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問4 異なる2点間の距離を求めよ
答4-4
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「孤狼丸……孤狼丸かぁ……」
さっきの一悶着あったヤツだよなぁ。
俺は朝焼けに照らされた海を、途方に暮れた漂流者のように砂浜で体育座りをしながら眺める。
今度のフィールドは「懸崖の孤島」だ。
ごろごろとした黒い火山岩が浜辺にも転がり、荒涼とした風景が背後に広がっている。
島の中央には、ゲーム終盤になると荒ぶる予定のダランマチャガ山が円錐状にそびえ立ち、威容を誇示している。山の名前をまともに呼べるプレイヤーは少ないらしい。
フィールドは、実際に通常のゲーム内で訪れることが出来る場所が模倣されている。
この島は「渡航権」を得るための一連のイベントをこなした上に、しょっちゅう噴火する島で平気な顔をして暮らしている異常な住民からの「お前それここ以外なら簡単に手に入るから移住しろ」と言いたくなるような物品のお使いイベントを大量にこなし、その上でようやくアポを取った村長に延々と嫌味を言われた後にやっとこさ火山のダンジョンに挑戦する権利を得る事が出来る、という思い出深い島だ。
みずちが死ぬほど欲しがっていた【燃え上がる愛】の為に何度も通ったなぁ。
俺は立ち上がると、近くの小石を蹴っ飛ばしながらマップを確認する。
今居る場所はフィールドの最南端だ。実際の島よりも大分縮小された規模になっているが、北端まで行くには数分はかかるだろう。
孤狼丸がどこからスタートしたかは分からないが、一定範囲には出現しないようになっているはずなので、大まかに北方向から来るのではと当たりをつけている。
……気乗りしない。
さっきミューミューにノックアウトされた孤狼丸を俺が倒すというのは、なんというか、後味の悪いオーバーキルな気がする。
しかし負けてやる訳にも行かない。デメリットは大してないが、さしてメリットがあるわけでもなく、彼には失礼を働くことになり、何よりそんな腑抜けた八百長は俺のプライドが許さない。
ならばやるべきこと……いや、殺るべきことは一つしかない。
俺は砂を踏みしめ、大きくジャンプする。今回の初手は最高のドローだった。
【空画整理】をアクティブ化させ、視界ディスプレイ上で空中の足場をセットする。
スタッと、地上から2mほどの位置に足をつける。俺には半透明の2m幅くらいの板が浮いているのが認識出来るが、他のプレイヤーからは俺が何もない場所に立っているように見えるだろう。
このカードは使用回数を5回に増やしてあるので、そのままポンポンと階段を作るように地上10mの高さまで上がった。
ミャーミャーとうみねこの鳴き声が聞こえる。
岩場以外の高い遮蔽物が少ない島のため、この位置からなら十分遠くまで見渡せる。
「さーて、見える位置に居るかな?」
ぐるりと見渡すが、動くものは何も見つけられなかった。
【空画整理】の足場は大体2分ほどで消滅する。俺はその間見える範囲に小さな変化でもあれば見逃すまいと注視していたが、1分半が過ぎても島には風が吹くばかりで期待したような事は起こらなかった。
だが降りようと下を眺めた瞬間に背後からの強烈な熱を感じ、俺は確認することもなく地上へ飛び降りた。
俺が立っていた場所を、ごう、と音を立て炎の筋が通り過ぎる。
危機一髪。体を半分足場から出していたおかげで、転がり落ちるように避ける事が出来た。
「後ろっ!?」
俺は空中で体をひねり、足を地表に向けて姿勢を整える。
孤狼丸の姿を探すが、見えるのは何もない広い砂浜と凪いだ海だけだ。
隠れるような場所はない。
着地点は気をつけなければならない。避けたとはいえ、必ず落ちどころを狙ってくるだろう。
俺は地上から1mほどの位置で、もう1枚手札に抱えていた【空画整理】をアクティブ化させてその上に降り立つ。
俺が本来落ちる予定だった足元を、三日月型の白い尾を引く斬撃が通過していく。
その攻撃は、またしても俺の背後から射出されたいた。
今のは中距離ショットカードの【花月蝶】。始めのも同じく中距離ショットカードの【火遁:蛇道】だ。
振り返るが、やはり奴の姿は無い。
なるほど、これはおそらく「ニンジャスタイル」だ。
獣人のアバターにニンジャスタイル。海外のヒーローものにありそうな組み合わせだなぁと関係の無い思考が混じる。
まだ判断するには早いが、少なくとも身を隠す何かしらのステータスカードは起動させているはずだ。
さっきの問答から直情的なオラオラアタッカー系かと思いきや、案外狡い技で攻めてくる。
俺の戦略を否定出来るような動きじゃなかろう。
とりあえず俺は足場から地上に降り、【花月蝶】の射出予測地点に走る。
ドローは【激痛電】だ。今は役に立たない。
代わりに俺は手札の【さざなみの調べ】を撃つ。
【さざなみの調べ】
薄青く扇状に広がる波動を放ち、当たった対戦相手に小ダメージと数十秒の行動速度低下の効果を与えるショット&ステータスカードだ。
アクションスローは、アバターの操作性能を落とすような意味ではなく、ドロータイムがわずかに延長され、アクティブ化させたアクションの効果発揮までにタイムラグを生じさせるデバフだ。
このカードは広い範囲への攻撃と共に当たった時に目立つ青白い光のエフェクトがあるため、姿を隠している敵にもそれなりに有効だ。
しかし【さざなみの調べ】は何の反応も返さず、数メートル先で波動のエフェクトが消えた。
上に回避されたか、既にこの場を離れたか。
