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街のチンピラに絡まれた事件当時はロズも両親もこれでもかと言うくらい過保護さが増していました。しかし数日経つとじわじわと警戒も緩まってきて、私の離での生活も普段通りになってきた今日日。いつもの様に朝の収穫を済ませ、外のガーデニングに勤しんでいると、ふと大きな影が私の視界に入ってきました。
執事のパドならば絶対に声をかけるし、もしかして不審者...?いつぞやのトラウマが蘇り少し怖くなりながらも後ろをゆっくり振り返るとーーー

「マリー」

「ロズでしたか、良かった」

「まだ引きずってるのか?やはり一度医者に見てもらった方がいい」

最後の言葉は聞こえないように言ったはずなのに普通に聞き取っているところが...まったく油断も隙もありはしません。

「心配には及びませんくてよ。現にあなただったではありませんか、私にはそれが全てです」

そう言ってロズの顔を見上げた瞬間、ドンッと大きな衝撃とともに、私の体はすっぽりとロズの中に埋まってしまいました。何が起こったのかわからず、また何故こういう経緯に至ったのかも分からないまま。

「ど、どうしたのですか?ロズ」

「...」

「く、苦しいですわロズ」

苦しいのに、更にきつく抱きとめられ少し怖くなりました。

「ロズヴェント」

「君が悪い。」

「え?」

「君が、マリーがそんなことを言うのが悪いよ」

責められている意味もわからず、ただ私はなんだか申し訳ない気持ちになったのです。

「ご、めんなさい」

彼の背中に手を回し、ポンポンと叩くとロズは拗ねたような声である事を要求してきました。

「今日は夕食ここで食べたい。」

「でも今日は会食があるのではないですか?」

「それは隊長に押し付けてくるから」

「でも...「頼む」」

彼がここまで駄々をこねるのは久しぶりで、おおかた何かあったのだろうことを察しました。

「分かりましたわ、そうと決まればロズの大好きなメニューを作らなくてはね」

承諾するとようやくきつく抱いていた腕が離れ、開放感で満たされます。

「マリー」

「なんですか」

「俺は、俺のしたことは間違っていたのか。」

「... 」

恐らく、この間のリザードマン襲撃事件の事でしょう。いきなり魔物でも中堅クラスに値するリザードマンの大軍がこの王都をめがけて進軍してきた事件で大勢の部下が亡くなったのだと父から聞きました。

「俺は、、」

「間違っていたのかも知れません。」

「...」

「ですが、それは何に対して間違っていたと言っているのですか?仲間が亡くなって、全部自分のせいだと思っているなら、それは大馬鹿ものですわ。」

なおも沈黙を続けるロズに、私は言葉を続けます。

「あなた一人が抱え込んだところで、亡き人は帰っては来ません。遺族の方々もそんなことは望んではいないはずです。王国騎士団に息子を務めさせる時点で覚悟はできていたと思いますわ。それよりも、逸早く損害があった地域の復興を進めるべきです。貴方にはそれをする力があるのですから。」

「ありがとう。救われたよ」

やっぱりマリーには叶わないなぁ、とロズは笑っていて。その後気分転換にと二人で夕食を作って食べ、夜深くまで昔話に花を咲かせていました。

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