Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

文字の大きさ
上 下
123 / 221
第三部 〜新たな力〜

第百二十一話

しおりを挟む
翌日、早速攻撃魔法研究会に顔を出す。

ディビックがアルージェのことを見つけて、笑顔で近づいてくる。

「んふふ、やっぱり来たね。みんな君を待ってたよ」
攻撃魔法研究会のメンバーがアルージェに気付き、自分の作業を止めて近づいてくる。

「今日は俺と!」

「いや、昨日の戦い見ただろ!お前に無理だよ!」

「あいつら言い合ってる間に俺と戦ってくれ!」

「おい!何抜け駆けしようとしてるんだ!」

「こいつを捕えろ!絶対許すな!」

「うわぁぁぁ」

メンバーが騒がしく誰がアルージェと戦うかを議論?している。

「まぁまぁ、みんな落ち着いてよ。アルージェはきっとみんなの相手をしてくれるはずさ。ンフフ」
ディビックがメンバーを宥める。

議論は無理だとわかったので、くじ引きでアルージェと戦う順番を決める。

そして、アルージェは順番通りに一人ずつ戦っていき。
何人かかなり手強くて危ないところはあったがなんとか全員と戦い勝利を収める。

「ありがとうございました!皆さん自身のスタイルを確立していて、戦いづらかったです!」
アルージェが頭を下げて、礼をいう。

「くそぉ・・・、なんであんだけ戦ってアルージェが一番ピンピンしてるんだ・・・・」

元々魔法使いということもあり、メンバーはあまり体力をつけていなかったようで、すでに床に倒れ込んでいる者もいる。

「僕は元々剣士なので、走り込みやら筋肉トレなんかも毎日やってるんですよ!」

「あれだけ体力が有って、魔法も使えるって、弱点ないじゃないですか」
「いや、それくらいじゃないと暴食スライムグラトニースライムを単騎で倒すのは無理なんだろうぜ」
「な、なるほど。我々もアルージェさんを見習って、体力をつけるべきかもしれませんね」
「それは俺も思ったぜ」

「あはは、課題を見つけられたみたいでよかったです。それじゃあ今日はこの辺で僕は失礼しますね!」

「また、いつでも来てね。ンフフ」
ディビックが手を振りアルージェを見送る。

「はーい!」
アルージェは寮へ戻る。

「あれ?そういえばディビックさんと戦ってないな。様子見してたのかな?まぁいいや」
ルーネに跨り寮に戻り、今日見つけた自身の課題について考える。

「武器の出し入れが結構ネックになってたなぁ。これがスムーズにできていないせいで後手に回ることが多かった印象だ」

アイテムボックスから望みの武器を出すのは、なかなかに意識を持っていかれる動作だ。
相手によって武器を変えて立ち回りができるのはいいことだが、そこでもたついてしまって後手に回ることが多々あった。

「これは要改善だなー。あとあれだ、みんなソナーのような魔法を使って居場所をすぐに把握してくる。僕もあれを使うか、もしくはソナーのような魔法を阻害するなにかが無ければ厳しいだろうなぁ。
場所が割れてたら魔法を使う時も後だしになるし、新魔法体系の方法で魔法を行使しているからどうにかなったけど、普通だったら即負けだろうね」

聞くところによると、魔力探知マジックソナーは魔法使いなら誰もが使う基本的な魔法らしい。
発生地点を探ろうと思ったが、広範囲に魔法を行使している為、逆探知が難しく見つけるのは困難を極める。
なので対策が必須だ。

後はみんな新魔法体系の魔法に興味があるみたいだった。
あそこにいたみんなはかなり努力して、詠唱を端折って魔法を行使する詠唱破棄、一つの言葉に意味を詰め込む短縮詠唱ができるようになっているらしい。
だけど無詠唱に勝るものはないようで、できるなら新魔法体系で魔法を行使したいと言っていた。

「これは僕だけできめられないからコルクス教授に相談かな?」

ルーネが寮の前に着いたので、吠えて合図してくれる。

「おわっ!?ごめん考え事してた」

「ワウッ」
なんでもいいから早く降りてくれと念が頭に響く。

「あいあいさー!」
アルージェがルーネから飛び降りて寮に入る。

「まだ、ミスティさんは戻ってないみたいだね。なら今の間に付与解除ディスエンチャントの方法を考えるかな!」
部屋に戻り、自身で書き写した紙を見返すが、あまり有益な情報は載っていなかった。

「まぁ、当たり前か。付与するのを考えてたんだから逆は難しいよなぁ。そもそもどういう原理で付与されてるのかわからないし」

それから何日か付与解除ディスエンチャントについて、図書館で調べたりしていたりエマと図書館の議論室で資料を見ながら議論を重ねたが、状況は全く変わっていない。

一度性質が変わったものを元に戻すと言うのはかなりめんどくさいもので、それが人間二人の命を賭けたものであれば尚更だ。

「あっ、そろそろ時間なので、今日はこれで失礼しますね」
エマが時間を気にしながらアルージェに声をかける。

「おつかれー、また明日ねー」
アルージェが手を振ってエマを見送る。

エマは最近学校終わりにわざわざ王都に行って格闘術を習っているらしく、体を動かすのにハマっているらしい。

目的があるみたいだけど、僕には教えてくれないんだよな。

しかもかなり厳しく鍛えてもらってるらしくて、この間付与解除ディスエンチャントの議論をしている時、全身痛くて動かせないんですと笑っていた。

「あっ、そうだ!エマ待って!」
アルージェがエマを引き止める。

「は、はい?」
エマがアルージェの言葉で振り返る。

「僕も毎日体を動かして、体力作りしてるんだけどさ、朝一緒に走ったりしない?二人でやる方が長続きすると思うんだけど」

アルージェの提案にエマが笑顔になる。
「ぜ、是非!お願いします!」

「わかった!なら明日の朝から早速いける?一つ目の鐘が鳴ったあと(6時)だからかなり早いけど」

「は、はい!絶対に行きます!」
エマは上機嫌で王都に向かう。

「なんだか、目に見えて喜んでくれてるね。良かったよ」

アルージェも席を立ち寮に戻る。

翌朝からランニングする時はエマと一緒にすることになった。

結構な距離を走ったり飛び跳ねたりするので、厳しそうだったけど僕が励ますと頑張って僕についてこようとしてくる。

エマはすごく気弱に見えるけど、固い意思があるんだと思う。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...