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第三部 〜新たな力〜
第八十八話
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アルージェが炎を出して、的を狙って放つ。
的に直撃した炎はそのまま爆発を起こし、アルージェ達の髪を靡かせる。
「はぁ・・・」
アルージェが今日何度目かのため息をつく
「何度も何度もこっちまで気が滅入るからやめろ」
コルクスがため息を注意する。
「教授・・・、武器がもう無いんです」
アルージェはうつむきながら答える。
「あぁ、それも何度も聞いた。
だから、鍛冶場が学園内にもあることを教えたし、最悪王都の鍛冶屋から既製品を買い付けることも出来るどちらをするのか、
相談するために今日は付与魔法の練習をせずに早めに切り上げて学園長に会えるように手配してあると言ったはずだが?」
「手元に武器がないと不安で不安で・・・」
「チッ、今日はもう終わりだ、さっさとその陰気臭い面をどうにかしてこい」
コルクスが空気玉をアルージェに向かって放つ。
「痛ッ!いいんですか!学園長探してきます!」
コルクスの返事も聞かず脚に魔力を集めて身体強化を行い、コルクスの部屋を後にする。
ルーネもその様子を見て慌てて、アルージェの後をついていく。
「あ、あいつ魔力操作の精度がだいぶ上がってるな」
コルクスがアルージェの魔力の流れをみて、驚嘆する。
「だが、あれだけ魔力自体はあるのに制御できるのはあの程度か、宝の持ち腐れだな」
椅子に座りテーブルに置いてある、研究資料に手を付け始めるが、思い出したように顔を上げる。
「チッ、この研究はさすがに学園長に許可を取る必要があるか」
椅子から立ち上がり、杖を手にすると、杖が光を放つ。
「転移」と呟くとコルクスの姿が消える。
--------------------
「そういえば、学園長室ってどこだっけ」
勢いよくでてきたのはいいが、相変わらずの方向音痴である。
「ワウッ!」
後ろからルーネが吠えてアルージェにちゃんと動く前には言ってと脳内に伝わる。
「あはは、ごめんごめん、なんか居ても立っても居られなくなっちゃって!」
後頭部に触りながらアルージェはルーネに謝る。
「それでさ、ルーネは学園長室ってどこにあるかわかる?」
ルーネはやれやれと首を振って、いつも通りちょいちょいと首を後ろに動かして、早く乗れと指示される。
「さすが!ルーネは頼りになるなぁ!ほんと!」
ルーネに跨ると、学園長室まで移動を始める。
学園長室についたので、ルーネから降りて扉をノックをすると、秘密結社のてぃら氏が扉を開ける。
「君はティラノサウルス!この世界も昔は恐竜が跋扈してたんだね!しかも地球で見た図鑑に載ってたのとほぼ同じだからここも地球みたいな進化の過程を辿ってきたのかな」
アルージェが冷静に分析を始めるが、てぃら氏は自分の存在が認識していたことに驚き、喜びでアルージェの頭に噛り付く。
「あはは!齧られてる!ふわふわでフェルトみたいな歯だから痛くないけど!齧りながらでいいんだけど学長はいる??」
てぃら氏は齧るのをやめて、首を横に振る。
「そっかー、なら別のところだね、どこにいるかとか知ってたりする??」
アルージェが念のために確認するが、てぃら氏は首を横に振り、少し俯きシュンとする。
「あぁ、落ち込まないでいいよ!ありがとうね!」
アルージェはてぃら氏にお礼をいって、学園長室を後にしようとするが、腰に携えているアイテムボックスに違和感を感じる。
「ん?なんだ?」
アイテムボックスに手を入れて違和感の正体を探る。
そして、取り出したのは、ミスティさんに貰った白い表紙の本だった。
本は光放ち、一定のタイミングで震える。
「なんか、震えてる」
本を持ったまま、辺りの様子を伺うが不審なものがあるわけでも、
置物などに反応しているわけでもなさそうだ
「なんで震えてるんだろ」
少し先を歩いていたルーネがアルージェが止まっていることに気づき戻ってきて、
「バウッ」と吠える。
「あぁ、ごめん、なんか本がさ・・・」
そういってアルージェがルーネに本を見せるが特に変わった様子はない。
「あれ?さっきまで震えてたんだけど」
アルージェは「おかしいなぁ」と首を傾げて、本をアイテムボックスに片付け、
顎に手をやり何が原因だったのかを考え始めようとするが、
「バウッ!」
学園長を探さないのかとルーネがアルージェに確認してくる。
「いや、探すけど、まぁいいか!行こう!そういえばルーネって臭いで学園長どこにいるのか分ったりしないの?」
その言葉を聞き、ルーネは「グルル!」と威嚇始める。
学園長室っていったのはそっちだろ!間違いなくルーネは怒っている。
「あはは、ごめんごめん、ならルーネ!学園長のとこまで頼む!」
アルージェはルーネに跨る。
ルーネは「フンスッ」と鼻を鳴らしてから移動を始める。
アルージェ達の姿が見えなくなった後、コルクスが柱の陰から顔をだす。
「まさかこんなに近くに二冊目があるとはな」
そのコルクスの手には少し汚れた黄色の本が携えられていた。
「それにしてもアルージェ!そうか、お前は俺の仲間か!ははは!」
コルクスは笑いを抑えようとするが、我慢できず高らかに笑う。
コルクスは笑い終わった後、
「お前とは長い付き合いになりそうだ」
