Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

文字の大きさ
上 下
115 / 221
第三部 〜新たな力〜

第百十三話

しおりを挟む
辺境伯様研究費用をたっぷりと頂き、部屋で楽しく魔道具製作をしていると、突然部屋の扉がバァンと開け放たれる。

「うわぁ!ビックリした!」
アルージェは突然の大きな音に驚き飛び跳ねる。

扉の方を見るとミスティとエマが仁王立ちで立っていた。

「あ、あれ?僕なんかやっちゃいました・・・・?」
アルージェは心当たりを探るが、最近は魔道具製作しかしていないので騒ぎも起こしていないはずだと一人で納得する。

「あぁ、アルージェ。君は本当に・・・」
ミスティが頭を抱えながら話す。

「アルージェ君・・・」
エマも何故か僕を憐れんだ目で見てくる。

「えぇ・・・、本当に何やったか記憶にございません!」

「なるほど、少年にはあくまで自覚がないと」
ミスティはアルージェを睨みつける。

「ひっ、本当に何もしてないんです。信じてください!」
アルージェはミスティの睨みに怯み、土下座の姿勢に移行する。

「はぁ、アルージェ君部屋に引きこもり過ぎです。外に行かないと体に悪いですよ」
エマがため息を吐き、こりゃダメだと呆れながら話す。

「え?籠りすぎ?そんなこと・・・」
よく考えたら魔道具製作を初めてから、授業にもあまり行かず部屋に篭り、ひたすら製作に勤しんでいた。

「言われてみたら、そうかもしれない」

「言われなくても、そうなんだ。カレン教授も心配してたぞ。もちろん私もだ、食事時も部屋から出てこないで、ちゃんと食事は摂ってるんだろうな?」

「食事・・・、そういえばお腹空いたかもしれないです」

「はぁ、本当にアルージェは仕方ないな。今日はエマと王都に行こうって話してたんだ。アルージェも一緒に来るんだ」

「えっ、でも良い案が・・・」

「いいな?」

「は、はい!喜んで!」
ミスティの睨みに負けて、王都に行くことになった。

「食事は王都で摂ろうと思うがアルージェもそれでいいか?」

「はい!問題ないです」

「そうか、なら私たちも用意するがあるから30分後に出発だ」

「わかりました、ならそれまで魔道具製作を・・・」
ミスティがアルージェをギロリと睨む。

「せずに、お風呂でも入ろうかなぁ!ハハハハ」

「あぁ、そうすると良い」

アルージェは風呂場に向かう。

「最近、魔法触ってなかったから少しやっとかないと」
アルージェはそういい魔法陣を展開する。

水を出して体に触れても寒いと感じない程度の温度に調整する。

「よしこれで良いだろう」
水を触って、お湯になっていることを確認。

体にお湯を纏わせて、水流を操作して体を勝手に洗ってくれるように設定。

「あぁ、自分で動かさなくて良いから楽だなぁ」
体を洗った水は、そのまま排水溝へ流す。

「よし!湯船に浸かろう!」
湯船に浸かり、初めは体を伸ばしゆっくりとしていたが、段々と暇になってくる。

「そうだ!」
アルージェは何かを閃いて魔法陣を展開する。

脱衣所で待機していたルーネが魔力の気配に気付きアルージェの様子を見ると、
アルージェは浴槽の水を魔力で操作していた。

水で出来た蝶が風呂場をヒラヒラと舞い、水で形作られた小型の龍を天井付近で回らせる。

ルーネはその光景に目を輝かせて風呂場に入りアルージェとはしゃぐ。

「ん?何やら風呂場が騒がしくないか?」
ミスティがマイアに確認する。

「確かにそうですね。ルーネに見張ってもらっているのでもんだいないと思いますが・・・」

「はぁ、アルージェは時折年相応のことをするからな。念の為に様子を見にいくか」
ミスティはマイアに髪を櫛で解いてもらっていたが、立ち上がりアルージェの様子を見にいく。

風呂場に近づくにつれて、「行くよ!見ててルーネ!」「バウッ!バウッ!」と二人が風呂場ではしゃいでいるのが分かる。

ミスティが「入るぞ」と声を掛けるが、中の二人は気付いている様子がなく、ミスティが扉を開ける。

その時、ザバーンと水が飛んでくる。

「あっ・・・」
アルージェが風呂場の水でドラゴンの顔を形作り、その口から飛ばした水がミスティにかかる。

「アルージェ・・・」
ミスティはプルプルと震えて明らかに怒りが伝わってくる。

「あわわわわ」
アルージェとルーネが抱き合って震える。

それから更に出るのが遅れたのは言うまでもあるまい。

「さぁ、行くか」
準備の出来たミスティが号令をかける。

「お、おー!」
エマはアルージェの方をチラチラと見ながら掛け声をあげる。

「お、おー・・・」
アルージェはあの後ミスティの準備が終わるまで正座をさせられていたので、足がプルプルと震えている。

「わ、わぅ・・・」
ルーネは30分の間、伏せをさせられていたので、体が少し痛くてプルプルとしている。

「まぁ、正直私はそこまで怒っていない。つい忘れてしまうがアルージェはまだ子供だしな。ルーネも楽しいことが好きなのは知っているからな」

「あはは、面目ない・・・」
「わぅ・・・」

「まぁさっきの事は水に流して、王都を満喫しようではないか!」

「確かにポタポタと滴ってましたもんね、フフフ」
アルージェが小声で呟くと、ミスティがギロリと睨む。

「なんでもありません!」
一同は予定より遅れて王都に到着した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魅了だったら良かったのに

豆狸
ファンタジー
「だったらなにか変わるんですか?」

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

転生して貴族になったけど、与えられたのは瑕疵物件で有名な領地だった件

桜月雪兎
ファンタジー
神様のドジによって人生を終幕してしまった七瀬結希。 神様からお詫びとしていくつかのスキルを貰い、転生したのはなんと貴族の三男坊ユキルディス・フォン・アルフレッドだった。 しかし、家族とはあまり折り合いが良くなく、成人したらさっさと追い出された。 ユキルディスが唯一信頼している従者アルフォンス・グレイルのみを連れて、追い出された先は国内で有名な瑕疵物件であるユンゲート領だった。 ユキルディスはユキルディス・フォン・ユンゲートとして開拓から始まる物語だ。

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

処理中です...