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第三部 〜新たな力〜
第百五話
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エマと一緒に図書館で勉強し始めて数日が経った。
図書館に有った変わり種の付与魔法の書物もほとんど読み終わったが、自分合った戦闘スタイルのヴィジョンが思い浮かばない
ここ数日、アルージェは今後の自分の戦闘スタイルについて真剣に考えていて、エマとあまり話せていない。
だが、エマはそれでも問題無いようで、真剣に考えているアルージェを意識してチラチラと本を読みながらも意識している。
そして今日も何も思いつかないまま、図書館閉館の時間になる。
「ア、アルージェ君!ま、また明日ね!」
エマは自分の寮に戻って行く。
いつも途中で振り返り手を振ってくれるので、アルージェはそこから動かずエマの姿が見えなくなるのを見送る。
「さてと!ルーネ、僕たちも帰ろっか。ミスティさん達が待ってるよ!」
アルージェはルーネに跨る。
「ワウッ!」
ルーネはアルージェが体勢を整えたのを確認したら、寮に走り出す。
寮に戻ったが、まだミスティさん達は戻ってきていなかった。
「授業ってこんな時間まであるんだね。授業に出てると自分のやりたいことあんまりできなさそう」
アルージェは呟く。
「ミスティさん達が帰ってくるまで、部屋でくつろいどこうかな」
ルーネもアルージェの言葉に頷き、後ろからついてくる。
「そういえば、ルーネと前戦った時、身体強化みたいなのしてたじゃん?あの時キラキラと粒子みたいなの舞ってたような気がするんだけど、あれどうやってるの?かっこいいから僕もやりたいんだけど」
アルージェがルーネに尋ねると、体に魔力を纏い、キラキラと粒子のようなものが舞う。
「それそれ!めちゃくちゃかっこいいじゃん!僕もやりたいなぁ!」
キラキラと目を輝かせてルーネを見る。
ルーネは「フンスッ」と鼻息を漏らして、これみよがしにキラキラした粒子を見せつけてドヤ顔をしている。
アルージェは「すげー」とルーネも周りをくるくると動きながら粒子を観察していると、扉が開く音がする。
「戻ったぞ」
ミスティの声がしたのでルーネは魔力を纏うのを辞めて、ゴロリンとその場に寝転がる。
ミスティが部屋の扉をノックして様子を見に来た。
「おぉ、ここに居たのか。ずっと一緒に居て二人とも本当に仲がいいな。午前中の時点で今日はすこし遅くなってしまいそうだったから、こちらに料理を運んでもらうようにお願いしている。もう少しで料理が届くと思うぞ」
「はーい!」
「バウッ!」
アルージェとルーネは元気に返事をする。
しばらくしてから料理が届き、マイアさんがテキパキと机に並べてくれたので食す。
食後いつも通り紅茶を飲んでゆっくりしていると、ルーネがミスティに近寄り「ワウワウ」と何かを訴えている。
「な、なに!?それは本当か!?」
ルーネからの何を訴えられているのかわかったようでミスティは声を張る。
ミスティの言葉にうなずくようにルーネは頷く。
「いつの間にルーネの言葉分かるようにになったんですか!?」
アルージェが気になったのでミスティに話しかける。
「それは秘密だ。それよりもアルージェ、私に話さなければならないことがあるだろう?」
「話さなければいけないこと?」
アルージェは何も身に覚えがないので首を傾げる。
「あっ、そういうことですか!」
伝えるべきことが何かわかったのでポンッと手のひらをこぶしで叩く。
「正直進展はないです。なかなかヴィジョンが思い浮かばなくて」
「ば、ばかもの!進展があったら私が困るじゃないか!わ、私に話してからにしろ!」
ミスティはアルージェの言葉に動揺する。
「えっ?でもこういうことってミスティさんに話していいもの何ですか?」
「当たり前だ!最近のアルージェは私を蔑ろにしすぎだ!私だってアルージェと話したいんだからな!」
「な、なるほど。確かに最近はミスティさんと今後について全く話せてなかったですね」
ミスティの言葉を受けアルージェは納得する。
「こ、今後のこと!?も、もちろんアルージェが求めるなら私は・・・」
頬を赤らめて両手で頬を隠す。
「なら今後のこと話しましょう!」
アルージェはミスティに近寄り、ミスティが座っているソファーの隣に陣取る。
「こ、こんなところで!?マイアもいるんだぞ!?本当にいいのか!?」
緊張からかミスティの体が縮こまる。
「何言ってるんですか、せっかくだからみんなでやりましょうよ!」
「み、みんなで!?あ、アルージェがそう言うなら・・・。う、うむ。不束者だが、お手柔らかに頼む!」
目を瞑りアルージェに体を預けようと待ち構える。
「実は今後の戦闘スタイルについて全く決まらなくて困ってるんです。付与魔法もいまいち成長してる実感がなくて・・・」
アルージェは真剣に話し始める。
「は、はえ?戦闘スタイル?付与魔法?」
ミスティは気が抜けてアルージェに膝枕されている状態になる。
「えぇ、そうなんです。暴食スライムとの戦いで自分の弱点が浮き彫りになりました。特に遠距離への攻撃に対して僕は何の対処もできないんです。ミスティさんはどう思いますか?」
