72 / 92
問6 等速で進む線と線の交点をさぐれ
答6-1
しおりを挟む
がおん、と轟音が耳の横を通り過ぎた。
ひゅっ、と一瞬息が止まる。
間髪入れずに同じ攻撃がもう一発。そちらは気づいていても避けきれずモロにくらった。
撥ね飛ばされた俺は、地面を数メートル転がって止まる。
突然の遭遇から攻撃を喰らい、追いかけても姿が見えず、警戒していたのにわずかに気の抜けた瞬間を狙っての奇襲だった。
練り上げられた戦略の匂いがする。おそらく、1万位台では無い強さのプレイヤーだ。
倒れたままではいられない。俺は片手で地を叩き無理やり体を跳ね起こすと、追撃の三発目は【脚火】を当てて弾く。
うまいこと相殺出来たそれは漆黒のエフェクトの残影だけを残して消えた。
その攻撃がなんなのかと意識を回す前に、反射的に振るった【スタンバトン】を左から襲いかかる「それ」に当てる。
がいんっ! と二つの武器がぶつかりお互いのエフェクトを散らす。
衝撃で土煙が上がり、確認しようと目を向けた相手を覆い隠した。
鍔迫り合いはシステム的には無駄な行為だ。なぜなら力の強さは公平を期す為全く同じ。身体能力で差がつかないなら、後は押し引きのタイミングだけだ。
見計らってもいないのに、お互いが武器を引いたのはほぼ同時だった。
ここで体制を整えようとすると、また逃げられる。
それじゃあずっと相手のペースだ。
俺は咄嗟の判断に身を委ね突っ込む。
おおよその位置を予測し【スタンバトン】を振るう。
手応えなし、なし、なし……ヒットした!
すかさず【光弾:小】をアクティブ化。目標に撃ち込む。
土煙が収まった。
「なんぞー?」
やや面食らったような顔でその場に立っていたのは、左右から編み込んだ毛を垂らした小さめのむぎわら帽子をかぶった少女だった。
もさいオーバーオールにごてごてとついた謎の人形のストラップ。
人形を無視すれば田舎の農作業娘のような格好だが、小動物のような可愛らしい容姿がそれを調和し、かえっておしゃれな雰囲気になっている。
右手に持ったおどろおどろしい刀型のガジェット【朽梛】がえらく不釣り合いだ。
彼女は訝しげに俺を睨むと、口を開いた。
「ダメージカスじゃん、なーんだびっくりさせんな」
言葉と同時に、ガッと踏み込んで刀を横一文字から雑に振るう。
手首のスナップだけで薙いだ一閃は、現実世界なら全く力のこもっていない無意味な技。
しかしこの世界で型は重要ではない。振るわれさえすれば、攻撃としての判定は問題なく入る。ならば最低限の力で振るうことこそが正解だ。
分かってる彼女の鋭い攻撃は、俺の頬を掠めるに留まった。
「んな!?」
【朽梛】は使ったことがあるので、武器の長さは把握済み。読み切った上で、お返しにバトンを彼女に打ち据える。
手に伝わる衝撃に合わせ【激痛電】を流して麻痺コンボ完成だ。
バトンそのものを当てた時のボーナスは2秒の硬直だが、電撃と組み合わせて6秒まで延長されている。ついでにダメージも1.5倍だ。
「ひゃぅっ!」
彼女が苦悶に喘ぐ声を上げた。
そのまま麻痺状態の彼女を【鳴神:玖】で大きく削ろうと溜め始めた俺に、状態異常で動けなくなったハズの彼女から反撃の刃が煌めく。
「うぉっ!」
今度は俺が驚きで声を上げる。
ギリギリでかわすが、腕全体ではなく手首を使って奇妙な軌跡で攻撃し続ける彼女に防戦一方になる。
「チャンバラガール、どして麻痺抜け?」
避けながらなので変な日本語になった。片言の外国人みたいだ。
「ノーチャンバラガール、麻痺抜けイズ【キュアオーダー】」
「日本語で大丈夫です」
「あぁ!? 騙したな!?」
知らん。騙す範囲恐ろしく狭いな。
彼女はなかなか当たらない刀での攻撃を諦め、一旦距離を取ると、俺に細い指を向けた。
おっと、それは良く知ってる。
その指を素早く引き、俺に向かって刺すようなアクションをとった彼女の視線を良く観察し、三歩右に避ける。
【刀身の苦無】のエフェクトがたった今俺が立っていた場所を貫いた。
俺は溜まった【鳴神:玖】を彼女に向かって振り下ろし、膨れ上がった雲を飛ばす。
ゆるいホーミングで追いかけ始めた雲から逃れるように、彼女は身を翻し、脱兎のごとく駆け出した。
その逃走フォームは美しく、100mを自らの鍛えた肉体で駆け抜ける選手のように長いストライドが俺の意識を数瞬奪う。
戦闘中という事を忘れ、彼女の背中をぽかんと見つめてしまった。
はっと気づいたころにはすでに背中は小さく、その後ろをふよふよと雲が追うのが見える。
「ちょ、待てー!!」
慌てて追いかけるが、振り向きもせず彼女は狭い屋内を走り抜ける。
しかし、それは【鳴神:玖】への正しい対処方法だ。エフェクトが効果を失うまで走れば、追いつけない雷雲はやがて消える。
だからこそ普段は足止めとのコンボにしているのだ。
「全く、なんだよこの娘は……」
俺はそうひとりごちると、視界ディスプレイの右上に意識を向ける。
プレイヤーネームは「レミングス」だ。
無謀な突進で儚く命を散らしそうな名前だが、彼女のデッキはおそらく真逆だ。
使われたカードは相手にヒットしたダメージから数%のライフを吸い上げる武器【朽梛】と、自らの状態異常を回復させる【キュアオーダー】。ばっちり食らった攻撃は相手の手札のコスト分ダメージが増える【債権者の穿ち】だ。
さっきのヒットアンドアウェイの戦法とそのカード達から鑑みて、長期戦を目指しながら一方的に削るつもりのゲリラ戦術だ。
自分はダメージを軽減し、身を隠しながら要所で仕掛ける。
「忍者スタイル」に良く似ているが、身を隠す手段の代わりに回復手段が豊富なためゾンビアタックで削ってくることもある分やっかいだ。
俺のデッキにあるいくつかの異常状態付与系のカードも通用しにくくなるだろう。
さて、どうやって攻めていこうか。
俺は朽ち果て、砂に侵食された医療施設を走り抜けながら、戦略思考の海に沈む。
ひゅっ、と一瞬息が止まる。
間髪入れずに同じ攻撃がもう一発。そちらは気づいていても避けきれずモロにくらった。
撥ね飛ばされた俺は、地面を数メートル転がって止まる。
突然の遭遇から攻撃を喰らい、追いかけても姿が見えず、警戒していたのにわずかに気の抜けた瞬間を狙っての奇襲だった。
練り上げられた戦略の匂いがする。おそらく、1万位台では無い強さのプレイヤーだ。
倒れたままではいられない。俺は片手で地を叩き無理やり体を跳ね起こすと、追撃の三発目は【脚火】を当てて弾く。
うまいこと相殺出来たそれは漆黒のエフェクトの残影だけを残して消えた。
その攻撃がなんなのかと意識を回す前に、反射的に振るった【スタンバトン】を左から襲いかかる「それ」に当てる。
がいんっ! と二つの武器がぶつかりお互いのエフェクトを散らす。
衝撃で土煙が上がり、確認しようと目を向けた相手を覆い隠した。
鍔迫り合いはシステム的には無駄な行為だ。なぜなら力の強さは公平を期す為全く同じ。身体能力で差がつかないなら、後は押し引きのタイミングだけだ。
見計らってもいないのに、お互いが武器を引いたのはほぼ同時だった。
ここで体制を整えようとすると、また逃げられる。
それじゃあずっと相手のペースだ。
俺は咄嗟の判断に身を委ね突っ込む。
おおよその位置を予測し【スタンバトン】を振るう。
手応えなし、なし、なし……ヒットした!
