天穹は青く

梅林 冬実

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穢れることを恐れていては

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 「初めてとはな。驚いたわ」
身繕いしながら叔父は嘲笑含みでそう言った。
「そういう世代だよな。おっさんは金になるからねぇ。とはいえ処女膜破かせていただけるとは思わなかったね」
何とでも言え。全部聞いてやる。毛布をかぶっただけのユカは、黙って叔父のひとり語りに耳を貸す。実にねちっこい男と改めて知った。子供の裸に欲情するような男だ。そもそもまともなわけがない。
「んで?どうするの?」
一頻り喋った叔父が改めて聞く。この先関係を続けるつもりがあるのかと聞かれていると、ユカは感じた。
「え、このまま。たっくんと繋がっていたい」
心の籠らないユカの言葉に呆れるほど狂喜して見せる、社会じゃそれなりの地位を築いた男は、折角着た服を荒々しく脱ぎ捨て、ユカがかぶる毛布を剥いだ。
「たっくん、優しいユカちゃんが好きなんだぁ」
覆いかぶさる獣慾の塊は、酷く耳障りな笑い声をあげながらユカの唇に、胸元に、激しく吸い付く。おもちゃにされる感覚に早く馴染まなければ。「たっくんが好き」と嘘でも言えるように、早く。
ユカの体を貪る陰獣の娘たちの顔など、とうに忘れていた。
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