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第三部 〜新たな力〜
第百十八話
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初めて学校に来た時に演劇のように僕に声を掛けてきた男子生徒。
「名前は確か・・・ディビックさんだ!」
アルージェはディビックの元へ駆け寄る。
「君はこの場から逃げいたんだろう?手を貸すよ」
やはりこの劇を観ているような感じ間違いない。
「何人たりとも阻むことはできない行手は主人のみが知る。今新たなる世界へ『自由への扉』」
ディビックが魔法を唱えると、目の前に扉が現れる。
「さぁ、早く入って。追いつかれちゃうよ」
ディビックがアルージェとルーネを扉の中に押し込む。
その後、ディビックも扉の中に入ると扉自体が消失する。
「ふぅ、危なかった。何とか逃げれたね」
ディビックは振り返り通ってきた扉が消失したことを確認する。
「助かりました。初めて学校に来た時声を掛けてくれたディビックさんですよね?」
「あぁ、そうさ!君に覚えてもらえてるなんて、すごく嬉しいよ」
ディビックは何故かアルージェの手を握る。
「先程の決闘見させてもらったよ。あまりに一方的だったね。んー!!ファンタスティック!実にアメージング!あぁすごくゾクゾクしたよ!」
ディビックは妙に近い距離で話し続ける。
「あはは、ありがとうございます」
アルージェはテンションの高い変な人だなぁと思いながら話す。
「それで、あんなところで何をしていたんだい?まさかあのポンコツ貴族達に恥を掻かせたかったわけじゃないだろう?」
アルージェはディビックから握られている手を離そうとするが、ディビックは一向に手を離さない。
「まさか、違いますよ!決闘クラブみたいなのが無いか探していたんですよ。僕剣術が得意なんですけど、魔法使い相手にどうやって立ち回るかとか知らないので研究したくて」
「んんんんん!!!!素晴らしい!君の向上心!最高じゃないか!」
ディビックは感情が昂り地面に膝を着き天を仰ぐ。
「それなら僕が所属しているクラブがあるんだけど、見学にこないかい?もちろん入らなくても構わないよ、君ほどの実力があるのならね、ンフフ」
そして、一度離したアルージェの手を取り摩りながら不気味に笑う。
アルージェはディビックの不可解な行動に若干に引く。
「あははは、じゃあ見学だけさせてもらいますね」
ディビックに手を引かれ、ディビックが所属しているというクラブに向かう。
到着したのは体育館のような建物だった。
ディビックが扉をバァンと開け放つ。
「皆のもの!聞いてくれ!」
ディビックは建物の中に入るなり、魔法で自身の声を大きくなるようにして中にいた人の注目を集める。
中では結構な人数が、的に向かって魔法を放ったり、大きな机の周りを囲んで詠唱の検証をしていた。
ディビックの方に意識を向けた者は、隣にいるアルージェに気付く。
「おい、あれって」
「暴食スライムを単騎で倒したやつじゃないか?」
「でかい狼も一緒に居るから間違いない!」
そこでようやく皆がディビックの元に集まってくる。
「皆も知っているとは思うが、暴食スライムを単騎撃破した。アルージェ君だ」
「初めまして、アルージェです」
「どうやらアルージェ君は、このクラブに興味があるらしくてね」
ディビックが演劇のように大きな動きと身振りで話し続ける。
「あ、はい、そうですね。ディビックさんに連れてこられて、まだどんな場所かもわからないので今日は見学ですがよろしくお願いします」
「アルージェ君の言う通り、今日はまだ見学だ。皆も気にせず研究を進めてくれたまえ!」
ディビックがそう言うと各々元いた場所へ戻る。
「さて、アルージェ君。この研究会について説明させてくれ」
「そうですね。お願いします」
「ふむ、まずここはクラブと言っていたが、攻撃魔法研究会だ。ここには実戦的な戦いを学ぶ為に入会してくるものが多い。それ故に決闘はもちろんあちらの装置を使って実戦も行うことができる」
ディビックは研究会の真ん中に置いてある大きな装置を指差し話す。
「あれは?」
「あれは有りとあらゆるシチュエーションを仮想的に作り出す魔道具だよ。名を仮想戦場と言ってね、この攻撃魔法研究会に代々受け継がれているのさ」
「へぇ、あれほど大型の魔道具だと消費する魔力がすごそうですね」
「実はそうでも無いんだ。最適化に最適化を重ねた結果、学生の我々でも余裕で賄えるほどの消費魔力なのさ」
「おぉ、すごいですね!作った人に会ってみたいなぁ」
「フフフ、それは置いといて、せっかくなんだから君も見て回ったらどうだい?」
「そうですね!ちょっと見学させてもらいます!」
アルージェが何をしているのかを見て回ると、アルージェに気付いた学生が暴食スライムの時は本当すごかったぜ!と声を掛けてくれる。
ありがとうございますなんて返事をしていたら、後ろから声がかかる。
「あの!アルージェさん!是非一戦ぼくと交えてもらえないでしょうか?」
振り返るとメガネを掛けた、水色のマッシュルームヘアが特徴の男子学生が立っていた。
「いいですよ!是非やりましょう!」
アルージェが了承すると、ディビックが間に入ってくる。
「それじゃあ、あの仮想戦場の出番だね」
ディビックが魔道具を起動し、魔力を注ぎ込む。