自身の見た目とは裏腹に醜悪な笑みを浮かべる。
持っていた杖が光を放ち、その場からコルクスが消える。
的に直撃した炎はそのまま爆発を起こし、アルージェ達の髪を靡かせる。
「はぁ・・・」
アルージェが今日何度目かのため息をつく
「何度も何度もこっちまで気が滅入るからやめろ」
コルクスがため息を注意する。
「教授・・・、武器がもう無いんです」
アルージェはうつむきながら答える。
「あぁ、それも何度も聞いた。
だから、鍛冶場が学園内にもあることを教えたし、最悪王都の鍛冶屋から既製品を買い付けることも出来るどちらをするのか、
相談するために今日は付与魔法の練習をせずに早めに切り上げて学園長に会えるように手配してあると言ったはずだが?」
「手元に武器がないと不安で不安で・・・」
「チッ、今日はもう終わりだ、さっさとその陰気臭い面をどうにかしてこい」
コルクスが空気玉をアルージェに向かって放つ。
「痛ッ!いいんですか!学園長探してきます!」
コルクスの返事も聞かず脚に魔力を集めて身体強化を行い、コルクスの部屋を後にする。
ルーネもその様子を見て慌てて、アルージェの後をついていく。
「あ、あいつ魔力操作の精度がだいぶ上がってるな」
コルクスがアルージェの魔力の流れをみて、驚嘆する。
「だが、あれだけ魔力自体はあるのに制御できるのはあの程度か、宝の持ち腐れだな」
椅子に座りテーブルに置いてある、研究資料に手を付け始めるが、思い出したように顔を上げる。
「チッ、この研究はさすがに学園長に許可を取る必要があるか」
椅子から立ち上がり、杖を手にすると、杖が光を放つ。
「転移」と呟くとコルクスの姿が消える。
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「そういえば、学園長室ってどこだっけ」
勢いよくでてきたのはいいが、相変わらずの方向音痴である。
「ワウッ!」
後ろからルーネが吠えてアルージェにちゃんと動く前には言ってと脳内に伝わる。
「あはは、ごめんごめん、なんか居ても立っても居られなくなっちゃって!」
後頭部に触りながらアルージェはルーネに謝る。
「それでさ、ルーネは学園長室ってどこにあるかわかる?」
ルーネはやれやれと首を振って、いつも通りちょいちょいと首を後ろに動かして、早く乗れと指示される。
「さすが!ルーネは頼りになるなぁ!ほんと!」
ルーネに跨ると、学園長室まで移動を始める。
学園長室についたので、ルーネから降りて扉をノックをすると、秘密結社のてぃら氏が扉を開ける。
「君はティラノサウルス!この世界も昔は恐竜が跋扈してたんだね!しかも地球で見た図鑑に載ってたのとほぼ同じだからここも地球みたいな進化の過程を辿ってきたのかな」
アルージェが冷静に分析を始めるが、てぃら氏は自分の存在が認識していたことに驚き、喜びでアルージェの頭に噛り付く。
「あはは!齧られてる!ふわふわでフェルトみたいな歯だから痛くないけど!齧りながらでいいんだけど学長はいる??」
てぃら氏は齧るのをやめて、首を横に振る。
「そっかー、なら別のところだね、どこにいるかとか知ってたりする??」
アルージェが念のために確認するが、てぃら氏は首を横に振り、少し俯きシュンとする。
「あぁ、落ち込まないでいいよ!ありがとうね!」
アルージェはてぃら氏にお礼をいって、学園長室を後にしようとするが、腰に携えているアイテムボックスに違和感を感じる。
「ん?なんだ?」
アイテムボックスに手を入れて違和感の正体を探る。
そして、取り出したのは、ミスティさんに貰った白い表紙の本だった。
本は光放ち、一定のタイミングで震える。
「なんか、震えてる」
本を持ったまま、辺りの様子を伺うが不審なものがあるわけでも、
置物などに反応しているわけでもなさそうだ
「なんで震えてるんだろ」
少し先を歩いていたルーネがアルージェが止まっていることに気づき戻ってきて、
「バウッ」と吠える。
「あぁ、ごめん、なんか本がさ・・・」
そういってアルージェがルーネに本を見せるが特に変わった様子はない。
「あれ?さっきまで震えてたんだけど」
アルージェは「おかしいなぁ」と首を傾げて、本をアイテムボックスに片付け、
顎に手をやり何が原因だったのかを考え始めようとするが、
「バウッ!」
学園長を探さないのかとルーネがアルージェに確認してくる。
「いや、探すけど、まぁいいか!行こう!そういえばルーネって臭いで学園長どこにいるのか分ったりしないの?」
その言葉を聞き、ルーネは「グルル!」と威嚇始める。
学園長室っていったのはそっちだろ!間違いなくルーネは怒っている。
「あはは、ごめんごめん、ならルーネ!学園長のとこまで頼む!」
アルージェはルーネに跨る。
ルーネは「フンスッ」と鼻を鳴らしてから移動を始める。
アルージェ達の姿が見えなくなった後、コルクスが柱の陰から顔をだす。
「まさかこんなに近くに二冊目があるとはな」
そのコルクスの手には少し汚れた黄色の本が携えられていた。
「それにしてもアルージェ!そうか、お前は俺の仲間か!ははは!」
コルクスは笑いを抑えようとするが、我慢できず高らかに笑う。
コルクスは笑い終わった後、
「お前とは長い付き合いになりそうだ」
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