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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百七十一話
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怒られて肩を窄めていた、アルージェはどこにいったのか。
カレンがマールに魔法を教える方法を見て、一緒に試している。
「あっ、そうだ!僕もカレン教授に用が有ったんです!」
授業もそろそろ終わりという時に、アルージェは本題を思い出す。
「用?何よ?」
アルージェが自分に用が有る時は大抵面倒なことを言われるので、カレンは目を細めて訝しむ。
「いや、そんな目で見ないでくださいよ!今回は普通ですから!実は泥人形を使って、大量にある鎧に付与を施したいんですけどね。いつも付与をする時は自分でやってるので、泥人形使っても出来るのかなぁって思って」
「君ってほんと色々とよく新しいこと思いつくわね。私、付与は専門外なのよねぇ。んー、でも刻印魔法なら泥人形でも簡単に出来るんじゃない?」
「刻印だと使用者が魔力を使わないといけなくなるので、あんまり何ですよね・・・。出来れば魔力を注がないでずっと発動してるようにしたくて」
「刻印じゃなくて付与ってこと!?あのねぇ、難しいこと言わないでよ。そもそも付与が施されてる物ってかなり希少なんだからね。でもそうね、炎を纏う魔剣とか風を魔剣とか見たことあったわね。確かあれは何処で拾ったかな。確か火山とかだったかな。そういえば、火山って炎の魔力がこもった金属とかも出てくるって聞くわね」
「溢れているところ・・・。火山ってそんなに魔力濃いんですか?」
「全部が全部凄いかは分からないわよ。そんなとこ人間は簡単には入れないから。けど火山付近ってだけで炎属性の魔力の金属が出るわ。だからそこまで濃く無くても、有る程度魔力があれば時間を掛ければ出来るのかもしれないわね。後はマナスポットも魔力を帯びた金属が出て来たりするわね」
「あぁ、なんか聞いたことがあるような・・・。ん?もしかして、それってつまり漬物にすればいいってことか?」
「ツケモノ?」
「そうか!それなら数が増えるだけで、やることは付与魔法と同じか!いえ!こっちの話です!ありがとうございます!明日からすごい魔力が動くかもしれないですけど気にしないでください!」
アルージェはルンルンと仮設の家に入っていく。
「えっ、ちょっとどういうこと?あー、行っちゃった。ほんと男って自分勝手なんだから!」
カレンが怒る。
擬音で例えるならプンプンが適切だろう。
「カレン先生大丈夫ー?」
マールが背伸びをしてカレンの頭を撫でる。
「うぅ、ありがとうね。マールちゃんはお兄ちゃんに似ないでね」
カレンもマールの頭を撫でる。
翌朝、アルージェはいつもより早起きして、準備も程々にグレンデの家に行く。
「師匠ぉ!」
アルージェがバァンと扉を開く。
昨夜酒を飲んで、そのまま眠ってしまっていたんだろう。
机で眠っていたグレンデが扉の音に驚き、飛び起きる。
「な、何事じゃ!?」
「師匠ぉ!面白い付与方法思いついたんです!」
「あ、アルか。驚かすでない、心臓が止まるかと思ったわい」
「大丈夫です!師匠は長生きですから!それより鎧に付与やりましょ!早く早く!」
アルージェはグレンデの手を引き、鍛冶場に向かう。
鍛冶場に置いてある鎧を外に運ぶ。
「それで何を思いついたんじゃ?」
「昨日、村に来てる魔法の先生に良い方法が無いか、相談したんですよ。そしたら良いこと聞いたので試してみようかと思いまして!ちょっと危ないので離れててくださいね」
アルージェは魔力を練り、グレンデ家の近くに仮設の倉庫を土で建てる。
「おぉ、こりゃ見事な物じゃな。簡単には崩れなさそうじゃ」
「この中に鎧を入れていきましょう!」
二人でバケツリレーの要領で鎧を倉庫に運ぶ。
「よし、全部入れましたね!ならまた危ないかもしれないので少し離れたところで見ててください!」
アルージェが極限まで魔力を練る。
魔力を練るとそれに呼応して、地面が揺れる。
「おぉ、地面が揺れとる」
グレンデが驚き、そばにあった木に捕まる。
練った魔力はいつも武器に簡易付与=硬質化をしているのと同じ要領で操作する。
だがいつもと違うのは簡易付与ではなくこのまま硬質化の魔力を放出して倉庫を魔力でいっぱいにする。
「うわっ、魔力濃すぎ・・・。でも、まぁこんだけあれば十分でしょ。結局、いつもの付与魔法と同じやり方になっちゃったなぁ。いつか刻印を大量に施す時は泥人形使ってやってみたいなぁ。刻印って付与の下位互換な気がして、あんまり使う気起きないんだよなぁ」
倉庫からアルージェは急いで出る。
そして魔力が溢れてこないように土で倉庫の出入り口を塞ぎ、密閉する。
「よし!師匠!これで少し様子見ましょう!」
「まさか、アルにあんなに魔力が有るとは思わなんだ。それで何をしたんじゃ?」
「漬物ですよ!漬物!」
「ツケモノ?」
「あはは!肉の塩漬けみたいな物です!では今日はこれで帰ります!また三日後とかに様子見にきますね!」
「塩漬け?なるほど、何となくやりたいことは分かったぞ。これで付与が出来れば楽じゃな。まぁアルのように魔力があれば大量の物にまとめて出来るが、あれほどの魔力儂も長生きしとるが、初めて見たわい」
「まぁ、この魔力総量は普通にチートかも知れないですね。うまく使いこなせてないですけど」
「ちーと?」