「今回は僕が魔力を入れる役をするよ。なんたってここが一番戦闘が見える特等席だからね、んふふ」
ディビックが魔道具に対して、魔力を注ぎ始める。
「名前は確か・・・ディビックさんだ!」
アルージェはディビックの元へ駆け寄る。
「君はこの場から逃げいたんだろう?手を貸すよ」
やはりこの劇を観ているような感じ間違いない。
「何人たりとも阻むことはできない行手は主人のみが知る。今新たなる世界へ『自由への扉』」
ディビックが魔法を唱えると、目の前に扉が現れる。
「さぁ、早く入って。追いつかれちゃうよ」
ディビックがアルージェとルーネを扉の中に押し込む。
その後、ディビックも扉の中に入ると扉自体が消失する。
「ふぅ、危なかった。何とか逃げれたね」
ディビックは振り返り通ってきた扉が消失したことを確認する。
「助かりました。初めて学校に来た時声を掛けてくれたディビックさんですよね?」
「あぁ、そうさ!君に覚えてもらえてるなんて、すごく嬉しいよ」
ディビックは何故かアルージェの手を握る。
「先程の決闘見させてもらったよ。あまりに一方的だったね。んー!!ファンタスティック!実にアメージング!あぁすごくゾクゾクしたよ!」
ディビックは妙に近い距離で話し続ける。
「あはは、ありがとうございます」
アルージェはテンションの高い変な人だなぁと思いながら話す。
「それで、あんなところで何をしていたんだい?まさかあのポンコツ貴族達に恥を掻かせたかったわけじゃないだろう?」
アルージェはディビックから握られている手を離そうとするが、ディビックは一向に手を離さない。
「まさか、違いますよ!決闘クラブみたいなのが無いか探していたんですよ。僕剣術が得意なんですけど、魔法使い相手にどうやって立ち回るかとか知らないので研究したくて」
「んんんんん!!!!素晴らしい!君の向上心!最高じゃないか!」
ディビックは感情が昂り地面に膝を着き天を仰ぐ。
「それなら僕が所属しているクラブがあるんだけど、見学にこないかい?もちろん入らなくても構わないよ、君ほどの実力があるのならね、ンフフ」
そして、一度離したアルージェの手を取り摩りながら不気味に笑う。
アルージェはディビックの不可解な行動に若干に引く。
「あははは、じゃあ見学だけさせてもらいますね」
ディビックに手を引かれ、ディビックが所属しているというクラブに向かう。
到着したのは体育館のような建物だった。
ディビックが扉をバァンと開け放つ。
「皆のもの!聞いてくれ!」
ディビックは建物の中に入るなり、魔法で自身の声を大きくなるようにして中にいた人の注目を集める。
中では結構な人数が、的に向かって魔法を放ったり、大きな机の周りを囲んで詠唱の検証をしていた。
ディビックの方に意識を向けた者は、隣にいるアルージェに気付く。
「おい、あれって」
「暴食スライムを単騎で倒したやつじゃないか?」
「でかい狼も一緒に居るから間違いない!」
そこでようやく皆がディビックの元に集まってくる。
「皆も知っているとは思うが、暴食スライムを単騎撃破した。アルージェ君だ」
「初めまして、アルージェです」
「どうやらアルージェ君は、このクラブに興味があるらしくてね」
ディビックが演劇のように大きな動きと身振りで話し続ける。
「あ、はい、そうですね。ディビックさんに連れてこられて、まだどんな場所かもわからないので今日は見学ですがよろしくお願いします」
「アルージェ君の言う通り、今日はまだ見学だ。皆も気にせず研究を進めてくれたまえ!」
ディビックがそう言うと各々元いた場所へ戻る。
「さて、アルージェ君。この研究会について説明させてくれ」
「そうですね。お願いします」
「ふむ、まずここはクラブと言っていたが、攻撃魔法研究会だ。ここには実戦的な戦いを学ぶ為に入会してくるものが多い。それ故に決闘はもちろんあちらの装置を使って実戦も行うことができる」
ディビックは研究会の真ん中に置いてある大きな装置を指差し話す。
「あれは?」
「あれは有りとあらゆるシチュエーションを仮想的に作り出す魔道具だよ。名を仮想戦場と言ってね、この攻撃魔法研究会に代々受け継がれているのさ」
「へぇ、あれほど大型の魔道具だと消費する魔力がすごそうですね」
「実はそうでも無いんだ。最適化に最適化を重ねた結果、学生の我々でも余裕で賄えるほどの消費魔力なのさ」
「おぉ、すごいですね!作った人に会ってみたいなぁ」
「フフフ、それは置いといて、せっかくなんだから君も見て回ったらどうだい?」
「そうですね!ちょっと見学させてもらいます!」
アルージェが何をしているのかを見て回ると、アルージェに気付いた学生が暴食スライムの時は本当すごかったぜ!と声を掛けてくれる。
ありがとうございますなんて返事をしていたら、後ろから声がかかる。
「あの!アルージェさん!是非一戦ぼくと交えてもらえないでしょうか?」
振り返るとメガネを掛けた、水色のマッシュルームヘアが特徴の男子学生が立っていた。
「いいですよ!是非やりましょう!」
アルージェが了承すると、ディビックが間に入ってくる。
「それじゃあ、あの仮想戦場の出番だね」
ディビックが魔道具を起動し、魔力を注ぎ込む。
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ディビックが魔道具に対して、魔力を注ぎ始める。
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