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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百六十三話
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ゴブリンの武器庫からできる限り武器を回収した。
再利用出来なさそうなものだけは放置している。
「さて、それならそろそろ帰る準備しないとね」
アルージェは武器を拾い終えて、エマに話しかける。
「そうですね。もう暗くなっちゃってますね」
「よし、ならとりあえずルーネが来てくれるか声掛けてみるね」
ルーネを念を飛ばすとすぐに返事があった。
早い段階で来てくれるはずだ。
「ルーネ来てくれそう!野宿しなくて済むね!よし!ならここら一帯を燃やすからちょっと離れてて」
アルージェが魔力操作を始める。
「あ、アルージェ君。私がやってもいい?」
「ん?炎系の魔法使えるんだ!ならお願いしようかな。魔力ほとんど無くて不安なんだよね」
「ま、任せください!」
エマが魔力操作をして、魔法陣を展開する。
アルージェは炎が森に燃え移らないよう準備してからエマに合図を出す。
エマがアルージェの合図に頷き、炎魔法を発動させる。
エマが発動した炎魔法は蛇のように動き集落を囲み、じりじりと中に侵略していく。
「おぉ!それすごいね!森の方にも移らないし、凄くいい方法じゃん!」
アルージェが褒めるとエマは嬉しくなり、魔力の操作が少し雑になる。
炎がコブラのように起き上がり、威嚇する。
「エマの魔法はすごい尖ってるね。いやどっちかって言うと誰も近づかないで欲しいって感じかな?」
アルージェがエマの魔法を見ながら、エマに話しかける。
「そうかもしれないですね。私両親が死んでから誰とも接したくなかったんです。どこかの誰かさんはお構いなしに土足で上がり込んできましたけどね」
「えぇ、それって僕のこと?」
「ふふふ、どうでしょう?」
エマはニコニコと笑う。
「でも本当にアルージェ君達には感謝してます。自分を変えたいって思えたのもアルージェ君達のおかげです!これからも一緒にいてくださいね!」
「うん!一緒にいよう!」
燃える集落を眺めながらアルージェはエマと約束を交わす。
ルーネが現れる頃には、集落は再利用できない程、跡形もなくなっていた。
「おっ!ルーネ来てくれたんだね!ありがとう!」
アルージェはルーネを撫でてから跨り、エマに手を差し出す。
あっという間に村に帰還する。
「流石にそんだけ返り血浴びたら水浴びしたいよね?」
「そうですね。できれば水浴びしてから寝たいです」
「ならちょっと待っててねー!」
土で周りから見えないように壁を作る。
上から見れば見えるけど、流石にこの高さだと大丈夫だろう。
「後は脱衣所っぽいのを繋げれば・・・。!完成!エマ。この中で水魔法使えば、水浴び出来るよ。エマは水魔法も使える?」
「はい!もちろんです!ありがとうございます」
エマが着替えを持って入っていく。
エマが出てきたので、アルージェも中に入って水浴びをする。
「普通はこんな風に個室とか作れないんだよね。野宿した時お風呂入りたくなるだろうし、持ち運び出来る個室、もしくはシャワールームを魔道具作れば売れそうだな」
水浴びしながらなんとなく脳内で組み立ていく。
水浴びを終えて、個室から出る。
「結構簡単に出来るかも!」
アルージェは上機嫌で家に入っていく。
家に入るとサーシャがご飯を作って待ってくれていた。
「あら、アル遅かったわね。ご飯出来てるから食べちゃってー」
「ゴブリンの集落に行ってたから遅くなっちゃった。先言っておけば良かったね」
「ゴブリンの集落・・・?お昼頃までアルは村にいたような・・・?偵察に行ったのかしら?」
サーシャはまさか我が子が半日かからずにゴブリンの集落を潰しているとは思ってもいない。
「うわー!美味しそう!いただきます!」
お昼は軽めで済ませていたのでアルージェはお腹が空いていた。
ガツガツとサーシャが作ってくれたご飯を食べる。
「故郷の味最高だね!」
「喜んでもらえて私も嬉しいわ!」
「有事じゃなければ、ずっと村に居たくなっちゃうよ・・・」
サーシャに聞こえないようにアルージェは呟く。
サーシャが作ってくれたご飯を食べ終える。
「ご馳走様!それじゃ、明日も予定あるから今日はもう寝るよ!おやすみ!」
アルージェは昨日作った仮設の家に戻る。
仮設の家に戻ると、ルーネ、ミスティ、エマ、マイア、秘密結社は既に寝る用意が終わっていた。
「あれ?みんな早いね。ルーネなんてもう完全に寝ちゃってるじゃん」
「あぁ、王都と違って暗くなったら出来ることが限られているからな。早く寝れて体にも良さそうだ」
ミスティは既に寝袋の中に包まっていた。
「すいません。何もない村で楽しいところがあればいいんですけど」
「ふふふ、謝る必要はないぞ。こういうの嫌いではない」
「わ、私もこういうの嫌いじゃないです」
「そうですか。それなら良かった。僕が寝る場所はここでいいんですか?」
アルージェは一番入り口に近いところを指差す。
「はい。そこでおやすみください」
マイアが寝袋を持ってきてくれる。
「あ、ありがとうございます」
マイアが持ってきた寝袋に包まると、秘密結社達がアルージェの元に押し掛ける。
「うわぁ、ちょっとみんな何してるの!」
顔しか出していない状態なので、抵抗することができずにアルージェはもみくちゃにされる。