すかさず【光弾:小】をアクティブ化。目標に撃ち込む。
土煙が収まった。
「なんぞー?」
やや面食らったような顔でその場に立っていたのは、左右から編み込んだ毛を垂らした小さめのむぎわら帽子をかぶった少女だった。
もさいオーバーオールにごてごてとついた謎の人形のストラップ。
人形を無視すれば田舎の農作業娘のような格好だが、小動物のような可愛らしい容姿がそれを調和し、かえっておしゃれな雰囲気になっている。
右手に持ったおどろおどろしい刀型のガジェット【朽梛】がえらく不釣り合いだ。
彼女は訝しげに俺を睨むと、口を開いた。
「ダメージカスじゃん、なーんだびっくりさせんな」
言葉と同時に、ガッと踏み込んで刀を横一文字から雑に振るう。
手首のスナップだけで薙いだ一閃は、現実世界なら全く力のこもっていない無意味な技。
しかしこの世界で型は重要ではない。振るわれさえすれば、攻撃としての判定は問題なく入る。ならば最低限の力で振るうことこそが正解だ。
分かってる彼女の鋭い攻撃は、俺の頬を掠めるに留まった。
「んな!?」
【朽梛】は使ったことがあるので、武器の長さは把握済み。読み切った上で、お返しにバトンを彼女に打ち据える。
手に伝わる衝撃に合わせ【激痛電】を流して麻痺コンボ完成だ。
バトンそのものを当てた時のボーナスは2秒の硬直だが、電撃と組み合わせて6秒まで延長されている。ついでにダメージも1.5倍だ。
「ひゃぅっ!」
彼女が苦悶に喘ぐ声を上げた。
そのまま麻痺状態の彼女を【鳴神:玖】で大きく削ろうと溜め始めた俺に、状態異常で動けなくなったハズの彼女から反撃の刃が煌めく。
「うぉっ!」
今度は俺が驚きで声を上げる。
ギリギリでかわすが、腕全体ではなく手首を使って奇妙な軌跡で攻撃し続ける彼女に防戦一方になる。
「チャンバラガール、どして麻痺抜け?」
避けながらなので変な日本語になった。片言の外国人みたいだ。
「ノーチャンバラガール、麻痺抜けイズ【キュアオーダー】」
「日本語で大丈夫です」
「あぁ!? 騙したな!?」
知らん。騙す範囲恐ろしく狭いな。
彼女はなかなか当たらない刀での攻撃を諦め、一旦距離を取ると、俺に細い指を向けた。
おっと、それは良く知ってる。
その指を素早く引き、俺に向かって刺すようなアクションをとった彼女の視線を良く観察し、三歩右に避ける。
【刀身の苦無】のエフェクトがたった今俺が立っていた場所を貫いた。
俺は溜まった【鳴神:玖】を彼女に向かって振り下ろし、膨れ上がった雲を飛ばす。
ゆるいホーミングで追いかけ始めた雲から逃れるように、彼女は身を翻し、脱兎のごとく駆け出した。
その逃走フォームは美しく、100mを自らの鍛えた肉体で駆け抜ける選手のように長いストライドが俺の意識を数瞬奪う。
戦闘中という事を忘れ、彼女の背中をぽかんと見つめてしまった。
はっと気づいたころにはすでに背中は小さく、その後ろをふよふよと雲が追うのが見える。
「ちょ、待てー!!」
慌てて追いかけるが、振り向きもせず彼女は狭い屋内を走り抜ける。
しかし、それは【鳴神:玖】への正しい対処方法だ。エフェクトが効果を失うまで走れば、追いつけない雷雲はやがて消える。
だからこそ普段は足止めとのコンボにしているのだ。
「全く、なんだよこの娘は……」
俺はそうひとりごちると、視界ディスプレイの右上に意識を向ける。
プレイヤーネームは「レミングス」だ。
無謀な突進で儚く命を散らしそうな名前だが、彼女のデッキはおそらく真逆だ。
使われたカードは相手にヒットしたダメージから数%のライフを吸い上げる武器【朽梛】と、自らの状態異常を回復させる【キュアオーダー】。ばっちり食らった攻撃は相手の手札のコスト分ダメージが増える【債権者の穿ち】だ。
さっきのヒットアンドアウェイの戦法とそのカード達から鑑みて、長期戦を目指しながら一方的に削るつもりのゲリラ戦術だ。
自分はダメージを軽減し、身を隠しながら要所で仕掛ける。
「忍者スタイル」に良く似ているが、身を隠す手段の代わりに回復手段が豊富なためゾンビアタックで削ってくることもある分やっかいだ。
俺のデッキにあるいくつかの異常状態付与系のカードも通用しにくくなるだろう。
さて、どうやって攻めていこうか。
俺は朽ち果て、砂に侵食された医療施設を走り抜けながら、戦略思考の海に沈む。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
無職で何が悪い!
アタラクシア
ファンタジー
今いるこの世界の隣に『ネリオミア』という世界がある。魔法が一般的に使え、魔物と呼ばれる人間に仇をなす生物がそこら辺を歩いているような世界。これはそんな世界でのお話――。
消えた父親を追って世界を旅している少女「ヘキオン」は、いつものように魔物の素材を売ってお金を貯めていた。
ある日普通ならいないはずのウルフロードにヘキオンは襲われてしまう。そこに現れたのは木の棒を持った謎の男。熟練の冒険者でも倒すのに一苦労するほど強いウルフロードを一撃で倒したその男の名は「カエデ」という。
ひょんなことから一緒に冒険することになったヘキオンとカエデは、様々な所を冒険することになる。そしてヘキオンの父親への真相も徐々に明らかになってゆく――。
毎日8時半更新中!

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる