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第一部 〜始まり〜
第五話
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「シェリー遊びに来たよー!」
家のドアの前でノックもせず叫ぶアルージェ。
それを聞いて、家の奥からドタドタドタッと玄関の方に走ってくる音が聞こえる。
音が近くなり、一瞬無音になる。
数秒後に扉がバァン!と勢いよく開く。
「アルゥ!待ってたよ!さぁ、入って!入って!」
シェリーは元気よくアルに抱きつき、耳元で声を張り上げた。
「おじゃましまーす」
「あら、いらっしゃいアル君、何もないけどゆっくりしていってね」
シェリーの母ソフィアが出迎えてくれる。
シェリーの父ロイは納屋の方で仕事中のようだ。
「んじゃ、こっちきてー!」
シェリーはアルージェの手を掴んで、奥の部屋に引っ張られていく。
奥の部屋には動物の骨で出来た知育玩具が置いていたり、動物の皮をなめして作られた絨毯のようなものが置かれていて、アルージェの家とはまた全然違った。
動物の骨で出来た知育玩具でアルージェとシェリーが遊んでいると、バァン!と扉が勢いよく開いた。
ロイが納屋から戻ってきたようだ。
「戻ったぞ!」
「あっ、パパだ! 今日も大変だったー?」
「お、おじゃましてまーす」
「おう、シェリー!仕事はいつも通りだけど疲れたからいつもみたいに抱っこさせてくれぇ」
とロイがシェリーに近づくと、「今日は嫌!」と断られ、ショックが顔に出る。
「アル坊もゆっくりしていってくれや」と声を元気なくトボトボとテーブルの置いてある方へ行き、円座に腰を下ろした。
ロイの家での定位置はあそこらしい。
少しするとソフィアが飲み物を持ってきて、ロイの前に置いた。
「あんがとなやっぱ俺にはソフィアしかいねぇよ!」
ロイが笑顔でいう。
「バカいってんじゃんないわよ」
ソフィアは満更でもなさそうだ。
「そういえば、アル坊の家でシェリーも剣術習ってるらしいな」
「そだよー!毎日がんばってるー!」
シェリーは元気よく答える。
「ふむ・・・、アルは弓の扱いには興味ないか?正直、シェリーばっかり世話してもらってるのがフリード達に申し訳ないと思ってたんだ。
俺が教えれることは弓と森での生き残り方、あとは狩った動物の解体方法くらいなもんだ。
この辺りはアル坊くらいの年頃のやつに教えるのは酷かもしれんが、剣術習ってるならいつかは動物を相手にすることもあるだろう。先に慣れていて損はねぇと思うが、どうだ?」
弓の使い方を学ぶのは非常に有効だと思った。
解体や、森で生き残る方法も非常に有効だこういう知識は普通に生きてるだけでは知ることもできない。
ただ剣がおろそかになるのではないかと少し不安に感じていた。
ただでさえシェリーに少し遅れを取っていると考えているのに、これ以上別のことをすると差が広がってしまうのではないか?そんな心境だった。
「もちろん、剣術が優先で構わねぇよ。アル坊の根底にあるもんまで捨ててやるんじゃなくて、剣術の合間に息抜きにどうだって話だ」
それを聞いたアルはすぐに縦に首を振った。
「よし決まりだ」
ロイはガハハハハと豪快に笑った。
「実はよぉ、俺自身、息子に自分の技術叩き込むのやりたかったんだよなぁ。息子じゃなくてかわいい娘が生まれちまったから諦めてたんだが、シェリーがこんだけ毎日アル、アル、っていってんだから、実質アル坊は俺の息子みたいなもんだろ!教えるのが楽しみだぜ」
「まぁ、ロイったら気が早いですよ」
家事に一段落ついたのかソフィアもやってきた。
「娘が取られるのは悔しいがアル坊も、いい男になりそうじゃねぇか俺には負けるがな!」
「あら?ロイったら大人げないですよ。子供相手にそんなに余裕のない人より、将来有望なアル君に乗り換えようかしら?」
フフフと小悪魔のような笑顔でロイを挑発するソフィア
「だ、ダメー!アルはダメなのー!!」
シェリーが慌ててアルージェの前に両手を広げて立ちふさがりソフィアを止める。
「だ、ダメだー!ソフィア行かないでくれー!!」
ロイも慌ててソフィアの足に抱き着き引き留める。
アルージェはその光景をみて、自然と笑いがこぼれていた。
----------------------------------------
今日は体作りの基礎だけの日で剣術の打ち合いはないので、少し前に約束をしていた。
サーシャの父ロイに弓や森の事を教えてもらうことになっていた。
「こ、こんにちはー!」
「お、ようやく来たか、待ってたぞ!」
「やっほー!アル!」
今日はソフィアではなくロイとシェリーが出迎えた。
「んじゃ、早速だが納屋の方に移動しようか」
ロイに家の裏側にある納屋の方に案内された
「俺はここでいつも動物の解体やら森に入る準備をしている。んで今日はまず弓の練習をしてぇんだが、アル坊は弓使ったことあるか?こういうやつなんだが」
そういうとロイは壁に掛けてあった弓を取り、弦の部分を引っ張り弓を打つような動作をした。
「弓は使ったこと無い!遠くの敵を狙うことができる武器っていうのは父さんたちに聞いたよ!ただ扱いが難しいって・・・。」
「あぁ、うまく使えるようになるにはやはり練習が必要だ。当たり前だが剣も振り回すことは出来ても戦い方を知らなければ技も何もないからな。ただ、剣は最悪力任せに振り回しても相手が油断してれば当たることもあるが、弓はそうはいかん。確かにそういう意味では難しいかもしれん。ちゃんと周りの状況を把握する必要がある。例えば風向き、飛ばす軌道、障害物、そこら辺を考えながら使えればやっとスタートラインだな。まぁ、説明はこんなもんだ。一回使うところを見てくれ」
そういうと手に持っていた弓を構えて、腰につけていた矢筒から矢を何本か取りだし、矢をつがえる。
納屋から少し離れた場所に置いてある木人に狙いをつけて、放つ。
もう一度手に持っていた矢をつがえて、放つ。
更にもう一度手に持っていた矢をつがえて、放った。
放った三本の矢は頭、肩、胸部分に命中していた。
家のドアの前でノックもせず叫ぶアルージェ。
それを聞いて、家の奥からドタドタドタッと玄関の方に走ってくる音が聞こえる。
音が近くなり、一瞬無音になる。
数秒後に扉がバァン!と勢いよく開く。
「アルゥ!待ってたよ!さぁ、入って!入って!」
シェリーは元気よくアルに抱きつき、耳元で声を張り上げた。
「おじゃましまーす」
「あら、いらっしゃいアル君、何もないけどゆっくりしていってね」
シェリーの母ソフィアが出迎えてくれる。
シェリーの父ロイは納屋の方で仕事中のようだ。
「んじゃ、こっちきてー!」
シェリーはアルージェの手を掴んで、奥の部屋に引っ張られていく。
奥の部屋には動物の骨で出来た知育玩具が置いていたり、動物の皮をなめして作られた絨毯のようなものが置かれていて、アルージェの家とはまた全然違った。
動物の骨で出来た知育玩具でアルージェとシェリーが遊んでいると、バァン!と扉が勢いよく開いた。
ロイが納屋から戻ってきたようだ。
「戻ったぞ!」
「あっ、パパだ! 今日も大変だったー?」
「お、おじゃましてまーす」
「おう、シェリー!仕事はいつも通りだけど疲れたからいつもみたいに抱っこさせてくれぇ」
とロイがシェリーに近づくと、「今日は嫌!」と断られ、ショックが顔に出る。
「アル坊もゆっくりしていってくれや」と声を元気なくトボトボとテーブルの置いてある方へ行き、円座に腰を下ろした。
ロイの家での定位置はあそこらしい。
少しするとソフィアが飲み物を持ってきて、ロイの前に置いた。
「あんがとなやっぱ俺にはソフィアしかいねぇよ!」
ロイが笑顔でいう。
「バカいってんじゃんないわよ」
ソフィアは満更でもなさそうだ。
「そういえば、アル坊の家でシェリーも剣術習ってるらしいな」
「そだよー!毎日がんばってるー!」
シェリーは元気よく答える。
「ふむ・・・、アルは弓の扱いには興味ないか?正直、シェリーばっかり世話してもらってるのがフリード達に申し訳ないと思ってたんだ。
