180 / 221
第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百七十八話
しおりを挟む
翌日の鐘が鳴る前。
予定通りに辺境伯邸に出発する為、まずはニツール側の門に向かう。
門にたどり着くとアイン達は既に集合していた。
「やぁ、おはよう。時間通りだね」
アインがアルージェに手を振る。
アルージェもアインに手を振り返す。
「早いですね。もしかして結構待ってました?」
「ははは、まさか。僕達も今来たところさ。もう出発できるかい?」
アルージェがミスティ達の方へ振り返ると、ミスティ達も問題ないと頷く。
「行けます!」
アルージェが元気に返事をしたことで辺境伯邸に出発する。
フォルスタ近辺は冒険者達がしっかりと魔獣の間引きをしているので、魔獣と出会うことはない。
かなり順調に進み、一旦休憩を取ることになった。
「なんだか全然魔物居ないですね」
「あぁ、父の私兵団達が戦闘訓練がてら狩りをしているからな」
ミスティがエマに答える。
「なるほど、通りで」
ミスティの言葉でエマが納得する。
「ちなみに後どれくらいで着くんですか?」
「そうだな。大体フォルスタから二日、三日というところで、今半日歩いたから早ければ後一日半くらいでつくと思うが」
「フォルスタから結構離れてるんですね」
「当たり前じゃない、戦争が始まった場合町を最前線にする訳に行かないでしょ」
カレンが呆れて答える。
「た、確かに!」
「ははは、アルージェは戦いは本当に強いけど、なんか常識が抜けてる気がするな」
アインは笑いながら話す。
「そうなのよ。魔法だって閃きとか応用とかすごいのに、なんか抜けてるのよね」
カレンがアインに同意する。
「そんなこと言われても、僕まだ十二歳ですよ?」
アルージェは口を尖らせる。
「アルージェ君はまだまだ賢くなるわよねー?」
ラーニャがニコニコと話す。
「もちろんですよ!まだまだ伸び代があるんですよ!」
「伸び代があるのは結構なことだが、少しは常識も心得て欲しいところだな。妻を心配させないとかそういう常識も」
ミスティがアルージェをジト目で見る。
「そうですよ!」
エマがミスティの言葉に賛同する。
「むぐっ・・・。善処します・・・」
アルージェの答えにどっと笑いが起こる。
それから三日間何事もなく、無事辺境伯邸に到着する。
マイアが馬車を停車させて、ミスティが馬車を降りてくる。
マイアはミスティが降りたことを確認して、馬を馬車小屋に連れて行く。
そして、マイアが戻ってきたところで家に向かう。
「ミスティさん、辺境伯様になんの連絡もしてないけど大丈夫でしょうか?いきなり押しかけて迷惑になったりしないですか?」
アルージェはソワソワと動き心配を始める。
「アルージェ、それ何回目だ?問題ないと言っているだろ」
ため息を吐きながらミスティが一蹴する。
ミスティが扉に付いている豪華なドアノッカーを叩いてからガチャリと扉を開ける。
そのまま、家の中に入っていく。
「お、お邪魔しまーす・・・」
アルージェとエマは恐る恐るミスティに続き入る。
ドアノッカーの音に気付いた、メイドが一人出てくる。
ミスティを見て少し嫌な顔をするが、「お帰りなさいませ」としっかりお辞儀をする。
「あぁ、今戻った。父は居るか?」
嫌な顔をされたことは特に気にしないでミスティは淡々と答える。
「はい、辺境伯様は外の訓練場で私兵達と訓練をしています。呼んで参ります」
メイドはお辞儀をしてミスティの返事も聞かずにその場から離れ、辺境伯を呼びに行く。
数分待ったところで、辺境伯が汗を布で拭きながら現れる。
「すまない。待たせたかな?」
辺境伯は急いで戻ってきたのか、以前会った時とは違い動きやすそうなラフな服だった。
「お父様!いえ、待っていません」
ミスティは辺境伯に会えて嬉しそうだ。
「アルージェ君もよく来てくれた。ふむ、その狼は前会った時にいた子だな。仲良くて何よりだ。王都からは遠かっただろう?」
「いえ、みんなとワイワイと出来てすごく楽しい旅なので、王都を出たのが昨日のようです」
「ははは、それは良かった。滞在中は君の家だと思ってゆっくり寛いでくれ。後は・・・」
辺境伯がエマの方に視線を移す。
「は、初めまして。み、ミスティさんと学園で仲良くさせていただいております。エマと申します」
エマは丁寧に頭を下げ、お辞儀をする。
「ミスティから話は聞いているよ。ご両親は研究者だったそうだね。私も王都に行った時、事故の話は聞いたことがある。本当に何と言っていいか・・・。困ったことがあったらいつでも言ってくれ、なるべく援助させてもらうよ」
「あ、ありがとうございます。ですが今の私にはアルージェ君とミスティさんがいるので、大丈夫です」
「ははは、そうか。しっかりした子だ。今後もミスティを頼むよ」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」
「うむ。アイン達もよく来てくれた。わざわざ王都から助かる。歓迎するよ」
「依頼なので気にしないで、大丈夫です。早速話を聞きたいのですが、いいですか?」
「あぁ、そうだな。アルージェ君達はゆっくり寛いでいてくれ。何かあればメイドに声を掛ければ対応してもらえるはずだ。それじゃあアイン・ラーニャ・カレンこちらに」
アイン達は辺境伯についていき、姿が見えなくなる。
予定通りに辺境伯邸に出発する為、まずはニツール側の門に向かう。
門にたどり着くとアイン達は既に集合していた。
「やぁ、おはよう。時間通りだね」
アインがアルージェに手を振る。
アルージェもアインに手を振り返す。
「早いですね。もしかして結構待ってました?」
「ははは、まさか。僕達も今来たところさ。もう出発できるかい?」
アルージェがミスティ達の方へ振り返ると、ミスティ達も問題ないと頷く。
「行けます!」
アルージェが元気に返事をしたことで辺境伯邸に出発する。
フォルスタ近辺は冒険者達がしっかりと魔獣の間引きをしているので、魔獣と出会うことはない。
かなり順調に進み、一旦休憩を取ることになった。
「なんだか全然魔物居ないですね」
「あぁ、父の私兵団達が戦闘訓練がてら狩りをしているからな」
ミスティがエマに答える。
「なるほど、通りで」
ミスティの言葉でエマが納得する。
「ちなみに後どれくらいで着くんですか?」
「そうだな。大体フォルスタから二日、三日というところで、今半日歩いたから早ければ後一日半くらいでつくと思うが」
「フォルスタから結構離れてるんですね」
「当たり前じゃない、戦争が始まった場合町を最前線にする訳に行かないでしょ」
カレンが呆れて答える。
「た、確かに!」
「ははは、アルージェは戦いは本当に強いけど、なんか常識が抜けてる気がするな」
アインは笑いながら話す。
「そうなのよ。魔法だって閃きとか応用とかすごいのに、なんか抜けてるのよね」
カレンがアインに同意する。
「そんなこと言われても、僕まだ十二歳ですよ?」
アルージェは口を尖らせる。
「アルージェ君はまだまだ賢くなるわよねー?」
ラーニャがニコニコと話す。
「もちろんですよ!まだまだ伸び代があるんですよ!」
「伸び代があるのは結構なことだが、少しは常識も心得て欲しいところだな。妻を心配させないとかそういう常識も」
ミスティがアルージェをジト目で見る。
「そうですよ!」
エマがミスティの言葉に賛同する。
「むぐっ・・・。善処します・・・」
アルージェの答えにどっと笑いが起こる。
それから三日間何事もなく、無事辺境伯邸に到着する。
マイアが馬車を停車させて、ミスティが馬車を降りてくる。
マイアはミスティが降りたことを確認して、馬を馬車小屋に連れて行く。
そして、マイアが戻ってきたところで家に向かう。
「ミスティさん、辺境伯様になんの連絡もしてないけど大丈夫でしょうか?いきなり押しかけて迷惑になったりしないですか?」
アルージェはソワソワと動き心配を始める。
「アルージェ、それ何回目だ?問題ないと言っているだろ」
ため息を吐きながらミスティが一蹴する。
ミスティが扉に付いている豪華なドアノッカーを叩いてからガチャリと扉を開ける。
そのまま、家の中に入っていく。
「お、お邪魔しまーす・・・」
アルージェとエマは恐る恐るミスティに続き入る。
ドアノッカーの音に気付いた、メイドが一人出てくる。
ミスティを見て少し嫌な顔をするが、「お帰りなさいませ」としっかりお辞儀をする。
「あぁ、今戻った。父は居るか?」
嫌な顔をされたことは特に気にしないでミスティは淡々と答える。
「はい、辺境伯様は外の訓練場で私兵達と訓練をしています。呼んで参ります」
メイドはお辞儀をしてミスティの返事も聞かずにその場から離れ、辺境伯を呼びに行く。
数分待ったところで、辺境伯が汗を布で拭きながら現れる。
「すまない。待たせたかな?」
辺境伯は急いで戻ってきたのか、以前会った時とは違い動きやすそうなラフな服だった。
「お父様!いえ、待っていません」
ミスティは辺境伯に会えて嬉しそうだ。
「アルージェ君もよく来てくれた。ふむ、その狼は前会った時にいた子だな。仲良くて何よりだ。王都からは遠かっただろう?」
「いえ、みんなとワイワイと出来てすごく楽しい旅なので、王都を出たのが昨日のようです」
「ははは、それは良かった。滞在中は君の家だと思ってゆっくり寛いでくれ。後は・・・」
辺境伯がエマの方に視線を移す。
「は、初めまして。み、ミスティさんと学園で仲良くさせていただいております。エマと申します」
エマは丁寧に頭を下げ、お辞儀をする。
「ミスティから話は聞いているよ。ご両親は研究者だったそうだね。私も王都に行った時、事故の話は聞いたことがある。本当に何と言っていいか・・・。困ったことがあったらいつでも言ってくれ、なるべく援助させてもらうよ」
「あ、ありがとうございます。ですが今の私にはアルージェ君とミスティさんがいるので、大丈夫です」
「ははは、そうか。しっかりした子だ。今後もミスティを頼むよ」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします!」
「うむ。アイン達もよく来てくれた。わざわざ王都から助かる。歓迎するよ」
「依頼なので気にしないで、大丈夫です。早速話を聞きたいのですが、いいですか?」
「あぁ、そうだな。アルージェ君達はゆっくり寛いでいてくれ。何かあればメイドに声を掛ければ対応してもらえるはずだ。それじゃあアイン・ラーニャ・カレンこちらに」
アイン達は辺境伯についていき、姿が見えなくなる。
0
お気に入りに追加
419
あなたにおすすめの小説


無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件
桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。
神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。
しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。
ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。
ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる