85 / 221
第三部 〜新たな力〜
第八十三話
しおりを挟む
「まず、アルージェが知っている魔法について、俺に話してみろ」
「母から聞いたのは、」
そういってアルージェは村で母に教わった魔法についての知識をコルクスに話し始める。
この世界には炎・水・風・地・光・闇・無の属性を持つ魔法があって、
体内にある魔力を詠唱で形を作り、放出するもので、魔力の総数は生まれた時から決まっているというのが通説だということくらいです。
実際は幼少期から魔力切れを起こすほど使えば日に日に増えていくのだが、そんなことを試したものはいない為知られていない。
後天的に増やす方法もある、まれに魔力が増える食べ物があるらしくそういったものを食べて育った子供は非常に多くの魔力を持つことがある。
また魔法は農村だと、魔法に関する知識が浸透しておらず、体を使えば代用できるため、利用されることは少ない。
逆に町や都に行けば一定以上の魔法が使えるものはそれだけで、食いっぱぐれることはないと言われている。
属性について、中でも光属性、闇属性の魔法は珍しく、
聖職者になる為には最低条件として光魔法が使用できることが定められているので、狭き門である。
「なるほど、分かった、今言っていたことは全部忘れろ、新世代の魔法に必要のない知識だ」
「えぇ」
「これから教えることを記憶しろ、そもそも魔法に属性はなく、人がイメージしやすいように属性を割り振られているだけだ」
アルージェは言っていることがわからず、首を傾げる。
「お前、人が指導してやってるのにアホ面晒してるんじゃねぇ」
「すいません・・・」
「ならわかりやすいものを見せてやる」
そういって掌に小さい魔方陣を作り、火を出す。
「アルージェは火を見て何を連想する?」
「定番なところだと熱いとかですかね」
アルージェは顎に手をやり、答える。
「あぁ、そうだ、ならこの火に手を入れろ」
コルクスが手のひらにある火をアルージェの方へ近づける。
「いやですよ!何考えてんですか!」
「手を入れねぇなら、顔に押し付けるぞ、早くしろ」
「うぅ、分かりました・・・ちゃんと火傷は治してくださいよ・・・・」
戸惑っていたが、顔を背けて火に手を突っ込む。
「あぎゃぁぁぁ!って熱くない・・・?むしろ冷たい!?」
アルージェは背けた顔を火に向けて、手を出し入れして確認する。
「あぁそうだ、今使われている魔法体系だとこんなことは不可能だが、俺が考えた新世代の魔法体系だとこんな芸当も出来る」
なんてことないというようにコルクスは淡々と話を進める。
「これってどういう原理なんですか!?」
アルージェは不思議な現象を見て興奮気味にコルクスに問い始める。
「どうやらかなり興味を持ったようだな、
まだ学会にも発表してない技術だから、誰に聞かれても教えないと誓え、話はそれからだ」
そういうと羊皮紙をどこからともなく取り出し、ペンをアルージェに渡す。
「えっと、実は僕文字書けなくて・・・・」
「文字が書けないだと?読むのは?」
「読むのは出来ます、ただ専門用語が出てきたりするとどうなるか・・・」
「学園長、めんどくさいやつ押し付けやがって、俺を教会の神父かなんかと勘違いしてるんじゃねぇか」
頭をボリボリと掻いて、「しゃあねぇか」とどこからともなく少し汚れた本を一冊取り出す。
「お前が読み書きできるまで魔法と並行して教えてやる。
俺の貴重な時間を割くんだ感謝しろ、弱音吐いたら氷球だけじゃすまさんから覚悟しておけ」
「だけじゃすまないと申しますと・・・?」
アルージェは興味本位で念のために確認をする。
「そうだな、入り口で飛ばしたでかい方の氷塊を磔にした状態で当ててやる」
アルージェは考えただけでも痛そうなので考えるのをやめた。
「弱音言いません!頑張ります!」
「頑張るのは当たり前だ、俺の時間を割いてるんだ死ぬ気でやれ」
「そ、そんなぁ」
アルージェは鼓舞してもらえると思ったがコルクスはそんなに甘くなかった。
「なんだ、いきなり弱音か?」
コルクス杖が光ると、空中でアルージェが磔にされて、アルージェの体の三倍以上ある大きさの氷塊が現れる。
「違います!違います!今のは違います!死ぬ気でやります!本当です!本当です!」
慌てて弁明すると、氷塊が消失し、身動きが取れるようになる。
「初めからそう言え、なら始めるぞ、文字の勉強からだ、魔法契約書にサインをもらわないことには始められんからな」
文字の勉強を始めたが思ったより簡単だった、この世界の文字は俗にいう表音文字で英語に近く、
文字もそこまで多くなかったので、割とあっさりと覚えることはできた。
なので、名前を書くのは1時間もあればできるようになった。
「これでいいですか?」
羊皮紙にサインをしてコルクスに渡す。
「汚い字だな、まぁいいサインには変わりないからな」
コルクスも受け取った羊皮紙にサインすると、羊皮紙が光りその場から消えた。
「これで終わりですか?」
あっさりと終わったので、確認する。
「あぁ、これは少し特殊な奴だから、紙としては残らんがお互いの魂に刻まれる。
これで晴れてお前は俺の弟子になった、新世代の魔法を嫌というほど叩き込んでやる」
「あははは・・・・、お手柔らかにお願いします」
アルージェからは乾いた笑いが出るが、少し楽しみでもあった。
「母から聞いたのは、」
そういってアルージェは村で母に教わった魔法についての知識をコルクスに話し始める。
この世界には炎・水・風・地・光・闇・無の属性を持つ魔法があって、
体内にある魔力を詠唱で形を作り、放出するもので、魔力の総数は生まれた時から決まっているというのが通説だということくらいです。
実際は幼少期から魔力切れを起こすほど使えば日に日に増えていくのだが、そんなことを試したものはいない為知られていない。
後天的に増やす方法もある、まれに魔力が増える食べ物があるらしくそういったものを食べて育った子供は非常に多くの魔力を持つことがある。
また魔法は農村だと、魔法に関する知識が浸透しておらず、体を使えば代用できるため、利用されることは少ない。
逆に町や都に行けば一定以上の魔法が使えるものはそれだけで、食いっぱぐれることはないと言われている。
属性について、中でも光属性、闇属性の魔法は珍しく、
聖職者になる為には最低条件として光魔法が使用できることが定められているので、狭き門である。
「なるほど、分かった、今言っていたことは全部忘れろ、新世代の魔法に必要のない知識だ」
「えぇ」
「これから教えることを記憶しろ、そもそも魔法に属性はなく、人がイメージしやすいように属性を割り振られているだけだ」
アルージェは言っていることがわからず、首を傾げる。
「お前、人が指導してやってるのにアホ面晒してるんじゃねぇ」
「すいません・・・」
「ならわかりやすいものを見せてやる」
そういって掌に小さい魔方陣を作り、火を出す。
「アルージェは火を見て何を連想する?」
「定番なところだと熱いとかですかね」
アルージェは顎に手をやり、答える。
「あぁ、そうだ、ならこの火に手を入れろ」
コルクスが手のひらにある火をアルージェの方へ近づける。
「いやですよ!何考えてんですか!」
「手を入れねぇなら、顔に押し付けるぞ、早くしろ」
「うぅ、分かりました・・・ちゃんと火傷は治してくださいよ・・・・」
戸惑っていたが、顔を背けて火に手を突っ込む。
「あぎゃぁぁぁ!って熱くない・・・?むしろ冷たい!?」
アルージェは背けた顔を火に向けて、手を出し入れして確認する。
「あぁそうだ、今使われている魔法体系だとこんなことは不可能だが、俺が考えた新世代の魔法体系だとこんな芸当も出来る」
なんてことないというようにコルクスは淡々と話を進める。
「これってどういう原理なんですか!?」
アルージェは不思議な現象を見て興奮気味にコルクスに問い始める。
「どうやらかなり興味を持ったようだな、
まだ学会にも発表してない技術だから、誰に聞かれても教えないと誓え、話はそれからだ」
そういうと羊皮紙をどこからともなく取り出し、ペンをアルージェに渡す。
「えっと、実は僕文字書けなくて・・・・」
「文字が書けないだと?読むのは?」
「読むのは出来ます、ただ専門用語が出てきたりするとどうなるか・・・」
「学園長、めんどくさいやつ押し付けやがって、俺を教会の神父かなんかと勘違いしてるんじゃねぇか」
頭をボリボリと掻いて、「しゃあねぇか」とどこからともなく少し汚れた本を一冊取り出す。
「お前が読み書きできるまで魔法と並行して教えてやる。
俺の貴重な時間を割くんだ感謝しろ、弱音吐いたら氷球だけじゃすまさんから覚悟しておけ」
「だけじゃすまないと申しますと・・・?」
アルージェは興味本位で念のために確認をする。
「そうだな、入り口で飛ばしたでかい方の氷塊を磔にした状態で当ててやる」
アルージェは考えただけでも痛そうなので考えるのをやめた。
「弱音言いません!頑張ります!」
「頑張るのは当たり前だ、俺の時間を割いてるんだ死ぬ気でやれ」
「そ、そんなぁ」
アルージェは鼓舞してもらえると思ったがコルクスはそんなに甘くなかった。
「なんだ、いきなり弱音か?」
コルクス杖が光ると、空中でアルージェが磔にされて、アルージェの体の三倍以上ある大きさの氷塊が現れる。
「違います!違います!今のは違います!死ぬ気でやります!本当です!本当です!」
慌てて弁明すると、氷塊が消失し、身動きが取れるようになる。
「初めからそう言え、なら始めるぞ、文字の勉強からだ、魔法契約書にサインをもらわないことには始められんからな」
文字の勉強を始めたが思ったより簡単だった、この世界の文字は俗にいう表音文字で英語に近く、
文字もそこまで多くなかったので、割とあっさりと覚えることはできた。
なので、名前を書くのは1時間もあればできるようになった。
「これでいいですか?」
羊皮紙にサインをしてコルクスに渡す。
「汚い字だな、まぁいいサインには変わりないからな」
コルクスも受け取った羊皮紙にサインすると、羊皮紙が光りその場から消えた。
「これで終わりですか?」
あっさりと終わったので、確認する。
「あぁ、これは少し特殊な奴だから、紙としては残らんがお互いの魂に刻まれる。
これで晴れてお前は俺の弟子になった、新世代の魔法を嫌というほど叩き込んでやる」
「あははは・・・・、お手柔らかにお願いします」
アルージェからは乾いた笑いが出るが、少し楽しみでもあった。
1
お気に入りに追加
419
あなたにおすすめの小説

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる