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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百五十一話
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「やっと着いたね。僕達は王都で荷物配達の依頼を受けてたから、まず荷物を渡しにいこうかな?アルージェ達はどうする?」
アルージェはミスティとエマに視線を向ける。
「私は特に予定はないからアルージェに任せる」
「わ、私も初めての街で勝手が分からないので任せます」
「なら、僕達もアインさんに着いていきましょうか」
アルージェ達も特に予定はなかったので、アインについて行くことにする。
「了解。なら受取人の元にいこうか」
受取人にはすぐに会えて荷物の受け渡しを終わらす。
その後、完了報告ついでにギルドに向かう。
「うわぁ、何も変わってないな」
ギルドに入ると前にいた時と何も変わっていなかった。
受付嬢も見たことがある人だ。
受付の奥ではギルド職員が慌ただしく動いているのが見える。
中にはフィーネさんもいた。
「元気そうで良かった」
アルージェはフィーネを見て、笑顔になる。
アイン達が受付で完了報告をしている最中にフィーネがアイン達に気付く。
暇な時間なようで雑談を始める。
楽しそうに話している中でアインが後ろを指差すと、フィーネも視線をこちらに向ける。
そしてアルージェのことを見て目を大きく見開き、受付から出てきて駆け寄ってくる。
「アル君!」
フィーネがアルージェに抱きつく。
後ろで見ていたエマは少しムッとする。
ミスティは元々二人の関係を知っていたので、ただ見ているだけでなんの反応もない。
「あはは、お久しぶりです」
アルージェは恥ずかしそうに頬を掻く。
「お久しぶりです。じゃないでしょ!王都にいって初めの方はお手紙いっぱいくれたのに
ここ何ヶ月かは来てなかったから心配したのよ!」
アルージェはフィーネからお叱りを受ける。
「手紙・・・?あっ・・・」
「もう!今まで忘れてたでしょ!」
フィーネは更にアルージェを怒る。
「違うんです!違うんです!ただ忙しかっただけなんです!ほんとです!」
アルージェは必死に言い訳する。
その様子をみて、フィーネはため息をつく。
「まぁこうして無事に顔見られたからいいわ。それよりリリィさんにも手紙出してないんでしょ?ちゃんと顔見せて安心させてあげてください。わかった?」
「はい・・・、あっミスティさん達は先に宿屋とか決めといてもらって良いですか?」
「あぁ、構わないぞ」
「わ、分かりました!」
「ありがとうございます!ルーネは連れていくので、宿の場所とかは分かると思います」
ルーネはミスティ達の方に行こうとしていたが、トボトボとアルージェの方へ帰ってくる。
「よし!じゃあ行こう!」
ルーネに跨り、ラベックの元に向かう。
「ここも全然変わらないなぁ」
リリィとラベックがいるであろうスビア商会に到着した。
入り口でぼーっと眺めていると中から声がかかる。
「もしかしてアルージェ君かい?」
アルージュが視線を向けると、何度か食事に連れて行ってくれた青年がいた。
「あっ!やっぱりアルージェ君だよね!ラベックさんかい?ちょっと待ってね」
そう言い残して青年はどこかに行ってしまった。
数分後に戻ってきて、中にある建物に案内される。
「ここにラベックさんいるから!それじゃ!」
青年は颯爽と仕事に戻っていく。
アルージェは名前も覚えていない青年にお礼をして、扉をノックする。
「入れ」
「失礼します」
アルージェは扉を開けて部屋の中に入る。
「おぉ、本当に王都から戻ったのか。少し背がデカくなったな」
「お久しぶりです、ラベックさん。まぁもう二年くらい経ちますから身長も大きくなりますよ」
「ははは、そりゃそうか。受け答えがしっかりしてるからつい歳を忘れちまうぜ。それで、ついにフォルスタに永住か?」
「いやぁ、少し立て込んでて、すぐに二ツールに行くんです」
「そうか残念だ。また仕事任せられるかと思ったんだけどよ。そういえばリリィが会いたがってたぞ。会いにいってやれ。下の階の管理室にいるだろうよ」
「本当ですか。リリィさんもしっかり働いてるんですね」
「あぁ、別にここで働く必要もねぇのに働いてて、いつの間にか幹部候補よ。あいつの才覚には驚かされるぜ。そういえばアルージェから手紙がきてないとかボヤいてたな」
リリィさんはかなり優秀な人らしい。
「あはは、実は忙しくて送れて無かったんですよね・・・。今日は謝りに来たんですよ」
「ははぁん、そいつは大変だな。しっかりと謝ってこいよ!」
「はい・・・」
ラベックの部屋を後にして、リリィのいる部屋に向かう。
「管理室、ここか」
アルージェがノックすると「どうぞ」とリリィの声がする。
「こんにちは、リリィさん」
扉を開けてアルージェが中に入ると、書類と睨めっこしていたリリィが手を止める。
そして、目から一筋に雫が流れる。
「手紙がなかったので、死んでしまったのかと思いました。でも良かった。また会いに来てくださって嬉しいです」
リリィは涙を止めようとするがなかなか止まらず、ハンカチで目元を抑える。
「僕もまた会えて嬉しいですよ。けど今回はちょっと戻って来ただけで、またすぐに二ツールに行かないといけないんです」
「そうですか・・・。私は理解ある束縛しない女なので、アルージェ様のやりたいことを止めることはしません。ですが、また用事が終わったら会いに来てください」
「もちろんですよ!」
その後は今まで何をしてたかを少し話し込んだ。
「それじゃあ、また会いに来ます」
そういってアルージェは部屋を出る。
「はぁ、良かった。フィーネさんみたいに怒られたらどうしようかと思ったよ」
アルージェはルーネに跨る。
「ミスティさん達どこいるかわかる??」
ルーネはスンスンと鼻を動かして、動き始める。
数分でミスティの馬車が止まっている宿屋を見つけて、ミスティ達と合流する。
アルージェはミスティとエマに視線を向ける。
「私は特に予定はないからアルージェに任せる」
「わ、私も初めての街で勝手が分からないので任せます」
「なら、僕達もアインさんに着いていきましょうか」
アルージェ達も特に予定はなかったので、アインについて行くことにする。
「了解。なら受取人の元にいこうか」
受取人にはすぐに会えて荷物の受け渡しを終わらす。
その後、完了報告ついでにギルドに向かう。
「うわぁ、何も変わってないな」
ギルドに入ると前にいた時と何も変わっていなかった。
受付嬢も見たことがある人だ。
受付の奥ではギルド職員が慌ただしく動いているのが見える。
中にはフィーネさんもいた。
「元気そうで良かった」
アルージェはフィーネを見て、笑顔になる。
アイン達が受付で完了報告をしている最中にフィーネがアイン達に気付く。
暇な時間なようで雑談を始める。
楽しそうに話している中でアインが後ろを指差すと、フィーネも視線をこちらに向ける。
そしてアルージェのことを見て目を大きく見開き、受付から出てきて駆け寄ってくる。
「アル君!」
フィーネがアルージェに抱きつく。
後ろで見ていたエマは少しムッとする。
ミスティは元々二人の関係を知っていたので、ただ見ているだけでなんの反応もない。
「あはは、お久しぶりです」
アルージェは恥ずかしそうに頬を掻く。
「お久しぶりです。じゃないでしょ!王都にいって初めの方はお手紙いっぱいくれたのに
ここ何ヶ月かは来てなかったから心配したのよ!」
アルージェはフィーネからお叱りを受ける。
「手紙・・・?あっ・・・」
「もう!今まで忘れてたでしょ!」
フィーネは更にアルージェを怒る。
「違うんです!違うんです!ただ忙しかっただけなんです!ほんとです!」
アルージェは必死に言い訳する。
その様子をみて、フィーネはため息をつく。
「まぁこうして無事に顔見られたからいいわ。それよりリリィさんにも手紙出してないんでしょ?ちゃんと顔見せて安心させてあげてください。わかった?」
「はい・・・、あっミスティさん達は先に宿屋とか決めといてもらって良いですか?」
「あぁ、構わないぞ」
「わ、分かりました!」
「ありがとうございます!ルーネは連れていくので、宿の場所とかは分かると思います」
ルーネはミスティ達の方に行こうとしていたが、トボトボとアルージェの方へ帰ってくる。
「よし!じゃあ行こう!」
ルーネに跨り、ラベックの元に向かう。
「ここも全然変わらないなぁ」
リリィとラベックがいるであろうスビア商会に到着した。
入り口でぼーっと眺めていると中から声がかかる。
「もしかしてアルージェ君かい?」
アルージュが視線を向けると、何度か食事に連れて行ってくれた青年がいた。
「あっ!やっぱりアルージェ君だよね!ラベックさんかい?ちょっと待ってね」
そう言い残して青年はどこかに行ってしまった。
数分後に戻ってきて、中にある建物に案内される。
「ここにラベックさんいるから!それじゃ!」
青年は颯爽と仕事に戻っていく。
アルージェは名前も覚えていない青年にお礼をして、扉をノックする。
「入れ」
「失礼します」
アルージェは扉を開けて部屋の中に入る。
「おぉ、本当に王都から戻ったのか。少し背がデカくなったな」
「お久しぶりです、ラベックさん。まぁもう二年くらい経ちますから身長も大きくなりますよ」
「ははは、そりゃそうか。受け答えがしっかりしてるからつい歳を忘れちまうぜ。それで、ついにフォルスタに永住か?」
「いやぁ、少し立て込んでて、すぐに二ツールに行くんです」
「そうか残念だ。また仕事任せられるかと思ったんだけどよ。そういえばリリィが会いたがってたぞ。会いにいってやれ。下の階の管理室にいるだろうよ」
「本当ですか。リリィさんもしっかり働いてるんですね」
「あぁ、別にここで働く必要もねぇのに働いてて、いつの間にか幹部候補よ。あいつの才覚には驚かされるぜ。そういえばアルージェから手紙がきてないとかボヤいてたな」
リリィさんはかなり優秀な人らしい。
「あはは、実は忙しくて送れて無かったんですよね・・・。今日は謝りに来たんですよ」
「ははぁん、そいつは大変だな。しっかりと謝ってこいよ!」
「はい・・・」
ラベックの部屋を後にして、リリィのいる部屋に向かう。
「管理室、ここか」
アルージェがノックすると「どうぞ」とリリィの声がする。
「こんにちは、リリィさん」
扉を開けてアルージェが中に入ると、書類と睨めっこしていたリリィが手を止める。
そして、目から一筋に雫が流れる。
「手紙がなかったので、死んでしまったのかと思いました。でも良かった。また会いに来てくださって嬉しいです」
リリィは涙を止めようとするがなかなか止まらず、ハンカチで目元を抑える。
「僕もまた会えて嬉しいですよ。けど今回はちょっと戻って来ただけで、またすぐに二ツールに行かないといけないんです」
「そうですか・・・。私は理解ある束縛しない女なので、アルージェ様のやりたいことを止めることはしません。ですが、また用事が終わったら会いに来てください」
「もちろんですよ!」
その後は今まで何をしてたかを少し話し込んだ。
「それじゃあ、また会いに来ます」
そういってアルージェは部屋を出る。
「はぁ、良かった。フィーネさんみたいに怒られたらどうしようかと思ったよ」
アルージェはルーネに跨る。
「ミスティさん達どこいるかわかる??」
ルーネはスンスンと鼻を動かして、動き始める。
数分でミスティの馬車が止まっている宿屋を見つけて、ミスティ達と合流する。
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