「いや、こっちの話です!それじゃ帰ります!」
魔力を使ってダルい体にアルージェは鞭打って、家に戻っていく。
カレンがマールに魔法を教える方法を見て、一緒に試している。
「あっ、そうだ!僕もカレン教授に用が有ったんです!」
授業もそろそろ終わりという時に、アルージェは本題を思い出す。
「用?何よ?」
アルージェが自分に用が有る時は大抵面倒なことを言われるので、カレンは目を細めて訝しむ。
「いや、そんな目で見ないでくださいよ!今回は普通ですから!実は泥人形を使って、大量にある鎧に付与を施したいんですけどね。いつも付与をする時は自分でやってるので、泥人形使っても出来るのかなぁって思って」
「君ってほんと色々とよく新しいこと思いつくわね。私、付与は専門外なのよねぇ。んー、でも刻印魔法なら泥人形でも簡単に出来るんじゃない?」
「刻印だと使用者が魔力を使わないといけなくなるので、あんまり何ですよね・・・。出来れば魔力を注がないでずっと発動してるようにしたくて」
「刻印じゃなくて付与ってこと!?あのねぇ、難しいこと言わないでよ。そもそも付与が施されてる物ってかなり希少なんだからね。でもそうね、炎を纏う魔剣とか風を魔剣とか見たことあったわね。確かあれは何処で拾ったかな。確か火山とかだったかな。そういえば、火山って炎の魔力がこもった金属とかも出てくるって聞くわね」
「溢れているところ・・・。火山ってそんなに魔力濃いんですか?」
「全部が全部凄いかは分からないわよ。そんなとこ人間は簡単には入れないから。けど火山付近ってだけで炎属性の魔力の金属が出るわ。だからそこまで濃く無くても、有る程度魔力があれば時間を掛ければ出来るのかもしれないわね。後はマナスポットも魔力を帯びた金属が出て来たりするわね」
「あぁ、なんか聞いたことがあるような・・・。ん?もしかして、それってつまり漬物にすればいいってことか?」
「ツケモノ?」
「そうか!それなら数が増えるだけで、やることは付与魔法と同じか!いえ!こっちの話です!ありがとうございます!明日からすごい魔力が動くかもしれないですけど気にしないでください!」
アルージェはルンルンと仮設の家に入っていく。
「えっ、ちょっとどういうこと?あー、行っちゃった。ほんと男って自分勝手なんだから!」
カレンが怒る。
擬音で例えるならプンプンが適切だろう。
「カレン先生大丈夫ー?」
マールが背伸びをしてカレンの頭を撫でる。
「うぅ、ありがとうね。マールちゃんはお兄ちゃんに似ないでね」
カレンもマールの頭を撫でる。
翌朝、アルージェはいつもより早起きして、準備も程々にグレンデの家に行く。
「師匠ぉ!」
アルージェがバァンと扉を開く。
昨夜酒を飲んで、そのまま眠ってしまっていたんだろう。
机で眠っていたグレンデが扉の音に驚き、飛び起きる。
「な、何事じゃ!?」
「師匠ぉ!面白い付与方法思いついたんです!」
「あ、アルか。驚かすでない、心臓が止まるかと思ったわい」
「大丈夫です!師匠は長生きですから!それより鎧に付与やりましょ!早く早く!」
アルージェはグレンデの手を引き、鍛冶場に向かう。
鍛冶場に置いてある鎧を外に運ぶ。
「それで何を思いついたんじゃ?」
「昨日、村に来てる魔法の先生に良い方法が無いか、相談したんですよ。そしたら良いこと聞いたので試してみようかと思いまして!ちょっと危ないので離れててくださいね」
アルージェは魔力を練り、グレンデ家の近くに仮設の倉庫を土で建てる。
「おぉ、こりゃ見事な物じゃな。簡単には崩れなさそうじゃ」
「この中に鎧を入れていきましょう!」
二人でバケツリレーの要領で鎧を倉庫に運ぶ。
「よし、全部入れましたね!ならまた危ないかもしれないので少し離れたところで見ててください!」
アルージェが極限まで魔力を練る。
魔力を練るとそれに呼応して、地面が揺れる。
「おぉ、地面が揺れとる」
グレンデが驚き、そばにあった木に捕まる。
練った魔力はいつも武器に簡易付与=硬質化をしているのと同じ要領で操作する。
だがいつもと違うのは簡易付与ではなくこのまま硬質化の魔力を放出して倉庫を魔力でいっぱいにする。
「うわっ、魔力濃すぎ・・・。でも、まぁこんだけあれば十分でしょ。結局、いつもの付与魔法と同じやり方になっちゃったなぁ。いつか刻印を大量に施す時は泥人形使ってやってみたいなぁ。刻印って付与の下位互換な気がして、あんまり使う気起きないんだよなぁ」
倉庫からアルージェは急いで出る。
そして魔力が溢れてこないように土で倉庫の出入り口を塞ぎ、密閉する。
「よし!師匠!これで少し様子見ましょう!」
「まさか、アルにあんなに魔力が有るとは思わなんだ。それで何をしたんじゃ?」
「漬物ですよ!漬物!」
「ツケモノ?」
「あはは!肉の塩漬けみたいな物です!では今日はこれで帰ります!また三日後とかに様子見にきますね!」
「塩漬け?なるほど、何となくやりたいことは分かったぞ。これで付与が出来れば楽じゃな。まぁアルのように魔力があれば大量の物にまとめて出来るが、あれほどの魔力儂も長生きしとるが、初めて見たわい」
「まぁ、この魔力総量は普通にチートかも知れないですね。うまく使いこなせてないですけど」
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「いや、こっちの話です!それじゃ帰ります!」
魔力を使ってダルい体にアルージェは鞭打って、家に戻っていく。
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