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第四部 〜止まった時間と動き出す歯車〜
第百四十話
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アルージェがここまでの経緯を話し終わる。
「なるほどね。結構な回数事件に巻き込まれて来たんだね。僕達でも冒険者を始めた時そんなに事件に巻き込まれなかったよ」
アインはアルージェの冒険譚をワクワクしながら聞いていた。
「あんたの場合、巻き込まれはしなかったけど自分から首を突っ込んでたでしょ」
カレンがアインにツッコミを入れる。
「それで?そこまで色々巻き込まれて、アルージェは冒険者ランクどれくらいなんだい?」
「い、いやー。実は全然あげられてなくてブロンズなんです・・・」
アルージェは恥ずかしそうに答える。
「えぇ、それは本当?なら、どうだろう?せっかく会えたんだ。少し稽古をつけてあげようか?」
「はぁ、アインさんは本当に好きですね」
ラーニャがため息をつく。
「アインのことだから、きっと“剣を交えればこれまでの軌跡がわかる”とか言い出すわよ」
カレンがアインの口調を真似しがら話す。
「剣を交えれば・・・、って先に言うのやめてもらえないか?」
アインは立ち上がりカッコよく決めようとしていたが、カレンに先に言われてしまい出鼻を挫かれる。
「あはははは!是非お願いしたいです!ゴールドランクのアインさんに稽古つけてもらえるなんて絶対ない機会ですから!」
カレンとアインのやりとりにアルージェはつい笑ってしまう。
「あちゃー。アルージェもそっち寄りな子だったかー」
カレンが額を抑えて椅子にもたれかかる。
「アルージェ君はまだ子供ですから、元気でいいじゃないですか」
ラーニャはニコニコとアルージェのことを見る。
「決まりだね。この聖堂の裏に聖堂騎士たちが訓練している場所があるんだ。そこで稽古をしよう」
アインが立ち上がり訓練場まで先導する。
アルージェとカレン、ラーニャもアインの後ろに追従する。
一同が訓練場に行くと、聖堂騎士たちが訓練をしていた。
だが、ラーニャが隣を通ると、訓練の止めて騎士達が挨拶をする。
ラーニャは挨拶されると、笑顔で挨拶を返す。
隊長だろうか、訓練の指揮をとっていた一人が近づいてきてラーニャに声をかける。
ラーニャが事情を説明すると声をかけてきた男はチラリと後ろに居たアインを見る。
その後、大声で笑い訓練場の使用を快諾してくれたので、広い場所を借りれることになった。
聖堂騎士達は訓練を辞めて、皆が集まってくる。
アインが戦うということで、聖堂騎士たちも見学することにしたらしい。
「ラーニャさん人気ですね」
アルージェは一連の流れを見て、ラーニャに声をかける。
「どうでしょう。ただ教会内での位が高いからだと思いますが」
ラーニャはあまり人気だと自覚が無いようだ。
明らかに位が高いからだけではなさそうな気がするけどこれ以上は追求しないでおこう。
「カレン教授もあれくらい学生たちに好かれてみたいですか?」
アルージェがカレンに声をかける。
「はぁ?私はあれ以上に好かれてるじゃない!」
カレンはアルージェの言葉に過剰に反応する。
どうやら自分ではかなり人気だと思っているようだ。
きっと学生はみんな怖い教授だと思っているとは言えず、「えっ?あ、そ、そうですね!はははは」と余計なことを言ってしまったかと誤魔化す。
「ちょっと!ちゃんと目を見て言いなさいよ!」
カレンがアルージェを捕まえようとする。
「あ!アインさんが呼んでるいかないと!い、今行きまーす!」
カレンの腕をするりと避けてアルージェがアインの方へ走っていく。
「ちょっと!話は終わってないわよ!にげるな!」
カレンはアルージェに向かって叫ぶが、アルージェは聞こえないふりをしてスタスタと走り去る。
「アルージェ君カレンさんによく懐いてますね」
ラーニャが少し羨ましそうにカレンに話しかける。
「どうかしらね。まぁ授業とかで関わってるから話しやすいだけでしょ。もともと人懐っこい性格みたいだし」
アルージェがアインの元にやってくると、アインは既に準備が終わっていた。
「さぁ、アルージェ。僕はいつでもいいよ」
アインは装飾が綺麗な盾と綺麗な装飾が付いている片手剣を構える。
「盾持ちか、なら」
アルージェはアイテムボックスからショーテルを取り出し構える。
お互いに準備が整った。
聖堂騎士の一人が始まりの合図を出す。
「アルージェ!君の軌跡をみせてくれて!」
アインが一瞬でアルージェとの距離を詰める。
「はやっ!?」
アルージェは認識してからの動きが遅れたが、何とか受け流そうとする。
だが力で負けて、後ろに少し押し出される。
アインは続けて剣を振り、アルージェに攻撃の隙を与えない。
アルージェは攻撃を受け流し、背中側で魔方陣を展開。
そして破裂する小球を十個ほど行使する。
アインは盾を構えてアルージェから放たれた破裂する小球受ける。
だが破裂する小球の当たった衝撃がアインの盾に響く。
「受けるとまずいやつか」
続けて飛んでくる破裂する小球は盾で受けずにすべて躱す。
アインが破裂する小球に対処している隙にアルージェはしっかりと魔力を制御して、負担にならないくらいの魔力を全身に纏い身体強化を施す。
「次は僕から!『簡易付与=硬質化』」
アルージェはショーテルに簡易付与を施し、初めのアインと同じくらいの速さでアインに向かって行く。
「なるほどね。結構な回数事件に巻き込まれて来たんだね。僕達でも冒険者を始めた時そんなに事件に巻き込まれなかったよ」
アインはアルージェの冒険譚をワクワクしながら聞いていた。
「あんたの場合、巻き込まれはしなかったけど自分から首を突っ込んでたでしょ」
カレンがアインにツッコミを入れる。
「それで?そこまで色々巻き込まれて、アルージェは冒険者ランクどれくらいなんだい?」
「い、いやー。実は全然あげられてなくてブロンズなんです・・・」
アルージェは恥ずかしそうに答える。
「えぇ、それは本当?なら、どうだろう?せっかく会えたんだ。少し稽古をつけてあげようか?」
「はぁ、アインさんは本当に好きですね」
ラーニャがため息をつく。
「アインのことだから、きっと“剣を交えればこれまでの軌跡がわかる”とか言い出すわよ」
カレンがアインの口調を真似しがら話す。
「剣を交えれば・・・、って先に言うのやめてもらえないか?」
アインは立ち上がりカッコよく決めようとしていたが、カレンに先に言われてしまい出鼻を挫かれる。
「あはははは!是非お願いしたいです!ゴールドランクのアインさんに稽古つけてもらえるなんて絶対ない機会ですから!」
カレンとアインのやりとりにアルージェはつい笑ってしまう。
「あちゃー。アルージェもそっち寄りな子だったかー」
カレンが額を抑えて椅子にもたれかかる。
「アルージェ君はまだ子供ですから、元気でいいじゃないですか」
ラーニャはニコニコとアルージェのことを見る。
「決まりだね。この聖堂の裏に聖堂騎士たちが訓練している場所があるんだ。そこで稽古をしよう」
アインが立ち上がり訓練場まで先導する。
アルージェとカレン、ラーニャもアインの後ろに追従する。
一同が訓練場に行くと、聖堂騎士たちが訓練をしていた。
だが、ラーニャが隣を通ると、訓練の止めて騎士達が挨拶をする。
ラーニャは挨拶されると、笑顔で挨拶を返す。
隊長だろうか、訓練の指揮をとっていた一人が近づいてきてラーニャに声をかける。
ラーニャが事情を説明すると声をかけてきた男はチラリと後ろに居たアインを見る。
その後、大声で笑い訓練場の使用を快諾してくれたので、広い場所を借りれることになった。
聖堂騎士達は訓練を辞めて、皆が集まってくる。
アインが戦うということで、聖堂騎士たちも見学することにしたらしい。
「ラーニャさん人気ですね」
アルージェは一連の流れを見て、ラーニャに声をかける。
「どうでしょう。ただ教会内での位が高いからだと思いますが」
ラーニャはあまり人気だと自覚が無いようだ。
明らかに位が高いからだけではなさそうな気がするけどこれ以上は追求しないでおこう。
「カレン教授もあれくらい学生たちに好かれてみたいですか?」
アルージェがカレンに声をかける。
「はぁ?私はあれ以上に好かれてるじゃない!」
カレンはアルージェの言葉に過剰に反応する。
どうやら自分ではかなり人気だと思っているようだ。
きっと学生はみんな怖い教授だと思っているとは言えず、「えっ?あ、そ、そうですね!はははは」と余計なことを言ってしまったかと誤魔化す。
「ちょっと!ちゃんと目を見て言いなさいよ!」
カレンがアルージェを捕まえようとする。
「あ!アインさんが呼んでるいかないと!い、今行きまーす!」
カレンの腕をするりと避けてアルージェがアインの方へ走っていく。
「ちょっと!話は終わってないわよ!にげるな!」
カレンはアルージェに向かって叫ぶが、アルージェは聞こえないふりをしてスタスタと走り去る。
「アルージェ君カレンさんによく懐いてますね」
ラーニャが少し羨ましそうにカレンに話しかける。
「どうかしらね。まぁ授業とかで関わってるから話しやすいだけでしょ。もともと人懐っこい性格みたいだし」
アルージェがアインの元にやってくると、アインは既に準備が終わっていた。
「さぁ、アルージェ。僕はいつでもいいよ」
アインは装飾が綺麗な盾と綺麗な装飾が付いている片手剣を構える。
「盾持ちか、なら」
アルージェはアイテムボックスからショーテルを取り出し構える。
お互いに準備が整った。
聖堂騎士の一人が始まりの合図を出す。
「アルージェ!君の軌跡をみせてくれて!」
アインが一瞬でアルージェとの距離を詰める。
「はやっ!?」
アルージェは認識してからの動きが遅れたが、何とか受け流そうとする。
だが力で負けて、後ろに少し押し出される。
アインは続けて剣を振り、アルージェに攻撃の隙を与えない。
アルージェは攻撃を受け流し、背中側で魔方陣を展開。
そして破裂する小球を十個ほど行使する。
アインは盾を構えてアルージェから放たれた破裂する小球受ける。
だが破裂する小球の当たった衝撃がアインの盾に響く。
「受けるとまずいやつか」
続けて飛んでくる破裂する小球は盾で受けずにすべて躱す。
アインが破裂する小球に対処している隙にアルージェはしっかりと魔力を制御して、負担にならないくらいの魔力を全身に纏い身体強化を施す。
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