Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

文字の大きさ
上 下
165 / 221
第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜

第百六十三話

しおりを挟む
ゴブリンの武器庫からできる限り武器を回収した。
再利用出来なさそうなものだけは放置している。

「さて、それならそろそろ帰る準備しないとね」
アルージェは武器を拾い終えて、エマに話しかける。

「そうですね。もう暗くなっちゃってますね」

「よし、ならとりあえずルーネが来てくれるか声掛けてみるね」
ルーネを念を飛ばすとすぐに返事があった。
早い段階で来てくれるはずだ。

「ルーネ来てくれそう!野宿しなくて済むね!よし!ならここら一帯を燃やすからちょっと離れてて」
アルージェが魔力操作を始める。

「あ、アルージェ君。私がやってもいい?」

「ん?炎系の魔法使えるんだ!ならお願いしようかな。魔力ほとんど無くて不安なんだよね」

「ま、任せください!」
エマが魔力操作をして、魔法陣を展開する。

アルージェは炎が森に燃え移らないよう準備してからエマに合図を出す。

エマがアルージェの合図に頷き、炎魔法を発動させる。
エマが発動した炎魔法は蛇のように動き集落を囲み、じりじりと中に侵略していく。

「おぉ!それすごいね!森の方にも移らないし、凄くいい方法じゃん!」
アルージェが褒めるとエマは嬉しくなり、魔力の操作が少し雑になる。

炎がコブラのように起き上がり、威嚇する。

「エマの魔法はすごい尖ってるね。いやどっちかって言うと誰も近づかないで欲しいって感じかな?」
アルージェがエマの魔法を見ながら、エマに話しかける。

「そうかもしれないですね。私両親が死んでから誰とも接したくなかったんです。どこかの誰かさんはお構いなしに土足で上がり込んできましたけどね」

「えぇ、それって僕のこと?」

「ふふふ、どうでしょう?」
エマはニコニコと笑う。

「でも本当にアルージェ君達には感謝してます。自分を変えたいって思えたのもアルージェ君達のおかげです!これからも一緒にいてくださいね!」

「うん!一緒にいよう!」
燃える集落を眺めながらアルージェはエマと約束を交わす。

ルーネが現れる頃には、集落は再利用できない程、跡形もなくなっていた。

「おっ!ルーネ来てくれたんだね!ありがとう!」
アルージェはルーネを撫でてから跨り、エマに手を差し出す。

あっという間に村に帰還する。

「流石にそんだけ返り血浴びたら水浴びしたいよね?」

「そうですね。できれば水浴びしてから寝たいです」

「ならちょっと待っててねー!」
土で周りから見えないように壁を作る。
上から見れば見えるけど、流石にこの高さだと大丈夫だろう。

「後は脱衣所っぽいのを繋げれば・・・。!完成!エマ。この中で水魔法使えば、水浴び出来るよ。エマは水魔法も使える?」

「はい!もちろんです!ありがとうございます」
エマが着替えを持って入っていく。

エマが出てきたので、アルージェも中に入って水浴びをする。

「普通はこんな風に個室とか作れないんだよね。野宿した時お風呂入りたくなるだろうし、持ち運び出来る個室、もしくはシャワールームを魔道具作れば売れそうだな」

水浴びしながらなんとなく脳内で組み立ていく。

水浴びを終えて、個室から出る。

「結構簡単に出来るかも!」

アルージェは上機嫌で家に入っていく。

家に入るとサーシャがご飯を作って待ってくれていた。

「あら、アル遅かったわね。ご飯出来てるから食べちゃってー」

「ゴブリンの集落に行ってたから遅くなっちゃった。先言っておけば良かったね」

「ゴブリンの集落・・・?お昼頃までアルは村にいたような・・・?偵察に行ったのかしら?」
サーシャはまさか我が子が半日かからずにゴブリンの集落を潰しているとは思ってもいない。

「うわー!美味しそう!いただきます!」
お昼は軽めで済ませていたのでアルージェはお腹が空いていた。
ガツガツとサーシャが作ってくれたご飯を食べる。

「故郷の味最高だね!」

「喜んでもらえて私も嬉しいわ!」

「有事じゃなければ、ずっと村に居たくなっちゃうよ・・・」
サーシャに聞こえないようにアルージェは呟く。

サーシャが作ってくれたご飯を食べ終える。
「ご馳走様!それじゃ、明日も予定あるから今日はもう寝るよ!おやすみ!」
アルージェは昨日作った仮設の家に戻る。

仮設の家に戻ると、ルーネ、ミスティ、エマ、マイア、秘密結社らびっといあーは既に寝る用意が終わっていた。

「あれ?みんな早いね。ルーネなんてもう完全に寝ちゃってるじゃん」

「あぁ、王都と違って暗くなったら出来ることが限られているからな。早く寝れて体にも良さそうだ」
ミスティは既に寝袋の中に包まっていた。

「すいません。何もない村で楽しいところがあればいいんですけど」

「ふふふ、謝る必要はないぞ。こういうの嫌いではない」

「わ、私もこういうの嫌いじゃないです」

「そうですか。それなら良かった。僕が寝る場所はここでいいんですか?」
アルージェは一番入り口に近いところを指差す。

「はい。そこでおやすみください」
マイアが寝袋を持ってきてくれる。

「あ、ありがとうございます」
マイアが持ってきた寝袋に包まると、秘密結社らびっといあー達がアルージェの元に押し掛ける。

「うわぁ、ちょっとみんな何してるの!」
顔しか出していない状態なので、抵抗することができずにアルージェはもみくちゃにされる。

秘密結社らびっといあー達も楽しいみたいですよ」
マイアがアルージェ達の様子を見て、少し笑う。

「そ、そうですか・・・。楽しんでくれてるなら何よりです・・・」
秘密結社らびっといあー達にピッタリとくっつかれながらもアルージェは目を瞑る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

処理中です...