俺が教えれることは弓と森での生き残り方、あとは狩った動物の解体方法くらいなもんだ。
この辺りはアル坊くらいの年頃のやつに教えるのは酷かもしれんが、剣術習ってるならいつかは動物を相手にすることもあるだろう。先に慣れていて損はねぇと思うが、どうだ?」
弓の使い方を学ぶのは非常に有効だと思った。
解体や、森で生き残る方法も非常に有効だこういう知識は普通に生きてるだけでは知ることもできない。
ただ剣がおろそかになるのではないかと少し不安に感じていた。
ただでさえシェリーに少し遅れを取っていると考えているのに、これ以上別のことをすると差が広がってしまうのではないか?そんな心境だった。
「もちろん、剣術が優先で構わねぇよ。アル坊の根底にあるもんまで捨ててやるんじゃなくて、剣術の合間に息抜きにどうだって話だ」
それを聞いたアルはすぐに縦に首を振った。
「よし決まりだ」
ロイはガハハハハと豪快に笑った。
「実はよぉ、俺自身、息子に自分の技術叩き込むのやりたかったんだよなぁ。息子じゃなくてかわいい娘が生まれちまったから諦めてたんだが、シェリーがこんだけ毎日アル、アル、っていってんだから、実質アル坊は俺の息子みたいなもんだろ!教えるのが楽しみだぜ」
「まぁ、ロイったら気が早いですよ」
家事に一段落ついたのかソフィアもやってきた。
「娘が取られるのは悔しいがアル坊も、いい男になりそうじゃねぇか俺には負けるがな!」
「あら?ロイったら大人げないですよ。子供相手にそんなに余裕のない人より、将来有望なアル君に乗り換えようかしら?」
フフフと小悪魔のような笑顔でロイを挑発するソフィア
「だ、ダメー!アルはダメなのー!!」
シェリーが慌ててアルージェの前に両手を広げて立ちふさがりソフィアを止める。
「だ、ダメだー!ソフィア行かないでくれー!!」
ロイも慌ててソフィアの足に抱き着き引き留める。
アルージェはその光景をみて、自然と笑いがこぼれていた。
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今日は体作りの基礎だけの日で剣術の打ち合いはないので、少し前に約束をしていた。
サーシャの父ロイに弓や森の事を教えてもらうことになっていた。
「こ、こんにちはー!」
「お、ようやく来たか、待ってたぞ!」
「やっほー!アル!」
今日はソフィアではなくロイとシェリーが出迎えた。
「んじゃ、早速だが納屋の方に移動しようか」
ロイに家の裏側にある納屋の方に案内された
「俺はここでいつも動物の解体やら森に入る準備をしている。んで今日はまず弓の練習をしてぇんだが、アル坊は弓使ったことあるか?こういうやつなんだが」
そういうとロイは壁に掛けてあった弓を取り、弦の部分を引っ張り弓を打つような動作をした。
「弓は使ったこと無い!遠くの敵を狙うことができる武器っていうのは父さんたちに聞いたよ!ただ扱いが難しいって・・・。」
「あぁ、うまく使えるようになるにはやはり練習が必要だ。当たり前だが剣も振り回すことは出来ても戦い方を知らなければ技も何もないからな。ただ、剣は最悪力任せに振り回しても相手が油断してれば当たることもあるが、弓はそうはいかん。確かにそういう意味では難しいかもしれん。ちゃんと周りの状況を把握する必要がある。例えば風向き、飛ばす軌道、障害物、そこら辺を考えながら使えればやっとスタートラインだな。まぁ、説明はこんなもんだ。一回使うところを見てくれ」
そういうと手に持っていた弓を構えて、腰につけていた矢筒から矢を何本か取りだし、矢をつがえる。
納屋から少し離れた場所に置いてある木人に狙いをつけて、放つ。
もう一度手に持っていた矢をつがえて、放つ。
更にもう一度手に持っていた矢をつがえて、放った。
放った三本の矢は頭、肩、胸部分に命中していた。
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