Weapons&Magic 〜彼はいずれ武器庫<アーセナル>と呼ばれる〜

ニートうさ@秘密結社らびっといあー

文字の大きさ
上 下
72 / 221
第三部 〜新たな力〜

第七十話

しおりを挟む
学園長室のフカフカのソファーにアルージェとミスティが腰かける。
アルージェの横にはルーネがお座りして、ミスティの後ろにマイアが待機する。

「さて、まずは自己紹介をさせてもらおうかの、儂はこの学園の学園長をやっておる、ルミアスじゃ」

「あ、よろしくお願いします、僕はアルージェといいます、隣にいる大きな狼は僕の相棒ルーネです」
アルージェがルーネの頭を撫でると、「ワウ!」と元気良く吠える。

「おぉ、これはお利口さんじゃな、それにお互い信頼しあってるのがしっかりわかる、素晴らしいのぉ」
ルミアスはにこやかにルーネとアルージェを見る。

ミスティはソファーから立ち上がり
「すでにご存じではあるかと存じますが、私はミスティ・ブレイブラインです」

「ミスティかレインズが好きそうな名前じゃわいそれでそちらのメイドのお嬢さんは?」

「ミスティ様の側付きをしております、マイアです」

「マイア、いい名前じゃな、それにしても不思議じゃな、マイアから全くと言っていいほど魔力が放出されておらぬ、いったいどういう仕組みじゃ?魔術師を暗殺するための特殊な訓練でも受けたのか?」
ルミアスが少しプレッシャーを放つ。

「い、いえ、幼い時より放出する器官に欠陥がありまして、魔力を放出できないのです」
マイアはルミアスから放たれるプレッシャーに委縮する。

「なんと!それでその年まで生きておるのか!」
ルミアスが立ち上がりマイアに素早く近付く、すでに先ほどまでのプレッシャーがなくなり好好爺の雰囲気に戻っていた。

「治療法を見つけたのか?それとも何か特別なものか?副作用はあるのか?」
ルミアスが食いついてくるのでマイアは困惑気味に「い、いえ」と答える。

「放出する必要がないほどの魔力消費を体内だけで行っているということか?マイアよ、お主、他の人と比べて体が丈夫であったり、力が強かったりせぬか?」

「えぇ、鉄程度の強度であれば握りつぶすことができます」

「常時、身体強化魔法を使用しているような状態で魔力を使用し続けているのか、ただ身体強化魔法での消費魔力は少ないはずじゃが、ふむ」
ルミアスがあごひげを触りながら少し考え込む。

「ルミアス学園長?」
アルージェが声をかけるとルミアスは思考を止めてこちらを向く。

「あぁ、すまんの、年寄りの悪い癖じゃ、マイアのことは分かったが次はお主じゃアルージェ、なんじゃその垂れ流しの魔力量は」

「えっ?」
ルミアスに指摘され、カレンが言っていたことを思い出す。


”まぁ、魔法使えるならそんな馬鹿みたいに常に魔力出しっぱなしにはしてないか”


「昔カレンさんあったときに言われたことがあるんですが、馬鹿みたいに魔力を放出しているって」

「あぁ、そうじゃ魔法の心得がある子供なんかがお主のことをみたらお主の魔力で酔ってしまって失神してしまうぞ」

「それは一体どういう」
魔法の心得がないアルージェは学園長に言われてもしっくり来ていない。

「なるほど、魔力についての知識が全くないんじゃな、ここはひとつ儂が講義してやるかの」
ルミアスは立ちあがり、近くにあったペンサイズの短めの棒に魔力を通すと、棒は宙にぷかぷかと浮かんだ状態になる。


ルミアスが話始めると、魔力を通した棒がルミアスの横の何もない空間にルミアスが話した内容を転記する。

魔力というのは本来この世界のどこにでも存在する。
ただ、場所によっては少ないところあったり、逆に多いところもある。
魔力の多いところはマナスポットと呼ばれ、いまだに見つかっていない場所もあるが、見つかっているところは大体が曰くつきだったり、神聖視されていたり、禁足地として入ることを禁止している。
辺境伯の領地内であればヴァプンコヌングル遺跡がマナスポットになるらしい。

そして魔力は場所だけじゃなくどんな生物の中にも当たり前のように存在している。

自身の中に存在する魔力をコントロールして放出したりするのが魔法である。

人間の体内に存在する魔力は親から子に受け継がれると言われており、
親の親の魔力が多ければ多いほど子供も比例して多くなるといわれている。

実際に両親の魔力が高ければ高いほど子供の魔力総量は多くなる。
まれに突然変異的に魔力がほとんどない両親から魔力総量の多い子供が生まれてくる場合もあるが、
親よりも明らかに多いというだけで、もともと魔力を持った両親から生まれてくる子供とは雲泥の差である。

そして魔力の教養がある親から生まれた子供は親が魔力操作の方法を教えるので垂れ流しにすると教育も施せない家庭だと嘲笑われることになるので、
うまく体内で循環させていざ魔法を使用するときに、質のいい魔力を使用して魔法を行使できるよう教育される。

アルージェの場合、垂れ流しになっている魔力が他の人とは比べ物にならない量だったため、
他人を近づかせないようにワザとそういう風にしているのだといいように誤解されただけだと教えてもらう。

「とまぁ、基礎知識としてはこんな感じじゃ」
宙に浮いていた棒は机の上に戻り、それからぴくりとも動かなくなった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...