Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

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第三部 〜新たな力〜

第七十七話

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学園長が首を傾げて
「ん?おかしいな部屋の前まで転移する予定じゃったが」と呟く。

転移してきた先はどこかの建物の前だった。
「あやつ、また余計な妨害魔法でも考案したのか、はぁ、アルージェここからは歩きじゃ」
学園長が先行する。

「考案ということは、僕の教官は研究者の方ですか?」

「そうじゃな、この学園では皆が魔法への探究者であり、学生であり、教官である」

「ということは学園長も何か研究を??」

「そうじゃ、どんな魔法でも良い、理解を深めていればいずれ、儂がどんな研究をしてるかわかる時が来るやもしれんな」

「本当ですか!頑張ります!」

「フォッフォッフォッ、継続することが一番力になるからの根源を見るには人生は短いかもしれんが精進するのじゃぞ」
学園長は穏やかな表情でアルージェを見る。

「そういえばお主の親は有名な魔法使いとかか?」

「いえ、親は普通の冒険者だと言ってました、武器を使うのがうまかったので、魔法使いではないと思います。水を出す魔法はよく使ってましたけど」

「そうなのか、ではそこのぷりちーなルーネとはいつ?」

「あぁ、詳細に話すと長くなっちゃうんで省きますが村を出てフォルスタに行く道中で出会いました、主従契約?を結んでいるので危険はないですよ」

「なるほどな、首輪ではなく血の契約を結んだんじゃな、通りでお互いに信頼しているように見えるわけじゃ、ルーネは月狼族なのか?」

「ミスティさんにも同じこと聞かれましたけど、月狼族は絶滅したんですよね?」

「そうじゃな、生き残りがいたのかと思っただけじゃ、もしいたなら魔法生物研究会が黙っておらんじゃろうからルーネは十分に気をつけてな」

「バウツ!」ルーネは学園長の言葉に返事をする。

「おぉ、言葉が分かるのか本当にいい子じゃな、ほれジャーキーでも食べるか?」
学園長の前に魔法陣が表れて魔法陣に手を突っ込みジャーキーを取り出すが、ルーネは顔を背ける。

「あぁ、学園長すいません、ルーネは甘いものの方が好きな少し変わった、狼でして」
アルージェがルーネのフォローをする。

「なるほど、そういうことか、ならこっちはどうじゃ」
ジャーキーを魔法陣に入れて、シュークリームを取り出すと、ルーネは背けていた顔をブンッと勢いよく戻して、
シュークリームを見る。

「フォルスタだとこれじゃと思ったわい、ほれ」
そういってルーネに渡すとルーネは学園長の手からシュークリームを一口で食べる。

「かわいいのぉ」

学園長は手についたルーネの涎を水の魔法で洗い流す。

そして少し進んだところで、「おっと、ここじゃった、コルクス入るぞ」
言葉をかけてから数秒待ったところで学園長が扉を開くとコルクスと呼ばれた男性は杖を構えて、部屋に数え切れないほどの魔法陣を展開し、臨戦態勢で待っていた。

「コルクス、魔法を収めてくれんかの」
学園長が指示すると、構えを解き、魔法陣が消失する。

「すいません学園長、馬鹿みたいに魔力を垂れ流してる奴が学園長の魔力周波数に似た方と一緒だったので、万が一を考え、構えてました」
コルクスと呼ばれた男性は気怠そうな声で答える。

髪型は無造作に伸びたベージュの髪を後ろで括りポニーテールにしているが整えてはいない。
肌の色は白いが見る人によっては少し不健康さに映る、目の色は黒色。

魔法学校のローブではなく、シャツに革のベスト、革のロングコートを着て、黒い革のズボンを履いて他とは少し違う雰囲気を出していた。

「学園長、コルクスさんは他の方と少し格好が違うみたいですが、学校の方ではないんですか?」
アルージェが学園長に確認する。

「コルクスも立派な学園の仲間じゃ、この学園は制服は特にないんじゃ、ローブが邪魔になる魔術師もおるからの、じゃがなぜか皆ローブを着たがるんじゃよ、流行というやつじゃな」

「そうだったんですね、確かに僕もローブは邪魔になるかもしれないです」

「まぁ、そのあたりは本人に任せておるからの好きにしてくれればよい」

アルージェと学園長が呑気に話しているとコルクスが
「学園長用事がないのであれば研究に戻りたいのですが」と本題に入ろうとする。

「あぁ、すまん、歳をとるとつい呑気に話してしまうんじゃ、ここに来たのは他でもない、このアルージェをコルクスに任せたくてな」

「お断りします。第一何歳か知らないですが、魔力垂れ流しにしてる時点で才能無いですよ、そいつ」

「まぁ、まぁもう少しだけ聞いてくれコルクス、アルージェは十歳じゃ、ただ、親から魔力操作なんかの基本知識を教えてもらってないんじゃ」

「教えてもらってない?そんな膨大な魔力を垂れ流しにできるほどに魔力を持っているのであれば、どこぞの有名な魔法使いの子供でしょう、親は事故か何かで死んだんですか?」
コルクスは少しアルージェに興味を持って学園長に確認する。

「アルージェは農村生まれらしくてな、親も魔法使いではない普通の人じゃ、だからこそ魔法の知識は全くないんじゃ、そこで凝り固まった魔法の知識を与えるより、お主に一任して、魔法界新しい風を吹かせれないかと思ってな」

「知識が全くない?それは本当ですか?」

「属性があることは親から聞いたので知っています、あとは詠唱が必要なのも知っています、親が詠唱して水をだしていただので」
今あるだけの知識をコルクスに説明すると

「ふむ、なるほど、わかりました学園長、アルージェはしばらく私が面倒見ましょう、ただ見込みナシなら、すぐに返却しますのでそのつもりで」
まるで新しいおもちゃでも見つけたと言わんばかりにコルクスの表情が悪人のようになっている。

「学園長、本当にこの人で大丈夫ですか!?悪人みたいな顔になってますよ!?」

「大丈夫じゃアルージェ、コルクスと儂は長い仲じゃが、極悪人ではないから安心せい、じゃあ儂は自分の研究に戻るとするかの、あとは頼んだぞ」
杖の石突で地面を叩き魔方陣を展開し、もう一度杖の石突部で地面を叩くと学園長の姿が消える。

「相変わらず、無駄の多い転移魔法ですね」
コルクスが学園長の魔法を見て呟く。
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