「秘密結社達も楽しいみたいですよ」
マイアがアルージェ達の様子を見て、少し笑う。
「そ、そうですか・・・。楽しんでくれてるなら何よりです・・・」
秘密結社達にピッタリとくっつかれながらもアルージェは目を瞑る。
再利用出来なさそうなものだけは放置している。
「さて、それならそろそろ帰る準備しないとね」
アルージェは武器を拾い終えて、エマに話しかける。
「そうですね。もう暗くなっちゃってますね」
「よし、ならとりあえずルーネが来てくれるか声掛けてみるね」
ルーネを念を飛ばすとすぐに返事があった。
早い段階で来てくれるはずだ。
「ルーネ来てくれそう!野宿しなくて済むね!よし!ならここら一帯を燃やすからちょっと離れてて」
アルージェが魔力操作を始める。
「あ、アルージェ君。私がやってもいい?」
「ん?炎系の魔法使えるんだ!ならお願いしようかな。魔力ほとんど無くて不安なんだよね」
「ま、任せください!」
エマが魔力操作をして、魔法陣を展開する。
アルージェは炎が森に燃え移らないよう準備してからエマに合図を出す。
エマがアルージェの合図に頷き、炎魔法を発動させる。
エマが発動した炎魔法は蛇のように動き集落を囲み、じりじりと中に侵略していく。
「おぉ!それすごいね!森の方にも移らないし、凄くいい方法じゃん!」
アルージェが褒めるとエマは嬉しくなり、魔力の操作が少し雑になる。
炎がコブラのように起き上がり、威嚇する。
「エマの魔法はすごい尖ってるね。いやどっちかって言うと誰も近づかないで欲しいって感じかな?」
アルージェがエマの魔法を見ながら、エマに話しかける。
「そうかもしれないですね。私両親が死んでから誰とも接したくなかったんです。どこかの誰かさんはお構いなしに土足で上がり込んできましたけどね」
「えぇ、それって僕のこと?」
「ふふふ、どうでしょう?」
エマはニコニコと笑う。
「でも本当にアルージェ君達には感謝してます。自分を変えたいって思えたのもアルージェ君達のおかげです!これからも一緒にいてくださいね!」
「うん!一緒にいよう!」
燃える集落を眺めながらアルージェはエマと約束を交わす。
ルーネが現れる頃には、集落は再利用できない程、跡形もなくなっていた。
「おっ!ルーネ来てくれたんだね!ありがとう!」
アルージェはルーネを撫でてから跨り、エマに手を差し出す。
あっという間に村に帰還する。
「流石にそんだけ返り血浴びたら水浴びしたいよね?」
「そうですね。できれば水浴びしてから寝たいです」
「ならちょっと待っててねー!」
土で周りから見えないように壁を作る。
上から見れば見えるけど、流石にこの高さだと大丈夫だろう。
「後は脱衣所っぽいのを繋げれば・・・。!完成!エマ。この中で水魔法使えば、水浴び出来るよ。エマは水魔法も使える?」
「はい!もちろんです!ありがとうございます」
エマが着替えを持って入っていく。
エマが出てきたので、アルージェも中に入って水浴びをする。
「普通はこんな風に個室とか作れないんだよね。野宿した時お風呂入りたくなるだろうし、持ち運び出来る個室、もしくはシャワールームを魔道具作れば売れそうだな」
水浴びしながらなんとなく脳内で組み立ていく。
水浴びを終えて、個室から出る。
「結構簡単に出来るかも!」
アルージェは上機嫌で家に入っていく。
家に入るとサーシャがご飯を作って待ってくれていた。
「あら、アル遅かったわね。ご飯出来てるから食べちゃってー」
「ゴブリンの集落に行ってたから遅くなっちゃった。先言っておけば良かったね」
「ゴブリンの集落・・・?お昼頃までアルは村にいたような・・・?偵察に行ったのかしら?」
サーシャはまさか我が子が半日かからずにゴブリンの集落を潰しているとは思ってもいない。
「うわー!美味しそう!いただきます!」
お昼は軽めで済ませていたのでアルージェはお腹が空いていた。
ガツガツとサーシャが作ってくれたご飯を食べる。
「故郷の味最高だね!」
「喜んでもらえて私も嬉しいわ!」
「有事じゃなければ、ずっと村に居たくなっちゃうよ・・・」
サーシャに聞こえないようにアルージェは呟く。
サーシャが作ってくれたご飯を食べ終える。
「ご馳走様!それじゃ、明日も予定あるから今日はもう寝るよ!おやすみ!」
アルージェは昨日作った仮設の家に戻る。
仮設の家に戻ると、ルーネ、ミスティ、エマ、マイア、秘密結社は既に寝る用意が終わっていた。
「あれ?みんな早いね。ルーネなんてもう完全に寝ちゃってるじゃん」
「あぁ、王都と違って暗くなったら出来ることが限られているからな。早く寝れて体にも良さそうだ」
ミスティは既に寝袋の中に包まっていた。
「すいません。何もない村で楽しいところがあればいいんですけど」
「ふふふ、謝る必要はないぞ。こういうの嫌いではない」
「わ、私もこういうの嫌いじゃないです」
「そうですか。それなら良かった。僕が寝る場所はここでいいんですか?」
アルージェは一番入り口に近いところを指差す。
「はい。そこでおやすみください」
マイアが寝袋を持ってきてくれる。
「あ、ありがとうございます」
マイアが持ってきた寝袋に包まると、秘密結社達がアルージェの元に押し掛ける。
「うわぁ、ちょっとみんな何してるの!」
顔しか出していない状態なので、抵抗することができずにアルージェはもみくちゃにされる。
「秘密結社達も楽しいみたいですよ」
マイアがアルージェ達の様子を見て、少し笑う。
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