孤狼丸からの反撃は無い。
意外と厄介な相手らしい。良いねぇ。そうでなくっちゃ。
さっきの一悶着あったヤツだよなぁ。
俺は朝焼けに照らされた海を、途方に暮れた漂流者のように砂浜で体育座りをしながら眺める。
今度のフィールドは「懸崖の孤島」だ。
ごろごろとした黒い火山岩が浜辺にも転がり、荒涼とした風景が背後に広がっている。
島の中央には、ゲーム終盤になると荒ぶる予定のダランマチャガ山が円錐状にそびえ立ち、威容を誇示している。山の名前をまともに呼べるプレイヤーは少ないらしい。
フィールドは、実際に通常のゲーム内で訪れることが出来る場所が模倣されている。
この島は「渡航権」を得るための一連のイベントをこなした上に、しょっちゅう噴火する島で平気な顔をして暮らしている異常な住民からの「お前それここ以外なら簡単に手に入るから移住しろ」と言いたくなるような物品のお使いイベントを大量にこなし、その上でようやくアポを取った村長に延々と嫌味を言われた後にやっとこさ火山のダンジョンに挑戦する権利を得る事が出来る、という思い出深い島だ。
みずちが死ぬほど欲しがっていた【燃え上がる愛】の為に何度も通ったなぁ。
俺は立ち上がると、近くの小石を蹴っ飛ばしながらマップを確認する。
今居る場所はフィールドの最南端だ。実際の島よりも大分縮小された規模になっているが、北端まで行くには数分はかかるだろう。
孤狼丸がどこからスタートしたかは分からないが、一定範囲には出現しないようになっているはずなので、大まかに北方向から来るのではと当たりをつけている。
……気乗りしない。
さっきミューミューにノックアウトされた孤狼丸を俺が倒すというのは、なんというか、後味の悪いオーバーキルな気がする。
しかし負けてやる訳にも行かない。デメリットは大してないが、さしてメリットがあるわけでもなく、彼には失礼を働くことになり、何よりそんな腑抜けた八百長は俺のプライドが許さない。
ならばやるべきこと……いや、殺るべきことは一つしかない。
俺は砂を踏みしめ、大きくジャンプする。今回の初手は最高のドローだった。
【空画整理】をアクティブ化させ、視界ディスプレイ上で空中の足場をセットする。
スタッと、地上から2mほどの位置に足をつける。俺には半透明の2m幅くらいの板が浮いているのが認識出来るが、他のプレイヤーからは俺が何もない場所に立っているように見えるだろう。
このカードは使用回数を5回に増やしてあるので、そのままポンポンと階段を作るように地上10mの高さまで上がった。
ミャーミャーとうみねこの鳴き声が聞こえる。
岩場以外の高い遮蔽物が少ない島のため、この位置からなら十分遠くまで見渡せる。
「さーて、見える位置に居るかな?」
ぐるりと見渡すが、動くものは何も見つけられなかった。
【空画整理】の足場は大体2分ほどで消滅する。俺はその間見える範囲に小さな変化でもあれば見逃すまいと注視していたが、1分半が過ぎても島には風が吹くばかりで期待したような事は起こらなかった。
だが降りようと下を眺めた瞬間に背後からの強烈な熱を感じ、俺は確認することもなく地上へ飛び降りた。
俺が立っていた場所を、ごう、と音を立て炎の筋が通り過ぎる。
危機一髪。体を半分足場から出していたおかげで、転がり落ちるように避ける事が出来た。
「後ろっ!?」
俺は空中で体をひねり、足を地表に向けて姿勢を整える。
孤狼丸の姿を探すが、見えるのは何もない広い砂浜と凪いだ海だけだ。
隠れるような場所はない。
着地点は気をつけなければならない。避けたとはいえ、必ず落ちどころを狙ってくるだろう。
俺は地上から1mほどの位置で、もう1枚手札に抱えていた【空画整理】をアクティブ化させてその上に降り立つ。
俺が本来落ちる予定だった足元を、三日月型の白い尾を引く斬撃が通過していく。
その攻撃は、またしても俺の背後から射出されたいた。
今のは中距離ショットカードの【花月蝶】。始めのも同じく中距離ショットカードの【火遁:蛇道】だ。
振り返るが、やはり奴の姿は無い。
なるほど、これはおそらく「ニンジャスタイル」だ。
獣人のアバターにニンジャスタイル。海外のヒーローものにありそうな組み合わせだなぁと関係の無い思考が混じる。
まだ判断するには早いが、少なくとも身を隠す何かしらのステータスカードは起動させているはずだ。
さっきの問答から直情的なオラオラアタッカー系かと思いきや、案外狡い技で攻めてくる。
俺の戦略を否定出来るような動きじゃなかろう。
とりあえず俺は足場から地上に降り、【花月蝶】の射出予測地点に走る。
ドローは【激痛電】だ。今は役に立たない。
代わりに俺は手札の【さざなみの調べ】を撃つ。
【さざなみの調べ】
薄青く扇状に広がる波動を放ち、当たった対戦相手に小ダメージと数十秒の行動速度低下の効果を与えるショット&ステータスカードだ。
アクションスローは、アバターの操作性能を落とすような意味ではなく、ドロータイムがわずかに延長され、アクティブ化させたアクションの効果発揮までにタイムラグを生じさせるデバフだ。
このカードは広い範囲への攻撃と共に当たった時に目立つ青白い光のエフェクトがあるため、姿を隠している敵にもそれなりに有効だ。
しかし【さざなみの調べ】は何の反応も返さず、数メートル先で波動のエフェクトが消えた。
上に回避されたか、既にこの場を離れたか。
孤狼丸からの反撃は無い。
意外と厄介な相手らしい。良いねぇ。そうでなくっちゃ。
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