58 / 221
第三部 〜新たな力〜
第五十六話
しおりを挟む
「疲れたー、最近ずっと武器触ってたから体から金属の匂いしてない?」
ルーネに念のため確認すると、鼻をスンスンと動かしアルージェの匂いを嗅ぐ。
ンガッと息を詰まらせたような反応が返ってくる、そしてそのままアルージェから離れていく。
「えぇ!?普通に傷つく反応なんだけど!」
そう言ってルーネに近づくとルーネもアルージェが近づいた分離れていく。
「せ、せめてどんな匂いなのか教えてくれぇ!頼むぅ!」
と全力近づくが、華麗にアルージェを飛び越えそのまま鍛冶スペースから出ていく。
「うぅ、酷い、酷すぎる、匂い袋とかで匂い誤魔化せないかな」
アイテムボックスから、少し良い匂いのする匂い玉を取り出し体に擦り付けようとしたところで、ルーネが戻ってくる。
「ワウッ!」とアルージェに近づいてきて、周りをクルクルと周り始める。
どうやら冗談だったらしい。
「いつの間にそんな技術覚えたんだ、ルーネ、なんて恐ろしい子」
ルーネが人間ぽく成長していることに少し、恐怖を覚えたが、
それは置いといて、最近ずっと鍛冶場に篭りきりだったので、人間としてまともな生活ができていなかったような気がする。
少し情勢についても把握しておきたい。
「ということで今日は久しぶりに町を周ろう!いいかな?」
ルーネに確認を取ると元気よく「バウッ」と返事をもらえた。
「よし!ならまずはこの店に売ってる商品の確認かな!」
ルーネが立っていたところ辺りで大きな音が聞こえたがきっと問題ないだろう。
鍛冶場から表にでるとロランドさんがこちらに気づき、近づいてくる。
「アルージェ様、いかがなされましたか?素材が不足しておりましたでしょうか」
「あ、いえ、おかげさまで、手持ちのもの全て補修できまして、町を周ろうと思ったんですけど、そういえばここで売ってるもの見てないなぁと思って、見させてもらえないかと思ったんですけどいいですか?」
「なるほど、問題ないですよ」
ロランドは店を見渡して、手が空いている人物に声をかけ、アルージェの案内をするように告げる。
「後はこのユーロに任せますので、何かあればユーロに確認していただければと存じます、それではごゆっくり」
そういって定位置にもどっていくロランド。
「できる男やぁ」
ロランドの対応に出来る男を感じながらユーロに挨拶して、武器を見てまわる。
ルーネも後ろからトボトボとついてくる。
「武器って手にとって素振りしても問題ないですか?」
追従してくれているユーロに確認を取り、許可が出たので、目についた剣を手にとり素振りをする。
「やっぱり、ここの店主さん良いもの作るなぁ、ん?」
剣を見ていたが不意に目に入った、明らかに単価が違う武器が並んでいる一画を見る。
剣を棚に戻し、その一画に近づき、武器を手に取ろうとするとユーロから制止が入る。
「アルージェ様申し訳ございません、こちら付与魔法が掛かった武器となります、お手を触れるのはご勘弁願えますでしょうか」
「付与魔法??この一画の武器は付与魔法が掛かっているから値段が他と違うってことですか?」
「えぇ、おっしゃる通りです」
付与魔法、こちらに転生する前にゲームで聞いたことがある。
見た目は普通の武器だが、自分で好きな能力を後付けすることが出来る魔法で、
マジックアイテム程ユニークな能力は付いていないが汎用的なものを武器自身に付与できるので、切れ味強化や、攻撃力強化なんかがよくわかる例だろう。
「付与魔法って、武器に後付けで汎用的な能力をつける物で認識あってますか?」
「そうですね、大方ご認識の通りです、汎用的というのがいまいちピンときませんが、具体例でいうと切れ味が良くなったり、持つだけで体が強くなったりとさまざまな効果が付与されます」
ふむ、やっぱり認識している通りか、
「誰でも付与魔法って使えるんですか?」
「あまり詳しくは無いですが、王都にある魔法学校で使い方を教えているそうですよ、ただ学ぼうとする人は少ないようですが」