アルージェはミスティがこんなこと珍しいなと思いながらもミスティの意見を待つ。
アルージェはミスティの思っていたこととは明らかに違う話をしていたが、アルージェの真剣な瞳にミスティは完全にやられてしまい。
「そ、そうだな!アルージェの言う通りだと思うぞ」と相槌を打つだけしかできなくなる。
「はぁ、お嬢様・・・」
その様子にマイアは呆れる。
図書館に有った変わり種の付与魔法の書物もほとんど読み終わったが、自分合った戦闘スタイルのヴィジョンが思い浮かばない
ここ数日、アルージェは今後の自分の戦闘スタイルについて真剣に考えていて、エマとあまり話せていない。
だが、エマはそれでも問題無いようで、真剣に考えているアルージェを意識してチラチラと本を読みながらも意識している。
そして今日も何も思いつかないまま、図書館閉館の時間になる。
「ア、アルージェ君!ま、また明日ね!」
エマは自分の寮に戻って行く。
いつも途中で振り返り手を振ってくれるので、アルージェはそこから動かずエマの姿が見えなくなるのを見送る。
「さてと!ルーネ、僕たちも帰ろっか。ミスティさん達が待ってるよ!」
アルージェはルーネに跨る。
「ワウッ!」
ルーネはアルージェが体勢を整えたのを確認したら、寮に走り出す。
寮に戻ったが、まだミスティさん達は戻ってきていなかった。
「授業ってこんな時間まであるんだね。授業に出てると自分のやりたいことあんまりできなさそう」
アルージェは呟く。
「ミスティさん達が帰ってくるまで、部屋でくつろいどこうかな」
ルーネもアルージェの言葉に頷き、後ろからついてくる。
「そういえば、ルーネと前戦った時、身体強化みたいなのしてたじゃん?あの時キラキラと粒子みたいなの舞ってたような気がするんだけど、あれどうやってるの?かっこいいから僕もやりたいんだけど」
アルージェがルーネに尋ねると、体に魔力を纏い、キラキラと粒子のようなものが舞う。
「それそれ!めちゃくちゃかっこいいじゃん!僕もやりたいなぁ!」
キラキラと目を輝かせてルーネを見る。
ルーネは「フンスッ」と鼻息を漏らして、これみよがしにキラキラした粒子を見せつけてドヤ顔をしている。
アルージェは「すげー」とルーネも周りをくるくると動きながら粒子を観察していると、扉が開く音がする。
「戻ったぞ」
ミスティの声がしたのでルーネは魔力を纏うのを辞めて、ゴロリンとその場に寝転がる。
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「おぉ、ここに居たのか。ずっと一緒に居て二人とも本当に仲がいいな。午前中の時点で今日はすこし遅くなってしまいそうだったから、こちらに料理を運んでもらうようにお願いしている。もう少しで料理が届くと思うぞ」
「はーい!」
「バウッ!」
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「な、なに!?それは本当か!?」
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「いつの間にルーネの言葉分かるようにになったんですか!?」
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「話さなければいけないこと?」
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伝えるべきことが何かわかったのでポンッと手のひらをこぶしで叩く。
「正直進展はないです。なかなかヴィジョンが思い浮かばなくて」
「ば、ばかもの!進展があったら私が困るじゃないか!わ、私に話してからにしろ!」
ミスティはアルージェの言葉に動揺する。
「えっ?でもこういうことってミスティさんに話していいもの何ですか?」
「当たり前だ!最近のアルージェは私を蔑ろにしすぎだ!私だってアルージェと話したいんだからな!」
「な、なるほど。確かに最近はミスティさんと今後について全く話せてなかったですね」
ミスティの言葉を受けアルージェは納得する。
「こ、今後のこと!?も、もちろんアルージェが求めるなら私は・・・」
頬を赤らめて両手で頬を隠す。
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「何言ってるんですか、せっかくだからみんなでやりましょうよ!」
「み、みんなで!?あ、アルージェがそう言うなら・・・。う、うむ。不束者だが、お手柔らかに頼む!」
目を瞑りアルージェに体を預けようと待ち構える。
「実は今後の戦闘スタイルについて全く決まらなくて困ってるんです。付与魔法もいまいち成長してる実感がなくて・・・」
アルージェは真剣に話し始める。
「は、はえ?戦闘スタイル?付与魔法?」
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「そ、そうだな!アルージェの言う通りだと思うぞ」と相槌を打つだけしかできなくなる。
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その様子にマイアは呆れる。
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