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第三部 〜新たな力〜
第百三十三話
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翌日からデゾルブ鉱石で作った剣の強度を高める付与を施す。
付与魔法は本当にすごい。
ただの木を切っているだけで真っ二つになるような鉱石すらも、鋼より硬くすることができるのだから。
「あばばばば!おかしい!魔力の減り方が明らかにおかしいよ!」
剣に対して硬質化の付与を施そうとするが、魔力を吸い取られる。
付与のために性質変化させた魔力もほとんど吸い取られてしまう。
「こ・・・これ、いつ終わるんだ・・・、ぜぇぜぇ・・・、魔力が・・・、ど、どんだけあっても・・・、足りない・・・」
少しずつではあるが確実に剣に硬質化の付与は出来ている。
だが、一日の進捗が悪すぎて、本当に付与できているのかが見るだけだと判断できない。
「はぁ・・・、明日も頑張ろ・・・。絶対硬質化の付与してやるからな!」
アルージェは剣に向かって捨て台詞のように言い残し、アイテムボックスへ片付ける。
一月掛かりでデゾルブ鉱石の剣に硬質化の付与が完了する。
「付与するだけでなんでこんな時間かかるん・・・?それに何回か本当に死にかけたし」
付与が終わった剣で木を何度も斬りつけるが、何度やっても折れない。
しっかりと硬質化の付与が施されているみたいだ。
「よし、問題なさそう」
次は剣に対して刻印を施して機能を追加する。
「まずはこのずっと魔力を吸収し続ける状態を切り替えできるようにしないとね。だけど今のままだと魔力を吸収し続けるから刻印しにくいし、まずは鞘を作って鞘に刻印をして抑え込もう」
アルージェは鍛冶場の倉庫にある金属を見て回る。
アルージェは鉄とミスリルどちらにしようか本気で考える。
ミスリルは魔力との親和性が高く使い勝手が良い。
だがその反面で膨大な魔力を加えることで性質が勝手に変質してしまうことがあるらしい。
「今回は僕のすべてを注いだ武器にしたいからミスリルを使おう」
ミスリルを手に取り、鍛冶場でデゾルブ剣の鞘になるように鍛造する。
デゾルブ剣がぴったり収まるようにしたら、ミスリルに硬質化の付与を施す。
魔力のせいでどんな風に変質してしまっても硬質化が付与された状態であれば、よほどのことがなければ剣として機能するだろう。
「なんだろう・・・、デゾルブに対して付与してたからかな?ミスリルは魔力の通りがよくて、あっさり終わった」
ミスリルの鞘はデゾルブ剣を収めている状態でも剣として使えるように加工する。
「よし、これでどこからどうみてもミスリルの片手半剣にしか見えないな!」
デゾルブ剣を収めてミスリルの鞘をした状態で剣を素振りする。
「この状態だと少し大きいし重いけど、まぁ僕だってまだ大きくなるから大丈夫でしょう!」
とりあえず試しに木を斬るとスパッと真っ二つに切断される。
「おぉ!かなり出来がいいんじゃないだろうか!魔力を吸い取られなければ・・・」
ずっと剣を触っているので、剣がアルージェの魔力を吸い取る。
アルージェは力が抜けて床に這いつくばる。
「ぐぬぬ・・・、思ったように進められない・・・。刻印は明日に回そう・・・」
出来上がった剣をアイテムボックスに片付けてルーネを呼びだし、寮に連れて帰ってもらう。
パスを繋ぐ魔法。
ルーネに何度も僕の魔力を吸収してもらい、魔力の動きを覚えてコルクスに聞かなくても魔法にすることができた。
パス形成時に吸収量や吸収時間の指定をして魔法を行使することで、剣の方はパスが繋がれば魔力を吸収するという刻印を刻めば運用できるようになる。
また、パスが一つも繋がっていない時は吸収しないように刻印を刻めばいいので、だいぶ簡略化されたはずだ。
アルージェは構成を想像しながら、ニヤニヤしてから寮のベッドで仮眠を取る。
翌日は刻印を刻む作業に入る。
まずはデゾルブ鉱石に対して、
パスが繋がっていなければ魔力吸収をしないように刻印を刻む。
刻印も魔力を使うので苦労したが付与程は苦労せず、あっさりと終わった。
「ふぅ、直接物質に刻み込んでるからか付与より楽だったな」
刻印のためのペンを置き、剣を触るが魔力を吸収されることは無い。
「これでだいぶ作業しやすくなるな」
次はミスリルの鞘に対して、刻印を刻む。
アルージェが特定の魔力周波数で魔力を操作すると、ミスリルの鞘が外れてデゾルブ剣が露出するようにする。
「おっ!動いた動いた!あぁでもこれミスリル取った後、ミスリルの鞘が邪魔になるな。どうにかできないものか。ミスリルの鞘は相手に飛んでいくようにして、特定のキーワードを呟くと手元に戻ってくるとかそういう機構を加えたほうがいいかもなぁ」
とりあえず思い当たる刻印は刻んだので、あとは実際に魔道具にパスをつないでテストするしかない。
それに武器として使うなら、強みが弱いような気がする。
相手が魔道具を持っていたとして、それにパスを繋げないと魔道具を無効化出来ないなんて使いにくすぎる気がする。
「やっぱり実戦で使ってみないとわからないなぁ」
いろいろと考えるアルージェに天啓を得る。
神様から来たものではなく、ただの閃きだが。
「あれ?ちょっと待てよ!」
アルージェの脳内で面白い武器が構築されていく。
「面白い機構思いついたぞ!」
古い刻印を消し、新しい刻印を刻み始める。
--------------------Weapons&Magic第三部「新たな力」完--------------------
付与魔法は本当にすごい。
ただの木を切っているだけで真っ二つになるような鉱石すらも、鋼より硬くすることができるのだから。
「あばばばば!おかしい!魔力の減り方が明らかにおかしいよ!」
剣に対して硬質化の付与を施そうとするが、魔力を吸い取られる。
付与のために性質変化させた魔力もほとんど吸い取られてしまう。
「こ・・・これ、いつ終わるんだ・・・、ぜぇぜぇ・・・、魔力が・・・、ど、どんだけあっても・・・、足りない・・・」
少しずつではあるが確実に剣に硬質化の付与は出来ている。
だが、一日の進捗が悪すぎて、本当に付与できているのかが見るだけだと判断できない。
「はぁ・・・、明日も頑張ろ・・・。絶対硬質化の付与してやるからな!」
アルージェは剣に向かって捨て台詞のように言い残し、アイテムボックスへ片付ける。
一月掛かりでデゾルブ鉱石の剣に硬質化の付与が完了する。
「付与するだけでなんでこんな時間かかるん・・・?それに何回か本当に死にかけたし」
付与が終わった剣で木を何度も斬りつけるが、何度やっても折れない。
しっかりと硬質化の付与が施されているみたいだ。
「よし、問題なさそう」
次は剣に対して刻印を施して機能を追加する。
「まずはこのずっと魔力を吸収し続ける状態を切り替えできるようにしないとね。だけど今のままだと魔力を吸収し続けるから刻印しにくいし、まずは鞘を作って鞘に刻印をして抑え込もう」
アルージェは鍛冶場の倉庫にある金属を見て回る。
アルージェは鉄とミスリルどちらにしようか本気で考える。
ミスリルは魔力との親和性が高く使い勝手が良い。
だがその反面で膨大な魔力を加えることで性質が勝手に変質してしまうことがあるらしい。
「今回は僕のすべてを注いだ武器にしたいからミスリルを使おう」
ミスリルを手に取り、鍛冶場でデゾルブ剣の鞘になるように鍛造する。
デゾルブ剣がぴったり収まるようにしたら、ミスリルに硬質化の付与を施す。
魔力のせいでどんな風に変質してしまっても硬質化が付与された状態であれば、よほどのことがなければ剣として機能するだろう。
「なんだろう・・・、デゾルブに対して付与してたからかな?ミスリルは魔力の通りがよくて、あっさり終わった」
ミスリルの鞘はデゾルブ剣を収めている状態でも剣として使えるように加工する。
「よし、これでどこからどうみてもミスリルの片手半剣にしか見えないな!」
デゾルブ剣を収めてミスリルの鞘をした状態で剣を素振りする。
「この状態だと少し大きいし重いけど、まぁ僕だってまだ大きくなるから大丈夫でしょう!」
とりあえず試しに木を斬るとスパッと真っ二つに切断される。
「おぉ!かなり出来がいいんじゃないだろうか!魔力を吸い取られなければ・・・」
ずっと剣を触っているので、剣がアルージェの魔力を吸い取る。
アルージェは力が抜けて床に這いつくばる。
「ぐぬぬ・・・、思ったように進められない・・・。刻印は明日に回そう・・・」
出来上がった剣をアイテムボックスに片付けてルーネを呼びだし、寮に連れて帰ってもらう。
パスを繋ぐ魔法。
ルーネに何度も僕の魔力を吸収してもらい、魔力の動きを覚えてコルクスに聞かなくても魔法にすることができた。
パス形成時に吸収量や吸収時間の指定をして魔法を行使することで、剣の方はパスが繋がれば魔力を吸収するという刻印を刻めば運用できるようになる。
また、パスが一つも繋がっていない時は吸収しないように刻印を刻めばいいので、だいぶ簡略化されたはずだ。
アルージェは構成を想像しながら、ニヤニヤしてから寮のベッドで仮眠を取る。
翌日は刻印を刻む作業に入る。
まずはデゾルブ鉱石に対して、
パスが繋がっていなければ魔力吸収をしないように刻印を刻む。
刻印も魔力を使うので苦労したが付与程は苦労せず、あっさりと終わった。
「ふぅ、直接物質に刻み込んでるからか付与より楽だったな」
刻印のためのペンを置き、剣を触るが魔力を吸収されることは無い。
「これでだいぶ作業しやすくなるな」
次はミスリルの鞘に対して、刻印を刻む。
アルージェが特定の魔力周波数で魔力を操作すると、ミスリルの鞘が外れてデゾルブ剣が露出するようにする。
「おっ!動いた動いた!あぁでもこれミスリル取った後、ミスリルの鞘が邪魔になるな。どうにかできないものか。ミスリルの鞘は相手に飛んでいくようにして、特定のキーワードを呟くと手元に戻ってくるとかそういう機構を加えたほうがいいかもなぁ」
とりあえず思い当たる刻印は刻んだので、あとは実際に魔道具にパスをつないでテストするしかない。
それに武器として使うなら、強みが弱いような気がする。
相手が魔道具を持っていたとして、それにパスを繋げないと魔道具を無効化出来ないなんて使いにくすぎる気がする。
「やっぱり実戦で使ってみないとわからないなぁ」
いろいろと考えるアルージェに天啓を得る。
神様から来たものではなく、ただの閃きだが。
「あれ?ちょっと待てよ!」
アルージェの脳内で面白い武器が構築されていく。
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