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第35話 上がる冒険者ランク
しおりを挟む「まさか、ジャイアントビーの群れを一瞬で焼いてしまうとは思いもしませんでしたよ!」
俺が息のあった嬢王バチのジャイアントビーの首を剣で落すと、グラムが興奮した様子でそんな言葉を口にした。
エイラ同意見らしく、グラムの隣で何度も頷く。
「博さんが魔法を使えるのは知ってましたけど、風系統だけでなく炎系統の魔法も自在に使えるんですね」
「もしかして、あんまり色んな種類の魔法を使う人っていないんですか?」
そういえば、この世界に来てから自分意外に魔法で戦っている人を見たことがない。
そんなことを考えながら聞くと、エイラが少し困ったように眉を下げる。
「少なくとも、C級以下の冒険者でここまで自在に魔法を操る人は見たことがないですね」
「な、なるほど」
以前、俺が魔法を使ってハイリザードを倒したとき、エイラたちが凄く驚いていた気がしたのは、そういうことだったのか。
確かに、初戦者冒険者がポンポン強い魔法を使っていたら、驚くはな。
……あんまり目立ち過ぎないようにしないとな。
「よっし。博さんのおかげで巣の駆除も終わったし、引き上げるぞ。戻りましょうか、博さん」
すると、グラムさんが手を叩いて他の憲兵たちに指示を出してから、俺を見た。
「そうですね。あまり長居して、ジャイアントビーみたいな魔物と出くわせても嫌ですし」
それから、おっさん探検家の力を使って魔物が少ない道を通りながら、憲兵たちを引き連れて冒険者ギルドに戻ることにした。
「……冒険者ランク、D級」
冒険者ギルドに戻った俺たちは、今回の依頼の完了した手続きと報酬を受け取っていた。
そして、冒険者ギルドに渡した冒険者カードが返ってくると、冒険者ランクが三つも上がった状態で帰ってきた。
俺が冒険者カードに書かれたランクを見てからギルド職員を見ると、ギルド職員は申し訳なさそうな顔をした。
「ジャイアントビーの巣と、イワネズミの巣の駆除、それに以前のハイリザードの討伐。その他諸々。本来であれば、もっとランクをお上げしたいですが、新人ということもあってD級止まりとなってしまいました」
冒険者野職員はペコっと俺に頭を下げた。
いや、冒険者ランクがもっと上がらないかなと思って見たわけではなく、こんなにポンポンと上がってしまってなと思って見ただけなんだけど。
俺がそんなことを考えていると、隣にいたノエルが俺の腰のあたりをポンっと叩いてノニッと笑みを浮かべた。
「大丈夫だって、おっさんならすぐに上級冒険者になれるから!」
「別に上級冒険者になることを目指してはいないんだって」
まぁ、冒険者のランクが上がることは良いことではあるのかな?
俺がノエルやギルド職員とそんなやり取りをしていると、冒険者で別の手続きをしていたグラムが俺たちのもとにやってきた。
「博さん、今回は突然のお願いなのにご同行していただきありがとうございました。本当に助かりました」
グラムがそう言って頭を下げると、他の憲兵たちも一緒になって頭を下げてきた。俺は大勢の人に頭を下げられるという状況に俺は照れ臭くなって、頭を掻く。
「頭を上げてください。お力になれたのなら良かったです」
俺がそう答えると、エイラがちらっと俺を見てからグラムに笑みを浮かべた。
「博さん優しいですし、仕事を完璧……ワードさんに断られて良かったですね」
「ああ。まったくだな」
エイラの言葉を聞いて、グラムは軽く拭き出すように笑っていた。そう言えば、ノエルも言っていたけど、ワードってあんまり素行が良くない冒険者なんだっけ?
エイラの言葉を聞いて、笑っている他の憲兵たちの反応を見るに、憲兵に対してもあまり良い態度を取っていなかったようだ。
俺がそんなことを考えていると、グラムが思い出したように『あっ』と小さな声を漏らした。
「博さん。約束したお酒ですが、本日届けに上がります。どちらに届ければいいですかね?」
「あっ、それならノエルの家に届けて欲しいです。街の端の方なのですがーー」
それから、俺はグラムにノエルの家の場所を伝えた。
俺は冷静を装いながら、頭の中でどんなツマミで一杯やろうかいう考えで頭の中をいっぱいにしてしまうのだった。
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本当に、ありがとうございます。
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アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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