王都の魔法学校、以前ニツール村に来ていたアインさんのパーティにいたカレンさんが言ってたのを思い出し、アイテムボックスからキーホルダーを取り出す。
今のままではこれ以上に武器を強化する方法が思い浮かばない、
今以上に強い冒険者になるには武器の強化も必須だ。
武器作成なら他の人より上手くできると思うけど、それだけじゃいつか頭打ちすることが目に見えていた。
成長するには此処しかない、そう僕の鍛冶屋の血が騒いでいる。
「すいません、あまり土地勘がないのですが、王都ってここからどれくらいで着きますか?」
「そうですねぇ、私も実際に行ったことはないので、なんとも言えないですが、一月は最低でもかかると思いますよ、冒険者ギルドであればより詳しく聞けると思いますが・・・」
「ありがとうございます!」
そう言って、走って、店の奥にいる鍛冶場で店主を探す。
「店主さん!武器全部修理できました!ありがとうございます!ちょっと行きたいところできたので、今日は帰ります!」
鍛冶場に着くやいなや店主に対しての感謝を伝えてそのまま、店主からの言葉を待たずに店を出ていく。
「お、おう、ってもういねぇじゃねぇか、なんだ騒がしいやつだな」
店主がひとりごちるとロランドが現れる。
「リベック様、今よろしいでしょうか」
「おう、ロランドいい加減その堅苦しい口調どうにかならんか、まぁいい、どうした」
「口調は無理です、ビジネスマンですので、それよりリベック様に会わせろというお客様がいらっしゃるのですが、こちらにお通ししても宜しいでしょうか」
「ん?今日誰かくるって言ってたか?」
「いえ、アポイントは無いようなのですが、どうしてもと言われまして」
「ふむ、まぁ作業もキリがいいし、いいぜ、呼んできてくれ」
ロランドが店先に戻り、客人を呼びにいく。
少ししてから「こんにちわー!いきなりなんだけどちょっと聞きたいことあるんだよー!」と元気な少女の声が聞こえる。
ルーネに念のため確認すると、鼻をスンスンと動かしアルージェの匂いを嗅ぐ。
ンガッと息を詰まらせたような反応が返ってくる、そしてそのままアルージェから離れていく。
「えぇ!?普通に傷つく反応なんだけど!」
そう言ってルーネに近づくとルーネもアルージェが近づいた分離れていく。
「せ、せめてどんな匂いなのか教えてくれぇ!頼むぅ!」
と全力近づくが、華麗にアルージェを飛び越えそのまま鍛冶スペースから出ていく。
「うぅ、酷い、酷すぎる、匂い袋とかで匂い誤魔化せないかな」
アイテムボックスから、少し良い匂いのする匂い玉を取り出し体に擦り付けようとしたところで、ルーネが戻ってくる。
「ワウッ!」とアルージェに近づいてきて、周りをクルクルと周り始める。
どうやら冗談だったらしい。
「いつの間にそんな技術覚えたんだ、ルーネ、なんて恐ろしい子」
ルーネが人間ぽく成長していることに少し、恐怖を覚えたが、
それは置いといて、最近ずっと鍛冶場に篭りきりだったので、人間としてまともな生活ができていなかったような気がする。
少し情勢についても把握しておきたい。
「ということで今日は久しぶりに町を周ろう!いいかな?」
ルーネに確認を取ると元気よく「バウッ」と返事をもらえた。
「よし!ならまずはこの店に売ってる商品の確認かな!」
ルーネが立っていたところ辺りで大きな音が聞こえたがきっと問題ないだろう。
鍛冶場から表にでるとロランドさんがこちらに気づき、近づいてくる。
「アルージェ様、いかがなされましたか?素材が不足しておりましたでしょうか」
「あ、いえ、おかげさまで、手持ちのもの全て補修できまして、町を周ろうと思ったんですけど、そういえばここで売ってるもの見てないなぁと思って、見させてもらえないかと思ったんですけどいいですか?」
「なるほど、問題ないですよ」
ロランドは店を見渡して、手が空いている人物に声をかけ、アルージェの案内をするように告げる。
