙った場所に行くしよ」
これは成功しているんではないだろうか。
「この槍、俺にも作ってくれよ!すげぇ欲しい」
「もう一個作るのはちょっと・・・。すいません・・・」
アルージェは謝り、無極流転槍をジェスから返してもらう。
アルージェもジェスに借りた槍をお返しする。
「いらなくなったら俺にくれよな!」
ジェスはどうしてもこの槍が気に入ったようだ。
誰か他に槍使える人いないかなぁと見渡す。
ちょうどアインさんが少し休憩をしていた。
「アインさん!」
アルージェはアインの元に駆け寄る。
「おっ?アルージェか。どうしたんだい?」
アインは爽やかに額の汗を布で拭って、アルージェの方へ視線を移す。
「アインさんって槍使えましたっけ?」
「唐突だね。一応昔道場で使い方を教わったよ。素人に毛が生えた程度だけどね」
「またまたー。絶対謙遜ですよねぇ」
「いや、ほんとだって。あれから使った記憶が無いほどさ。それで、どうして槍なんだい?」
「実は新しく槍を作ったんですけど、是非使用感とか教えて欲しいなと思いまして」
アルージェが無極流転槍を見せる。
「なるほど、別に構わないよ。ちょうど相手も居なくなったからね」
「やった!」
アルージェは無極流転槍をアインさんに渡す。
アインもジェス同じようにまず素振りをする。
「なるほどね。アルージェが作った武器初めて使ったけど、使いやすいね。変なクセがないや。流石グレンデさんの弟子だね」
「まぁ師匠と比べると全然ですけどね」
アルージェは笑いながらアイテムボックスから別の槍を取り出す。
「いきますよー!」
アルージェはアインの方へ駆け出す。
アインも昔道場で色々な武器の使い方を習っていた為アルージェ程では無いが、ある程度色々な種類の武器を使用することができる。
またアインは型に忠実に戦うので、学習の素材としては非常によかった。
初めはあまりしっくりときていない様子だったが、打ち合いをすればする程動きが鋭くなった。
アイン自身も驚いていた。
普段剣でしか戦っていないにの、アルージェとここまで打ち合いを出来るとは思っていなかった。
「この槍はなんなんだい?」
やはりアインも気になるようだ。
「ふっふっふ、まだ検証中なので内緒です!」
「まぁ、そうだろうね。ははは」
アインはアルージェに無極流転槍を返却する。
かなりゆっくりに思えるが、これくらいが個人的にはちょうど良い気もする。
食事中ミスティさんは目を合わせてくれなかったが、チラチラと視線だけは感じた。
「さて、お腹も落ち着いてきたし、そろそろ訓練場戻ろうかな。ルーネ!」
いつも通り丸まって眠っているルーネに声を掛ける。
ルーネは頭を上げてチラリとこちらを見るが、またすぐに丸まり眠る体勢に入る。
「ほら、ルーネ!起きて起きて!早く行こ!」
アルージェが倒れたバイクを起こすようにルーネの体を起こすと渋々立ち上がる。
「グゥ・・・」
今日は早く起きたから眠たいんだと念を飛ばしてくるが、お構いなくルーネに跨る。
何を言っても無駄だと理解したのかトボトボと訓練場に向かう。
訓練場には私兵団員達が集まっていたが、まだ訓練は始まっていないのか楽しげに雑談をしていた。
アインも昼から参加するようで雑談の輪の中にはアインの姿もあった。
午後も相手をしてくれるジェスを探す。
ジェスは木陰で寝転び木の枝みたいなものを咥えて寝そべっていた。
アルージェはアイテムボックスから無極流転槍を取り出し、ジェスに声を掛ける。
「ジェスさん!午後もよろしくお願いします!」
「おっ、アルージェももう来たのか。早いねぇ」
「この槍を検証中なんで、ワクワクしちゃって!休憩前にも話しましたけど、午後はジェスさんにこの槍を使ってもらいたいんです」
無極流転槍をジェスに渡す。
「午前中も使ってたねぇ、これ。アルージェのことだからなんか秘密があるんでしょ?教えてよ」
ジェスは起き上がり、アルージェから無極流転槍を受け取る。
「もうちょっと内緒で!実際に使ってみて、どんな効果か考えてみてくださいよ!」
ちゃんと学習しているのか外から見ただけではわからないが、問題ないはずだ。
こういう時の為に使用者登録しなくても、槍を使ってもらえば学習するようにしている。
「かぁ!教えてくれても良いのに、ツレないねぇ」
ジェスは軽く槍の素振りをする。
「んー、振ってみた感じ特に変わったところは無いなぁ。重心とかも抜群で振りやすいってのは有るけど」
ジェスは首を傾げながら、素振りをする。
「まぁ、とりあえず組み手しましょ!ジェスさんの槍貸してくれません?あぁ・・・。嫌なら自分の使いますけど」
「ん?あぁいいよ。背中に持ってたら邪魔になるし」
背負っている槍をアルージェに渡す。
「へぇ、ジェスさん結構しっかり重たい奴使ってるんですね。重心は後ろ目か」
アルージェは素振りをして、槍の仕様を確かめる。
「よし!いつでもいけます!」
アルージェが槍を構える。
「はぁ、本当は訓練とかサボりたいんだけどねぇ」
ジェスも無極流転槍を構えて、アルージェに向かって駆け始める。
そこそこの時間打ち合いをしたが、途中から明らかにジェスの動きが変わった。
ジェスもそのことに気付いているようだ。
「ちょっと待て。ちょっと待て」
ジェスが動きを止める。
「なんだこの槍。なんか俺が俺じゃねぇみたいだ。使えば使うほど手に馴染んできて、体も思うように動くし。気味がわりぃな」
「どうですか?僕が考えた最強の槍の実力は?」
アルージェはニヤニヤと笑う。
「どうですかも何も、絶好調すぎるぜ。攻撃が狙った場所に行くしよ」
これは成功しているんではないだろうか。
「この槍、俺にも作ってくれよ!すげぇ欲しい」
「もう一個作るのはちょっと・・・。すいません・・・」
アルージェは謝り、無極流転槍をジェスから返してもらう。
アルージェもジェスに借りた槍をお返しする。
「いらなくなったら俺にくれよな!」
ジェスはどうしてもこの槍が気に入ったようだ。
誰か他に槍使える人いないかなぁと見渡す。
ちょうどアインさんが少し休憩をしていた。
「アインさん!」
アルージェはアインの元に駆け寄る。
「おっ?アルージェか。どうしたんだい?」
アインは爽やかに額の汗を布で拭って、アルージェの方へ視線を移す。
「アインさんって槍使えましたっけ?」
「唐突だね。一応昔道場で使い方を教わったよ。素人に毛が生えた程度だけどね」
「またまたー。絶対謙遜ですよねぇ」
「いや、ほんとだって。あれから使った記憶が無いほどさ。それで、どうして槍なんだい?」
「実は新しく槍を作ったんですけど、是非使用感とか教えて欲しいなと思いまして」
アルージェが無極流転槍を見せる。
「なるほど、別に構わないよ。ちょうど相手も居なくなったからね」
「やった!」
アルージェは無極流転槍をアインさんに渡す。
アインもジェス同じようにまず素振りをする。
「なるほどね。アルージェが作った武器初めて使ったけど、使いやすいね。変なクセがないや。流石グレンデさんの弟子だね」
「まぁ師匠と比べると全然ですけどね」
アルージェは笑いながらアイテムボックスから別の槍を取り出す。
「いきますよー!」
アルージェはアインの方へ駆け出す。
アインも昔道場で色々な武器の使い方を習っていた為アルージェ程では無いが、ある程度色々な種類の武器を使用することができる。
またアインは型に忠実に戦うので、学習の素材としては非常によかった。
初めはあまりしっくりときていない様子だったが、打ち合いをすればする程動きが鋭くなった。
アイン自身も驚いていた。
普段剣でしか戦っていないにの、アルージェとここまで打ち合いを出来るとは思っていなかった。
「この槍はなんなんだい?」
やはりアインも気になるようだ。
「ふっふっふ、まだ検証中なので内緒です!」
「まぁ、そうだろうね。ははは」
アインはアルージェに無極流転槍を返却する。
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