「後はこのユーロに任せますので、何かあればユーロに確認していただければと存じます、それではごゆっくり」
そういって定位置にもどっていくロランド。
「できる男やぁ」
ロランドの対応に出来る男を感じながらユーロに挨拶して、武器を見てまわる。
ルーネも後ろからトボトボとついてくる。
「武器って手にとって素振りしても問題ないですか?」
追従してくれているユーロに確認を取り、許可が出たので、目についた剣を手にとり素振りをする。
「やっぱり、ここの店主さん良いもの作るなぁ、ん?」
剣を見ていたが不意に目に入った、明らかに単価が違う武器が並んでいる一画を見る。
剣を棚に戻し、その一画に近づき、武器を手に取ろうとするとユーロから制止が入る。
「アルージェ様申し訳ございません、こちら付与魔法が掛かった武器となります、お手を触れるのはご勘弁願えますでしょうか」
「付与魔法??この一画の武器は付与魔法が掛かっているから値段が他と違うってことですか?」
「えぇ、おっしゃる通りです」
付与魔法、こちらに転生する前にゲームで聞いたことがある。
見た目は普通の武器だが、自分で好きな能力を後付けすることが出来る魔法で、
マジックアイテム程ユニークな能力は付いていないが汎用的なものを武器自身に付与できるので、切れ味強化や、攻撃力強化なんかがよくわかる例だろう。
「付与魔法って、武器に後付けで汎用的な能力をつける物で認識あってますか?」
「そうですね、大方ご認識の通りです、汎用的というのがいまいちピンときませんが、具体例でいうと切れ味が良くなったり、持つだけで体が強くなったりとさまざまな効果が付与されます」
ふむ、やっぱり認識している通りか、
「誰でも付与魔法って使えるんですか?」
「あまり詳しくは無いですが、王都にある魔法学校で使い方を教えているそうですよ、ただ学ぼうとする人は少ないようですが」
王都の魔法学校、以前ニツール村に来ていたアインさんのパーティにいたカレンさんが言ってたのを思い出し、アイテムボックスからキーホルダーを取り出す。
今のままではこれ以上に武器を強化する方法が思い浮かばない、
今以上に強い冒険者になるには武器の強化も必須だ。
武器作成なら他の人より上手くできると思うけど、それだけじゃいつか頭打ちすることが目に見えていた。
成長するには此処しかない、そう僕の鍛冶屋の血が騒いでいる。
「すいません、あまり土地勘がないのですが、王都ってここからどれくらいで着きますか?」
「そうですねぇ、私も実際に行ったことはないので、なんとも言えないですが、一月は最低でもかかると思いますよ、冒険者ギルドであればより詳しく聞けると思いますが・・・」
「ありがとうございます!」
そう言って、走って、店の奥にいる鍛冶場で店主を探す。
「店主さん!武器全部修理できました!ありがとうございます!ちょっと行きたいところできたので、今日は帰ります!」
鍛冶場に着くやいなや店主に対しての感謝を伝えてそのまま、店主からの言葉を待たずに店を出ていく。
「お、おう、ってもういねぇじゃねぇか、なんだ騒がしいやつだな」
店主がひとりごちるとロランドが現れる。
「リベック様、今よろしいでしょうか」
「おう、ロランドいい加減その堅苦しい口調どうにかならんか、まぁいい、どうした」
「口調は無理です、ビジネスマンですので、それよりリベック様に会わせろというお客様がいらっしゃるのですが、こちらにお通ししても宜しいでしょうか」
「ん?今日誰かくるって言ってたか?」
「いえ、アポイントは無いようなのですが、どうしてもと言われまして」
「ふむ、まぁ作業もキリがいいし、いいぜ、呼んできてくれ」
ロランドが店先に戻り、客人を呼びにいく。
少ししてから「こんにちわー!いきなりなんだけどちょっと聞きたいことあるんだよー!」と元気な少女の声が聞こえる。
1
お気に入りに追加
419
あなたにおすすめの小説

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる